あっさりとマギウスの翼のアジトに入れた私は、拍子抜けしながら1番奥の2人がいるところに連れていかれた。
そこにはイブもいて驚いた。
実際に見てみると予想より大きかった。
これなら倒れて大きく揺れるのも納得がいく。
「例の子のスカウトに成功したから連れて来たヨ」
「ご苦労様。案外早く済んだみたいだね」
「ちゃんと味方にできたのは大きいよ。あれだけの力を持った魔法少女が敵になるのは想定外の被害を出すことになるからね」
今の会話から、あの時離れて見てたのはねむのようだ。
それにしても、長く魔女と一緒にいて慣れてるとはいえ、これだけの穢れは慣れるのに時間がかかりそうだ。
「ねぇ、この子を無事にスカウトできたんだし、4人目のマギウスに推薦したいんですケド」
「アリナと同意見だよ。この子には何か特別なものがある気がするんだ」
「うーん、多分問題ないだろうからそれはいいかな」
「それと、この子に広い部屋と個室を用意したいんだケド」
「それなら空き部屋が2つあるからそれをあげるよ」
こうやってあっさりと話が進んだ。
どうやらこれで私はここでお茶を飲むことになりそうだ。
それにしても、なんで3人はこんなにもすんなりと私を受け入れるのだろうか。
「ねぇ、あなたの名前を教えてよ」
「私の名前は鳥栖こよみだよ」
その灯花からの問いかけに答えると、3人して私に笑いかけて「よろしく」と言った。
本当に仲間になって、マギウスになって、この3人の近くまで来てしまった。
前世で味わえなかったゾクゾクを味わえて心は喜んでいる。
本当にそっち側に墜ちてもいい気がした。
しかし、見上げればそこには自分にとっても敵でもあるイブが貼り付けにされている。
ワルプルギスの夜を奪い合う敵は邪魔でしかない。
そう思っていたのに、半魔女という半端で美しいその姿を見て、アリナの気持ちを理解して自分も見とれてしまった。
これを魔女にできるなら、私はその美しい姿をグリーフシードに閉じ込めて、永遠にコレクションに加えていたい。
そんなことを全ての魔法少女に失礼だけど思ってしまった。
「このイブが地上に立つ。そして、ワルプルギスの夜と出会って孵化する。状態的にその時はだいぶ近づいている」
私は見上げながらそんな独り言を呟いた。演技と本音を混ぜて。
「そう!このイブはワルプルギスの夜を呼んで集めた感情エネルギーで成長して、そのワルプルギスの夜自体も食べて完成する!」
「僕達の目的はそれで果たされて、すべての魔法少女は最悪な運命から救われる」
「それこそがアリナ達のベストアートワークなんだヨネ。このビューティフルなイブによってアリナの目的も果たされるし」
「私達はその目的が果たされるまで、このイブを守って育て続けなければいけない。ワルプルギスの夜が神浜に来るまで」
あたかも4人の目的がこの場で一致したように見せかける。
これで私もこの輪にちゃんと入れて、情報収集も含めてやりやすくなるだろう。
まぁ、イブを守りたいと思ったのは本音だけどね。
そのあと私は与えられた部屋に連れて行ってもらいながら、3人に色々と説明してもらった。
それと、移動しながら羽根達に私のことを紹介してもらった。
ついでにみふゆさんにも会えて、前世で好きなキャラだったから少し喜んでしまった。
移動しながら眺めてると結構普通の組織に見えたから、羽根達がなんでこんな人達の解放について行くのかを理解できた気がした。
ただ、この羽根達はワルプルギスの夜の本当の恐ろしさを知らない。
哀れな羽根達に幸せな運命が有らんことを。
いろいろなことを知る中で、環いろは達がすでにミザリーウォーターの被害にあい始めてることを聞いた。
つまり、明日には笛姉妹とみふゆさんが接触することになる。
本当にもう時間がない。
そう思っていると私の作業部屋に到着した。
「あなたの自室はここから三つ先の部屋だから、ここで魔女を操るための作業して、終わったらあっちで休んでていいカラ。それじゃあ、頑張ってヨネ」
そう言われて部屋の鍵とアリナの結界に包まれた魔女の結界を渡された。
それからすぐに3人はバラバラに分かれてどこかに行った。
私はこれからが本番だ。魔女がアリナの支配にあるなら、私の完全支配で上書きできるかも分からない。
それに、時間がない以上は雑でも言うことを聞かせられる程度にはしないといけない。
時間とタイミングの勝負が始まった。
次回、おばさんは自分を見つめ直す
今回まででおばさんは自分の目的がぐるぐるとしていることに飲まれている。