まちカド暗黒神   作:伝説の超三毛猫

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ゴールデンウィークも自粛が続く中、お元気ですか?
私は、執筆が遅れることもありますし、生活リズムの調整が大変ですが元気です。決して、中古で買った世界樹の迷宮Ⅴが面白かったからとか、モンストのエヴァコラボで使徒を周回してたからとかじゃあないですからね?




今回のあらすじ

おおにわとりが あらわれた!
マンルースターが あらわれた!
キラーマシンが あらわれた!



いざ突撃! 逸般養鶏業者のお手伝い!!……バードファイターとロビンと鋼鉄の友情―――そして時々青色と。

 

 

 ゴットサイド養鶏場。

 

 それは、多魔市の端にある、ひときわ大きな養鶏場である。

 そんな大きな養鶏場を信じられないことに基本的には二人で経営している。しかも、そこで育てられた鶏と卵がブランドものになっているから驚きだ。

 今日は、いつもの二人の他に、二人の少年少女がこの養鶏場に来ている。

 

 

「……不二…なんでお前、いるの?」

「学校の職業見学ですわ。第一次産業は第二・第三の産業を支える基礎ですので、ここを学ぶべきと判断しました。神原さんは何故ここに?」

「………露店手伝ったら気に入られた」

「そ、それはそれは………」

 

 というか俺と何故か不二がゴットサイド養鶏場に来ていた。二人とも、見学・作業のためにツナギに着換えている。

 先日、俺はたまさくら商店街の納涼祭でチキーラさんとエッグラさんの焼き鳥屋さんのアルバイトをした。数多くの客をさばくためにテキパキ動いていたのだが、「良ければ今度は養鶏場に来ないか?」と言われ、半分拉致に近い形でここまで来たのである。

 しかも、そのタイミングが不二の学校の夏季休業中の職場体験学習に被り、今に至るのである。

 

「千代田さんからお聞きしましたわ。キラーパンサーのこと」

「チロルはもうほとんど猫みたいなもんだよ。写メでも送ったろう。なんなら、今度うちに撫でに来るか?」

「行きませんわ! なぜ、魔法少女たるわたくしが地獄の殺し屋など……!」

「チロルは地獄の殺し屋じゃないから。天国の殺し屋だから。あったらもうイチコロよ」

「意味が分かりませんわ!何ですか天国の殺し屋って!! 大体―――」

 

「いやぁ、待たせたね黒男くん、実里ちゃん!」

 

 俺と不二がチロルについて話しているところに、いつもの奇天烈な姿のチキーラさんとエッグラさんが現れる。ま、まさかその格好のまま仕事をするつもりなのか?

 

「え、お、お二人のその格好って……仕事着、なんですか……?」

 

「まぁ、似たようなもんじゃ。黒男くんと実里ちゃんで何か話していたみたいだが、知り合いかの?」

 

「不二は知り合いの魔法少女なんだ」

 

「ちょ、神原さん!?」

 

「あぁ〜〜、魔法少女ね!! なんだ、それならそうと言ってくれれば良いのに……!」

 

 チキーラさんとエッグラさんは、魔法少女に理解がある。まぞくにも理解がある。それでいて、とんでもない実力者だ。ハンデを持ったまま俺を一瞬でノしたほどである。だから、まぞくと魔法少女についてある程度は話しても問題ない。

 不二が「魔法少女をご存知なのですか?」と尋ねれば、お二人がかつて俺に話してくれた神原玲奈(母さん)とのエピソードを話してくれた。不二は引いた。まぁそうだよな。襲ってきた魔法少女に鶏肉と卵を食わせるとかよく分からないよな。

 

 

「あの、神原さん。ここ、大丈夫なのでしょうか? わたくし…ここに来たことを後悔し始めているのですが」

 

「心折れるな、諦めんな不二。きっと大丈夫、ブランド鶏を扱ってるとはいえ、所詮は鶏だ。これ以上常識外れが起こるわけねーよ」

 

