絶望の魔法   作:黒野真琴

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鬼は絶望への道を示す。


第29話 第一回神浜滅亡会議

 和泉十七夜が来て、私はお茶を入れながら2人の話を聞いていた。

 

「やはり神浜は何も変わらない。あんなことの後でも東の待遇が変わらないなら、いっそのこと全てを終わらせるべきだと思った」

 

「それには賛成だよ。まぁ、私がルールを使えば和泉十七夜さんだっけ?あんたでもやれるようにできるけどね」

 

「いや、自分より君に前に出てもらいたい。その方がみんなを上手く動かせると思うんだ」

 

「いやだね。私はもう仲間とかはこりごりなんだよ。また仲間や親友が居なくなるなんて耐えられないからね。それに、神浜の東をまとめて戦いを挑むなら、トップのあんたが前に出るべきだ」

 

 私はキッチンで作業しながら聞いてたけど、ずいぶんと物騒な話をしてるなと思った。

 本来なら止めるべきなんだろうけど、私にそんな資格は存在しない。

 

「自分が前に出るというのはいいが、どんなにまとめあげても東が束になった態度では崩せないぞ」

 

「そこは私が暴れてやるよ。見滝原を苦しめた神浜には、綺麗さっぱり消えてもらわないとね」

 

 恨みの力で殺気を放つ真由子に、十七夜は内心ビビった。

 しかし、私がすぐに出て真由子の頭を小突いたから落ち着いてくれた。

 

「はい。お茶が入りましたよ」

 

 私はそう言って2人の前に置いた。

 私も自分の分を真由子の隣に置いて座った。

 

「すまないな。すぐに帰るつもりだったんだが」

 

「本気でやる気ならその程度で来ないでくれる。私は恨みを自分で晴らせないから、あんたにその役目を託すつもりでいるんだから」

 

 まぁ、この2人が手を組んでそんなことをしても、戦場の天使が舞い降りて止めるんだろうけどね。

 

「重ねてすまない。覚悟が足りなかったようだ。だが、今改めて覚悟を決めた。自分にはもう神浜などどうでもいい。だから、君の意思を受け継いで滅ぼすとしよう」

 

 ゲームでありそうでなかった展開。

 和泉十七夜が敵になるという最悪なシナリオ。

 それが今ここで解放された。

 

「具体策は?」

 

「まず、マギウスの翼にいた東のメンバーを自分が集める。それで目的を神浜の歴史への復讐にして、自分が皆に言葉で復讐の火を灯そうと思う」

 

「真由子より神浜のことは詳しいけど、十七夜さんなら東側のみんなが信頼してるから、先頭に立って動いてくれるならすぐにやってくれると思うよ」

 

 2人の復讐の会議に私は口を挟んだ。

 まぁ、そうしなくても2人は成功させるんだろうけどね。

 

「なるほど。なら、その戦いでドッペルを使おう。あれは神浜にとっての希望だから、それを使って攻撃すれば陥落するのに時間はかからないと思う」

 

「自分の解体のドッペルを存分に活用しろということか。なるほどな。それなら今のドッペルに抵抗のある連中ならすぐにやれるだろうな」

 

「言っとくけど、それに見せしめは必要ないからね。そんなことしたら奴らを無駄に怒らせて被害を大きくするだけだから」

 

「うむ。それは十分に承知している」

 

 2人の方向性が決まりそうになってきたので、私も奥の手を貸し出そうと思った。

 

「2人とも、今回は目をつぶってあげるから、アリナを貸し出してもいいよ。あの子なら今はそんなに戦いたがらないだろうけど、ご褒美に新しい画材を買ってあげるとでも言えばやってくれるよ」

 

 私がそう提案すると、何も知らない和泉十七夜がアリナがこっちにいることに驚いた。

 

「驚いたな。あのアリナ・グレイが味方になってるなんて」

 

「記憶はないけどね。ソウルジェム自体をいじられてるから永遠に思い出すことはないよ」

 

「それならその行為を素直に受け取ろう」

 

 この後少し話してから、第一回神浜滅亡会議は幕を閉じた。

 

 

 

 私と真由子で十七夜を見送ると、姿が見えなくなったところで真由子が声をかけてきた。

 

「ねぇ、どうやって十七夜さんを引き込んだの?」

 

「真由子が初対面した時にスッと触れて認識操作したんだよ。神浜のみんなが自分を見る目が、嫌ってくる人達と同じように感じるようにしたの」

 

「たったそれだけで心を揺さぶってこっちに落とすとはね」

 

「これも私の魔法の一つだからしょうがないよ。それに、魔女を武器にするのはほとんどやめたから、これしか手がないのもあったからね」

 

「何にせよ。最初からかき乱して遊ぶつもりだったんだね」

 

「うふふ、そうだね」

 

 私達はそんな話をして2人が帰ってくるのが見えたから中に入ることにした。




次回、神浜戦開始!

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