まちカド暗黒神   作:伝説の超三毛猫

11 / 35
今回のあらすじ

リコくんがあらわれた!
白澤さんがあらわれた!



※2020-7-27:過去回想のシーン表現を修正しました。
※2021-4-29:本文を一部修正しました。


新種見たり! 新たなまぞくは獣系!……料理に何かの混ぜものとか、バレたら店潰れて再起不能になる系じゃないのか?

 

 まぞく捜索二日目。

 俺は昨日、エッグラさんとチキーラさんに捕まった挙げ句思い出話を聞いていたというのに、シャミ子はまぞくが営む喫茶店「あすら」に就職したという。

 

 ……なんか出遅れてる感が半端ないが、収穫がなかった訳ではない。ないったらないのだ。

 とはいえ、早いところ本筋に戻らねばなるまい。

 

「今日は俺も『あすら』に向かおうと思う。出来るだけ客としてフォローに回るから、よろしく頼む」

 

「分かりました。よろしくお願いします、クロウさん」

 

「あい分かった」

 

 シャミ子は昨日、バイトに夢中で『あすら』に住むまぞくと交渉するのを忘れたみたいだから、俺がフォローに回ることにした。

 幸い、俺のまぞくとしての特徴は溶鉱炉みたいな色の右手だけなので、長袖長ズボンで手袋をつければ一般人に見えなくもない。

 

『クロウよ。…………暑くないのか?』

 

「くそ暑いに決まってんだろ。叶うなら着替えたい」

 

 ……ただし、この季節でその格好は暑いけど。仕方ないだろ、別に積極的に隠すつもりはないけど、要らん混乱を招く訳にはいかないんだ。多魔市の人達にはあんまり意味ないかもだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たまさくら商店街。駅の東口側に古くからある商店街であり、店もレトロで味のあるものが多い。レトロゲーの店や商品が表に出ている八百屋・魚屋、木造建築の駄菓子屋などが並び、ハイカラな看板・装飾は、よそから引っ越してきた俺さえノスタルジックな気持ちにさせる。

 そういう時代に埋もれそうな商店街にも関わらず、老若問わず客足は途絶えない。その理由の一つは商店街のゆるキャラ「たまさくらちゃん」だろう。

 この街の大きな桜の古木から生まれた妖精。特技は「バク宙あつあつおでん」。持っている茶碗からは中毒性の高いアメちゃんが無限に溢れ出して子供を洗脳………ってなんだこの設定。おおよそゆるキャラに向いてないんですけど!?

 

「……あそこか。喫茶店『あすら』…」

 

『今のお前はただでさえ季節感ガン無視の怪しい格好だからな。今日は普通に客として入りつつ無難に行こう』

 

「ゴミ先祖もあんま喋んなよ?」

 

 とりあえず今、俺とゴミ先祖は件の喫茶店前までやってきた。魔法少女よけの結界も玄関正面に貼ってある。

 ゴミ先祖は『留守番をしていたら魔法少女二人に粉々にされたりメタトロンやチロルの爪研ぎにされてしまう!』と無理矢理俺についてきた。魔法少女に粉々にされるくだりは確実に余計なことを言ったからじゃないか? 賭けてもいいぞ。

 

 

 

 そんな事を考えながら開店時間になった店の扉を開く。

 カランコロンと古き良き音が鳴る。

 するとそこには、喫茶店の制服を着た青みがかった銀髪の少女が。

 

「いらっしゃい〜、何名?」

 

「1人だ」

 

「優子はん、おきゃく1名〜」

 

 その少女が京都だか大阪あたりの関西訛りでそう言うと、「はい!」とシャミ子の声が聞こえた。俺はその隙にチラリと少女を見る。

 

 千代田やミカン、不二みたいな「美少女」にカテゴリーされる女の子だ。マイペースというか、はんなりというか、独特の雰囲気を感じる普通の少女だろう。

 

 

 ―――その頭と腰からキツネの耳と尻尾が生えてなければ、だが。

 

(あれがここのまぞくか…)

 

 そう思いながらも必要以上に見ることはせず、案内された窓際の席のひとつにつく。

 

『クロウよ、アレは間違いない。魔族だ。しかも相当腕が立つぞ』

 

(あの子が、腕の立つまぞく?)

