絶望の魔法   作:黒野真琴

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ガキは思う。愛とは盲目にするレンズだと。


第23話 新しい住居と同居人

 力と記憶を手に入れて退院した私は、神浜でお世話になった人達に挨拶してから駅に向かった。

 

 それで電車に乗って移動してる途中で見える神浜の景色を見て、大変だったけど楽しかったなっと改めて思った。

 その神浜は少しずつ離れていく。

 

 

 

 その電車の中で似合わない格好でフードを被るアリナと、そのアリナを心配する御園かりんがちょこんと座っている。

 

「なんでこんなところにいるのよ…」

 

 そう思った私は何気なく移動して、御園かりんの横に座った。

 彼女は突然移動してきた私に驚いた。

 

「ねぇ、アリナ。久しぶり」

 

 そう声をかけると、アリナは御園かりんを避けてこっちを見ながら。

 

「アナタ、誰なんですケド」

 

 そう言った。

 その言葉に私は驚いたけど、すぐにかりんが説明してくれた。

 

「アリナ先輩は記憶をなくしちゃったの。だから、今は少しでも責めてきそうな神浜から離れるの」

 

 アリナを心配して慕って、それでいて困惑してる。

 そんな様子が認識の操作という概念を操る私には、手に取るように分かってしまった。

 

「それはいい判断だよ。あのままあそこに居たらアリナは苦しむことになった。生死の芸術家は酷いことをしたのだから。まぁ、後輩には優しかったみたいだけどね」

 

 何も知らない後輩には何も教えない方がいい。

 私はそう思っている。

 ただ、同じマギウスとして活動してた仲なので、アリナには助け舟を出すことにした。

 

「アリナ、かりんちゃん、よければうちに来なよ。見滝原だけど私が匿ってあげるよ」

 

 2人は顔を見合わせてから「是非ともよろしくお願いします」と言ってきた。

 

 

 

 

 しばらく電車の中で他愛もない会話かりんとしてるうちに、見滝原の私が最初に来た駅に帰ってきた。

 

 鳥栖こよみの記憶を手に入れた私には、今なら自分が住める家がある。

 それは美国織莉子達の通う学校からそんなに離れてない場所にあるマンションだ。

 

 鳥栖の記憶を頼りに私はマンションに向かった。

 そして、あの子が借りてた部屋の前に着くと、空間切断で壁に穴を開けてそこから鍵を取り出した。

 誰にも入らせないためにこんなところにも魔法を使ってたらしい。

 壁に鍵をめり込ませるなんて、あの子ならなんとなくやりそうだ。

 

 後で知ったことだけど、鳥栖には二つの口座があって、生活費に使ってるのが300万が入ってる口座で、私のために残したのが2000万も入ってる口座らしい。

 後者の口座から家賃は支払われてるそうだ。

 

 

 

 中に入った私は、まずリビングで2人に座るように勧めた。

 

「さて、アリナはどこまで覚えてるの?」

 

 3人でリビングのテーブルを囲んですぐにそんなことを聞いた。

 

「アリナはかりんが気に入ってたことと、自分が絵を描いてて魔法少女なことしか覚えてないんだヨネ」

 

 多分、あの時私が思いっきり攻撃したのも記憶喪失の原因だろう。

 これだけしか覚えてないことを聞くと、私はとても焦った。

 

 てか、認識操作で鳥栖が記憶自体への認識を消した可能性もある。

 まぁ、どちらにせよ。私が悪いのは目に見えてる。

 

「そっか。じゃあ、自分が何をしたのかも覚えないんだ。それなら、記憶を取り戻す可能性も低いから、ずっとここに居ていいからね」

 

 私は鳥栖の記憶の中を今すぐに検索した。

 その結果、鳥栖が中から記憶を認識出来ないようにして消したらしい。

 つまり、私が悪いのが確定したからなんか冷や汗が出てきた。

 

 それを誤魔化すために私は、かりんの耳元でそっと囁いた。

 

「私は応援してるよ。記憶がないなら新しい思い出を作ればいい」

 

 私の誤魔化すためのその言葉は、かりんの恋を成就させる手伝いになった。

 かりんも変人だから、これでもよかったのかもしれない。

 

 

 

 とりあえず、3人で暮らすことになるなら、ルールと戦いでの陣形を考えないといけない。

 

 私はまた苦労が絶えなくなることを覚悟した。




次回、天使と魔女と戦う魔法少女達

アリナさんが同居することになりましたけど、記憶がないのにあの喋り方なのは体に染み付いた癖です。
あるいは頭の片隅に残っていたのかもしれません。
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