私は大変な目にあった日の夜に夢を見た。
そこで私はキュゥべえに言われたことを思い出した。
『君はきっと大きな運命を動かす事になる。それは何人もの魔法少女に影響を与えるような運命だ』
それを思い出したせいで嫌な予感がした。
もしかしたら、すでに影響が出てるんじゃないかと。
私はまたシャルロッテの病院のベッドの上で起きた。
でも、昨日とは違って使い魔も含めてみんなが私を心配していた。
なんでだろうと思って色々と確かめてみると、どうやらうなされてひどい寝汗をかいていたようだ。
いや、冷や汗の方が正しいだろう。
心配させてしまったから、大丈夫だよとシャルロッテの頭を撫でてあげた。
使い魔達にはその様子だけで十分だった。
それからまた準備をして外に出た。
すると、自分の持つ魔法は絶望の魔法だと自覚せざるを得ないようなことを見てしまった。
あのアリナ・グレイが目の前に立っていたのだ。
「黒羽を怯えさせるような子だって聞いたから、もっとデンジャラスなのかと思ったら、意外とエレガントなんですケド」
そんな風に言われても、あのアリナから言われてると思うと正直喜べなかった。
次元の違うアートを作り出すアーティストの感性と自分達の感性はズレているのだから。
「そりゃどうも。まぁ、あんたみたいな人に褒めらても、褒められた気はしないけどね。アリナ・グレイさん」
ここで自分が地雷を踏んでいる事に気づかないのは間抜けとしか言えなかった。
「う〜ん、やっぱり聞いてた通りだヨネ。会ったこともないのに知ってるみたいだし、アリナと同じ結界の魔法まで使えるなんて、アナタはアリナの興味引くには十分すぎるんだヨネ」
元を知ってる人ならもう分かってるかもしれないけど、今アリナはあの美しくて不気味な笑顔をしている。
「私の魔法を知ってるってことは、あのウワサとの戦いを覗かれてたのかね?」
「ウワサのことまで知ってるなんて、ますます興味を引かれるんですケド」
火に油を注いでしまった私はさらにアリナに気に入られたようだ。
正直、今すぐこの場から逃げたい。人を魔女の餌にできるような人とはそりが合わないに決まってる。
「ねぇ、アナタもうちに来たらいいんですケド。そうしたらグリーフシードもたくさん手に入るし、こっちからしても魔女を制御できる人が来たら楽になっていいんですケド」
やっぱりそうなるのかと思った。しかも、アリナ直々の勧誘となると、あっちは絶対にこの力が欲しいのだろう。
あのみふゆさんのように。
みんなの運命を変えるのに、これはまたとないチャンスなのかもしれない。
今まではあの3人が怖くて避けたかったけど、潜入しておけばしばらくは身の安全は保証されるだろうし。
何より私には住む場所もなければ、手持ちの魔女も足りない。
私の魔法を理解し切ってない今なら、このアリナから魔女を奪い取るチャンスだ。
「マギウスの翼に私を誘ってるなら、アジトのサラウンド・フェントホープの広い部屋を私にちょうだいよ。そこで魔女達を完全に操れるようにしてあげるから」
「うーん、それは相談しないといけないケド、多分OKしてくれると思うから大丈夫だネ」
「なら、今日から私もマギウスの翼ってことだね」
「それどころかマギウスにだってなれると思うんだヨネ。なんならアリナから推薦させてもらってもいいんだヨネ?」
アリナは本気だ。本気で私を特別なポジションにして逃げられないようにするつもりだ。
でも、私にはみふゆさんと違って裏切れないものはない。
他の連中はみふゆさんに任せればいいから、いつでも私は気兼ねなく手を離せる。
あー、魔女を支配するとみんなの絶望の象徴になるから、なるべくみんなの前には立ちたくないんだけどな。
裏から魔女を回収して守るのが私には合ってるんだよ。表はまた怪我させちゃう。
それなのにまた私は道を間違えちゃうんだ。
「それはあんたが勝手にして、イブのことを知ってるから役に立てるとは思うけどね」
「アッハ!やっぱりアナタはアリナの作品に入れるのにふさわしいんだヨネ。これだけミステリアスでビューティフルな子ならベストアートを見せるのもいいんですケド」
興奮気味になってきたアリナをこのままにするのはいけないと思った私は、どうにか落ち着かせながらホテルフェントホープに向かった。
次回、マギウスと対面
今回でまた一つ先に進みました。ただ、おばさんは混乱しています。