まちカド暗黒神   作:伝説の超三毛猫

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原作ではミカンが転校してきたのが夏休み明けからだけど、ここではもう少し早めです。これも全部単行本買う前に見切り発車した作者が悪いんだよ。


今回のあらすじ

なんと 神原玲奈は魔法少女だった!


※2020-4-13:あらすじを追記しました。


まさかの真実! 母さんは魔法少女!?……少女の意味がゲシュタルト崩壊して…やめよう。俺は裁かれたくないしシバかれたくもない。

「―――神鳥レティスに認められた魔法少女・神原玲奈は、母さんで間違いないか?」

 

 

 その質問は、千代田にもミカンにもご先祖のラプソーンにも、等しく沈黙をもたらした。

 信じられないことだろう。だって俺は暗黒神の子孫にして後継なんだから。普通なら、母親が魔法少女なんて、あり得る訳がない。

 

『……黒男、何を言ってるの? しんちょう? とか魔法少女? とか、いる訳ないじゃない。頭打った?』

 

 母さんがそんな事を言ってとぼけてくる。しかし、もうその手は通じない。

 

「もう誤魔化されねーぞ。既に3人の魔法少女に会った。ミカンに千代田、そして不二実里だ。不二から、母さんの事を聞いたんだ」

 

『…不二、か………………黒男、やっぱりあなた騙されてるんじゃあないかしら?』

 

 クソ、まだとぼけるか。今何か聞こえた気もするが、「同姓同名の他人じゃないかしら」とか言われたら、追及出来なくなりそうだ。

 そう思ったところで、電話に思わぬ助っ人が入る。

 

「神原くん、ちょっと代わってもいい?」

 

「千代田?」

 

「声で確信が持てた。神原くんのお母さんは魔法少女だよ」

 

 千代田だ。周囲に声が届くように設定したから、声が聞こえたのだろう。俺のスマホの前に陣取り、電話の先の母さんへ話しかけた。

 

「お久しぶりです、玲奈さん。私です。千代田桃です。」

 

『………あら! かわいい声! お友達かしら? 黒男も隅に置けないわね―――』

 

「それ以上とぼけるつもりなら魔法少女時代の魔族スレイヤーな玲奈さんを余すとこなくクロウくんに暴露しますよ」

『待って!? 早まらないで桃ちゃん!! 話す! 話すから待って!!』

 

 あっという間に陥落した。

 え、なに? 千代田がワールドワイドな魔法少女な事は佐田やシャミ子から聞いてたけど、母さんとも知り合いだったのか!? つーか何だ「魔族スレイヤー」って!!?

 いや、待てよ。それよりもだ。千代田の今やったやり方って……

 

『……流石だな、千代田桃。見事に我らのやり方だ』

「だよね、ゴミ先祖。下手なまぞくよりも魔族寄りだったよね」

「………そこは引っかからなくていい」

 

 

 ―――かくして、俺達は隠されていた母さんの秘密を目の当たりにすることになった。

 

 

 

 

『―――実は母さんは魔法少女なのです』

 

「マジだったんだ……オカルト信じない人だと思ってたんだが」

 

『光の一族と闇の一族の抗争に息子を巻き込まない為の演技に決まってるでしょ』

 

「私も初耳よ、世界最強の魔法少女だったなんて」

 

『世界最強といえども、10年近く前の話よ。レティス様に認められたのも、それと同じかちょっと前の話だったか……』

 

「出会った魔族は片っ端から粉々にしてましたもんね。それで暗黒神陣営の残党だけじゃなくて闇の一族も減って、レティス様に『少し自重してくれ』って言われるほどだったとか」

 

「片っ端から粉々にするって何!? レティスとやらには認められたんじゃあなかったの!!?」

 

『桃ちゃあああああん!!? 言わないでって言わなかったっけぇぇぇぇ!!?』

 

 オカルト信じない言動が演技だと知り、ついでに母さんの恐ろしすぎる過激な昔話も明らかになった。ゴミ先祖も『我らに容赦のない神鳥に自重しろと言われる程か……』と若干引いている。

 しかし、10年前の最強魔法少女な母さんか。今、母さんは3(ピー)歳だから、大体2(ピー)歳頃の話―――

 

『黒男、なにか言ったかしら?』

 

「え、何が?」

 

 あ、あぶねぇ。なんて勘をしているんだ。電話越しだぞ? 口に出してないことだぞ?