 いくら言動が非常識といえども、養鶏場という体裁をとっている以上、養鶏場自体は普通のはずだ。頼むからそうあってくれ。

 チキーラさんとエッグラさんが戻ってくる。

 

「今日二人に頼みたいことはな……

 突然変異した鶏を沈静化することだ」

 

「待ってくださいちょっと待ってください」

 

 俺の不二への励ましが早くも崩れ去ろうとしている。鶏の突然変異とはなんだ。あと沈静化ってイヤな予感しかしねぇ。

 

「鶏を育ててるとたまになるんだよな。羽が真っ黒になったり図体がでかくなったりして、暴れだすんだ。まぁワシらならパンチ一発で黙らせられるがな」

 

「普通の鶏は突然変異して暴れだしませんけど」

 

 ほんとに何したらそうなんだよマジで。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「……なぁ不二、こういうのも魔法少女の使命に含まれるのか?」

 

「そんなわけありませんわ! 突然変異した鶏と戦ったことなんてありません!!」

 

 だよな。むしろあったらリアクションに困る。

 そんな俺達の目の前には、鶏達が見渡す限りの平原に放し飼いされている。逃走防止の柵が見えない当たり、かなり広い敷地で飼育されているみたいだ。

 

 

「君達にはあいつらを全員小屋へ戻す作業をしてもらいたいんだ」

 

「犬を使えば大半はラクにできるのだが、突然変異したヤツに返り討ちにされる事も多い。故に、この機械も使ってくれて構わん」

 

 エッグラさんは、一機の機械を俺達によこした。

 そいつは、ブルーメタルのボディに、真ん中から赤いモノアイがのぞいている。両手には反りの深い木刀とボウガンが装備されており、4つの足がしっかりとそれらを支えている。

 

「これ大丈夫なのか? なかなか物々しいデザインだぞ?」

 

「自立思考ができる自動農作業マシンの『ロビン』だ。ちょいとキラーマシンを改造したものだが頼もしい機械じゃよ」

 

「ほんとに大丈夫なの!? キルされないよね?後ろからばっさりとキルしてこないよね!?」

 

「ほれ、そろそろ奴らが来るぞ。戦う準備をせんか」

 

「ねぇなんで答えないの?なんでスルーするの!?」

 

 というか、今回の仕事に木刀とボウガンがどう活躍するのか予想もつかないんですけど。なんなの?突然変異した鶏って、そんなにやベェーの??

 

 しかし、そんな戸惑う俺を鶏たちが待ってくれるわけもなく、農業マシンに追われた鶏が放牧から戻ってくる。

 大体が白の体に赤いトサカの鶏だ。―――その中に、ひときわ大きな鶏が数羽。ひときわ大きくて青い鶏が数羽。そして、色を失ったかのような真っ黒な鶏がちらほら。

 

 

「「……………」」

「黒男くんと実里ちゃんは大きいのを頼むぞ!

 わしらは普通のと黒いのを何とかするからの!間違っても黒いのには手を出すなよ!」

 

 この時点でもう帰りたい。

 というのも、大きい鶏が俺や不二の……ひいては人間の身長を優に超えている。2m(メーター)50cm(センチ)はあるんじゃないかな?

 しかも2つの翼で低空飛行しているのだ。見上げるほどの大鶏が普通の鶏の中に混じっている絵面も、なかなかにショッキングかつシュールなものだ。

 

 そして、このタイミングで、最悪なことに気づく。

 

「…あっ」

「神原さん? 如何なさいましたか?」

「……杖、忘れた」

「はぁ!!?」

 

 ―――ゴミ先祖が、この場にいない。

 ゴミのような先祖だけれども、アレでも杖なのだ。ゴミ先祖の助力なしで変身は出来ないし、マトモな力を引き出せるかと言われると怪しい。

 

「どうして武器をお忘れに!!」

「だって半分くらい拉致られた形だったから…」

「なんじゃ、武器がないのか、黒男くん!! そうならそうと言わんか!ほれこれ使え!!」

 

 エッグラさんから何かを手渡された。それは杖のようだった。よく分からないけどないよりマシだ!

