今回のあらすじ
少女メルが こちらを見つめている!
「「危機管理フォームが使えなくなった?」」
その日、俺と千代田は、佐田とミカンが顔を若干腫らして泣いているシャミ子を連れながらそう言ってきたのを聞いて、揃って声をあげた。
なんでも、シャミ子たちD組女子の今日の体育の授業でやったバレーで、シャミ子がレシーブする為に危機管理フォームに変身しようと思ったところ、何故か変身できずに顔面レシーブしてしまったそうだ。
『おそらくだが…しゃみ子よ、リリスが貴様の変身に関わっていたからではないか?』
シャミ子の事情を聞いたゴミ先祖がそう答えた。
なんでそんなことが分かるんだ、コイツ?
『魔法少女や魔族の変身は「強い自分自身」を意識して変身するのだ。どんな姿になるにせよイメージ力が大切だ。魔法もイメージ力がモノを言う事例など数多い。まぁ、詳しくはリリス本人に聞くことだな』
「…ひょっとして、俺の変身もそうなのか?」
『然り。良い機会だ、しゃみ子もクロウも、自力で変身できるように特訓してみてはどうだろうか?』
自力で変身するには、『強い自分のイメージ』を現実に持って来るようにする………つまり、自分で変身した後の姿を想像する必要があるようで。
シャミ子の変身姿は……詳しくは知らないけど、前に一回見てみたいって言ったら、千代田とミカンに「変態」呼ばわりされたことがあった。なんなの、そんなにイカンの? 男の俺が見るにはやばい格好なの? 尋ねても、詳細は教えてくれなかったっけか。
「そういえば神原くん。遊元君はどうしたの?」
「あぁ…アイツ、今日欠席なんだよ」
「珍しいこともあるもんだよねー」
千代田がさらっとそんな話題を振ってきたが、ダイはなんか今日休みなんだよな。俺の知る中で初めてだったから新鮮だ。先生は詳しい事を教えてくれなかったが、妙に気になるな。
そんなことよりも、シャミ子と俺の変身の自立だ。バレーボールの一件を共有した後、俺はゲモンに事情を説明するために、シャミ子と千代田はリリスさんに変身の詳細を聞くために、一旦別れた。
…俺の方だが、自力で変身は上手くいった。ゴミ先祖考案(と今初めて知った)の、不二と戦ってから使っていた最初のフォームを見た目ちょっと軽量化した感じだ。
「…なんか、上手く行っちゃった」
『イメージがしっかりしていれば、容易いものだ』
『クロウよ!何故デザインを変更した!! 我考案の鎧の何が気に食わなんだ!!』
「顔隠れるのはダメだって。職質食らうって」
最初の鎧は、性能はいいんだけど見た目がね~。少なくとも顔出しできるものにはしておきたかったから、成功出来て良かった。
だが、シャミ子の方は上手くいかなかったらしい。RINEで本人達に聞いたところ、「恥ずかしくないかわいいやつが思いつかない」「魔力外装は存在そのものを魔力で補強する皮膜だけど、シャミ子はまだ抵抗があるみたい」などと教えてくれた。詳しくは聞かなかったぞ。前みたいに何がセクハラになるか分からないからな。
……で、翌日のことなんだが。
「シャミ子プロデュース会議を始める!!」
「はい????」
何故かリリスさんがいた。何でいるんだ。
「この学校、川の近くなのでゴミを拾えるのだ。シャミ子の顔が見たいと言ったら通してくれたぞ。ついでに生徒の籍も貰ってきた」
「生徒籍もッ!!!!?」
だ、大丈夫かこの学校。シャミ子をシャミ子と認識するのはまだいいが、ピエールを受け入れたりリリスさんを受け入れたりと緩すぎるだろう。生徒の籍なんていくらなんでもやりすぎでは……?
