絶望の魔法   作:黒野真琴

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天使が空から見渡す神浜で、無駄な戦いが始まる。


第30話 悪夢と神浜合戦

 全ての人が救われるべきじゃない。

 裁かれるべき人や場所や物があるなら、私はゲーム感覚でそれを裁くために力を使う。

 魔法少女はあの方の意向があるから、どんな悪い人でも最後は救われる。

 

 でも、私は円環の使いの1人だから、救う側であっても救われる側じゃない。

 それで絶望したいのにできない。

 私自身も()から外れた魔法少女なのだから。

 

 

 

 私は夢の中で真っ白なワンピースを着て、水の上に横になりながらソウルジェムを両手で口元に置いている。

 その状態で夜空を見上げながら、あんな風に考える。

 私はこんなことを考えるべきじゃないのに。

 

 ただ、ここは夢の中。

 ニヤリと笑って悪事を企てようとも、あの方にもキュゥべえにも咎められない。

 だから、いくらでも文句を吐いてやるわ。

 私が全てに飽きるまで。

 

 

 

 

 

 

 

 夜があけて目を覚ますと、今日はしっかりと寝れている真由子が横にいる。

 私には役目がある。それなのにこんなに幸せでいいのかな?

 

 私がそう思うと、一瞬だけ頭の中に映像が流れた。

 それは真っ黒な姿に真っ黒な翼の悪魔だった。

 

「なんだってこんな時に黒い悪魔が見えるの!」

 

 私は寝起きだけど混乱した。

 この世界に彼女が現れる確率は低い。

 ただ、キュゥべえは『叛逆の物語』で新しい概念が生まれたと言った。

 なら、見えない形で動き始めてるのかもしれない。

 

「せっかく別人になって幸せを掴んだのに、あの方にも悪魔にも私の幸せは奪わせない!」

 

 私は天使になって初めて誰かを憎んだ。

 その憎しみが募れば天使も闇へと落ちる。

 気をつけなくてはいけない。

 

「まぁ、誰であろうと概念の一つである認識を操る私に、他人が認識できないものは触れることを許されないけどね」

 

 幸せの邪魔をする人は、双葉さなのように他人に認識されずに孤独に朽ち果てろ!

 

 その時の私の顔は、呉キリカのように狂人の顔をしていた。

 それを認識した私は、すぐに天使の笑みに修正した。

 この子に嫌われたら私は飛べなくなる。

 私はそっと真由子の頭を撫でた。うるさいのが隣にいるのに熟睡できるこの子は普通にすごいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日の朝、神浜でたった一夜が明けるまでに十七夜は準備を終えて、指揮をとって東からそれ以外の神浜へと攻撃を始めていた。

 

「全員進め!少人数であろうと、容赦することなければこちらに負けはない!」

 

 全体の前に出てそう言いながら、南と西の魔法少女を相手していった。

 

「もう自分が青かったなんて思わない。絶好のチャンスである今しかやれないのだからな!」

 

 十七夜が先頭に出て戦うことで全体の士気が高まった。

 そのまま押し切るつもりでいる。

 

「一気に行くぞ!」

 

 十七夜が勢いつけてそう言うと、ドッペルを発動して一気に雑魚を狩った。

 

 

 

 十七夜達は中央で一般人に見つからないようにしながら戦っている。

 他のグループも西と南に侵入して戦いを繰り広げている。

 

 他のグループは大東学院の眞尾ひみかと工匠学舎の千秋理子が率いている。

 2人とも十七夜の言葉で操られている。

 しかも、この2人も東側でドッペルを使えたのが狙われた理由だろう。

 

「私達の生活が苦しいのが歴史のせいなら、その程度で人を苦しめる町なんて消えちゃえ!」

 

「私の夢を壊す可能性があるなら、先に壊しちゃえってアドバイスされたからやります!」

 

 十七夜の正論に聞こえる話術で2人は色々と吹き込まれた。

 そのせいで強者として七海やちよや都ひなのと対峙している。

 

 ただ、今回の件には調整屋も深く関係してるから、簡単に負けることはまずない。

 しかも、ここで神浜を完全に解体できたらみたまの願いも叶ったことになる。

 彼女が手を貸したから神浜が崩れたということになる。

 

 

 

 これが正しくないのかは分からない。

 でも、東の人間が少なからず他を憎んでるのは事実だ。

 そうでなきゃ十七夜も動かないし、七海やちよも本気で相手するはずがない。

 

 ただ、バックには神浜を簡単に救ったこよみがいる。

 この真実があれば話は変わるかもしれない。




次回、西のアリナ戦

天使のお遊びにみんなが振り回されてます。おばさんの面影はないと言っていいでしょう。
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