 

「行きますわよ!」

「まぁ、やりますか」

 

 変身した不二と共に、鶏との戦闘を始めた。

 

 

 まず、飛び出した不二が手にした双剣でおおにわとりを一羽、一閃ののちに切り伏せた。目立った傷が見えないから、峰打ちだろう。その後も、次から次へとやってくる鶏に対して、峰打ちで捌き倒していく。

 

 俺も負けていられない。エッグラさんから渡された杖に魔力を集める。

 放つは氷の魔法。自分の周囲に冷気が集まって、何もない場所から氷の礫を生成する。

 

氷呪文(ヒャド)

 

 撃ち出された氷は、まだ立っているおおにわとりに寸分違わずに命中し、そいつを打ちのめす。浮力を失ったデカい図体がずしん、と地面に沈んだ。

 

 ロビンとやらの機械はというと、ボウガンでおおにわとりを牽制し、木刀で殴り倒し、果ては目からレーザーまで放っている。レーザーが通った箇所が爆発して、普通の鶏もろともおおにわとり達を吹っ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――いやアレ良いの?明らかに普通の鶏巻き込んでるんだけど!? みんなまとめてボコしてないか!!?

 

「神原さん!! 余所見はおやめください!!」

 

「いや、でもあれおかしくないか!? あのロボット一切自重してねーぞ!?」

 

「いいから!!お気になさらず!!!」

 

「イヤ気にした方が良くね!? レーザーで鶏をまとめて吹き飛ばすとか良い訳ねーだろ!!?」

 

 目の前に集中することに専念できるる不二がちょっと羨ましい。得体の知れない機械(味方)の過多な情報量にこっちは困っているというのに。というか、もう全部アイツ一機で良いんじゃ……いや駄目そうだな。

 

 

「神原さん! 早く魔法の援護を……うっ!?」

 

「不二!?」

 

 さっきまで大暴れしていたはずの不二が突然、膝をついてしまう。すぐさま駆け寄り、容体を確認する。

 

「大丈夫か!?」

 

「すい、ません………いきなり、睡…魔が……」

 

「睡魔?」

 

 どういう事だ。

 こんなタイミングで睡魔なんてどう考えてもおかしい。寝不足にしてはさっきまでの会話も表情も眠そうではなかった。だとすると……

 

「コッコッコッコッ!!」

 

「………やはりコイツらの仕業か」

 

 睡魔に抗う不二とそれを支える俺を、愉快そうに見下ろす、青色のおおにわとり。鶏特有の鳴き声のはずなのに、違和感が半端ないが……その鶏たちが何かしたに違いない。

 

「コッコッコッコッコッコッ!」

 

「ちっ……邪魔すんな!!」

 

 襲いくるおおにわとり達に広範囲に広がる(ギラ)を放てば、その熱量に怯み、たたらを踏む。炎系の魔法は普通の鶏たちを巻き込みそうだから使用を控えていたが、今は周りにおおにわとりしかいないし問題ないだろ。

 この隙にどうにかして不二を起こしたいところだが、ペチペチとほっぺを叩いても「んゅぅ…」と眠たげに呟くだけで効果は期待できなさそうだ。かくなる上は、もっと強めに……

 

 

 

 

 

「オイオイ、ソレジャ彼女ハ起キナイゼ?」

 

「何でそんなことがわか……???」

 

 今周囲に口がついていて、なおかつ人間の言葉を話せるような存在は俺と不二を除いていない。その不二も、さっきの魔法で睡魔に強襲され、「うぅみゅ」ととても小さな、眠たげな声を出している。だとすると候補はおおにわとりくらいのものだが、アイツらは鳥の鳴き声しか出せない。となると残りは……?

