忍びの王 作:焼肉定食
翌朝。俺はメルド団長と相談し、王宮に引き返すということを決めた。
現在、光輝達の早急に対処しなければならない欠点、〝人を殺す〟ことについて浅慮が過ぎるという点をどうにかしなければ、これ以上戦えないという事で、彼等は王都に戻って、魔人族との戦争にこのまま参加するならば、〝人殺し〟の経験は必ず必要となる。克服できなければ、戦争に参加しても返り討ちに遭うだけだ。
そしてウルの町のことも俺は内密にメルド団長に伝えた。雫を送り届けた後俺はギルド団長と対談したのがきっかけだった。
そして愛ちゃん以外全員が集まった王宮で俺はリリィに頼み俺たちだけの食事の場所を取らせてもらった
「ってことでウルの町がおよそ6万の魔物に襲撃されたらしい。主導者は魔人族らしいが、ハジメ曰く清水も関わっていたらしい。そして敗残者の清水はハジメに処刑された。」
「「「……っ。」」」
俺の言葉に全員が黙り込む
「処刑って?」
「殺されたってこと。銃で撃ち抜いたらしい。ギルドの報告書に書いてあったようだぞ。恐らく断定はできないけど愛ちゃんを狙った襲撃だと考えている。」
「先生を?」
「あぁ。俺がステータスを見た時に愛子先生のことをチートって言っただろ?戦争の兵の数だけ食料を使うことはさすがに龍太郎でも分かるよな?」
「……お、おう。」
……多分わかってなかったんだろうな。
俺は少しため息を吐き説明を始める
「先生の天職は食糧供給率を数倍にすることができる。戦争っていうのは少なくても数千。多ければ数十億単位の人が参加する。つまりは食料品は戦争のエネルギーなんだよ。正直なところ勇者よりも厄介で俺たち以上の戦力なんだよ。愛ちゃんは魔人族としたら大した力を持たない、最強の武器であるってことだ。」
すると全員が絶句する
「……まぁ本当に偶然にハジメ達がいたおかげで助かったな。マジで先生がいないと教会に対抗できないし。」
「やっぱりまだお前が相手をするのか?」
「ハジメと戦いたくなければ俺になるだろうな。基本的に今勇者の価値は正直低いしな。元々光輝は話し合いには向いていない。今までは自分の言うとおりになってきたし、政治関係地球の時からは正直どうでもいいって感じだろ?俺は探偵業でバイトしてきたこともあってある程度は裏の仕事もしてきたから。そこらへんは詳しいんだよ」
「裏の仕事?」
「麻薬取引とか暴力団関係。後殺人事件の調査とかな」
「「「「えっ?」」」」
鈴の言葉に答えると全員が俺の方を見る
「その前に俺のステータスに付いても話さないといけないかもな。俺だけみんなにステータスを見せていなかっただろ?その一部。所謂戦闘技能に付いて話そうと思う。探偵業が大きく関係しているし、雫が俺みたいに発狂するのを防ぐ為だし。多分今なら、恐らく……いや龍太郎、永山。雫抑えといて。辻も回復魔法の準備しておいて。」
「お、おう。」
「ちょっと待ってあなた何を知っているの。快斗あなたにそういえば私のお父さんやお爺ちゃんの不安になるようなことを言われてきたんだけど。」
それ、当たっているな。
「俺の家族は表上は普通の探偵なんだけど裏は警察直下の探偵らしくて、政府関係者や暴力団関係の調査に使われる。裏専門の探偵なんだよ。結構危険な仕事を引き受けてきたらしいんだ。俺がそれを継ぐって言ってあったからすでにそう言う危険な調査や特殊な訓練も受けてきている。」
「……特殊な訓練って?」
「まずは剣術と体術。これは表の八重樫流で習ってきたことだ。これに付いては光輝も知っているだろ?」
「あ、あぁ。でも俺たちよりも明らかに道場にいる時間が短かったんだよ。それなのにいつもボロボロに帰ってきたからてっきり体術の方に向かっていたと思っていたんだが。」
