第34話 新たな問題の予感
走馬市には死神と呼ばれる魔法少女が存在する。
その街は神浜からも見滝原からも電車を使って30分はかかる場所に存在する。
その死神が自分の縄張りを出て見滝原にやってきて、巴マミとやり合っている。
「この強さ。一体あなたは何者なの?」
「私は死神。それ以外に死にゆく者に名乗る物はない」
ボロボロになったマミに死神は、黒いロングヘアとスーツのような衣装と大鎌を持ってそう言った。
満月の夜に月をバックに立つその姿は、座り込むマミにも美しく見えた。
「さぁ、ここで死ぬか情報を吐くか、斬る前に決めてもらおうか」
口を覆う大きなマスク越しにそう言う死神の目は、まるでそこにいるマミの死が見えなかった。
その理由はすぐに分かった。
「悪いけど、ここで死ぬわけにはいかないのよ。大切な後輩達が待ってるからね」
マミが下から笑みを浮かべてそう言うと、死神は大鎌の刃をマミの首に当てた。
「これでも逃げられるというのか?」
死神らしい低音で澄んだ声はマミへの殺気と共に届けられたが、残念ながら裏に隠れている彼女には届かなかった。
「その程度なら楽勝よ」
マミがそう言うと、次の瞬間には死神の目の前から姿を消した。
そして、今度はマミの方が離れて月をバックに立った。その隣には暁美ほむらが立っている。
「言ったでしょ。大切な後輩達が待ってるって」
その声と一瞬で消えた事実に驚きながら、死神は振り返って言った。
「なるほど。君一人ならダメでも、仲間を頼れば死なないわけだ。うまく考えたものだ。しかたないから最後に名前を聞かせてほしい」
「私は巴マミよ。あなたも名乗りなさい」
「私は川越ヒガンだ。ひさしぶりに獲物を取り逃がしたからな。できるなら覚えててほしい。そのうちリベンジさせてもらうからな」
「覚えておくわ。私も助けがなかったら死んでたからリベンジしたいからね」
互いにそう話すと、その場を去る前に火花を散らしていった。
マミはその後すぐにほむらの時間停止を利用して遠くに離れた。
死神のヒガンはそれを確認してから電話をかけた。
「あっ、申し訳ございません。久しぶりに取り逃がしました。でも、どうやら噂の天使はここにいるようです。グリーフシードを相手が使ったとき、その穢れがどこかに飛んでいましたから」
この戦いで得た情報をヒガンは誰かに報告している。
「はい。はい、分かりました。引き続き見滝原で情報収集いたします。この調子で必ず天使を見つけて我々の助けになってもらいましょう。消えた走馬市のために」
意味深なことを電話相手と話し終えると、大鎌を右手に握りしめて夜空に跳ねた。
魔法少女特有のあり得ない身体能力で月夜を跳ね回って、ヒガンは目的の天使を求めて見滝原を捜し回った。
ただ、遊び人の天使でもそう簡単に見つかることはない。
なにせ、夜は静かに休んでいるのだから。
こんな幸せな夜の邪魔をされないために結界を張っている。
何重にもなってる結界の中の天使がばれたら、鬼との連携で邪魔者を排除することになっている。
それにしても、神浜の戦いから二週間が経ってまた問題が起きた。
魔法少女、特にこよみはこのようなことに巻き込まれないといけない運命なのかも知れない。
また起こる問題にこよみはどう動くのだろうか。
次回、死神は狙いを時間かけて見つける
死神のヒガンは名前も死を表すにようにしました。