話を戻そう。なかなか急展開的に生徒になったリリスさんは、昼休みの時間にシャミ子の教室に俺らを集めて「プロデュース会議」なるものの開始を宣言したのだが。
「妖魔女王シャドウリリスよ。色魔将軍シャドウミストレスのプロデュースと言ったが、具体的に何を話すつもりなのでしょうか?」
「色魔将軍ってなんですか!?!?」
「おぉ、スライムナイトのピエールか。実は、シャミ子が変身フォームを変えたいと言ってな。肌の露出のないタイプの意見をみなに募るために会議を開いたのだ」
「肌を出すことと変身フォームに何か関係でも?」
「余たちの一族は肌を出した方が戦闘力が上がる。前のへそ出し変身フォームはバランスが取れてて良いと思ったのだが、シャミ子が嫌がってな…」
「成る程。それで、露出の少ない意見の徴募ですか」
「無視しないでー!」
ぽがーってなっているシャミ子をスルーして、リリスさんとピエール(また保護者枠で来たのかコイツ)が話を進めていく。つまり……前の変身フォームは人前でお見せできるものではなかったってことか?
道理で千代田とミカンが俺に変身後のシャミ子を見せようとしなかったわけだ。これからは、人前に出れる変身フォームを考えようってコトなんだな! そういう事なら、是非とも力になってやりたい。
しかし、ここで壁が立ちはだかる。シャミ子本人は露出の少ないコスチュームをご所望だが、シャミ子の一族はリリスさん曰く布面積を大きくしたらそれだけ弱体化するそうだ。肌を出す設計にすればシャミ子のメンタルが、露出を避ける方向性で行けばシャミ子の戦闘力が犠牲になる。ジレンマだ。
「裏フリースあったかジャージみたいに肌を全面的に隠そうものなら、地面にめり込むから留意してくれ」
「地面にめり込むの!!!?」
一体それはどんな状況だと聞きたかったが、リリスさんとシャミ子が待っている以上、俺はどうにかして人前に出れて、且つ適度に露出のあるフォームを考えないといけない。
でもそんなのパッと出てこないぞ!? こういうのって、ミカンの方が為になること言えそうなんだよなぁ。私服が肩出しのとかあるし。
「肩とかは出してんのか?」
「肩はもう以前の危機管理フォームからだしておるぞ」
「ごめん、ちょっと力になれそうにない…」
「クロウさん諦めないで!!」
『ウブなやつ…クク』
肩がもう既に出ているとなると、俺はもう諦めるしかない。下手な部位を言ってセクハラカウントされようものなら後が怖い。というか肩の時点でもうギリギリだし。あとゴミ先祖、聞こえてるぞ。
「あ、じゃあスポーツウェアっぽいのはどう? 肌が多くてもえっちくないし足も速くなりそう」
「おぉー、あの駅伝みたいなヤツか! いけるんじゃないか!?」
「杏里ちゃん私をえっちだと思ってたんですか?」
なるほど、スポーツウェアみたいな恰好なら肌は出るけれどスポーティーな感じを前に押し出せるから、抵抗なくいけるかもしれない!
佐田の提案を受けて、シャミ子はさっそく変身する。その名も―――
「シャドウミストレス優子! 山の神フォ―――ムゴモッッ!!!」
「シャミ子ぉぉぉぉぉ!!!?」
「速すぎて無理…!」
「大丈夫かぁぁ!!?」
い…今、シャミ子が駅伝走者の格好になったと思ったら教室の壁に激突してヒビ作ったぞ!!?
顔が真っ赤になって目も回しておられる……なんてこった、今のスピード、俺にも見えなかったぞ!?
『流石だな、しゃみ子よ……今、はぐれメタルに負けず劣らずの速度が出ておったぞ。それを採用するのはどうだ?』
「わ、私が、速さについていけま、せん………!」
『貧弱な奴め』
「イヤ、今のは貧弱じゃなくても無理だろ」
千代田か不二でもないとあのスピードを即使いこなすなんてできない。他の案を募った方が良さそうだ。
シャミ子の注文は「恥ずかしくなくって強くなれそうなやつ」。それで集まったみんなに案を募っていたな。
シャミ子自身も「かわいくて強くなれそうなアイデアをお願いします」って言ったところで、とりあえず、俺が思いついた事を言ってみるか。
「筋肉は最高の
「手を10本足を6本生やして手数をふやそっ」
「射程50キロあれば大体勝てるわ」
「シールド○ットとファン○ルはロマン」
「装備する武器は最高級のものにすべきでしょう」
「武器を弾く超魔生物の皮膚と魔法を弾く超結界を兼ね備えては
『巨大化すればすべてが解決する』
「かわいくって言葉聞こえてましたか!!?」
千代田・小倉・ミカン・俺・ピエール・フブキ・ゴミ先祖が次々に意見を述べる。
おい、意見出しておいてなんだけど、千代田と小倉の意見はなんなんだよ。強くなれそうなアイデアだぞ、分かってんのか?