 

『あぁ。クロウが勝てるビジョンがまったく浮かばん。例えるなら―――レベル10のキャラ一人で冒険中盤の中ボスに挑むようなものだ』

 

(成すすべなく全滅コースじゃねえか)

 

 ゴミ先祖と脳内で念話しながら、シャミ子が席に水を置くのを待ってメニューを開く。そして、どれを頼もうか迷っている普通のお客さんのフリをしながら、キッチンの方を盗み見た。

 

 厨房の方で鍋を振っている、頭に葉っぱを乗せた狐耳の少女は、どうしてもそこまでの力を持つまぞくだとは到底思えない。まぁ、ミカンや千代田、果ては母さんまでもが見た目からは想像出来ない魔法少女なのでまぞくも似たようなものなのかもしれないが。

 

 注文しないのもアレなので、メモを取り出して必要事項を書いてから呼び出しボタンでシャミ子を呼び出す。

 

 

「お待たせしました、おきゃ……あ、クロウさん!」

 

「しっ、注文だ。この…Bランチのカレーとデザートのパフェを一つ。あと……」

 

 やって来たシャミ子に普通に注文する。途中でメニューに指を指すフリをして、メモを指さした。

 

『千代田桜さんについてここのまぞくと交渉はしたか?』

 

 ……と書かれたメモを。

 

「これもお願い出来るかな?」

 

「……かしこまりました! Bランチのカレーとパフェですね!」

 

 メモをしっかり見たシャミ子がぱたぱたと厨房に入っていった。

 

 

『クロウ。臨戦態勢くらいは整えておけ。』

 

(やだよ、あの子と戦うなんて。全滅コース一直線のヤツと戦うくらいなら俺は全速力で逃げる)

 

『なら逃げる準備だ!』

 

 それもなんだか食い逃げの準備してるみたいで嫌なんだけどなぁ。それに、コソコソしてたら逆に怪しまれる。確信を持たれていないならもっと堂々とするべきじゃないか?

 

「お待たせしましたー! ご注文のBランチカレーです! パフェはもう暫くお待ちください!」

 

 考えている内にシャミ子がカレーとシャレオツなおかずを持ってきた。

 香辛料の良い香りと、できたてを思わせる湯気が食欲をそそる。

 

「いただきます」

 

 カレーを一口、スプーンでよそって食べる。

 

 

 

 

 

 

 

 ………美味しい。

 

「なんて味だ……具材のひとつひとつのエキスが、スパイシーなカレーと混ざり合っている……! 肉、野菜、あらゆる具が混ざったこのカレーが、またふっくらと炊きあがった米とよく合う……!!」

 

 手が止まらない。まるで新たな扉を開いたかのような味の快楽に、俺は酔いしれる。

 

「頭の芯から―――心の底から癒やされて、ほぐされていくこの感じ……やみつきになるッ!!」

 

 そして、カレーを半分ほど食べ、残りも食べてしまおうと思ったがその時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『待てクロウ、それ以上は食べるな』

 

 あろうことかゴミ先祖がテレパシーでストップをかけてきた。

 

「なんだよゴミ先祖。良いところで止めないでくんない!?」

 

『その料理……なにかマズいものが入っているぞ』

 

「失礼なことを言うな! めちゃくちゃ美味いだろうがここの料理は!」

 

 つーか、マズいものが混入してたらそれはそれで大事件だぞ。料理店としては致命傷を受けて再起不能になる。最近はSNSでデマ情報も流せるからな、テキトーなひと言がお店の人の人生を狂わせかねない。

 

『……ちょっと我に供えてみよ』

 

(なんだ、食べたかっただけかよ! それならそう言えよな!)

 

 ゴミ先祖の失礼な一言で声を上げてしまったが、供えてみろってんなら供えてやるよ。

 食べかけのカレーをゴミ先祖の前に置きながら、他のおかずに手をつけ始める。

 ………お、他の料理も美味いじゃあないか。

 

 一体これに何が入っているというのか……

 

『これは…………微量だが、()()()()()()()()()()な』

 

 ゴミ先祖の断言に、スプーンを動かす手が止まった。それが、何を意味しているのか分からなかったのだ。

 

(……どういう事?)

 

『文字通りの事だ。魔力を込めて調理されているのだ。よく調整されているからか、一食分程度なら悪影響は出ないだろうが、クロウはあまり口にするべきではないだろう。おそらくあの狐がやっていることだろうが………なかなかやりおる、我が軍の料理人に欲しいな』

 

(おいこら最後)

 

 とことん有能な人材を引っこ抜こうとすんな。小倉の時と言い、今回と言い、余計なことをしないでほしいのだけれども。

 

「お待たせしましたー! パフェになります!」

 

 ゴミ先祖のヘッドハンティング計画とそれに伴う論争は、シャミ子がパフェを持ってきたことで有耶無耶になった。

 

「ありがと。シャミ子、ちゃんと仕事できてるか?」

 

「はい! 店長もリコさんも優しいですから!」

 

「あー……そっちじゃなくてさ」

 

「……?? なんのことですか?」

 

 おいおい大丈夫か?

