忍びの王 作:焼肉定食
「香織何しているの?早く体育館いかないと、入学式始まっちゃうわよ?」
「雫ちゃん。快斗くんも。えへへ。桜に見惚れていたの。なんだかふわふわしちゃって。」
「確かに。この辺りは満開だよなぁ。気持ちが浮ついているのは雫も同じだから安心しとけ。」
「それは快斗もでしょ。」
桜吹雪の舞う中で俺と雫、そして香織は入学式に向かう途中だった
「綺麗。」
ふと香織がそう呟くと
「確かにな。」
「えぇ。本当に綺麗ねぇ〜。」
俺と雫は桜を見て呟く。色鮮やかに咲く桜はどこか自分の気持ちを高揚させるものがあった
「違うよ。二人が立っていると桜の王子様とお姫様みたいで。」
「っ……っていきなり何をいうのよ。」
「まぁ雫は制服も似合っているからなぁ。さすがに王子呼びは勘弁してほしいけど。少し大人っぽく見えるよなぁ。」
「後からみんなで写真撮ろうよ。」
「いいけど。どうせ今日は午前で終わりだしなぁ。」
と話しているとすると急に何か言いたげに香織が雫の方を見る
「いいですか。雫ちゃんよく聞いてください。」
「香織どこのキャラなの?」
「こら真面目に聞く。あのね。雫ちゃんは可愛いです。そしてとっても美人です。なので男の子はみんな放っておかないでしょう。でもね?お父さんが言っていたけど男の子は快斗くん以外はみんな狼さんなのです。だから狼さんに騙されないよう雫ちゃんは自分の可愛さに自覚を持つべきです」
「……香織ブーメランって言葉知っている?」
「飛ばしたら戻ってくるあれだよね。」
「そうよ。今の言葉完全にブーメランよ。」
「……こいつ意味通じないと思うぞ。天然ポワポワな頭をしているしな。」
俺は皮肉を込めた風にいうと
「でも。本当にお前らは自分の人気については自覚持っといた方がいいぞ。俺や龍太郎はあんまりモテないけど中学の時のお前らすげぇ人気だったんだぞ。俺に紹介してくれって頼んできた先輩もいるくらいだし。正直中学の時の男子の恋人にしたいランキングでお前らダントツでトップ2に入っていたんだから。」
「それは快斗くんもでしょ?」
「あなたが言えることではないと思うわよ。」
ジト目で俺を見る二人に俺は首を傾げる。俺そこまで女子と話したりしたことがないから
「……ん〜でも、確かに二人があまり誰とも付き合うことは想像できないなぁ。いつも二人って一緒にいるし。」
「あぁ。まぁ雫とはいつの間にか一緒にいるのが当たり前みたいな感じだもんなぁ」
三年生になっても結局は変わらず俺と香織、そして雫はほとんど一緒にいることが多く、さらには部活動や道場まで付き合いがあるので俺と雫は1日合わない日がある方が珍しいくらいだ。
「……はぁ。」
「どうした?」
「ううん。なんか疎外感があるなぁって。」
「「……?」」
「ほら体育館行こう。遅れちゃうよ。」
首を傾げる俺と雫に気を取り直したように香織言い先に歩き出す
「えぇ。そうね。」
「あぁ。」
といい俺たちは香織の後に付いていった。
「光輝くん、緊張してないかな?」
「大丈夫でしょ。光輝ってそういうのとは無縁だし。」
「だな。中学でも経験済みだし、無難に済ますだろ。」
「まぁ大事にはなるだろうけどな。悪いけど寝るぞ。騒がしくなるだろうしどうせしばらくは再開しないと思うしな。」
香織の声が漏れるといくつもなく会話が続く
俺は椅子に座りながら校長の話をバックにしてうたた寝を始める
元々うるさいところやかなり寝心地が悪くても眠れるのは八重樫流の裏道場に行ったらそういうスキルがつくのでこういうどうでもいい時は眠る癖がある。
やがて春の暖かな空気に闇に身を任せた直後だった
「快斗くん快斗くん。起きて。あの人が居たの。」
「……ん?」
俺はすぐに目を覚まそうとしたが少し入っていたので香織の声を聞いても少し覚醒が遅れていた
「…どした?」
「それが居たの。あの時の彼が。」
「……」
俺は少し考えそういや、すごい土下座をした中二病の男子を思い出す。
「へぇ〜どこ。」
「あそこで眠っている人。」
すると後ろの方をすやすやと恐らく天之河の歓声を聞いても眠っていたのだろう。スヤスヤと気持ち良さそうに眠っている大人しそうな男の子がいた。
そしてなぜかポニーテールで顔を纏っている雫の姿も
「……普通だな。もうちょっと痛いじゃないかと思っていたんだけど。って何で雫がポニテガードしているんだ?」
「……それが」
とかくかくしかじかと説明をする。先生に気づかれないように視線を前に向けているのがポイントだ
そしてすべてを聴き終えた後
「……うん。言い方も悪いしもうちょい声の声量さげようか。」
「……ねぇ叱られる時は一緒だよね?」
「おいこら。巻き込む気満々かよ。俺この後雫のフォローしなくちゃいけないんだぞ。」
このポニテガードは少々の羞恥心ではなくかなり恥ずかしいときに起こった時に発動するポニテガードだ
今頃穴があったら入りたい気持ちで一杯なのだろう
「まぁ俺も少し話してみたかったし、丁度いいや今度話してみよっと。」
そういう系の友達も探していたし多分仲良くなれると思うしな。
そんなことを思いながら香織の話を聞いていた