忍びの王 作:焼肉定食
あれから1日がたったある日のこと
「ん?……戦闘準備。盗賊およそ50人以上が近づいている。」
「なっ!!50人だと!!」
俺の気配感知に引っかかったのだが、人間と思われるその数は50を優に超えている
「……快斗さん大丈夫そうですか?」
「微妙。人数的にはやや厳しいな。リリィの結界がどこまで作用するかって感じか。壊滅するのはさけられるとしてもどれだけこっちに被害がいくかってところかな。」
俺自身壊滅できる自信はあるがそれなりに時間が掛かる。それがどれだけ続くかだよなぁ
「多分包囲されるだろうから俺以外は反対側やってくれ。人数が多い方は俺がやる。」
支援がないから正直厳しそうだけどな。
俺自身素の戦闘であれば広範囲殲滅は正直向いてはいない。
個々の攻撃に特化しているために普通なら爆薬を起動するのだが、後々のことを考えると爆薬は残しておきたいのである。
元々爆薬というのは戦争のほかに鉱石の採取や解体工事に使われており、比較的高価なものとして扱われている
なのでいくら勇者たちと言っても買う限度がある。
元々俺の使っている爆薬は破壊工作に使用しているものや盗賊退治の時に使う煙玉など多くの時に火薬は使用しないといけない。
まぁ躊躇してる暇はないか
手榴弾型の爆弾のピンを抜き俺は盗賊の方に投げると同時に高速で突っ込んでいく
大きな爆発音と爆風が広がると同時に俺は爆風の中に入り噴煙に紛れその直後に悲鳴と爆発によって返り血が爆発の範囲内を蹂躙し血を浴びるが俺は気にすることはなく錬成師に頼んだ先を尖ったピンだと思われるのもだがれっきとした手裏剣を投げる
元々この爆薬は範囲が少なく威力もそんなの高くはないものであるため中心部以外は煙幕がわりくらいにしか使えないのだがそれだけでも十分だ
そして数分後には俺の周辺には火薬と噴煙の焦げ臭く真っ赤で血だまりが出来る
「……はぁ。」
と一息いれると俺は小さくため息を吐く
俺がため息をつき反対側では応援に向おうとした後
暴走した車が反対側に戦闘いると思われるところに突っ込んでいき
ドゴォ! バキッ! グシャ!
と生々しい金属が人間にぶつかる衝撃音が聞こえ悲鳴が聞こえて来る
「……は?」
戦場であったに関わらず俺は口をぽカーンと開けてしまった
だけど数秒後に俺は一度顔を叩くとその方に向かう。
するとそこには思ったとおり
「あれ?香織?」
「えっ?快斗くん?ってその血って。」
「あぁ?返り血だから大丈夫。さ〜ってと。……残りも殺すか。」
俺は空を飛びと小さく魔法を詠唱する。
「蜃気楼。」
濃い霧が発生し幻影魔法の基礎にあたる魔法は盗賊を冒険者のように見せかける
すると盗賊団はパニックになり同士討ちを始める。
それは味方だというのに争いあう盗賊に香織は驚く
「えっと、あれって。」
「盗賊と味方の見た目を反転させたんだよ。すなわちあの霧は同士討ちに見させている幻影魔法だ。」
「……あの、それって結構えげつない。」
「ん?襲ってきておいて簡単に殺すわけないだろ?ってそんな暇ないんだった。……一応お前らを探しに向かっていたんだよ。」
「えっ?私たちを?もしかしてリリィの護衛?」
「あんな。一応リリィ俺の待女だぞ?今のリリィってあんまり権力ないんだよ。まぁ、俺もリリィに聞いただけで分からないことが多いんだけどな。」
と俺がそういうと香織が首を傾げる
そしてどんどん悲鳴が小さくなり、霧が消える頃にはいつのまにか盗賊団は全滅していた。
「快斗さん。」
「何人死んだ?」
「いえ。大半を快斗さんが倒してくれたので重傷者は一人いますが命に問題はないです。」
「ん。了解。」
「香織お久しぶりです。こんなところで香織に会えるとは思いませんでした。……僥倖です。私の運もまだまだ尽きてはいないようですね」
「リリィ? それはどういう……」
香織がリリアーナの言葉の意味を計りかねていると、リリアーナは、今更ながらにハッと何かに気がついた様子でフードを目深に被り直した。そして、香織の口元に人差し指を当てて、自分の名前を呼ばせないようにした。
「香織、治療は終わったか?って快斗?お前って血だらけじゃねーか!!」
「あ〜返り血浴びまくったからな。
香織とリリアーナが真剣な表情で見つめ合っていると、いつの間にか傍までやって来ていたハジメが、そう声をかけた。全く気配がなかったので、「ひゃ!」と可愛らしい声を上げて驚くリリアーナ。そして、フードの中からハジメを見上げて、しばらく考える素振りを見せると、ピコン!と頭に電球が灯ったような表情をしてハジメに挨拶を始めた。