 千代田やミカンが信頼しているからあんまり手出し口出しはしたくないし、本人もそういうのは望まないだろうけど、ちょっと不安になってきたぞ。

 もう一度メモを見せれば、シャミ子は思い出したように「情報を聞く…情報を聞く…」とぶつぶつ呟きながら店の奥に再び入っていった。

 

(大丈夫かなぁ? また忘れなきゃいいけど……)

 

『あのポンコツまぞくめ。クロウに余計な手間をかけさせおって……』

 

(メモを渡しておけば良かったな…)

 

 シャミ子に辛辣なゴミ先祖はさておき、どこか抜けているシャミ子のためにさっきのメモを渡した方が良かったかもしれないな。

 

 

 

 ゴミ先祖の反対を押し切ってカレーの残りやパフェを食べ終わり、幸せ気分な俺はふわふわした気分のままおあいそして会計を行うことにした。

 

「1500円になりますー」

 

「ほい」

 

 狐耳のまぞくの女の子に千円札と500円硬貨を渡す。それを受け取った彼女はお釣りの出ないお支払いをキャッシャーに入れる。あとは、シャミ子次第だろう。上手く交渉してくれることを祈るしかない。

 

「あんさん暑くないん?その手袋」

 

「肌が弱いんですよ。暑いけど仕方ありません」

 

「まぞくなんにそうは見えへんなぁ」

 

 ドキッ、と。

 狐耳の子に指摘されたことに心臓が跳ねた。用意した言い訳とはいえ、簡単に見破られた上に正体まで見抜かれたのだ、無理もない。

 

「………分かってたんですか? 俺がまぞくだって事」

 

「……キツネをダマくらかそうなんて万年早いで。でもお互い様やろ。おたくも途中からウチの料理に気づいてたみたいやし」

 

「……美味しかったですよ」

 

「おおきに。ウチの()()()()()料理やさかい、褒めてくれて嬉しいわ。……あんさん、名前は?」

 

「神原クロウ。そちらは?」

 

「ウチはリコ。シャミ子はんとはどんな仲なん?」

 

「友達です」

 

「そ。今度は()()()()格好で来てな」

 

 表面上はにこやかに微笑むリコに気まずさを覚え、俺は逃げるように店を後にしたのだった。心の落ち着きとかふわふわした気分とかが全部吹っ飛んだが、あのご飯を食べ残さなくて良かったと五体満足で思えるだけマシかもしれない。

 

 

 

◇  ◆  ◇

 

 

 

「ただいま帰りましたー!」

 

「おかえりシャミ子。情報は聞いてきたのか?」

 

「……………あっ!!!」

 

『また忘れたのか。やはり先祖共々ポンコツまぞくだな』

 

「誰がポンコツまぞくかー!!」

『今さらっと余までポンコツ扱いしたかラプソーン!!』

 

 シャミ子が帰宅すると、千代田の部屋が騒がしくなる。ゴミ先祖は相変わらず人を煽る言い方で吉田家をディスる。やめてくれないかな。

 

「大丈夫だよシャミ子。また明日聞けばいい」

 

「でも本当に大丈夫かしら。食べ物になにか混ぜられてるらしいけど……」

 

『クロウが動けなくなった以上、シャミ子に任せるしかあるまい』

 

「………なんかごめんな、余計なことしちゃったみたいで」

 

「気にしないでくださいクロウさん!」

 

 先に帰還していた俺は、リコという魔族の容姿や会話したことなどを既に千代田やミカンに報告していた。彼女の料理についてもほんの少し仄めかしながら。

 なお、俺はゴミ先祖に『あすら』に行くことを禁じられた。なんでも―――

 

『リコはおそらくクロウに対する警戒心を上げたはずだ。我としてもこれ以上リコの好感度が下がるのは好まない。暫くシャミ子に任せ慎重に行こう』

 

 ―――とのこと。

 まぁ、それには俺も異論はないかな。

 

 

 

 

 あれから、『あすら』をシャミ子に任せることにしたのだが……妙な事態が発生した。

 

