■■士郎のシンフォギア   作:トマトルテ

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8話:■■■■(無銘の怪物)

 

 (つるぎ)の唸り声が辺り一帯に響き渡る。

 それは無限の剣が体内でぶつかり、削れ、再生を繰り返す音。

 そんなこの世のものとは思えぬ音を聞きながら、雪音クリスは倒れていた。

 

(なんでだ…なんでだ…士郎)

 

 声を出すことが出来ず、立ち上がることも出来ない。

 だから、彼女は倒れたまま必死に考えを、逃避を巡らせていた。

 

(あたしが何かしたんなら謝るから…だから……見捨てないでくれ)

 

 優しい士郎が自分を裏切るはずがない。見捨てるわけがない。

 そう、藁にすがるように、自分が見捨てられていないという証拠をかき集める。

 そんな哀れでみっともない足掻き。

 

(理由があるんなら話してくれ……あたしも手伝うから)

 

 普通ならそれは報われることのない行為だろう。

 だが、しかし。それは報われる。報われてしまった。

 さらなる絶望と引き換えに。

 

「士郎君! もうやめて!! それ以上は体が…ッ」

 

 士郎を止めようとする響の声を聞きながら、クリスは考える。

 まず、士郎がフィーネを名乗ったことがおかしい。

 クリスは当然だが、本物のフィーネの存在を知っている。

 故に、士郎が嘘を言ったことが分かった。

 

「なにも…ッ。問題ない…! 俺は…俺はッ!!」

 

 士郎の声が聞こえる。まるで、今にも崩れ落ちそうな自我を縫い付けるような声が。

 どうして、士郎がフィーネと名乗ったのか。

 そもそも、ネフシュタンが必要なら、どうしてソロモンの杖と一緒に持ち出さなかったのか。

 何より、本物のフィーネがそれを知りながら動かない理由は何なのか。

 その答えは。

 

「争いのない世界を…! 数千年の恋を…! もう…誰も涙を流さないように…! 俺は――」

 

 自分の家族を庇うためだ。

 2人が誰からも恨まれる結末が許容できないから、自分が代わりの人柱となる。

 そのために、自らがフィーネとなり、わざとらしく響の前でクリスを裏切った。

 ■■士郎が全ての黒幕であり、雪音クリスはただの被害者だとするべく。

 

(そうだ……士郎はあたしを裏切ってなんかいないんだ…ただ――)

 

 自分は裏切られてなかった。

 その事実は普通であれば希望となっただろう。

 しかし、希望とは蜘蛛の糸よりもなお脆いものだ。

 

「―――2人の願いを叶えるんだ…ッ」

(―――あたしのせいで、ああなったんだッ!!)

 

 理解した。理解してしまった。

 目の前の怪物は自分が生み出してしまったのだと。

 大好きな人を化け物に変えてしまったのは。

 

(あたしが争いのない世界なんて望んだから!!)

 

 自分の愚かな願いのせいだという真実に気づいてしまった。

 自分は裏切られたのだと優しい嘘に酔いしれられていれば、どれだけよかっただろうか。

 全ては自分のせいだと知った少女の心は、とてもではないが耐えきれなかった。

 

(―――士郎を人間じゃ無くしちまったんだ)

 

 故に、か弱い少女は悲鳴を上げることも出来ずに、ただ意識を落とすことしか出来なかった。

 アメジスト色の瞳から零れる涙を拭うことも出来ずに。

 

 

 

 

 

 それを表すには、言葉は余りにも貧弱に過ぎた。

 

「士郎…君…?」

「……■のこ■だ?」

 

 だが、あえて何かに形容するとすれば、それは剣の丘だった。

 丘に剣が突き立つのではなく、剣そのものが丘を構成する異様。

 2本の足で立つことだけが、それが元は人間だったことの名残りを残す。

 それこそが(はがね)の怪物だ。

 

「大丈夫なの……士郎さん?」

「だから……■だ?」

 

 あまりの変化に戸惑いながらも、響と未来は士郎を心配する声をかける。

 しかし、帰って来るのはよく聞き取れない、壊れたラジオが流すような音ばかり。

 それもそうだろう。彼女達は人間に声をかけているつもりだが、目の前にいる存在は。

 

 

「士郎って……誰のことだ?」

 

 

 名前のない怪物なのだから。

 

「き、記憶喪失になってるの…?」

「士郎君! しっかりして!! 私のことは分かる!? 立花響ッ!!」

 

 自分の名前すら忘れたのか、混乱する無銘(むめい)の怪物に響は必死に声をかける。

 それに対して怪物は、腕らしきものを頭付近に当て、人間のような仕草を取る。

 

「響…立花……そうか。ああ、悪いなボーっとしてたみたいだ」

「よかった……記憶はちゃんとあるんだね」

 

 ようやく記憶が定まって来たのか、怪物は響に対して焦点を合わせる。

 そして、緩慢な動作で腕をゆっくりと振り上げ。

 

「そうだ。立花響は俺の―――俺の敵だ」

 

 何のためらいもなく、巨大な剣と化した()()投げ飛ばすのだった。

 

「え?」

「未来!!」

 

 殺気も嫌悪も悪意もなく、ただ義務感から放たれた攻撃は無防備な少女二人へ襲い掛かる。

 その自分が知る人物とは余りにも違い過ぎる行動に、未来は声を上げることしか出来ず、響はシンフォギアを纏えず、未来を守るように抱きしめることしか出来ない。

 

「何をしてるの!? 死ぬわよ!」

「つ、翼さん!?」

「翼さん…? ど、どういうこと?」

 