 

 

「ソノ娘は催眠魔法(ラリホー)デ眠ラサレテル。手ッ取リ早ク起コスニハ解眠魔法『ザメハ』が効果的ダ」

 

 

 視線を眠りかけてる不二から上に上げると、ブルーメタルのボディと赤く光るモノアイが特徴的なロボットが立っていた。

 なるほど、どうりでさっきの言葉が妙に電子的だったのか―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャアアアアアアシャベッタァァァァアアア!!?」

 

「機械ガ喋ッテ何ガ悪イ?」

 

 いや悪すぎんだろ! 悪すぎて思いっきり変な声が出たわ。

 まったく喋ると思っていなかった農作業用キラーマシンことロビンは、動揺する俺を待ってはくれない。

 

「ココカラハ私ガ斬リ込ンデ時間ヲ稼グ。

 オ前ハ可能ナ限リ強力ナ攻撃魔法デヤツラヲ吹キ飛バセ」

 

 えっ待って。なんでそんな饒舌なの。

 なんでそんな事をしようと判断したの。

 なんでそこまで格好いい真似がナチュラルにできんの…!?

 

「俺のイオナズンじゃあ、いくら何でもお前を巻き込んでしまうんじゃ……!?」

「問題ナイ。機械ノ体ハイクラデモ作リ直セル」

 

 え、マジでそういうキャラなの?

 機械ってもっとこう、人の心が分からない感じじゃないのか? 今のロビン、めちゃくちゃ俺の心境を読み取ってるんですけど。自分を巻き込んでいいとか男前すぎません??

 

 

「…………分かった。死ぬなよ!」

「無論!」

 

 合図をし合うと、ロビンは敵陣に突っ込んでいくと、全身を回転させながら木刀を振るう。彼を中心に竜巻のような連撃が放たれて、巨大な鶏たちの意識を刈り取っていく。ロビンから距離を離したおおにわとりも、ボウガンの狙い撃ちで昏倒する。

 

 

(集中だ……思い出すべきは、不二を吹き飛ばした大魔法………あれを、もっと規模小さめに!)

 

 

 ロビン本人(?)は巻き込んでもいいと言っていたが、それでも巻き込まないに越したことはない。ロビンを避け、おおにわとりの群れだけを吹き飛ばすために……全力で、かつ慎重に魔法を作り上げる。すると、自然とというべきか、集まる魔力が減ってきたような気がした。

 

 ゴミ先祖から呪文の名前だけでも聞いてきておいて良かった。知っているのと知らないのとではイメージが全く変わってくる。

 そして……今、俺とゴミ先祖の魔法特訓の成果を見せる時!

 

 

「―――大爆発呪文(イオラ)!!」

 

 

 瞬間、光が爆ぜる。視界が真っ白になって、鼓膜をうるさい爆音が揺すった。しかし、不二戦の時ほどじゃあない。そして、魔力の消耗も極大爆発呪文(イオナズン)ほどではない。

 

 そして爆発が収まった後見えてきたのは……やや煤けたロビンと、力なく地面に倒れるおおにわとりの群れであった。

 

 上手く行ったのだ。魔力の制御ができた証拠である。

 

 

「よっしゃああ!!」

「威力ヲ抑エタノカ」

「あぁ! イオ系はイオナズンしか覚えなかったからな。制御ができて良かったよ!」

 

 

 これでやや狭い所での戦闘や連発出来ないといった欠点を少しは補う事が出来るという訳だ。

 大方のおおにわとりを倒すこともできたし、この仕事もそろそろ終わりか。不二を叩き起こして、あのお二人に報告をしに―――

 

 

 

 

「危ナイ!!!」

「え?」

 

 突然、電子的な声が響いたと思えば、俺の目の前にロビンが立ちふさがる。何事かと思う間もなく、そのブルーメタルの体が、巨大な鶏の拳を受け止めた。

 まだ一匹、残っていたのだ。拳の主である青いおおにわとりは、愉快そうにコッコッと笑っている。

 

 

「―――は?