 シャミ子が何度も調査をド忘れし続けているのだ。

 

 俺が『あすら』に行った2日目はもちろん、3日目も4日目も調査を忘れてしまうのだ。今、シャミ子を見送って5日目になる。2日目くらいまではまぁそんな事もあるかなと思ったのだが、4日連続となると流石に話は変わってくる。

 

「家でも元気そうなのに言ってることが要領を得ないのよね。昨日なんて店員さんスイッチが入りっぱなしだったのよ」

 

「そうだな……あれは流石におかしすぎる」

 

 昨日のシャミ子との会話が思い出される。

 

◆  ◆  ◆

 

『ねぇ、シャミ子? あなたちょっと大丈夫??』

『疲れてるんじゃあないのか?』

 

『……あっ! お客様、ご注文はなにになさいますか?』

『…レモンティーとレモンケーキをお願いするわ!』

『それじゃあワタクシは季節のフルーツポンチをお願いできるかしら?』

 

 気がつけば3人でカフェセレブごっこを小一時間くらいやっていた。その後ミカンに「淑女(レディー)を甘く見てるの?」って説教された。解せぬ。

 

◆  ◆  ◆

 

「いや二人して何で乗っかったの? あと神原くんのその気持ち悪い口調はなに?」

「……………………不二のモノマネ」

「おばかなのかな?」

 

『昨日といえば、余もシャミ子の意識に入ろうとしたのだが……入口が見つからなかった』

 

『……確定だな。あのリコとかいう狐娘の料理に盛られてた魔力に毒されたのだ』

 

 シャミ子の夢に入れなかったというリリスさんに、魔力が練られた料理の疑いを確実なものにするゴミ先祖。

 

「結界を強行突破してシャミ子を奪還しようと思う」

 

 ついに、というべきか。魔法少女が動き出した。

 

「二人とも出かける準備をして」

 

 リリスさんの人形のような依代(よりしろ)に魂を込めスポーツバッグを持った千代田にならい、俺とミカンも準備を始めた。

 

 それから3人で出向いた先は……桜ヶ丘にある高台公園。位置的に考えると、喫茶店『あすら』とは正反対の方向だ。

 

「……で、ここからどうするつもりだ?」

 

「今からミカンには結界を狙撃してもらう。ここに来たのは『あすら』の結界の範囲外だから」

 

「なるほど…?」

 

 変身したミカンを視界の端におさめながら千代田の作戦に納得する。確かにミカンは遠距離攻撃が得意な魔法少女だと聞く。その本領を発揮する、ということか。

 千代田がリリスさんにハートの宝石がついたステッキを渡す。

 

「この棒で結界をゴシゴシすれば結界の上書きができる。今からミカンの矢にリリスさんを乗せて『あすら』に飛ばします」

 

『は!!!?』

 

 千代田が告げた、リリスさんにとってはなかなかハードな作戦にリリスさんが面食らう。

 

『余、飛ぶの!? 今から!!? 聞いてないんですけど!!?』

 

「だって聞いてたら来なかったでしょ」

 

『当然であろう!? というかこの棒で結界が書き換えられるなら何故シャミ子かクロウにこれを持たせない!!?』

 

「結界を書き変えようとすると反撃が来ます。防御も出来ないからシャミ子や神原くんが確実に粉々になる。」

 

「こ、コナゴナ………!!」

 

 吉田家や『あすら』で見たあの結界にそんな恐ろしいセキュリティがあったとは。下手に触っていたらどうなっていたかなど想像もしたくない。

 

「ラプさんは依代がないから棒を持てない。リリスさんしか適任がいないんです。反撃まで数秒かかるから高速で範囲内に入って速攻で書き換える必要がある。」

 

「ここから『あすら』まで約1キロ……私の矢なら1秒でお届けできるわ」

 

『つまり余は今から秒速1000メートルで飛ばされるの!?』

 

 そんなセコムやALS○Kも真っ青なセキュリティを前に「失敗したらどうするのか」と訊いてみれば、千代田はリリスさんの()()を持ってきているとのこと。スポーツバッグのチャックを開けば、そこには今動いているリリスさんの依代と瓜二つな依代がぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。……夢に出そう。

 

「この残機があるうちは挑戦できる」

「………なるほど、物量作戦か」

『余の残機で物量作戦……』

「さぁ、シャミ子奪還作戦を始めるわよ…!」

 

