僕のヒーローアカデミアー麗日お茶子の兄ー   作:トガ押し

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第1話 雄英高校入学試験1

 そして、現在――。

 

「兄ちゃん、ヒミコちゃん、早せえへんと試験遅れてまうよ」

 

「お茶子ちゃん待つのです。まだ、茶虎との勝負がついてないです」

 

「今日も勝てへんから諦めろ」

 

「そんなことないです。今日こそ勝ちますー。絶対、血を吸わせてもらうのです」

 

「俺から血を吸うなら、勝ってから言えやヒミコ」

 

「こんな事やってたら試験間に合わんよ」

 

 ヒミコからの攻撃を腕や足を使い防御しながらまるでじゃれ合うように個性を使わずに戦っている二人を見て、呆れ顔をするお茶子。

 

「もうしらへんからねー」

 

 もう諦めたのか、先へと歩いて行ってしまう。

 

「こら、お茶子まて!」

 

「待つのです茶虎」

 

 お茶子を追って駆けだそうとする茶虎に問答無用で飛びかかってくるヒミコの腕を掴んで軽くひねりあげる。

 

「いたっ! 茶虎めっちゃ痛いです」

 

「痛くしてるから当たり前や。こんなことしてる場合やあらへん、はよ俺らも行くぞ」

 

 今度こそお茶子の後を追って二人で試験会場まで向かった。

 

「ここが雄英高校か……ってか、お茶子随分先に行ってしもうたみたいやな」

 

「茶虎が逃げるからです」

 

「それは今は関係ないだろ」

 

 ようやく試験会場についたところで、ふと目の前でお茶子が一人の少年を浮かせているところをみた。緑色の天然パーマっぽい、一見ぱっとしない感じの少年だ。

 

 お茶子は少年と一言、二言会話してから先へと駆けだしていった。

 

「ヒミコ、追うぞ」

 

「仕方ないのです。勝負はまた今度ということで」

 

 試験会場に入る前にようやく、お茶子と合流することができた。

 

「お茶子ちゃん、置いてっちゃダメですよ」

 

「ごめんね、ヒミコちゃん。私もちょっと緊張しちゃってて……」

 

「大丈夫です。お茶子ちゃんなら受かるのです。私が保証します」

 

「ヒミコに保証されても不安でしかあらへんやろ」

 

「酷いです。茶虎が虐める。お茶子ちゃん……」

 

「はいはい。よしよし、ヒミコちゃん」

 

 嘘泣きを始めるヒミコになれたようにお茶子はその背をさすりながら頭を撫でる。7年以上もこんなやり取りを続けていれば慣れたもので、お茶子はヒミコの扱いが上手くなっていた。

 

(こんなこと上手くなってもしかたないんやけど……)

 

 そんなやり取りをしているうちに試験の説明が始まった。

 

「兄ちゃん試験会場どこやった?」

 

「俺はE。ヒミコは?」

 

「私もEです。何でですかね」

 

「そりゃ、俺とお茶子は同じ中学やけどヒミコは中学違うからやろ」

 

「そうですか、残念です。お茶子ちゃんも同じ会場がよかったです。お茶子ちゃん、大丈夫です頑張ってください」

 

「うん、ヒミコちゃんも頑張ってね」

 

 お互いに激励し合いながら、席を立って会場へと向かうバスへと向かう。

 別れ際。

 

「お茶子ちゃん、手出して」

 

「どうしたのヒミコちゃん」

 

 何の疑問も抱かずにヒミコに向けて手を出すお茶子。差し出されたその手を取って、ヒミコはそっと手首を抑えた。

 

「ここ、酔い止めのツボです。きつくなったら押してください。お茶子ちゃんは一人じゃないです」

 

「ありがとうヒミコちゃん。頑張ってくるね」

 

 そう言ってお茶子はヒミコをギュッと抱きしめる。

 

「ヒミコちゃんも兄ちゃんも頑張ってね!」

 

 そう言いながらお茶子はこちらに手を振りながら会場へと向かうバスへと走って行ってしまった。笑顔で満足そうにしているヒミコの頭に手を置いてわしゃわしゃと撫でながら茶虎は口を開いた。

 

「そんなこと言ってる暇があるなら自分の心配せえ」

 

「茶虎は乙女心がわからないですね」

 

 そして、撫でていた手に力を込めた。

 

「ちょっ! 痛いです茶虎!」

 

「そんなヒミコに俺からのプレゼントや。個性、使って良いみたいだしな」

 

 そう言いながら自分の指先を安全ピンで刺してヒミコの口へと持っていく。

 

「ただし、一部だけだぞ」

 

「わかったのです。私やります! チゥ……チゥ……チゥ」

 

「チゥ……チゥ……」

 

「いつまで吸うつもりや!」

 

「せっかくのご褒美だったのに。茶虎、私、絶対に合格するのです」

 

 まっすぐな目で茶虎に向き合うヒミコ。その後、消え入りそうな声で呟くようにそっと口を開いた。

 

「私の異常を初めて個性だと言ってくれた君のために……」

 

「なんか言うたか?」

 

「なんでもないです。早く行くのです」

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