リリスさんが持っていたスケッチブックに何か書き込んでいってるけど、まさか二人の意見も書き込んでいるわけじゃないよな?
「設計してみたぞ」
リリスさんが見せたスケッチブックには、俺の予想外のものが描き込まれていた。
なんと、手が10本・足が6本あり、筋肉モリモリで肌の色が人間のものじゃないシャミ子が、無駄に豪華で強力そうな武器を装備している絵だった。しかも周囲をシールドビッ○とフ○ンネルが固め、オマケに下には、全長が40
オーイなんだよコレは。おそらくさっきの要素を全部詰め込んでくれたんだろうが………もう原型留めてないどころか、神話の化け物じゃねーか。
「正気度が下がりまくるッッッ!!!!!」
「これ絶対小倉と千代田のせいだろ。邪神って言われても納得するぞこの絵」
「何言ってるのさぁ神原君。あなたのファ○ネルも大概じゃないかなぁ」
「そうだよ。筋肉は悪くない」
「悪いのはきさまらの発想でしょーが!!こんなの全部ボツです!!!」
シャミ子にまとめてツッコまれ、今までの強くなれる案が全部ボツ扱いされた後、彼女は「そもそも、私新しいコスチュームの構想はもうできてるんです!!」と言ってスケッチブックの白紙に描き込んでいく。
「これです!こういう感じ!ヒラっとしてまぁかわくって軽装!!」
目を輝かせ、どうだと言わんばかりに見せた絵は、どこかで見たことのあるような、ピンク基調のフリフリコーデな格好をしたシャミ子の絵だった。
というか千代田の魔法少女コスチュームだった。
「………似てね? 千代田の服に…」
「違います! 最適解がこれだっただけです!」
「……」
…うん。明らかに似せに行っている。ペアコーデにしようとしている。
ミカンも佐田もピエールもフブキもその事に察したのか各々何か言いたげな様子だったが、これには千代田がすぐにこう言った。
「ヒラヒラが重くて邪魔になりそうだね」
「え………」
「慣れ親しんだフォームの方がいいと思うよ。戦闘に可愛さとか必要ないし」
「………いやっ、でも…」
……あれ、千代田さん?
もしかして、シャミ子の案が千代田とお揃いになっているの、気づいていない感じですか?
なんだか、まるで無意識にシャミ子が傷つくことを言っているように見えるのだが……
「………わ、私は桃とおそろの服がいいんです!!」
「え、なんでそんな建設的でないことを」
「え、ちよ、おまっ―――」
「………シャドウミストレス優子・心の壁フォーム……」
「「「シャミ子ォォォーーーーーーーーーーー!!!!!」」」
オイィィィィ!最悪だ! 千代田のやつ、マジで気づいていなかった!
しかも、それだけに飽き足らず、シャミ子の願望を思いっきり叩き潰す真似をしおったー!!