 軽く絶望しかけて哲学者のような顔をしたリリスさんは、ミカンの矢に乗せられて秒速1000000ミリメートルで飛んでいった。涙目の悲鳴がエコーで高台に響き渡る。十数秒すると残機のひとつがガバッと起き上がり、再び棒を持ってミカンの矢で『あすら』へ送られていく。

 

 何度もリリスさんの悲鳴を聞き続け、最後の一機でようやく成功すると、千代田が大急ぎで変身して跳んでいった。ミカンも矢に手紙をくくりつけて発射する。

 

「……なんか、あっという間に終わったな」

 

「あとは桃に任せましょ」

 

 高台に残ったのは俺とミカン、そしてゴミ先祖だけだ。

 しばらく沈黙が続いていたが、最初に沈黙を破ったのはミカンだった。

 

「ねぇ、クロ」

「ん?」

 

「なんで、あの暑い格好で『あすら』に行ったの?」

 

「暑いのは俺も思ったから触れないでくれない?」

 

 暑い格好だったのは理解してるんだよ。多分真面目な質問なんだろうけどあんまりそこには突っ込まないでくれると助かる。

 

『決まっておろう、陽夏木ミカンよ。クロウがこの暗黒神ラプソーンの子孫である事を隠すためだ。』

 

 そんでもってラプソーンは勝手にミカンの質問に答えんな。俺が答えるべき質問だろうが。

 

『我の復活には邪魔者が多い。魔法少女が世襲制でない以上、七賢者の子孫は魔法少女にも、魔族にも、一般人にもいる可能性がある。これ以上ソイツらに暗黒神の子孫とバレる事は命の危機に繋がる。

 命を守るのは当然であろうが』

 

「……とか言ってるけど本当は余計な混乱招かないようにしてただけだよ。」

 

「ほんと…?」

 

「あぁ。誓って嘘じゃない」

 

 ミカンを見るが、表情はなんというか、浮かばない感じだった。

 

「何か困った事があったら私達に相談してね」

 

「当たり前だろ。ミカンこそ、一人で悩まないで相談してくれよな。呪いのこととかさ」

 

「クロ……」

 

「光と闇の事情を知ったのはつい最近だけど、もともと10年来の付き合いなんだ。話せることは話してくれよ」

 

「………うん。ありがと」

 

 ミカンが笑顔を向ける。でも、その様子はなんともおかしいものだった。何かをこらえているような感じのそれだった。呪いが発動しないようにするためかな?

 

 

 その後、千代田から無事にシャミ子を回収したと連絡が来た。やはりというべきか、彼女はぼーっとしている様子だそうだ。なんでも、リコの料理を持ち帰って大量に食べていた事が原因でハイになり、寝不足が続いていたらしい。その連絡を受けた俺達も、高台公園から撤退することにした。

 

 

 

◇  ◆  ◇

 

 

 

 ―――翌日。

 

 俺は、シャミ子のお見舞いにゴミ先祖と共にばんだ荘へ向かう。そこで、奇妙すぎるものを見た。

 それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「続けぇーーーーッ!!!」

「ええっ!?」

「イヤやー」

 

 

 

 ばんだ荘の2階から身投げをしたバクであった。

 身を投げたバクは、そのまま地面と激突し、「ぐふっ」とうめき声をあげてそのままうずくまる。

 何があったらこうなるんだ、マジで!?

 

「だ……大丈夫ですか!?」

 

「う、うぅ……ど、どなたか…知りませんがありがとうございます。」

 

 助け起こしたバクが喋った。

 左手?前足?にギブスをしており、ただでさえケガをしている状態が伺えるのが、更にボロボロになっていた。

 何を言っているのか分からないと思うが、本当に何なんだこれは。

 

「あら、クロウはん。おはようさん」

 

「り、リコさん……?」

 

 そこにリコもやって来る。なぜ、ここに彼女がいる?

