絶望の魔法   作:黒野真琴

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アリナは悩んで、天使は微笑む。


第33話 準備完了

 私は今背後に十七夜、みたま、ゆかりの三名がいる状態で不動産屋に来ている。

 この3人は一緒でもいいと言ってくれてるので、うちからそんなに離れてないところで、十七夜さんの手持ちで払える家賃で探している。

 

 

 

 それはすぐに見つかったから、後は3人に任せて私はアリナの様子を見に行くことにした。

 

 アリナは神浜での戦いでドッペルを発現させた。

 それは、その魔法少女の感情が限界を超えたと言っても過言ではない。

 だから、過去の自分の作品を破壊しようとするかもしれないから、今は注意深く様子を見る必要があるのだ。

 

「かりん、アリナは大丈夫?」

 

 アリナは自分の工房で絵だけじゃなくて、彫刻とかにも手を出している。

 過去の自分の絵にはそれを買えるだけの価値があった。

 

 ただ、1人は心配なので空いてる時間に様子を見るようにかりんに頼んでいる。

 バイトはニート生活をしようとしてた真由子に無理やり行かせている。

 

「今のところは問題なさそうなの。でも、前の先輩よりアリナの方が危なっかしいの」

 

 ずっとそばで作業を見てきたかりんが言うんだから、そうとう価値観で悩んだりしてるんだろうね。

 

 こうなったのはぶちまけた熱情と、今の自分より命がテーマの前の絵の方が価値があると言われたこと。

 今の作品と昔の作品を出品して、オークションのサイトで今の自分が負けた。

 アリナ・グレイを抜きにしても、異常な命の絵が愛溢れる奇抜な絵に勝ったという事実が、今のアリナを深く傷つけて没頭し続ける状態にしたのだ。

 

 

 

 神浜での戦いに行く前に、自分の作品が売れたからチェックしてあの結果だった。

 その腹いせに熱情のドッペルで大暴れした。

 

 それからあんな調子で、あれから丸一日経ったのにまだ引きずって描き続けてる。

 

「どうしてなんですケド!アリナの絵の方があんな狂気に負けるはずがない!まだまだ愛の探求が足りないなら、お前ら人類全てを盲目にして、アリナの愛の素晴らしさを焼き付けてやるんですケド!」

 

 完全に前のアリナと一緒だ。

 自分が作りたい物を作って、壁にぶつかると何をするか分からなくなる。

 

「落ち着きなさいな。それじゃあ、前のアリナと一緒だよ」

 

 そういうと、アリナは固まった。

 

「納得がいかなくて暴れるのは前と変わらないワケ?」

 

「そう、全く変わらない」

 

 私がそう言ってあげると、アリナは落ち着きを取り戻した。

 

「それはそれでムカつくんだヨネ。だったら、落ち着いて自分の表現の幅とかをよく考えた方がいいヨネ。前のアリナにはないものが今のアリナにはある。それが愛と理解なんだカラ」

 

 前と違うのはそれだけじゃなくて、自分の間違いを認めて直せることだね。

 それが前のアリナとは大きく違う。

 直感で動くのではなく。何が自分とかりんにとって最適化を考えて絵にするようになった。

 

「うーん、絵に詰まったら版画か彫刻に変えようとかな。このままやってもらちがあかなそうなんだヨネ」

 

 そう言って、全てを片付けて彫刻に切り替えた。

 ほとんどのタイプの作品を作れるようになったのも、前のアリナとは全然違うところだ。

 作品の幅が広がるのは、表現の幅が広がることに繋がる。

 今のアリナなら、すぐにでも前のアリナを越すだろうさ。

 

 安心した私はかりんにまた任せて帰ることにした。

 

 

 

 次に自分達がすべきことはまだ分からない。

 でも、今回までで色々なことの準備はできた。

 

 神浜の崩壊、見滝原の滅亡、他にもやらないといけないことがあるけど、とりあえずは安心できる場所と仲間と家族の確保ができただけで満足だ。

 私の認識操作ならみんなが離れることはない。

 

 まぁ、明日以降はしばらく何もないといいな。

 幸せは長続きしなくても、短期間でも平和が続けばいいと思うよ。

 私の今の目的はみかづき荘的なものを作ることだったんだよね。

 

 

 

 これで一応は一旦の区切りだね。

 次はこのメンバーで何かしたいところだよ。




次回、第2章 新たな場所と魔法少女が次の問題を持ってくる。

今のところは、こよみ、真由子、アリナ、かりん、十七夜、みたま、ゆかりの7人が天使組のメンバーです。これでもちゃんと考えて味方にする子を選んでます。
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