 ……この辺りの事はあんまり考えない方が良さそうだ。寿命をわざわざ縮めることもないしな。

 

「いやな、10年前は最強だったって事は、今は違うのかなって思っただけだよ」

 

『10年前にね、ちょっと愛に目覚めてからは、魔法の攻撃力が日に日に落ちてっちゃってね。今はパパの護衛を完璧にこなす程度しか出来ません』

 

「普通逆だろ」

 

 魔法少女って、愛と平和の為に戦うイメージがあるんだけど。愛に目覚めたら強くなるのが普通じゃないの? 愛を捨てたら闇落ちしそうなんだけど。しかも護衛を完璧にこなす“程度”って何だ。

 

「玲奈さんは当時魔族と聞いた瞬間にぶち転がすような人だったと姉から聞きました。『一匹残らず根絶やしにしてやる』とか『私の前に現れない魔族だけが良い魔族』とかよく言ってた事も」

 

『桜ちゃあああああん!? 妹になに吹き込んでるのーーー!!』

 

 イヤ当時の言動のことごとくが悪役か狂戦士(バーサーカー)のソレなんですけど?

 千代田の不穏すぎるエピソードを大慌てで諌めようとする母さん。リアクションからしてマジっぽいぞ、オイ。ウチの母親がここまで過激な魔法少女だと思わなかった。というかわかるかこんなの。そんな人だったら神鳥レティスに自重しろと言われ……もとい、認められるのは当然だと思うけど。

 

 

「……つーか神鳥レティスって何者なの?」

 

『あれ、黒男。知ってる(てい)で話してなかった?』

 

「不二からちょっと聞いただけだよ。何でも『賢者と一緒に暗黒神を封印した鳥』なんだと」

 

 ちょくちょく話には出てきたけど、初めて不二からそのワードを聞いた時は、なにそれ、と思った。不二も直接会ったことはないそうで詳しく知らなかったからか、言い伝え程度の説明しかしてくれなかったけど。

 

『物凄いざっくりな説明………まぁ合ってるけどね。もっと厳密に言うと、レティスは光の一族が崇めていた神の一柱で、地球が生まれるよりも前からいた巨鳥なのよ』

 

「巨鳥? そんなでっかいのか?」

 

『最後に会った時は東京のスカイツリーくらいあったわよ』

 

「デカすぎない!!?」

 

『しかもめっちゃ強かったわよね。私と桃ちゃんと桜さんと実里ちゃんのお母さんで戦ったけど、軽くあしらわれたものね』

 

「戦っ………!!?」

 

 それはもう鳥というレベルじゃあないな。巨鳥と呼ぶにも怪しいくらいかもしれない。というか、そんなのが降臨したら色んな国に目撃されそうではあるが。

 

「……桃、レティス様と戦ったとか知らないんだけど」

「…………そこは引っかからなくていい」

「引っかかるわよ! なに神鳥と戦ってるの!!?」

『大丈夫よミカンちゃん。簡単な手合わせみたいなものだったから』

「手合わせで神鳥と戦えるのがおかしいんです!!」

 

 ミカンが、呪いで雨やらゴミやらを現在進行形で受けている千代田につかみかかって迫っている。ミカンといえど、知らないところで魔法少女歴の長い千代田が神鳥と戦った事があると知ればそうなるか。取り敢えず呪いの余波からマイスマートフォンを守るためにミカンからスマホを遠ざける。

 

『神鳥レティスか…………我が封印されたあの時なら昨日の事のように思い出される。あの藤色の巨体と煩わしい程の声は、何があっても忘れる事は無い』

 

「お、封印された本人。どーした?」

 

『間違ってはおらぬが言葉を選べ!!

 ……ったく。えーとだな、かつて直接戦った我から言わせて貰うが、アレの強さは別次元のものだ。』

 

「別次元??」

 

『神原玲奈は軽いノリで言っているが、きゃつらがやったことはノミ数匹でティラノサウルスに挑むくらいに無謀なことだ。全盛期の我ですらやや押され気味だったのだからな』

 

「それは、また……」

 

 確かに別次元だ。別次元すぎて勝負の判定が分からなくなるくらいには。全盛期のゴミ先祖がどれくらいなのかまったく想像つかないが、ノミ数匹がティラノサウルスに、とは確かに頭がおかしいだろうな。

 

『まぁ、でも全部昔の話です。今は、パパと仕事兼夫婦旅行で外国を巡る日々を送っています♪』

 

「神原くんのお父さんって仕事何なの?」

 

「外交官だよ。有能すぎて引き抜きが多いタイプの。ホントかな……まぁとにかく、母さん、今は父さんと何処にいるの?」

 