 

「ううっ……り、リコくんの知り合いかね、彼は?」

 

「この前来てくれはったお客や」

 

「えー、と………貴方は?」

 

「こんな形での自己紹介になって済まないが……

 白澤(しろさわ)だ。喫茶店『あすら』のマスターをしている」

 

「あ、わざわざどうも。神原クロウといいます。高校生です」

 

 喋るバクが意外にも紳士的な挨拶をしてきたので、こちらも紳士的な自己紹介を返した。

 

 白澤さんを助け起こして軽く傷の手当をしたあと、何故二人がここに来たかを尋ねると、どうやらシャミ子に迷惑をかけたお詫びをしに来たのだという。

 

「リコくんの料理を10倍食べると色々忘れることはつい最近知ったことだが、それでも不手際は不手際だ。店長として、優子くんには謝罪しなければならない。

 彼女からも聞きたいことがあったようだしこちらから出向こうと思ってね」

 

 責任感の強い人だなぁ。うちのゴミ先祖とはエラい違いだ。なんというか、こういう御先祖様なら敬えるのにな。

 

『クロウ、いま失礼なことを考えなかったか?』

 

「自業自得でしょ、ゴミ先祖の場合」

 

 ゴミ先祖の疑いの眼差しを華麗にスルーし、シャミ子の家の呼び鈴を鳴らす。呼び出しに応じたのはシャミ子とそのお母さんだ。

 白澤さんは自分の立場と訪ねた事情を懇切丁寧に説明する。すると、シャミ子のお母さんが一度引っ込んだかと思えば野菜を乗せた皿を持って戻ってきた。

 

「アニマル系のお客様は初めてですので……お口に合うか分かりませんが……」

 

「あっ、お母様……雑食なのでお構いなく………」

 

 いくら白澤さんがバクそのものだからって、キャベツや人参をそのまま持ってくるのはなんか違うと思うんだけど。

 

 

 

「うちは酢抜きのおいなりさんとかでええよ〜〜」

『吉田清子よ、我へのお供えはまだか? その野菜を油炒めする程度で良い』

 

「リコくんやめたまえっっ!!!!」

「やめろゴミ先祖ッ!!!!」

 

 客の立場でとんでもなく図々しい事を言うリコとゴミ先祖を諌める声がハモる。

 ハモった声の主をチラッと見れば、同じくこっちを見る白澤さんと目が合う。それで、お互いが確信を得た。

 

 ………俺、白澤さんとは仲良くできそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がんばれクロウ!新たなまぞくとも仲良くできる暗黒神になるのだ!




オリジナル&ゲストキャラクター紹介

神原クロウ
 あらたなまぞくと出会った暗黒神後継者。リコはちょっと苦手だけど、白澤さんとは仲良くなれそう。

クロウの印象
リコ→ウチの変化と料理を見抜くなんて、おもろい子やわぁ。
白澤→お互い苦労するみたいだね……君は若いのに。

暗黒神ラプソーン
 あいも変わらず図々しい暗黒神。リコの『丹精込めた』料理や実力を見抜くことなどわけないわ。それはそれとして、新たな魔族には利用価値があるだろうか……? と最低なことしか考えてない。


もしもまちカド暗黒神がドラクエチックになったら味方のステータスは

シャミ子
→大器晩成型。最初は驚くほど簡単に落ちるネタ的弱さだけど、レベルが上がるごとに手堅い強さを得ていく…と思う。特に洗脳系は超強そう。ちょっとピーキーな主人公タイプ。


→燃費と火力の高い攻撃型。強い特技で魔物を殲滅しそう。お誂え向きな『フレッシュピーチハートシャワー』とかあるし。ただし、闇堕ちしたりする都合上燃費が悪い。魔法の聖水やエルフの飲み薬必須。

ミカン
→火力兼サポート型。サンライズアローみたいな必殺技がある上、バイキルトとかフバーハとか覚えそう。ドラクエにおいて弓スキルは個人的にマイナーだからイメージがなかなか沸かない。でもシャイニングアローは間違いなく覚えそう。

クロウ
→典型的な賢者型。最初からイオナズン覚えるとか半端ない上にメラ系、ヒャド系、回復系までも覚える。強敵戦では確実にクリフトやミネア、ククールのような回復役の立ち回りになる。

リコ君
→火力兼妨害系補助型。白澤店長との関係上仲間になるのは後っぽそう。その分お釣りが出るほどに強そう。痺れる(マヒ)・寝る(ラリホー)・火照る(ぱふぱふの上位互換?)・サイケデリックな幻覚(マヌーサ)と幅広い妨害ができる。あと個人的にザキ系覚えそう。

不二実里
→双剣使いなだけあって優遇されそう。超はやぶさ斬りとかデュアルスライサーとか。育て方とバフ次第でDQ11のカミュみたいな化け物火力が出せちゃいそう。でも仲間にするには魔族への宥和が必要。さて、どう懐柔してやろうかな……

拙作で一番好きなオリジナルorゲストキャラは?

  • 神原クロウ
  • ラプソーン
  • 不二実里
  • ラファエル
  • 神原玲奈
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。