秘封道楽 ACT2 〜少女探訪〜   作:ユウマ@

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以外と更新ペースが早いかもしれない
文字数が多いとは言っていない


case.2 幻想を語るモノ
菫子という少女


「へー、ハーンさんも京都に住んでるんだ!私も私も!」

「え、ええ…」

 

 

相変わらず光の射さない竹林。その中を、菫子と名乗った少女の後を追って歩いて行く。念のために、少し距離をおいたままで。

彼女と話した限りでは、彼女もオカルトに興味があり調べていること、そのうちにこの世界の事を知った事等々を聞くことが出来た。それにしてもオカルト好きは妙なことに巻き込まれるのが常らしい。私は好きというほど好きでもないのだが。

 

「それで、家で寝たはずなのに起きたらここに、と……うん、それも今の私とおんなじ」

「貴女も…?」

「菫子で良いって。元々は違ったんだけどね、今は寝ている間しか此処にはいられない。だからてっきり夢を見ているだけなのかもって思ってたんだけど」

 

前方に、微かに光が見える。どうやら竹林の出口も近いようだ。その中を、菫子…ちゃんは笑いながら歩いて行く。

 

 

「まさか他にも外から来た人が居るなんて思ってもなかった!しかも来る方法も全く同じだなんて、偶然とは思えないでしょ?」

「そうね…。ねぇ、貴女はいつからこの…此処に来ているの?」

「うーん、細かくは覚えてないけど…まだ半年も経ってないかな?眠って来るのはホントに最近」

 

眠ってと言う事は、他にも来ることができると言うことか?だがそうなるとこの場所がどう言った所なのかがますます分からなくなってくる。それを尋ねようとした所で、唐突に彼女の足が止まった。

 

気がつけば、既にそこは竹林の外。日の光を浴びるのがひどく久しぶりな気がして、思わず目を細めた。

 

「うーん、最近妹紅さんとばっかり会ってるから竹林の外も久々だわ。あ、妹紅さんとは会った?」

「いえ、菫子ちゃん以外とは誰も」

「ま、会ってたらもうここまで送ってもらってる筈よね。また今度会った時に紹介してあげる!今日はちょっと時間切れみたい」

「え……?」

「メリーさんの顔。すっごい眠そうな顔してるもん」

 

 

思わず目元を擦る。だが欠伸が漏れ出て、確かに眠気はありそうだ。すると菫子ちゃんは懐からメモの様なものを出し、何やら書き始めた。

 

「えーっと、うんこれで良し。はい、メリーさん」

「これは…」

「私のケータイの番号。私ももう少ししたら起きる(・・・)から、起きて少ししたら電話して。もっと色々聞きたいし!」

「でも、此処で貰っても…」

「大丈夫よ、起きたらちゃんと持ち帰れるから。なんならそこら辺の物なんだって持っていけるわ」

 

確かに以前も、何かを貰って目を覚ましたらそれが残っていた。彼女と出会って、ますます疑問に思う事が増えた。だがそれをあれこれ考えている内に、どんどん瞼が落ちていく。だが、せめて他にも何か聞いておかねば。

 

「ねぇ、菫子ちゃん。貴女は、此処がどんな場所だか知っているの?夢じゃないなら、一体…」

「此処が一体何処なのかは、私も知らないわ。でも、ここが普通じゃない場所だっていうのは私にも、っていうか誰にでも分かる。だから私はこの世界が何なのか、調べて回ってるの」

「調べて…」

「そう。いずれこの世界の仕組みを解き明かす為にね。だって私は───」

 

 

その先を、聞くことが出来なかった。急速に眠気が広がり、意識を侵食する。

 

 

 

 

そのまま、私の意識は霧散していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

「う……」

ベッドに横たえた身体を起こす。竹林中を歩いたからか、あまり目覚めが良いとは言えなかった。

 

「結局…夢じゃないの……?」

 

 

彼女と出会って、話して。謎はどんどん深まっていく。或いは、彼女すらも私が頭の中で作り上げた幻に過ぎないのか。そして、彼女の名前は───

 

 

「宇佐見菫子…宇佐見……」

 

 

もしかしたら、蓮子の身内か何かだろうか。字は聞いていないが、宇佐見という名字はこの辺りでは蓮子しか私は知らない。

そういえば、彼女から貰ったメモがあった。部屋を見渡すと、机の上に確かに置いた覚えのない紙切れがある。

 

 

紙には、宇佐見菫子の文字。それから端末の番号とおぼしき数字が走り書きで書かれていた。名字は、蓮子と同じ文字。

 

 

電話をかけてみるべきか。それとも、先に蓮子に聞いてみるべきだろうか。時計を見ると講義の時間はとっくに過ぎていて、窓の外には夕焼けが広がっていた。

 

「……」

 

 

だが、蓮子が何も知らない可能性ももちろん、ある。加えて私の手元には、相手に直接聞ける手段まである。

 

 

「…あんまり、頼りすぎるのも良くないわよね」

 

ベッドに腰掛け、端末に番号を入れていく。私と同じ方法であの場所に居たのなら、もしかしたらまだ眠っているかもしれない。だが、未知への興味が、私の背中を押していく。

 

 

 

 

 

 

私はそっと、端末の呼び出しボタンを押した。

 

 

 

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