千代田の言葉に心底傷ついたシャミ子は、巨大な二枚貝の中に閉じこもってしまった。
「しゃ、シャミ子~?」
「きさまはロマンをわかっていない」
「シャミ子…」
「今の私はホタテ貝です」
「えぇ…」
千代田以外の全員は分かっているが、これは明らかに千代田が悪い。
シャミ子のおそろがいいってロマンをバリバリ無視したのだ。理解できない方がどうかしている。
なんでこう、魔法少女ってこうなんだろうな。千代田といい不二といい………あっ、ミカンは違うよ。ミカンはロビンの一件を分かってくれたからな。
巨大な貝に閉じこもって拗ねてしまったシャミ子相手に千代田は再び口を開く。
「ご、ごめんね……でも、シャミ子には自分で自分自身を守ってほしいんだ………光闇系の人って、気づいたらいなくなってたなんて事がザラだから」
「……」
千代田から出た大真面目な話に、俺はミカンを見やる。
光闇系の人が急にいなくなるかもしれない……そう言った千代田の言葉を、確かめたかったから。
「ミカン…」
「クロ………ええ、魔法少女界隈では急にいなくなるって言うの、ザラだったわ。玲奈さんも分かってると思う」
やっぱりそうなのか……千代田もミカンも母さんも魔法少女として戦ってきた。
だがそれは、魔族に敗北する=死ぬことと隣り合わせだったのだろう。そしてそれは、おそらく壮絶だったのだろう。俺からすれば、『想像できないくらいに壮絶だった』ことしか推測できない。
千代田のそんな経験から来ていると思われる説得に、シャミ子はようやく二枚貝のフタを開けて、そこから涙目状態の顔をひょっこりと出した。
「ごめんなさい…私もちょっとわがままでした」
「たるんだお腹を出すのが嫌ならまず筋肉と言う鎧をまとって」
「心の壁フォーム・
「シャミ子ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?」
「オォォォイ!! 千代田さーーーーん!!!!!」
だからなんで千代田は傷心のシャミ子にそういうことが言えるんだぁ!!?
さっきっからおそろにしたいって言ってるんだから、ちょっとは気持ちを汲んでやってもいいだろうと千代田に懇切丁寧に説明する。
結局、この話は千代田がシャミ子のイメージに合わせてリビルドする形で幕が下りた。
シャミ子の変身姿談義があってから数日。
俺達は、奇妙な話を耳にすることになる。
「遊元君がまた休み!?」
「ここんとこ最近来てねーんだよ。流石におかしいと思ってアイツの部活のメンバーに聞いたら『寄り道した日から見かけてない』んだと」
ダイが学校に来ていない。
2日くらいなら随分風邪が長引くなとなるが、それ以上となると流石に異変を感じる。
もしやと思い部活のメンバーに聞いたら気になる情報が出てきたのだ。更に、特ダネかもしれない情報は1つだけじゃない。
「ダイのやつ、家にも帰ってきてないらしい」
「家にも帰ってないんですか!?」
「誰かのところに泊まっているとかは?」
「片っ端から聞いたが、誰もダイを泊めてないときた。
アイツ、どこで何をしてんだよ……!!」
明らかにマズい状態だと知った俺は、すぐにダイを探すべく、シャミ子達にも声をかけた。
家にすら帰ってきてないという事実は、シャミ子は勿論、千代田達魔法少女にも協力を取り付ける事に成功させた。
「でも、遊元くんが何処にいるか、とか分かるの?」
「まだ分からない。けど、ダイの部活仲間から『寄り道の行き先』は聞いてきた」
「! それって、どこ!?」
「多魔せいいき記念館。ちょうどイベントがあったみたいで、ソレを見に行ったらしい」
それ以降ダイが欠席になっているようだから、間違いなくそれが原因だとしか思えない。考えすぎなのかもしれないが。
とにかく、手がかりを探さないとどうにもならないだろう。俺達は、さっそくその博物館に行ってみることにした。
多魔せいいき記念館に到着してすぐに、目立った広告に目が行った。
『幸せを運ぶ大壁画! 期間限定展覧会!!