「ちょっと待って表の八重樫流って何のこと。それじゃあ裏の八重樫流があるみたいじゃない。」
「雫。それが俺たちの秘密事項なんだよ。」
「……えっ?」
俺がそう言うと明らかに引きつっている雫
そして無言で俺のステータスプレートを見せる。すると数人がある一個のところを見て吹き出した
「忍術だと。」
「あぁ。八重樫流忍者道場。それが俺の隠してきたことだ。生憎黙っているわけにもいかなくなってきたし戦争真っ只中だからな。」
「ちょっと待ってつまり快斗くん忍者ってこと。」
「世間の声を聞くならそうなるな。機密事項だからあんまり話すなよ」
「えっとつまり私のお父さんやお爺ちゃんも忍者ってこと?」
「お前のお母さんもな。」
「……ちょっと待ってあなたいつから。」
「ちゃんと正式に教えてもらったのは継いだときだけど。訓練を受け始めたのは道場を通い始めた時から気づいていたな。明らかに」
するとフラフラと頭を抑える雫。本当に頭を抱えてたくなるよな
「……お前とんでもない秘密抱えてきたんだな。もしかして身代わりの術や分身の術とかもできるのか。」
「できるぞ。でも、俺の本職は剣の方だけど煙玉や毒物は雫の母さんのを見ておぼえたし、基本的な八重樫流忍術は雫のお爺ちゃんから習ったからな。あの人たち俺が晩飯を食べて帰る時しびれ薬や睡眠薬をこっそり混ぜたりしていたからそういう耐性もあるし。」
「お母さん何しているの!」
それが恐らく毒物耐性の一つになっている
「……それよりも俺は最後の二つが気になるだけど。女難と苦労人って。」
「本当だ。……苦労人って八重樫さんでもついてなかったよね。」
「ちょっと待って何で私が苦労人扱いされるわけ。」
「……そりゃあな。ある意味苦労人だろうよ。まず、両親が忍者だぞ。俺もかなり最初は戸惑ったし、両親に聞いても『あんた何言っているの?忍者なんているはずないでしょ。』ってはぁ?家にマキビシや痺れ薬手裏剣がある家が何で忍者じゃねーんだよ。」
「か、快斗くん落ち着いて!!!」
しばらく愚痴を吐き溜まっていた鬱憤を吐き出す。するとすっきりしたころには
「……俺もっと快斗に優しくしよ。」
「快斗くん。ジュースいる?」
「……本当に私のお父さん何しているのよ。」
同情の視線が多く降りかかり何故か親しい人には慰められていた。
「悪い。取り乱した。」
「いや、いい。てか雫の家がそんな家だったなんて。」
「まぁ、出来るだけ隠しておくはずだったからな。魔人族の状態を見るに使わざるを得ないからみんなに話そうと思ってな。」
「……そういえば快斗くんはこれからは?」
「基本フリーだからギルドの高難度依頼を受けようと思っているけど。」
「……やっぱり冒険者ギルドの依頼なの?」
「そっちの方が世間の目を集めることができるからな。」
そっち側の方が支持を集めやすいし
「私もそっち手伝うからね。」
「知っている。リリィも来るって言っているから。」
「……リリィも?」
「あぁ。リリィに伝えると『それじゃあ公務をすぐに終わらせますね』って無茶しないでいいって言ったんだけどな。あいつ終わらせて来る気満々だぞ。」
「リリィも楽しそうだったからね。案外あっているんじゃない?」
「ふ〜ん。」
すると凄く不機嫌そうな雫にみんながビクって反応する
笑顔だけど迫力があり、どこか俺の方を睨んでいる
「……雫?何をそんなに怒っているんだ?」
「……何でもないわよ。」
光輝が雫に恐る恐る聞くのだが
…全員がそんなわけないだろうと内心突っ込む。
まぁ、でも
「とりあえず解散。とりあえずは戦争に参加するもしないも当分は気をつけろ。魔人族の襲撃が続いている分あって当分は王都も王宮内も騒がしくなるだろうから。」
と俺は締めくくる。……機嫌直し大変なんだろうなぁと俺は彼女である雫の元に急ぐのだった。