絶望の魔法   作:黒野真琴

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おばさんはとても倒せない存在だった。


第1.5章 休憩時間
第22話 舞い降りた聖なる者


 十分に休んだ私は病院から出る支度をしていた。

 

 

 その途中で私に中から声をかけてくるガキがいた。

 

「退院おめでとうございます」

 

 前と違って暁美ほむらの部屋のようになってる場所で、そのガキは魔法少女の姿で大人しく椅子に座っている。

 

「なんでまだ居るの?」

 

 私がそう尋ねると、鳥栖こよみは微笑んで言った。

 

「あんな出オチで終わってられないし、私にはまだ役目が残っていますから。このまま消えたらあの人に怒られます」

 

 そう言いながら鳥栖は自分のソウルジェムを差し出した。

 

「この体には私の魔法が残っていた。なら、この日のために集めた全てをあなたに差し上げます。これが私の役目です」

 

 どう考えたって怪しいけど、仕方ないから受け取ることにした。

 そうしないと現実に戻れそうにないし。

 

「誰の差し金か知らないけど、仕方ないから受け取ってやるよ」

 

 そう言って受け取ると、鳥栖の一部が私に入ってきた。

 いや、これは元々私が受け取った大きな力だったのかも知れない。

 その力を受け取った私の意識は一時的にこの世界から切り離された。

 

「もういいんじゃないですか。神浜は終わったんだから、今度は見滝原で救済しましょう」

 

 そう声をかけられて私の意識は戻ってきた。

 そして、私の本当の役目を思い出した。

 

「そうね。ここまで荷物を持ってきてくれてありがとう」

 

「あなたがダメなら横取りするつもりでしたけど、今なら頑張った甲斐があります。これからも、この世界をよろしくお願いします」

 

 役目を終えた鳥栖はこの世界から完全に昇天した。

 

 

 

 

 

 鳥栖が旅立ったことで現実に戻った私は自分のソウルジェムを見た。

 すると、鳥栖こよみから色々と受け取ったことで、私のソウルジェムは紅白に変わっていた。

 それと同時に鳥栖こよみの通常魔法の『認識操作』を手に入れた。

 

 あと、絶対に他人には渡せない力。円環の理のほんの一部を取り戻した。

 その力を返された時、あの日のことも思い出した。

 

 

 

 

 それは私がキュゥべえに願いを叶えてもらった後、始まりは意識を失った中での出来事。

 

「あなたには救える運命がある。私は干渉できないけど、あなたなら侵入できる。だから、私の代わりにみんなを助けてあげて。それは私が干渉できる宇宙のあなたにしか頼めないことだから」

 

 通称アルティメットまどかと呼ばれる彼女は、そう言ってかすかな意識を持った私に力を授けた。

 でも、意識がほとんどないから落としてしまった。

 

 それは時を遡って過去の鳥栖こよみに預けられた。

 未来に渡さないといけない人が居る。それを魔法少女になる寸前で役目として持った。

 そして、あんな願いをして活動資金と邪魔者の排除をしてくれた。

 

 つまり、全部仕組まれていたのだ。

 この私のために、命をかけて因果が繋がる時を待ってくれた。

 私の準備が整うのを待つために、私に日記で認識操作の保険までかけていた。

 全ては魔法少女の救いのために。私が役目を果たせるように。

 

 

 

 

 私はすべてを思い出した。

 あの子の苦労の記憶も一緒に入ってきた。

 

「あなたに認識操作をかけられたせいで、本気で敵だと思ってたよ。ごめんなさい」

 

 私はその場に崩れ落ちて泣いた。

 渡すタイミングでないときに繋がった場合、保険で使っておいた認識操作で敵だと思わせて私を怒らせるように演技してさっさと行ってもらうようにしていた。

 そうすることで安全に渡せる今日を迎えたのだ。

 

 そうとも知らないで、破滅の考え方を言う鳥栖こよみにムカついて殴ってしまった。

 そんな私には円環の代理なんてできるわけがない。

 それでも二人から託されたのだから私にはやりきる義務がある。

 

 

 

 

 

 ひとしきり泣いた私は、鳥栖こよみの2年も待った苦労を背負って見滝原に戻ることにした。

 ちなみに、鳥栖こよみの記憶を見てみると、事故ったときに魔女に襲われてソウルジェムがほとんどひび割れたことで死にかけてたようだ。

 まぁ、あそこまで割れたら助からないけど、すごく間抜けな最後だからそこだけはあきれてしまった。




次回、円環の使いが見滝原に舞い降りる

おばさんは2人分の力で救いを与えようとする。それこそが本来の役割。
だが、おばさんはこのせいで中途半端になりました。
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