金運・恋愛・開運万事解決! お見逃しなく!』
ポスターに描かれたメソポタちっくな紫ドレスの美女の壁画が、否が応でも目に映る。
……胡散臭すぎる。
ド派手に彩られたポスターを見つけるなり、千代田もミカンも佐田もジト目になっちゃってるんだけど。
まさかだけど……ダイのやつ、モテなさ過ぎて運頼みに走ったのか? アイツの場合、ソレで何とかなるとは到底思えないけど。
「ダイさん、これ見に行ったんでしょうか?」
「まさか。それだったらここで働く女の学芸員さんに一目惚れしたって言った方が信じられるぜ」
「とりあえず、遊元くんを探しましょう。誰か見てるかもしれないわ」
早速ダイ探しの聞き込みを始めた……のだが。
やっぱりそう簡単には見つからないようだった。
「金髪の男子生徒? 見てないねぇ…」
「ごめんなさい。ちょっと力になれそうにないわ」
「この絵画はのォ~、キュビズムで描かれたももんじゃの絵なんじゃよ。それでの~…え、少年? え~~~と……なんだっけ?」
「あぁ? 俺様は今飾られてる壁画のご利益でビッグになる予定があんだよ!学生なんざ知るか!」
「ワンモアプリーズ。ナニイッテルカワカリマセーン」
やはり一日経ってしまったからなのか、目ぼしい情報が入ってこない。
期間限定の展覧をしているからか客自体は多いが、ダイを見た人は殆どいない。
やけに若い人たちが多いなとは思ったが、それでも、ダイを見たって人はいなかった。
「う~~ん……見つからないなぁ……」
「うぅ……ぐす…」
「?」
女の子のすすり泣く声が聞こえた。
そっちを向くといたのは、青い髪をした女の子だった。小学3年生くらいだろうか?
周りに大人がいない。どうやら、あの子ははぐれてしまったようだ…
「ねぇ、きみ」
「…ぐす……パパ…ママ……」
「迷子、なのか?」
「うぅぅ………」
「ほら、泣かないで。俺がついてるから。
…ね? だから名前を教えてくれない?」
「メル……」
迷子になっちゃってぐずって泣いていた女の子は、自分のことをメルと言った。外人の子かな。
そして、自分がどうして迷子になったのかを話してくれた。それによると……
「わたし、ここにはパパとママときたの……
でも、へきがのごりやくでおかねもちになるんだって、言って…
パパもママも、どこかに行っちゃったの…………」
―――とのこと。
こんな小さな子を置いてご利益目当てに壁画に行くとは、とんだ親だなと思ったが、それよりも寂しい想いをしているであろうこの子を親の元へ送ってあげるのが先決だ。
「大丈夫! お兄ちゃんが、必ずパパとママを見つけ出してあげるからね!」
そう言えば、メルの泣きはらした顔が少しだけ安心したような表情になった…気がした。
そうだ。この事をシャミ子達にもRINEで知らせておこう。人手は多い方が良いだろうからな。
こうして、友達を探しに来ただけのはずの俺が、小さな迷子の親探しをやることになった。ただまぁ、まんざら悪い事でもない。この子を放置したままなんて気が引けるし、人として当然の行いだって、思ったんだ。
『おい、クロウ!余計な事を引き受けるな! 貴様は遊元泰庵を探すことに集中すればいいだろう! そんな子供など放っておけ!』
「うわぁぁぁぁああん!」
「ゴミ先祖!!! 子供を泣かすな!!!」
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!?!?!?!?!?!?!?』
「だ、大丈夫だからね、メルちゃん!
この、イジワルな杖の言う事なんて気にしなくって良いからね!!」
―――なお、このゴミ先祖の余計な一言のせいで、RINEを見たミカンと佐田が駆け付けるまでメルを泣き止ませようと慰めなければならなくなったけど。
ほんっとにこのゴミ先祖は……!!!