「……南雲さん……ですね? お久しぶりです。雫達から貴方の生存は聞いていました。貴方の生き抜く強さに心から敬意を。本当によかった。……貴方がいない間の香織は見ていられませんでしたよ?」
「もうっ、リリィ! 今は、そんな事いいでしょ!」
「ふふ、香織の一大告白の話も雫から聞いていますよ? あとで詳しく聞かせて下さいね?」
「いや。多分覚えてないだろ?お前確かにハジメと会ったことはあるけど二度三度しかないだろ?」
「……へっ?」
ハジメがまだ王国にいた頃からリリアーナと香織達は積極的にコミュニケーションをとっていたし、他の生徒に対してもリリアーナは必ず数回は自ら話に行っている。確かに、ハジメは立場的に微妙だったので、リリアーナと直接話した回数はそれほど多くはないが、それでも、香織も交えて談笑したことはあるけど
「あ〜えっと快斗?」
「ハイリヒ王国の王女リリアーナだよ。一応政略結婚目的で俺の待女にされた。」
「お前まじでこの世界入ってろくなことないな。」
多分ハジメ以外で一番悲惨な目にあっているのは俺であろう。ある意味トラブルメイカーというよりトラブルに巻き込まれている
「ぐすっ、忘れられるって結構心に来るものなのですね、ぐすっ」
「リリィー! 泣かないで! ハジメくんはちょっと〝アレ〟なの! ハジメくんが〝特殊〟なだけで、リリィを忘れる人なんて〝普通〟はいないから! だから、ね? 泣かないで?」
「おい、何か俺、さりげなく罵倒されてないか?」
「いや。今回ばかりはハジメの方が合っているからな。まぁ一応お前の味方ってことでいいし俺の冒険者仲間で実力もランクもゴールドだ。」
さすがに三ヶ月くらい会ってなくて数回会ったくらいの人はさすがに覚えてないだろう
涙目になってしまったリリアーナに必死のフォローを入れる香織が地味に酷いことを言うので、ハジメは思わずツッコミを入れる。しかし、香織から「ハジメくんはちょっと黙ってて!」と一蹴されてしまった。しかもリリアーナが「いいえ、いいのです、香織。私が少し自惚れていたのです」等と健気な事を言うので、尚更、文句は言えなかった。 そんな微妙な雰囲気のハジメ達のもとへ、ユエ達と、見覚えのある人物が寄ってくる。
「お久しぶりですな、息災……どころか随分とご活躍のようで」
「栄養ドリンクの人……」
「は? 何です? 栄養ドリンク? 確かに、我が商会でも扱っていますが……代名詞になるほど有名では……」
「あ~、いや、何でもない。確か、モットーで良かったよな?」
「ええ、覚えていて下さって嬉しい限りです。ユンケル商会のモットーです。危ないところを助けて頂くのは、これで二度目ですな。貴方とは何かと縁がある」
「あ〜やっぱり知り合いだったか。」
すると視線がとある指輪に向けて目を向けている。どうやらユンケルさんと何かと因縁があるようだった。
背後で、シアがモットーとの関係を説明し、「たった一回会っただけの人は覚えているのに……私は……王女なのに……」とリリアーナが更に落ち込んでいたりする。そんな彼女を香織が必死に慰めているのを尻目に、ハジメはモットーの話を聞いている。
「ふむ。そういえばお主奇妙な幻術を使っていたのう。」
「あ〜元々幻影魔法は俺の得意分野だからな。同士討ちなんて誘おうと思えば誘えるし。」
「お主本当に恐ろしいのう。あんな死に方だけはしたくはないものじゃ。」
するとどこか違和感を覚える。俺がこの着物を着た女性。えっと確かティオだったか?ティオはどこか既視感を覚える。どこか嫌な思い出でもあったんだろうか
「申し訳ありません。商人様。彼等の時間は、私が頂きたいのです。ホルアドまでの同乗を許して頂いたにもかかわらず身勝手とは分かっているのですが……」
「おや、もうホルアドまで行かなくても宜しいので?」
「はい、ここまでで結構です。もちろん、ホルアドまでの料金を支払わせて頂きます」
「あ〜悪い。俺も言っていた通りここで降りるけど。怪我人は大丈夫か?」
「えぇ。香織様の治療で大半は元気になりましたから。」
「そっか。」
俺は一安心する。
生憎知っている冒険者だらけだったので俺自身少し心配していたのだ
「んで。料金はいらないんだっけ?金銭的には余裕あるから払ってもいいんだけど。」
「えっ? いえ、そういうわけには……」
お金を受け取ることを固辞するモットーに、リリィは困惑している。隊商では、寝床や料理まで全面的に世話になっていたのだ。後払いでいくら請求されるのだろうと、少し不安に思っていたくらいなので、モットーの言葉は完全に予想外だったのだ。
そんなリリアーナに対し、モットーは困ったような笑みを向けた。
