「我が腕に抱かれ回帰せよ、みたいな?」
回帰する抱擁
「うおっあっぶぇ。」サッ
回避する抱擁
「あっ、まじごめん。あーし残業は無理。早く帰って猫に餌やらんと。」
直帰する抱擁
「ざわっ・・・・・・!ざわっ・・・・・・!」
カイジする抱擁
「ちょと空気入れ替えるね~ふぃ~っと。」
換気する抱擁
「ばーちゃんが死んでからもうそんな経つかー。時間経つのってちょーはやくね?」
三回忌する法要
「いやー最近ホント寒くなってきたねー。冬着出さんと うんしょ。」
替着する抱擁
「アリサっちさー。あーしにいい作戦あんだよね。ベイリオンもほれ、ちょっと聞いて。」
会議する抱擁
「……どこ行くん?あーし、まだ負けてないし。 まだ戦えるよ……!」
再起する抱擁
「すぅ~はぁ~。やっべ空気うっま。」
大気吸う抱擁
「へ~この魚、泳いでないと死んじゃうの?まぢか。ちょっとつらみ」
回遊する本マグロ
「アリサっち、ちょいほっぺ出してみ んちゅ。 照れんでもいいっっしょ。ほれもっかい。ちゅー。」
二回キスする抱擁
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「はあっ。……この辺までくれば、おkぽい?」
「ラティカさん?急でびっくりしたけど……でも、助かりました。ありがとうございます!」
【過激派】マーナガルムの構成員に囲まれたアリサ。急に真上に引っ張られるような感覚がすると
次の瞬間、その体は木々をかき分け、森の中を猛スピードで飛ぶように移動していた。
アリサには舌を噛まないように気をつけてじっとしている他はなかった。
まもなく視界は開けていき、水辺の大石の上にそっと降ろされて尻をついた状態になると目の前にラティカが、こちらの顔を覗き込むようにして屈んでいた。
「できるだけ気は使ったけど、あんまし余裕なかったし……だいじょぶ?どっかぶつけなかった?アリサっち。」
「大丈夫です。怪我なんてないですし、それに……ちょっと危ない目にあったって、この世界を……ナテラを滅びから守るために、マーナガルムの人たちにも分かってもらわなきゃいけないし、戦わなきゃ、いけませんから。」
「"どうして"って、聞いてもしょうがないんだろーねアリサっちは。
他の世界?から来たんだっけ。それでも本気であーしたちの世界を心配してくれるんだね。」
「それは、目の前で傷ついて、世界が滅んでいくのなんて私はほっとけないと思います。ラティカさんや、ベイリオンさん。【穏健派】スコルの皆さんもとってもいい人たちですし……できることなら、守りたいです。」
「う~ん、そかな。そう言われるとちょっと照れんね。」
「ラティカさんは。……ラティカさんこそ、どうして私のわがままに付き合って、何度も助けてくれるんですか? ラティカさん、言ってましたよね。自分はもし滅びが運命なんだとしたら受け入れちゃってもいいんじゃないかって、そう思ってるって。」
「……うん、そだね。今もあーしはそう思ってるよ。どーしても滅びなきゃいけないならそれもしょーがないかなって。」
「だけどさ。アリサっちを助けるのは別。 なんたってあーしのお気にだし、それに……それにね?あーしだってこの世界に……滅んでほしいわけじゃないんだ。」
「ラティカさん……。」
「この世界がこんなことになる前はさ、森はきれーで、豊かでさ。今みたいな汚れとか、仲間同士での争いとか、そんなの考えなくって良かったし、なんならベイリオンもヴァイディもそれなりにさ、うまくやってって……平和、だったんよね。今も思い出すよ。豊かな葉っぱのざわめく音。川のせせらぎを聞きながら眠る日なたのあったかさ。そよ風のなかで遊ぶ妖精たちの無邪気な声、とか?だから……」
「あーしだってね、戻れるならあのころにって 思うよ。まじで 心の底からね。」
「戻れますよ!……きっと。私だって大した力はないけど、そのために精一杯頑張ります。」
「ありがと。んじゃまー、あーしももうちょい足掻いてみるよ。んでさ。今の、どだった?」
「?」
「これが"懐古する抱擁"、なんちて。」
~終~