 お、おいロビン……」

 

「最後ノ……一体…ダ…、ピガガ、オ前ガトドメヲ………刺セ……」

 

「ノイズ入ってんじゃねーか! 無茶しやがって!! なんで庇ったりした!!」

 

「私ハ……壊レテモ直セル…ダガ、人はソウハイカナイ…………」

 

「!!!」

 

「早ク……ピガガコイ…ツノ…手ヲ……受ケ止メ…テ…イル……隙ニ……ピーー

 

 ロビンは、全身をスパークさせ、途切れ途切れの電子音でそう言った。

 なんて奴だ。

 ここまで己の身を顧みずに戦えるなんて誰がわかるものなのか。知らなかったよ、ロビン。お前が、そこまでの覚悟を持っていたなんて。

 

 

「ロビン。俺、お前の事を誤解してたよ。そこまで人間のようなマシンは初めて見た」

 

 

 それだけロビンに向かって言うと、杖に魔力を集中させる。魔法を放つときのそれではない。さまよう魂と戦った時に初めて出した、紫電のような純粋な魔力だ。

 

 

 そして、その時不思議なことが起こった。

 

 

 借りた杖が俺の魔力を吸収したかと思えば、杖の先端からビームサーベルのような光の刃が生まれたのだ。

 

 

「!!?」

「コッ……コッ…………!」

 

 

 バチバチと雷の音のする紫の光が、ロビンの体から出るスパークを吸収して更に明るい光となる。その光景に、さっきまで余裕そうだった青いおおにわとりも、笑うのを止めて、全身を震わせながら光る剣を見つめている。

 

 

 ―――行クゾ。

 

おう! おらああああああああああああああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァァ!!!!!!

 

 ロビンの声が、聞こえた気がした。

 

 

 

 そして……大上段に振り上げたビームサーベルを、恐怖で硬直しきった最後の一羽に振り下ろした―――

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 全てのおおにわとりを鎮圧したとチキーラさんとエッグラさんに報告して暫く。

 

 見事な仕事ぶりに大満足したチキーラさんがおおにわとり達の回収に行った。なんでも、食用に出来ないか調べて、ブランドにするか隠れた名産にするか検討するのだという。皆が持つ「勇者のイメージ」の、遥か斜め上を行く勇者がそこにはいた。

 戦闘終了時に眠り続けていた不二も、エッグラさん曰く「もうじき目覚めるし、後遺症もないだろう」とのことだ。

 

 その一方で、俺は何をしているのかというと……

 

 

 

 

 

「………ロビン。俺は、やりきったぞ」

 

 

 戦場の跡にて、共に戦った戦友(ロビン)に、全て(のおおにわとりの鎮圧)が終わったことを報告していた。ボロボロになったブルーメタルのボディはやはり動かず……夕陽を反射して輝くのみ。モノアイが光っていた所には、もう光が灯ることもない。

 

 

「全部、ロビンのおかげだよ」

 

 

 エッグラさんから貸してもらった杖とか、不二の前半の無双とかの要素もあったが、不二が眠らされてからの巻き返し、および最後のひと押しは、やっぱりロビンの強力あってのものだ。

 

 だが―――どういう訳か、俺の心に穴が空いてしまっている。理由は言うまでもない。

 確かにロビンは「機械だから替えがきく」と言っていた。「直せば元通りだ」とも。だがそれが自分を粗末に扱って良い理由にはならないだろ。

 

 

「そんなボロボロになってまで、守ってくれてありがとな」

 

 

 だが、それがロビンの生き様であり、彼の望みであるのならばああだこうだ言うまい。俺に出来ることは、ロビンという機械―――否。友人を、忘れないでいてやること。彼を胸に生かし、生きていくこと。それだけだ。

 

 

「神原さん」

「あ…不二! 起きたのか」

 

 そこに、呪文の効果が解けたのか目を覚ました不二が制服姿でやってくる。

 

「はい。今回はご迷惑をおかけしたようで……申し訳ありませんでした」

「気にするな。お互い無事で仕事を終わらせられたんだからそれで良しとしようじゃあないか。まぁそれもこれも全部―――コイツのおかげだがな」

 

 

 動かなくなったロビンを見ながら俺は、不二に経緯を説明した。

 ロビンが喋ったこと、共闘したこと、そして身を粉にして庇ってくれたこと。そして、その果ても。

 

 

「そういうわけでな。今、俺はロビンに全てのおおにわとりを鎮圧できたって報告を―――」

 

「なるほど。ピンチに陥った人を背に戦うプログラムですか」

 

 

 ――――――は?