『今? フィジーにいるわ』

 

「…………この前トルコにいるって言ってたよな?」

 

『あら、そうだったかしら?』

 

「「『…………………』」」

 

 短時間でトルコからフィジーへ行けるはずないことにすっとぼける母さんに、千代田もミカンもゴミ先祖も、みんな沈黙するしかなかった。

 

 

 

 母さんの意外すぎる魔法少女改め魔族スレイヤーなエピソードを聞きたかったが、母さんが頑なに俺達の暮らしを聞きたがるため、熱意に負けた俺は多魔市についてから起こった事を少しずつ、順序立てて話すことにした。

 

 

 突然、暗黒神の子孫に目覚めたこと。

 ミカンが魔法少女だと知ったこと。

 多魔市の桜ヶ丘に引っ越したこと。

 まぞくにも魔法少女にも一般ピープルにも、友人ができたこと。

 魔法少女のナビゲーターが個性的でかわいいこと(約一羽ほど、口癖的にかわいいとは言えないのもいたが)。

 よその街の魔法少女に襲われたこと。土壇場で力を使って勝利したこと。

 

 すべての話を、千代田やミカンと共に話した。母さんは、うん、うん、と相槌を打って聞いてくれていた。

 

 そして、一言こう言った。

 

『頑張ったね、黒男』

 

 その言葉に、心がすっと軽くなるような感覚を覚える。一気に日常に非日常が混ざりこんで、命の危機を覚えて、それを切り抜けて。数ヶ月も経ってないのに1年近く経ったような日々で。

 でも、それを潜り抜けてきて本当に良かったと思える。

 

「ありがとう、母さん」

 

 緩みそうになる涙腺を必死に抑えて、それだけ言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――ところで神原玲奈よ。貴様はまだ魔法少女を引退しておらぬのか?』

 

『……私はまだ引退してませんよ? 私よりも年上だけど現役の魔法少女とか結構いるし』

 

「………なに訊いてるの?」

 

『なぁるほどな………!

 クロウよ!「少女」の定義で悩まずともよい! 我ら男には関係ない話だ!』

 

 突然、ゴミ先祖がそんな事を言い始めた。

 なんだろう。何だかよく分からないけど、とんでもなく嫌な予感がする。

 

「………ゴミ先祖、さっきから何言ってるの……?」

 

『貴様が胸の奥で悩んでいたことだ!! 母が「魔法少女」を名乗っていて引っかかっていた事ではないか! だが魔法少女に年は関係ないようだぞ! 例え5歳未満だろうが30代だろうが「少女」と自称すれば「少女」なのだ!』

 

「―――ッ!!?」

 

 畜生! このゴミ先祖、最近大人しいと思っていたら、一番言っちゃいけないタイミングで一番言っちゃいけないコトを言いやがった!!

 

「何でそれを今言った!!!?」

 

『貴様が気になっていた事だからだろう? 気の利くご先祖に感謝しまくるがよい!!』

 

 仮にそうだったとしても、今言うことじゃないと思う。感謝なんか出来るわけがない。後でゴミ先祖は四つ折りにして多魔川に捨ててやる!

 それはともかく、女性はいつになっても年齢にだけは敏感だ。さっきのゴミ先祖みたいな事を言おうものなら……

 

 

「神原くん………それはどうかと思うよ……?」

「クロ、話があるからここに座ってくれない? 大丈夫危害は加えないから」

『黒男、あなたをそんなデリカシーのない子に育てた覚えはありません』

 

「やっぱりこうなるよね!!!」

 

 

 案の定、女性陣は皆激オコだ。しかも何故か矛先は全部俺に。

 母さん、悪いのは全部ゴミ先祖です。俺は悪くない。だから許してください。

 千代田、ミカン、変身すんな。そんな姿と昏い目で「危害は加えない」とか言われても1マイクロも信用出来ませんけど!?

 もう説得は不可能だ。ゴミ先祖を生贄にして、逃げるしかない!

