忍びの王   作:焼肉定食

1 / 30
番外編
恋の始まり


小学生六年生のころだっけか?

香織、雫と同じクラスになり、とあるホームルームの様子

俺たちは小学校最後の学年となり、最後の学芸会で演劇を披露することとなったとある日のこと

 

「はい。お姫様役に雫ちゃんを推薦します」

「えっ?」

 

驚いたような雫に俺は少しだけ苦笑してしまう。

雫のお姫様の役は確かに似合っているだろう。

この物語はありふれた騎士とお姫様のラブロマンス物語。

雫が好きそうな物語であったのだ。

 

「確かに雫なら似合ってそうだな」

「えっ?快斗?」

「うん。雫ちゃんのお姫様姿絶対に可愛いよ!!」

 

席替えで偶然にも隣になっていた雫が驚いたようにしている。

まぁ乙女チックな雫にはあっているんじゃないかな

俺ももちろん賛成だった。

すると俺の友達の康太がそれならという

 

「グッチ。それならグッチが騎士役やれば?」

「へ?俺?」

「グッチの騎士役俺も見てみたいんだけど」

「どうか〜ん。グッチって今まで裏方でずっと照明とかだったから。グッチの騎士役見てみたい!!」

 

俺は少しだけ苦笑い。相変わらず男子の人気は凄まじいものがあり男子はすでに天之河以外は俺に賛成らしい。

 

「えっ?原口くんより天之河くんでしょ?」

「そうそう騎士役は天之河くんがいいよ!!」

「雫ちゃんがやるんだったら私が騎士役やってみたいな」

 

最後の香織が騎士役でもめている、でもたった一言で変化するはめになった

 

「え〜逆でしょ?」

「香織ちゃんがお姫様で、八重樫さんが騎士役でしょ?」

 

と言い始めるとものすごい騒ぎになっていた

女子は雫、男子は俺。

このままで行けば普通に雫が騎士になるだろう。

 

「雫。お前どうしたい?」

「……私?」

「そう。結局俺たちがどうこう言ってもお前次第だろ?つーかいつもみたいにやりたい役を譲るは無しな」

「そういう快斗はどうなの?」

「俺?俺はどっちでもいいな。しばらく道場で大きな大会も昇級テストもないし。…ただ雫のお姫様姿は見てみたいな」

「私の?」

 

雫は驚いたようにしているがそんなに変か?

 

「雫って女子なのに女性の役ほとんどやらないじゃん。髪だって伸ばし始めたし絶対綺麗なお姫様になると思うんだよ。それに、香織が姫とかだと不安しかない。絶対に本番で大きなミスやらかす。ドレスを踏んづけて転倒とか」

「ちょっと快斗くんどう言うことかな?かな?」

「「「「あぁ」」」」

「ちょっとみんな酷くない?」

 

納得したような全員の様子にどうやら聞こえていたらしい。

聞こえていたかと小さく苦笑する。すると全員がそれじゃあどうするのっと言う顔になる

 

「つーか香織?お前本当に騎士役でいいの?」

「へ?」

「もし雫がお姫様役をやるんだとしたら衣装係になればお前雫を着せ替え人形にできるぞ?」

「先生私衣装係やりたいです」

「「「「即答!!」」」」

 

まぁ、香織はそうするよな。雫のことをもっと可愛くしたい女子の一人だし。センスもいいしな。

 

「……偶には素直になってもいいんじゃねーの?俺も見てみたいっていうのはあるんだけどそれでも雫が一番やりたい役をやるのが一番いいさ。最後の学芸会だし、お姫様役やってみたいんだろ?そんならやってみろよ。ただでさえ男性役ばっかりやってきているんだ。衣装も香織だしいいんじゃね?」

「……えっ?快斗は私のお姫様役見てみたいの?」

「俺のイメージだったらお姫様ってしっかりものの綺麗な女性ってイメージだから香織より雫の方が似合っていると思うんだけど」

 

すると雫は少し考える。そして一呼吸おいて

 

「私、お姫様役やってみてもいい?」

 

と小さな声で言った。これでミッション完了だな。

香織の方を見て小さく謝る。すると香織が俺がどういう言い回しをしたのかわかったのか首を横に振る。

悪いけど香織が騎士役だと明らかに反対意見がでるからどうしても裏方に回らせたかったのだ。

 

「……後、騎士役は快斗にやってほしいです」

 

たった一言の爆弾を添えながら。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。