僕のヒーローアカデミアー麗日お茶子の兄ー 作:トガ押し
オールマイトの説明をされて状況を整理する。2対2のチーム戦でヒーロー側、およびヴィラン側に分かれての屋内戦闘訓練だということ。
勝敗条件はヴィランは核兵器(ダミー)の防衛及びヒーローの捕獲。ヒーロー側はヴィランの捕縛及び核兵器(ダミー)の奪取。
なお、コンビ及び対戦相手はクジで決めるとのこと。
「で、茶虎はどのチームです?」
「俺はKだった」
「じゃあ一緒ですね!」
「ああ、任せろ」
「最初の対戦はAチームがヒーローDチームがヴィランだ」
その言葉を聞き、Aチームを見ると、緑谷とお茶子のチームと爆壕と飯田のチーム戦のようだった。
「あ、ところで言い忘れてたんだが」
そこで、ふとオールマイトが口を開いた。なんだなんだと次の言葉を待っていると。
「このチーム戦1チームだけあぶれちゃうんだ。だから最初のチームに今からくじで引いたチームをヴィラン側とヒーロー側に分けて配置する」
いうや否やオールマイトはクジからボールを引き当てた。
「Kチームの麗日少年、渡我少女これを引き給え」
オールマイトに言われるがまま箱の中に入った二つのボールをヒミコと二人でそれぞれを選び取る。選び取ったものは。
「これはまた面白いね! 麗日少年、ヴィランチーム、渡我少女はヒーローチームだ! 他の者はモニタールームに向かってくれ」
5分の猶予と共にヒーローが入ってくる。
ヴィランの思考をトレースし、どう考えるか予想しなければいけない。
「茶虎」
不意に後ろからかけられた声に振り返らずに答える。
「負けねえよ」
「負けないです」
視線すら交わさないやり取り。だが、これでいい。ここでヒミコ負けるわけにはいかない。
「訓練とはいえ、ヴィランになるのは心苦しいな」
「そうだな、あっこれハリボテだ」
ミサイルのようなものをコツコツとたたきながら中から響く反響音で中身が空っぽであることに気が付く。もちろん本物などを使うことはあり得ないが、それでも重量くらい合わせてくれても良いとは思うのだが。
「おい、デクに個性はあるんだな?」
そんなことを聞く爆豪に飯田が返事をしているが、怒りで肩が震えているところを見るとおそらくもう飯田の言葉も自分の言葉も何も聞こえないのだろう。
「飯田、準備はどうしたい?」
「麗日くん対策でものをすべてどけたい」
「ん?ああ、お茶子のことか」
「失礼。君も麗日くんだったな」
「茶虎で良いよ。俺もテンヤって呼ばせてもらうから」
「では茶虎くん、すまないが……」
テンヤのその言葉よりも先に爆豪が飛び出して行ってしまった。
「おい、爆壕!!」
「あっ……行ってしまった」
「仕方ない、万が一もある。緑谷の個性のこともある、あまりにも危険だ」
「ああ、最悪三体一……だが、ここを離れるわけには……」
数舜考えて、口を開く。
「よし、こうしようテンヤ。俺が爆豪を止めるか連れ戻すか……できなければ緑谷、お茶子、ヒミコの三対二で戦ってくる。油断はできないが立ち回りによっては何とかなるはずだ」
「だが、それでは……」
「万が一の場合にはテンヤが二対一の状況になる可能性もある」
「どちらにしろリスクは背負わねばならないということか」
「その通り、だ」
「わかった。君の提案に乗ろう」
「オッケーだ。じゃあ、俺は行くよ。まあ、ヴィランとしての気構えはしておいてくれよ」
そういってフルフェイスのマスクの中でニヤリと笑ってその場を後にした。
階下へと続く階段を下っている最中、爆発音が聞こえたことで戦闘が始まった合図を悟る。
「ヴィランとして……ヴィランとは人々に恐怖を与えるもの……か」
そう思い、にやりといたずらを思いついてほくそ笑んだ。
◇
「デクてめぇ……」
爆豪がそうつぶやいた時だった。爆豪の後ろの暗がりからガガガッと金属が地面を削る音と共に火花を散らし、黒い体が現れる。
「何をしている爆豪」
「あぁ……っ」
返答が完了される前に爆豪を緑谷の遥か先まで投げ飛ばした。もちろん手加減をし、痛くないように重力制御を加えてだ。
「お兄ちゃん」
「茶虎くん」
「茶虎」
急に現れた茶虎の存在に三人が緊張とともに視線をこちらに向ける。
「すまないね、トガ、ウララカ。君たちの相手は私が引き受けよう。ああ、それと……」
そういいながら今度は重力制御なしで緑谷を投げ飛ばす。ドンッと鈍い音がして緑谷が壁に激突したのを確認して再びヒミコとお茶子に向き直る。
「彼の相手は爆豪がしたいってことだったのでね」
「お兄ちゃん、なんかキャラ違う」
「こんな茶虎いやです」
「ふはははは! そうか、それは散々な評価だな。だが、今日はこのキャラで行かせてもらおう。私はヴィランとしてここにいるのだからなぁ!」
背中に背負った剣を引き抜き剣を肩に担ぐ。無重力に重力の個性相手にどう戦うか。いうなれば自分の分身に近い能力と自分の持たない能力。今まで想定しなかったわけではない戦いに心が躍る。
頭の中だけではなしえなかった現実。
「さて……」
言いながら剣を持っていない左手を前に突き出す。装備の機能説明を二人には一切していないため、警戒心を強めているのがわかる。
おそらく何か飛び道具が来ることを警戒しているだろう、が。
「くっ……」
「体が……重いです……」
「そう単純に重力をかけたざっと4Gだ」
早々に二人は片膝を地面につけ身動きをとれなくする。
「なんのこれしき、負けないのです」
「ほう……」
口の端に血を付けたヒミコが立ち上がる。一瞬、内臓へのダメージを心配したが、おそらくそれは違うだろう。
ビュンっとものすごい勢いで短刀をこちらへと向かって投げてきた。
「やっぱりここで使ってくるよなぁ」
小さい声で呟きながら太ももに装填された注射器を見ると一本が空になっていた。おそらく自分の能力をいったん無効化するために力を使ったのだろう。
おかげでお茶子まで立ち上がってきてしまった。
「まったくやり辛いっ!」
そういいながら大剣を二人に向けた振りかざすのだった。