第1話 あの世の出会い
私はある日突然死んだ。
そして、何故か目の前にキュゥべえがいる。
死人の前にこいつがいること自体おかしいことなのだが、私がいた世界にこいつも魔女も魔法少女も存在しなかった。
だから、最初のうちは30歳のニートで死んだから、神様が馬鹿にするためにキュゥべえになって現れたんだと思ったんだけど、よく見ると違った。
よくある輪っかがこいつの上にあった。ついでにジャージでボサボサ髪の私の上にも。
「僕と契約して、魔法少女になってよ」
いつも通りのそのセリフをこいつは死んだおばさんに対して言いやがった。
「はっ?あんた、死んだって自覚ないわけ?それに、私はもうおばさんなんだけど」
クマのできた目で上から見下ろす形でそう言った。
それに対してキュゥべえは、いつもの営業BGMが流れてそうな感じで驚きのことを言った。
「確かにあの世界の君は死んだね。でも、こっちの世界の君は若くして死にかけてる状態なんだ。15歳で生死の境を彷徨ってるから、今なら君が僕と契約することでその体に入って生き返ることができるんだ」
あのキュゥべえが普通の動物のように転がったり顔を撫でたりしながら、私の度肝を抜くのに十分ないくつかのことを言ってみせた。
『まずは、その世界では私がまだ15歳の少女であること』
『次に、家の階段で足を滑らせて死んだ私と違って、そっちではまだ助かる可能性があること』
『さらに、キュゥべえに願いを叶えてもらった状態でその体を乗っ取れるということ』
そこまで理解して、あることに気づいた。原作のキュゥべえは色んな時間軸で殺されてきたけど、一度も死者を魔法少女にしたことは無かったんだ。
「ねぇ、あんたはいつから死人を魔法少女に出来るようになったの?」
「今頃になってようやく自分があの世にもいることに気づいたんだ。そしたら、次元も超えてそんなことができるようになっていることに気づいたんだ」
つまり、スペアの体に記憶をリンクしてる時に、あの世にもその体があることに気づいて、動かしてみたらあの世ではそんな力が使えることに気づいたってことだ。
「それなら、いいんだけどさ」
「それで、僕と契約して魔法少女になってくれるのかな?」
キュゥべえが何故死人を魔法少女に出来るのかということのカラクリは全て分かったわけじゃないけど、生き返れる可能性が成功率と一緒に高いのであれば、やってみる価値はあるかも知れない。
しかも、キュゥべえが今頃と言ってたから、初めてするのが私なのかも知れない。それなら、失敗をさせないようにするだろうから成功率はかなり高くなるに決まってる。
怖がることはない。
私はゴミのような人生を送ったのだから、願いも迷うことなく言ってしまえばいい。
「やってやる!あんたの実験台になるのだとしても、生き返れるならやってやるさ!」
「それはよかった。そう言ってくれるなら心置きなく最初の生き返りの魔法少女にできるよ」
やっぱり、私が最初だった。それでも、もう後悔したって遅いんだから突っ走るまでよ!
私は震えながらそう思った。
「さて、それじゃあ。君の願いを言って欲しいんだ。ここでならある程度無茶な願いも叶えられるよ。さぁ、言ってごらん」
ゆっくりと深呼吸して、何の役にも立たずに死んだゴミ人生への別れをした。そして、多分体から追い出すことになる子供の自分にも謝った。
それから目をはっきりと見開いて言った。
「私の願いってのは『歳を取らないで魔女を操ること』なんだよ!」
その願いにキュゥべえは一瞬驚いたような反応をした。多分、魔女のことを知っているのに驚いたんだろう。
原作で知ってるから、なんて言えないけどね。
「君はきっと大きな運命を動かすことになるよ。それは何人もの魔法少女に影響を与えるような運命だ」
運命を動かすということを言われて、どういうことなのかと聞きたくなった。
「それって...」
聞こうとした途端に光に包まれて、私はそのまま意識を失った。
次回、あっちの世界に到着
したらいいね