 

 

「うっ! き、急用を思い出した……! 必ず戻って来るから、待っててぐえっ」

 

「行かせないわよ」

 

 ミカンに首根っこを掴まれる。必死に暴れるが魔法少女特有のパワーなのか、全くほどけない。

 

「い、嫌だーー!!! 行かせてくれ! 急用に行かせてーー!!」

 

「今日は帰さない」

「帰すわけないわね」

 

『あら、羨ましいわ黒男。女の子二人に「帰さない」って言われるなんて、両手に花かしら? 桃もミカンも花が咲くし』

 

「上手くないわ! このタイミングで言われても怖いだけだよ! 俺の知ってる桃と蜜柑の花じゃないよ!!」

 

『諦めよクロウ。これが運命だ』

 

「150%テメェのせいだろうがゴミ先祖!! ま、待て、来るんじゃあない! 俺のそばに近寄るなァァァーーーーーーーッ!!!」

 

 

 ―――この日。俺は、千代田とミカンと母さんと。3人の魔法少女によってOHANASHIされたのであった。

 しばらくの間、「魔法少女」というワードがトラウマになったのは言うまでもない。

 

 

 

◆  ◇  ◆

 

 

 

 騒がしい電話が終わり、スマホの通話終了ボタンを押す。隣を見れば、17年連れ添った夫が、優しい笑みを浮かべている。私は彼に、スマホを渡した。

 

「とうとう、私が魔法少女だと気づいたわ、黒男が」

 

「そうか………いつかこんな日が来るとは思っていたが……」

 

 そして、私が黒男の成長を報告すれば、夫は淋しそうな顔をする。

 

「黒男はぼくが出来なかった事をやってのけたな……」

 

「そんな事を言わないで」

 

 騎一さん……夫は、かつて聞こえてたラプソーンの声に悩み苦しんだ果てに、外交官へ『逃げる』道を―――先祖から力を受け取ることを拒否し、杖を日本に置いて海外で働く道を選んだ。その結果、払わなかったツケを払わされるように黒男が暗黒神の後継になった事に、罪悪感を抱いているみたい。

 でも………

 

「あなたは既に………()()()()()()()()()()()

 

「一体、いつ………?」

 

「私を庇ってくれた時よ。私にとっては何でもない攻撃で傷ついて、なんで庇ったのって聞いた時の答え、覚えてる?」

 

「え? えぇっと………だね? うーーーーん………」

 

「『覚えてるけど恥ずかしい』って顔ね」

 

 私は、夫と出会う前は心があってないような状態だった。魔族……闇の一族や暗黒神陣営の残党を()()()()()()()()()()()()。でも、夫との出会いがそれを変えた。

 

 目を瞑れば、今でも思い出す。あの、青臭かったやりとりを。

 

『なっ……!? 何をしてるの! あんな攻撃、平気なのに……どうして、なんの力もないあなたが庇うの!』

『大切、だからだよ………』

『何をっ……! 自分の命よりも大切なものなんて、ないでしょう!!?』

『あるよ……ぼくには。……命よりも大切なものが。』

『えっ――――――』

『神原さん、にも……あるだろう? 大…切な……もの、が………』

 

 今までの私の生き方を変え、人生を変え、そして、()()()()()()()()()()、あの言葉を。

 

 

「ぼくも、信じてみていいかな? 君の『既に救った』って言葉と、あの子を。」

 

「信じてあげなよ。お父さん、でしょう?」

 

「あぁ、そうだね。」

 

「……といっても、あの子は桜ちゃんの街のどこかで平穏に暮らすだけでしょうけど」

 

「黒男は優しい子だからなぁ。ご近所付き合いが心配かな」

 

「きっと大丈夫よ、私の息子だもん」

 

 日が落ちたフィジーの海岸は潮風が冷たくなってきたからと、夫と目配せをし、街道端に停めてあった車の助手席に乗り込む。夫がキーを差し込んで回すと、心地良いエンジンの音がフィジーの夜に響いた。

 

「……それで、次はどこだっけ?」

 

「台湾だ。3ヶ月はそこにいる予定だから、やっとゆっくりできるよ」

 

「良かったぁ〜、やっとだよ! 黒男にお土産を送れるね!」

 

「……何を入れてもいいけど、せめて『台湾にいる』って手紙くらいは台湾から送りたいね」

 

「じゃあフィジーのココナッツオイルと、トルコで買ったティーバッグの数々、中国で買ったスイーツ達に……あとスペインの寄木細工(タラセア)も入れちゃおっと!」

 

「また黒男に怒られるぞ………?」

 

 そんな会話を載せて、1台の車は、空港へ向かって走っていった。

 

 

 

◆  ◇  ◆

 

 

 

 後日。

 学校が夏休みに突入した俺の元に台湾から荷物が届いた。

 中には『台湾で仲良く休養中』という手紙と、九份や龍山寺で撮った夫婦写真が入っていた。これまでの荷物と違って、ちゃんと両親がどこにいるのかを把握できるのは、地味に安心したかのような嬉しさがあった。これで安心して「時差ボケした体を治しとけ」ってメッセを送れる………!