 

 

「壊れても修理が可能な戦闘機械――人の命とのコストを考えると、合理的な判断に感じますね。機械の損傷なら修理代で済みますが、誰かが怪我をしたとなったら不祥事ですから」

 

 

 待ってくれ不二。お前、まさか―――

 

 

 

 

「このキラーマシンも、丈夫でローコストで済む素材でできている……のでしょうか。こういう畜産現場も機械化が―――」

 

 

「おい不二」

 

「はい? なんでしょうか」

 

「――お前もう喋るな」

「はい!!? な、何なんですかいきなり」

「それ以上続けたらいくらお前でも怒るぞ」

「な!? わ、わたくし、何かお気に障ることでも!!?」

「あぁ。特大の地雷だよ。お前には心も閉ざしたい」

「そこまで!!!?」

 

 

 男のロマンを踏みにじるお前が悪い。例え自覚がなかろうと、夢の欠片もないことを連発するのはギルティだ。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 不二と別れ、すっかり日も暮れた頃に自宅に帰ると、待ち構えていたのはゴミ先祖のしつこい質問攻めであった。

 

『クロウ!!! 偉大なるこの我を置いて、キサマ一体どこをほっつき歩いていたのだ! せめて連絡くらいするべきだろう!! 日中に顔を出したしゃみ子と千代田桃と陽夏木ミカンにどう説明すればいいかも分からぬまま、三人を困らせる羽目になった我の身にもなってみろ!!!』

 

 うーん。今回の件、悪いのは俺を拉致ったチキーラさんエッグラさんと断り切れなかった俺にあるので、反論しようにも反論できない。ただし、『「気がついたらいなくなってた」と説明したのに我が疑われた』と騒ぐ部分に関しては完全にゴミ先祖の日頃の行いが悪いと思う。

 

『そうだ。奴らに連絡を入れねば』

 

 

 と、固定電話に飛び乗ったかと思うと、杖の先を利用してボタンを一つずつポチポチ押し、受話器を跳ね上げて本体の隣に置いたかと思えば、そこに寝そべり電話をかける体勢になった。どうやんのそれ。器用すぎない?

 

『もしもし! 千代田桃か?

 先ほどクロウが帰ってきた! これから彼に尋問する故、しゃみ子と陽夏木ミカンを連れて我が家に来るがいい!』

 

「電話をかける人の態度じゃねーだろ!」

 

『ギャアアアアアアアアア!!!?』

 

 予想通りに失礼なゴミ先祖をへし折って、電話を切った。

 

 

 

 

 

 日も沈んだというのに、ゴミ先祖の失礼な呼びかけに答えて来てくれた3人に対して、今日はチキーラさんとエッグラさんの養鶏場に行っていた事を話した。拉致に近い形で朝早くに連れて行かれた為、ゴミ先祖とすら連絡が出来なかったことも含めて。

 

「…結局、チキーラさんとエッグラさんって何者なの?」

「俺の隣に住んでいる、ただの()般人……だそうだ」

「「「………???」」」

「……まぁそういう顔するよね。俺も未だに納得いかないし」

 

 特に実力は頭おかしい。アレが一般なら、多魔市はとんだ人外魔境になってしまう。

 と、それは置いといて、続いては二人の養鶏場―――ゴッドサイド養鶏場での話になった。

 

 青色魔法少女こと不二実里と出会ったこと。

 手伝いの一環でとてつもなくデカい鶏と戦ったこと。

 そして―――ロビンのこと。

 

