こんにちは。前回ヘリ爆弾の接近を(太郎丸が)感知したので火災に備えて避難訓練放送をいつでも流せるよう機材スタンバイしに来ました。
来ましたが、ヘリより先に別の非常事態が襲ってきました(白目)
「ゆきちゃん!?」
りーさんの叫び声に反応して教室側の様子を見に行ってみればそこには肩から血を流してぐったりしたゆきちゃんの姿が。転んだのかな?(現実逃避)
……はい、どっからどーみても噛まれてますね。なんでや! いくら何でも屋上に直で”彼ら”スポーンはしないはずですが……
「……あやだった」
ファッ!? いやそんなめぐねえだったんだみたいに言われても……ちゃんとZIGAIしたじゃないですか? そうしてHP0になったんなら感染度合いがいくら進もうが動くことは無いはずなんですがねぇ(困惑)
なんらかの原因で回復した……? いや、このゲームで回復なんてプレイヤーが何かしない限り……プレイヤーが……何か……
ん?
【パート7回想】
――幽霊モードで使えるコマンドの中には”周囲の仲間のゲージ回復”があります。回復量は大した事ありませんし、クールタイムもそんなに短くないので”彼ら”の目の前だとほぼ役に立ちませんが、こういう安全地帯では非常に有用です。
【パート12回想】
――HPに関しては圭ちゃんがまだ片足負傷状態なので、クールタイムが終わり次第すかさず範囲回復をかけ続けていきましょう。ドララァ!(貧弱クレイジーD)
【現在】
周囲の”仲間の”回復……うーん、完全に”彼ら”化してないなら、自分自身な訳だし仲間判定、なんですかね? 部室でやってれば、抜け殻ちゃんの埋まってた屋上は範囲内でもおかしくないし……スタンドちゃんがめぐねえとして抜け出している以上、人として生き返りはしないけど、ギリギリ”彼ら”の一員として動ける範囲の数値まで回復させてしまったとみて良いでしょう。
つまり私のガバです(結論)
やってしまったものは仕方がないので直ちにゆきちゃんを治療しましょう。
現在屋上のドア閉めて幽閉中だという抜け殻ちゃんはもう敵判定でしょうし安心して回復撃てますね(白目)
とはいえこれも時間稼ぎにしかなりません。この隙に誰かが地下で薬取ってきてくれて初めてゆきちゃんが助かります。例の水毎日飲んでるのに何で薬要るんだよって思ってましたが、あの薬、ほぼ栄養剤らしいし多分助かるのに体力がめっちゃ必要なんでしょう。原作のくるみちゃんも尋常じゃない苦しみ方してましたし、めぐねえはめぐねえになってしまったわけですから。え? 水だけで助かったみーくん? 知 ら ん な(チャー研警官)
あれ、でもどうやって地下の薬の事皆に伝えれば……詰んだか?(絶望)
「みんな、これを見て!」
おっ? 緊急避難マニュアルやんけ! りーさんナイスゥ! 画面外で読んどいてくれてたみたいですね。これでくるみちゃん辺りが地下に走って行ってくれれば間に合う!
いやーよかったよかった、流石に原作主人公さよならエンドはちょっとね? まあひょっとしたらスタンドちゃん同様にめぐねえになって抜け出してくるかもしれないですが。
ところで、なんか忘れてる気がするな?(痴呆)
あっ ヘリ爆弾……
【キャラ視点】
「
咆哮と共にフルスイングされたシャベルに側頭部を打ちすえられて倒れ伏した”彼”の横を素通りし、さらに別の”彼女”に蹴りをお見舞いして階段から突き落とし、動かなくなったのを確認しつつ遠巻きに通り過ぎ、素早く1階に到達した
陸上部だった胡桃にとって全力疾走などそれほど珍しくなく、それらはいずれも真剣に、必死に取り組んできたものだったが、それでも間違いなく今回のこれが今までの人生で一番必死に走った瞬間だろう。
走っていると、陸上部で過ごした日々と共に浮かんでくるあの人の顔。そしてその最期。
噛まれた人間がどうなるのかは嫌というほどわかっている。そしてそうなってしまった場合、どうしなければならないのか、という事も。
時間が無い。きっと少しでも遅れたら、
(嫌だ。それだけは絶対に嫌だ!)