 

 ただし―――

 

北京(ペキン)のドライフルーツに月餅、トルコの紅茶・アップルティー・ハーブティー、おまけにココナッツオイルか……ははっ、チョリソーと唐辛子軍団もまだ終わってないのに、一人でこんな食いきれねーっての」

 

 ―――お土産の出身地は、相変わらずバラバラだったけど。

 こんなに食べ物系のお土産が重なると、賞味期限が心配になってしまう。

 

 

「……しょうがねぇな。お裾分けするか」

 

 ミカンと千代田に分けてやろう。最悪ミカンに押しつければ何とかしてくれる。

 

 まずは最近引っ越して『ばんだ荘』とやらの部屋を借りたミカンの所へ向かう。

 

『クロウよ。陽夏木ミカンはここを借りたのか? ………どこをどう見ても、廃墟ではないか』

 

「言うな」

 

 ばんだ荘。俺の家の近所にあった、どっからどう見ても廃墟にしか見えないアパート。ミカン曰く光闇割で超格安で借りることが出来たのだという。大事故物件とかじゃあなけりゃいいんだけど……

 

「ミカン? …………………いねぇな………」

 

『入れ違ったのやもしれんぞ』

 

 ミカンの部屋の呼び鈴を何度か鳴らすが、返事どころか足音もしない。しまったな、お出かけ中か。こりゃ、ゴミ先祖の言うとおり、どこかで入れ違ったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、あんまり呼び鈴を鳴らすと、隣にも響くので、出来れば控えていただけると……」

 

「あ、お隣さんですか? 申し訳―――」

 

 呼び鈴を押したミカンの部屋の扉の、隣の扉が開き、そう言われる。

 苦情に対して謝るためにその方向へ向くと。

 

 そこにいたのは、頭にクロワッサンなような巻き角を生やし、悪魔のしっぽを揺らした背の小さな女の子で。

 俺はそいつを、何度か学校で見かけたことがあった。

 

 

「………………シャミ子?」

 

「……クロウさん? どうしてここに……?」

 

 そう。クラスメイトのシャミ子が、そこにはいたのだ。

 

「シャミ子、何して…………神原くん?」

 

「千代田まで……?? どういう状況……?」

 

 おまけに千代田まで出てきて、まぞくも魔法少女も暗黒神の後継も、しばしその場で固まった。

 

『フハハハハ!! まさか住んでおるのか!? こんなあからさまな廃墟に住んっギャアアァァァ!!?

 

「ご近所迷惑!!」

 

 取り敢えず暗黒神がまた空気を読まなかったのでへし折っておいた。

 これが、俺が吉田家主催の『隣人歓迎すき焼きパーティー』に参加することになった経緯である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がんばれクロウ! ご近所付き合いが円滑に出来る暗黒神になるんだ!

 

 




オリジナル&ゲストキャラクター紹介

神原クロウ/黒男
 ばんだ荘の近くのなんてことない一軒家に住んでいる暗黒神の末裔にして後継者。母親の秘密を知り衝撃を受けた一方で、ようやく自分の身に起きたことを信じて貰えて安堵した。代償として、「魔法()()」というワードがしばらくの間トラウマになったが。

神原玲奈
 かつては「魔族スレイヤー」と呼ばれるほどに苛烈だったとされる魔法少女にして、一児の母。10年前に「愛に目覚めて」からは魔法の攻撃力が日に日に落ちて、現在は外交官の夫・騎一のボディーガードを勤めている。千代田姉妹や不二実里の母とも知り合いで、神鳥レティスとは手合わせが出来るほどの仲。
誕生日/血液型:1月3日生まれ。O型よ。
趣味:海外の面白い工芸品やらお菓子やらを探すことかしら。
座右の銘:諦めたらそこで試合終了ですよ、かな。

神鳥レティス
拙作では、光の一族が崇めていた神の一柱で、地球が生まれるよりも前からいた、藤色の巨鳥という設定。七賢者と一緒に、ラプソーンを封印したという過去も持っている。神原玲奈だけでなく、千代田桜や千代田桃、不二実里の母とも面識がある。玲奈とラプソーン曰わく、『東京のスカイツリー並みの大きさ』と『次元が違うというべきレベルの強さ』を持つそうだ。やはりあの名前でも呼ばれていたのだろうか……?
なお、玲奈達と会い、手合わせして以降現れていないという。

拙作で一番好きなオリジナルorゲストキャラは?

  • 神原クロウ
  • ラプソーン
  • 不二実里
  • ラファエル
  • 神原玲奈
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