「二度と、こういう事をなさるとは思いませんが……一応、忠告を。普通、乗合馬車にしろ、同乗にしろ料金は先払いです。それを出発前に請求されないというのは、相手は何か良からぬ事を企んでいるか、または、お金を受け取れない相手という事です。今回は、後者ですな」
「それは、まさか……」
「どのような事情かは存じませんが、貴女様ともあろうお方が、お一人で忍ばなければならない程の重大事なのでしょう。そんな危急の時に、役の一つにも立てないなら、今後は商人どころか、胸を張ってこの国の人間を名乗れますまい」
モットーの口振りから、リリィも、最初から自分の正体に気がついていたと悟った。そして、気が付いていながら、敢えて知らないふりをしてリリィの力になろうとしてくれていたことに気づいたのだろう。本当にうまいやり口だ
「ならば尚更、感謝の印にお受け取り下さい。貴方方のおかげで、私は、王都を出ることが出来たのです」
「ふむ。……突然ですが、商人にとって、もっとも仕入れ難く、同時に喉から手が出るほど欲しいものが何かご存知ですか?」
「え? ……いいえ、わかりません」
「それはですな、〝信頼〟です」
「信頼?」
「ええ、商売は信頼が無くては始まりませんし、続きません。そして、儲かりません。逆にそれさえあれば、大抵の状況は何とかなるものです。さてさて、果たして貴女様にとって、我がユンケル商会は信頼に値するものでしたかな? もしそうだというのなら、既に、これ以上ない報酬を受け取っていることになりますが……」
これでは無理に金銭を渡せば、貴方を信頼していないというのと同義だ。お礼をしたい気持ちと反してしまう。リリィは、諦めたように、その場でフードを取ると、真っ直ぐモットーに向き合った。
「貴方方は真に信頼に値する商会です。ハイリヒ王国王女リリアーナは、貴方方の厚意と献身を決して忘れません。ありがとう……」
「勿体無いお言葉です」
リリィが王女としての言葉を賜ったユンケルさんは、部下共々、その場に傅き深々と頭を垂れた。
そしてユンケルさんが去った後俺はハジメ曰く魔力駆動四輪の中で俺たちは座る。焦燥感と緊張感が入り混じったリリィの表情にハジメも嫌な予感がしたんだろう。そして話し始めた
「愛子さんと雫が……攫われました。」
リリィが話し終わるころにはリリィは震えており恐怖で今にも泣きそうな顔で全員に話していた。
「あとは知っての通り、ユンケル商会の隊商にお願いして便乗させてもらいました。まさか、最初から気づかれているとは思いもしませんでしたし、その途中で賊の襲撃に遭い、それを香織達に助けられるとは夢にも思いませんでしたが……少し前までなら〝神のご加護だ〟と思うところです。……しかし……私は……今は……教会が怖い……一体、何が起きているのでしょう。……あの銀髪の修道女は……お父様達は……」
「俺の予想だと魅了。それも男にはかなり強力なものだと思っている。それか信仰心に対照されているものであるかのどちらかであるのだが。俺も実際は見ていないからあんまり詳しいはないんだよ。でも明らかに俺じゃ敵わないと判断しハジメのところに向かったってわけだ。」
俺は片手でリリィの手を包みながら話す。安心させるようにたった一人の少女をあやすように
「八重樫を狙ったってことは狙いはお前も含まれているってことか。」
「あぁ。そう認識してくれて構わない。」
「すなわち教会の力よりも強い力を持つものを排除しにかかったって認識でいいか?」
「あぁ。狙いにハジメも含んでいるって思った方がいいと思っている。それに俺も元々神なんか信用していない人間の一人でこの世界のことに気づいている一人だ。排除して掛かるのは当然のことだろう。」
「…取り敢えず、先生を助けに行かねぇとな。八重樫のことは。」
「雫は俺がなんとかする。というより俺がやる。」
ハジメが少し苦笑し香織も頷く。
とりあえず来てくれるらしいから。一安心か。
「……王国のこともなんとかしたいんだけど爆薬がもうないんだよなぁ。」
「爆薬?それなら代わりになる鉱石があるが?使うか?」
「粉末できるのであればなんでもいい。あと武器製造できねぇか?俺自身少し作って欲しい武器が結構あるんだけど。」
「武器?」
「鎖鎌と手裏剣。あと刀。」
「あの、快斗くん?それどう使うの?」
ジト目で見られるが俺は気にしたら負けだと思っている
「まぁ作れないことはないが本当に何に使うんだよ。」
「俺忍者だから色々とな。」
「忍者ですか?」
俺はステータスプレートを見せる。すると全員がポカーンと口を開け絶句した後香織の叫び声が響くのであった。