きっと、今度は耐えられない。あの時何とか耐えられたのは二人がいてくれたおかげなのだから。たとえ手を下すのが自分以外の誰かになったとしても、今の胡桃を人間たらしめている何かがなくなってしまうことに変わりはない。
この世界に神様がいるとしたら、なんてひどいことをするのだろう、と思う。大切な人を殺させて、失わせて、また与えてくれたと思ったら、今度はまた殺せと言うのか。
ふざけるな
無意識に噛みしめていた奥歯がぎりっという音を立てたのに気付いて、今は神を恨んでいる暇すら惜しかったのだと思い出し、走ることと近くの物陰を警戒することに意識を集中する。
集中したおかげで、その違和感に気づくのに時間は必要なかった。
(変だな)
一体どうしたというのか、いつもならとびっきりの危険地帯であるはずの1階にほとんど”彼ら”がいない。嫌な予感がするが、やはり時間が惜しいためこれ幸いと突っ走る以外の選択肢を選ぶことができない。
割れた窓のそばを通る際、何かの機械音のようなものが外から響いているのが聞こえた。バリバリと空気を連続で叩くような音は平和な頃に聞いたことがあるものだった。
(まさかヘリコプターの音か? 救助が来た? ……よりによって!
救助だとすれば何故あと1日早く来てくれなかったのだろうか。昨日の自分たちであれば大手を振って助けを求められたのに。
ヘリを恨んだところで由紀の状態は改善しない。そしてこの状況で噛まれた者がどう扱われるかなど想像がつかなかった。一番良くて救助はされるが隔離。それがダメで見捨てられるならまだしも、解剖だとか、実験だとか、死ぬよりひどい目に遭わされる可能性だってある。どうあれ良い結果にはならないだろう。
あれほど望んでいたはずの救助に、今だけはそのまま通り過ぎてくれと願いながら、胡桃は地下室に続く、机が挟まって半開きのシャッターを潜り抜けた。
地下室には豊富な物資が引き出し付きの棚に整頓して並べられており、薬の類が入っている引き出しもすぐに見つかった。
「あった! これか……頼むぞ」
目当ての薬もすぐに見つかり、背負っていた非常袋に詰め込むと、これまでのルートを逆走するべく踵を返す。
これで由紀は助かるかもしれない。近くを飛んでいたヘリのことは気がかりだが、それは由紀のことをどうにかした後か、あちらから来てしまった場合に考えればよい。今は一刻も早く仲間たちのところへ戻ることに集中しなければ。
そう気合を入れ直して階段に足を掛けた瞬間だった。
「……!?」
耳をつんざくような轟音。おそらくは爆発音だろうか。突如として鼓膜と階段を揺らすその振動が胡桃に襲い掛かってきた。
地下にいたおかげで、大きな音ではあったが耳が
「まさか……」
鼓動だけでなく息も荒げながら階段を1段飛ばしで駆けあがる。
そしてシャッタ―をくぐった時。その光景を見て胡桃は確信した。
この世界には、きっと神様がいる。
ただしそいつは、最低最悪の外道だ。
「なんでこんな事するんだよ、あたしたちが何をした!? どうしてこんな目に遭わなきゃいけない!? ふざけるな……ッ! ふざけるなああああッ!!」
窓の外で燃え盛るヘリの残骸と、炎に包まれた”彼ら”が転がり込んできたことで燃え始めた廊下を涙のにじむ瞳で睨みつけながら、胡桃は喚くように、ありったけの怨嗟を吐き出した。
ハードコアモードの本領発揮DA! (プレイヤーのガバが原因の事態から目を背けながら)