絶望の魔法   作:黒野真琴

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アリナ・グレイは前と違う作品を作り続けることでスランプになった。


第36話 アリナのスランプとお嬢様

 1人で絵を描き続けるアリナ。その工房に1人の少女が現れた。

 

「あれれ、アリナさんが一人でいるよ。最近はスランプっぽかったのにそれでいいのかな?」

 

 集中してたアリナも侵入者がいたら排除するしかなった。

 それで入り口の方を向くと、目の前にその相手が移動していた。

 

「あなたの傑作、スランプが治って出来たら買わせてよ」

 

「アナタ、誰なんですケド」

 

「これは失礼。私は走馬市の魔法少女、霞原シノブと言うのよ。ちょっと用事があってここに来たの」

 

 スランプのこと、魔法少女のこと、仲間にしか教えてない工房の場所、まだ納得のいく傑作が出来てないこと、彼女を怪しむには十分なくらい知りすぎている。

 

 アリナ専用アトリエである『愛の工房』には、入り口に一般人侵入禁止と書かれているボードが立てられている。

 それなのに入ってくるのも怪しい。

 

 

 そんな怪しむアリナを置き去りにしてシノブは勝手に話し始めた。

 

「あなたの作品はいくつか落札したんだけど、まだ自分の世界を作り切れてないと思ったんだよね。それで、あなたのところの天使とお仲間とあなたに有意義な時間をあげようと思ったの」

 

 この話も怪しくはあるが、自分の作品評価してくれてる人だから黙って話を聞くことにした。

 

「消えた走馬市の捜索を天使に依頼して、あなたには求める愛をドッペルで探したらどうかなと思うの」

 

 アリナは他の情報には食いつかなかったけど、ドッペルには反応した。

 

「詳しく聞かせて欲しいんですケド」

 

 アリナがそう言うと、シノブはうっすらと笑みを浮かべてから続けた。

 

「私達十数人の出身地である走馬市は突如として消えた。そこにはキュゥべえから力を盗って神浜の真似をした魔法少女がいたんだよ」

 

 そこで一度切って自分が座るための椅子を取りに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 ある日のこと、キュゥべえから三人の少女が力を奪った。

 お嬢様が『増殖』の力を。

 天才が『規律』の力を。

 片目の少女が『連携』の力を。

 

 奪った後は神浜と同様に小さくなってからキュゥべえは行方をくらませた。

 そんなことを気にせずに三人はみんなのために力を使った。

 まず、増殖の力で二人の魔力を増やして、それを受けた片方が規律で土地とそこの出身の魔法少女に魔女化を消してドッペルを組み込み、もう片方がそれを走馬市全体に連携して広げた。

 それによって走馬市は救われた。

 

 しかし、数日後にその三人は意味深なことを言って姿を消した。

 

『私達がしたことはパンドラの箱を開ける行為だった。そのせいで他の街に迷惑をかけた。だが、箱には希望が残っている。それを忘れてはいけない』

 

 それを片目の少女が連携で伝えた。

 その翌日に私達は気がつくと走馬の外にいた。

 

 私と親友のヒガンは見滝原の親戚の家で目を覚ました。

 そして、私達はネットで走馬市のことを調べて、SNSで他の走馬の出身も大半が外に追い出されたことが分かった。

 でも、あれは夢じゃない。実際に私達にはドッペルがあるのだから。

 

 

 

 そこであったことと、なぜドッペルがあるのかを話してくれた。

 そして、シノブは自分の執念のドッペルを出して見せた。

 その姿はメイド。主の整理つかない感情を引き受けて、主の求める世界を完成させるために執念を燃やし続ける働き者。でも、行き過ぎる時があるのがたまにキズ。

 

「こういうことがあってドッペルが使えるの。すでに天使にも頼んでるんだけど、あなたの作品はお気に入りだからスランプから立ち直ってもらうために、走馬市の捜索とドッペルの使用を頼みたいんだよ」

 

 ドッペルを背後に控えさせたままそう言うシノブは、意地悪っぽくアリナに笑みを向けている。

 それに対してアリナは真剣な顔で返した。

 

「アリナはその依頼を受けてもいいんだヨネ。実際スランプだし、アリナの熱情のドッペルをどこで知ったか知らないけど、そこを見つけるついでにスランプから立ち直れるなら一石二鳥なんだヨネ」

 

「それじゃあ、走馬の捜索と最高傑作の作成をお願いしていいんだよね!」

 

「ここまで聞いたからには受けてあげるカラ。明日までには準備を済ませるから、明後日にここに来て欲しいんだヨネ。一応ここがアリナ達のアジトみたいなものだから」

 

 そう言いながらアリナは立って戸棚に近づいて開けて、その中にある色々な資料と大量のグリーフシードを見せた。

 調整屋の物とこよみのコレクションをしまっている。

 

「それと、今度来るときは隠し事をしない欲しいんですケド。走馬のお嬢様」

 

 アリナは隠し事である物を見せながら、予想はついていたことをシノブに微笑んで言った。

 そう言われてシノブは「善処します」と言ってから、席を立ってアリナに頭を下げて出て行った。

 

 

 

 これで準備ができた。

 走馬組は天使とアリナに接触できたから、これで天使組の7人を動かせる。

 こよみは神浜の戦いの後に正式に3人を味方につけたから、天使が動く決めたら全員が動く。

 死神とお嬢様が上手くできたらこそ得られた結果だ。

 

 ちなみに、ヒガンはシノブと同じくらいの時にこの話をした。




次回、走馬市に大人数で突撃する!

オリジナルの展開でついて来れなかったらごめんなさい。
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