「クロ!…いた!」
「クロウくーん! 迷子を見つけたって…うわぁ!これどういう状況!?」
「迷子になっちゃったみたいなんだよ」
「おにいちゃん……このひとたち、誰…?」
「お兄ちゃんのお友達だ。一緒にパパとママを探してくれるって」
「ほんと……?」
メルの涙目ながらのその言葉に、佐田もミカンも彼女の両親探しをする気になってくれたようであった。
シャミ子と千代田はRINEを見てないのか? ま、それならそれで合流した際に言えば良いか。
「ちなみに…なんでラプソーンはあそこで粉々になってるの?」
「迷子を捨て置けとかほざいたから」
「妥当ね」
なお、ゴミ先祖の扱いは相変わらずだった。だが別に可哀そうとか思わないかな。
そもそも、迷子を見つけて尚ほっとけとか言った方が悪い。
合流した後、ミカンがメルと一緒に迷子センターに赴き、俺と佐田で博物館の奥を探すことになった。
「……どうだった?」
「うぅん……こっちは全然だめ。クロウ君は?」
「こっちも空振りだ。まったく、あの子を置いてどこ行ったんだよ。二人そろって…!」
佐田と一緒に博物館の奥へ進みながら道ゆく人に聞いてみたが、メルの親だと名乗る人はやっぱり現れない。あの子の両親といいダイといいマジでどこ行ったし。
「クロウ君、ほんとの父親みたいだねー」
「おまっ…ホントにやめろ! メルは両親と来たって言ってるだろ!」
「でもさ。普通、親が子供置いて壁画を見に行くかな?」
「………」
佐田の言いたいことは分かる。子供を置いてどこかに行く親など、よく考えなくてもイイ顔をされないに決まっている。
俺の両親も……そういう意味では、「イイ親ではない」と思われていたり、言われたりしているのかもしれないが。それでも、俺は両親とも尊敬しているし、ちゃんと帰ってきてくれるから問題はない。
佐田の「私だったらゼッタイ自分の子は置いていかないよー」と言いながら意味深にこっちを見てきたのはスルーして、俺は最後の探し場所を確認した。
博物館の地図によると、ポスターで大々的に宣伝していた壁画のある場所だ。
部屋の中に入ると、目に飛び込んできたのは、博物館の天井にまで届くんじゃないかってくらいの壁画だ。その真ん中には、ポスターに書かれていたドレス姿の女性が独特な笑みを浮かべている。首にかけてある鍵の飾りが目立っていた。
やがて、それを見ていた人だかりの中に、シャミ子と千代田がいるのを発見した。
「見てください桃、ごいすーな迫力で…クロウさん?」
「あれ、神原くんに佐田さんじゃん。ミカンはどうしたの?」
「実は―――」
俺が事情を話すと、千代田はちょっと呆れたように肩を揺らした。
「遊元くんの件もあるのに、迷子の両親も探してるの?」
「ほっとける訳ないだろ。一人ぼっちで泣いてたんだ」
「そうだぞちよもも。探してあげないと」
「…別に探すなとは言ってない。ただ、遊元くんの事忘れてない?って言っただけ」
「アイツも一緒に探すんだよ。共にここで行方不明になったくらいだ。手がかりくらいあるだろう」
「分かりました!私も一緒に探しましょう!いざって時は私の力を使えばいーんです!」
シャミ子はメルの両親を探すことを承諾してくれた。千代田も流石は魔法少女なだけあって、なんだかんだ言いながら一緒に探してくれるようだ。
これだけ人が集まったんだ。案外、メルのご両親もダイも簡単に見つかるかもしれない。
この時の俺は……まだ、そう思っていた。
がんばれクロウ! 迷子の少女の両親を必ず見つけるんだ!
オリジナル&ゲストキャラクター紹介
神原クロウ
シャミ子と違って自力の変身があっさりできるようになったオリ主。ダイ捜索時には、ダイの部活仲間から話を聞き出し、彼が“寄り道”した場所を聞き出した。そして行き先である博物館でダイを探していると、そこで迷子の少女と出会う。
暗黒神ラプソーン
シャミ子のコスチューム談義でイラっとする発言を連発したり、迷子などスルーしろと言ったりと人としての倫理道徳を疑う……というか暗黒神そのもの。迷子を放っておけないクロウと意見がぶつかり、へし折られる。
ピエール
シャミ子のコスチューム談義に参加したスライムナイト。装備する武器の品質について述べたが、この回でシャミ子のことを「色魔将軍シャドウミストレス」と呼んでいたのが本人にバレる。
遊元泰庵
クロウの友達で女好きな男子生徒。ここしばらく欠席で、多魔せいいき記念館に行ってからというもの行方が分からなくなっているが…?
この人の事をもっと知りたい!(拙作オリキャラ限定)
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クロウの母親魔法少女・神原玲奈
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お嬢様系青色魔法少女・不二実里
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ナンパ陽キャ一般人・遊元泰庵
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不思議チェスプレイヤー・篇瀬吹雪
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上の選択肢には乗ってない!(感想欄でさり気なくどうぞ)