 

「流石チキーラさんとエッグラさんの養鶏場……名前も鶏も強そうです……でもロビンさんはめちゃカッコ良かったです!!」

 

「だよな。あの時のロビンの勇姿を皆にも見せたかった」

 

 シャミ子はしっぽを振って、ロビンとの絆に共感してくれた。ロマンの分かる女子は嫌いじゃないぜ。

 

「クロ、大丈夫だったの?」

 

「ああ!問題ない! 爆発魔法の制御が上手く行ったし、ビームサーベルも使えるようになったからな!」

 

「ビームサーベル!!!」

 

 ミカンは俺の身を心配してくれた。有り難いことではあるが、大事ない事を説明したら、今度はシャミ子がビームサーベルという単語に食いついた。後日ゴミ先祖の杖でビームサーベルが出来るか試してみよう。

 

 

「いや、光の剣なんて魔法少女ではメジャーだよ。それに、機械に感情があるとは思えない」

 

「…………」

 

 そして、千代田、だが………

 

 

 

「千代田、その手の話をするのはそこら辺にしておこうか」

「?」

「俺はお前にまで心を閉ざしたくない」

「え、神原くん!?」

「クロウさん!? め、目から光が消えかかってます!!?」

「桃、そういうところよ。分かってなくても言っちゃ駄目でしょう」

 

 機械関連のロマンについて、何度説明しても理解してはくれなかった。

 これで勝ったと思うなよ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がんばれクロウ! 何があってもめげることのない、芯の強い暗黒神になるんだ!




オリジナル&ゲストキャラクター紹介

神原クロウ
 不二やロビンと戦い、絆を結んだ暗黒神後継者。男らしいロボット系のアツいロマンやハードボイルドは好物。何気に理解を示してくれたシャミ子が心のオアシスとなった。

不二実里
 とんでもない職場体験学習を経た魔法少女。ちなみに彼女の学校は当然シャミ子たちの通う学校とは違い、格式高いお嬢様高校である。しかし、「世間知らずなお嬢様は育てるつもりはない」と、職場体験学習等の働く現場へ積極的に行く体験学習が多いようだ。

チキーラ&エッグラ
 あいも変わらぬ裏ボスコンビ。クロウや不二が戦っている裏で強力な「真っ黒な鶏の魔物」を片っ端から倒している。本当に一般人なのかコイツら。

おおにわとり
 巨大に成長した鶏の魔物。食べられそうな見た目をしている。序盤の壁の一つであり、高めの攻撃力とタフさ、そして眠り攻撃でライアンを苦しめた。拙作ではゴッドサイド養鶏場の鶏の突然変異種(笑)として登場。

マンルースター
 呪文を覚えたおおにわとり。こちらは全身が青色に染まっており、お世辞にも美味しそうな見た目とはいえない。ラリホーやラリホーマを覚える。拙作ではゴッドサイド養鶏場の鶏の突然変異種(笑)として登場。

キラーマシン
 Dr.デロトが開発したといわれる、冷酷無比な殺人機械。青い機械ボディとモノアイが特徴的。様々な剣技やボウガン、モノアイから放たれるレーザーなどの強力な攻撃を1ターンに2回してくる。ドラクエビルダーズ2では野菜収穫機と化しているらしい。拙作ではゴッドサイド養鶏場の補助機械・戦闘機械として登場。名前は「ロビン」。



今回の呪文辞典

・ラリホー
 敵1グループを眠らせる。

・ザメハ
 味方全体を眠りから覚ます。

・イオラ
 大爆発を起こし、敵全体にダメージを与える。

クロウとこの娘との絡みが見たい!

  • まぞくのよしみシャミ子
  • 正統派魔法少女ヒロイン陽夏木ミカン
  • 闇深い系魔法少女千代田桃
  • ブルジョワ魔法少女不二実里
  • お兄と呼ばれたい幼き軍師良ちゃん
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