 そんな死の運命を待つだけだった2人を救ったのもまた、剣であった。

 2人を襲った攻撃を弾き飛ばし、怪物を油断なく見据えるのは風鳴翼である。

 

「貴様……何者だ?」

「俺は…オレは…? ……フィーネ、終わりを目指す者だ。あんたは……誰だったっけな? 頭がうまく働かないな……」

 

 翼からの詰問に対して、無銘の怪物は己の名前が思い出せないように唸りながら答える。

 その姿に翼は一目で目の前の存在は異常だと判断し、響に指示を出す。

 

「立花、あなたはその子を連れて離脱しなさい。あれの相手は私がする」

 

 響に話しかけながらも、目は油断なく剣の怪物を睨みつけ無言の牽制を行う翼。

 それに対して、怪物の方はまだ意識がはっきりとしないのか、ボンヤリと立ち尽くしている。

 良く分からないが、攻め時だ。

 そう判断し、翼が一歩踏み出そうとしたところで響からの静止が入る。

 

「ま、待ってください。歌ったらダメなんです!」

「……どういうこと?」

「士郎君…フィーネを名乗った人は、私と同じで体に聖遺物…多分何かの鞘を埋め込んでいて、私達が歌うとその聖遺物が起動しちゃうんです!」

 

 響からの説明に、翼は驚いたような表情を見せるがすぐにそれを引き締める。

 そして、響とは反対にシンフォギアを解除することはなく、逆に集中力を高めるのだった。

 

「立花、あなたが歌わなかった理由は分かったわ。でも、戦う以外に道はないわよ」

「ど、どうしてですか?」

「ネフシュタンの鎧を纏う相手を、シンフォギア抜きで倒すことは出来ない。なら、完全起動する前にケリをつけるしかない。それに、ここで止めないとさらに不味いことになる可能性が高い。違う?」

「確かにそうですけど……それだと士郎君が人間じゃなくなっちゃいそうで」

 

 翼からの言葉に、理解は見せるものの納得は出来ない響。

 そんな響の姿に、どういったものかと若干の戸惑いを見せた後に翼は口を開く。

 優しい響では決して言えない、残酷な事実を。

 

「立花……私は今から人として最低のことを言う」

「翼さん…?」

「相手のことをよく知らない私から見れば、目の前のあれはすでに―――化け物だ」

 

 その言葉と共に、怪物が腕を再生させる。

 肉の代わりに剣を体内から生やしながら。

 響もそんな光景を見てしまえば、何も反論することが出来なかった。

 目の前にいるあれは、既に人の在り方を忘れていると。

 

「どうして…どうして…こんなことになっちゃったんだろう……」

「下がりなさい。戦場(いくさば)では迷いは命取りよ」

 

 厳しいようでどこか優しさの籠った言葉をかける翼。

 それに対して、響は言われた通りに逃げ出してしまいたいという思いが湧き起って来るが、それをグッと抑えて首を横に振る。

 

「ううん……私も…戦います。士郎君を怪物にしないために。例え、もう手遅れなんだとしても、人間に戻すために……歌います!」

「……そう。なら、ついてきなさい!」

「はい…!」

 

 戦う覚悟は出来た。

 平時であれば、それだけで問題は解決していただろう。

 しかし、今回ばかりはそういう訳にもいかなかった。

 

「響…どういう…ことなの…?」

「未来……ごめんね。私、未来に隠し事してた」

 

 理解を超えた事態の連続に、涙目になる未来に響は重い口を開く。

 本当なら、土下座でもして謝らないといけないのかもしれない。

 だが、そんな時間は彼女達には残されていない。

 故に、響もまた泣きそうな顔で未来に告げる。

 

「帰ったらいっぱい謝るから…ッ。たくさん怒られるから…! だから、今は人助けに行かせて!」

「響…どうして……」

 

 座り込んだまま動けない未来。

 涙を歯を食いしばって堪え、立ち上がる響。

 それは2人の今後の明暗を暗示しているかのようで、とても物悲しい光景であった。

 

「すいません、翼さん。……行きましょう」

「……二課に民間人の救助要請は出しておいた。直に保護に来るはずだ」

「ありがとう…ございます」

 

 翼もその光景に対して思う所があったようだが、口には出さずただ刀を構えるに止める。

 

「待たせて悪かったな」

「思い出した……あんたは風鳴翼さん。俺の敵だ」

「……容赦はせんぞ」

 

 記憶の欠片を見つけ出したのか、ようやく視線を翼と響に戻す怪物。

 その人としての姿も過去も忘れた存在に、翼は一瞬憐れみを覚えるが表情には出さない。

 ただ、チラリと響を励ますような視線を送り、足に力を籠める。

 

「行くぞ、立花」

「はいッ!」

 

 そうして、2人の少女の怪物退治が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 剣舞い、風踊る。

 鳴り響く音は鋼の咆哮。

 少女達が行うは化け物退治。

 遥か昔より連綿と続く、英雄の所業。

 

「士郎君! 目を覚まして!!」

「逆羅刹ッ!」

 

 剣すらへし折る威力で繰り出される八極拳をベースにした鉄の拳。

 カポエラの蹴りに似た、逆立ちの状態で繰り出される脚部ブレードによる切り払い。

 それを前後から挟み込むように同時に叩き込む。

 逃げ場などない。怪物に許されるのは死地の中でもがくことのみ。

 そして、そんな足掻きも何の意味はなく、無慈悲に2人の攻撃は怪物に当たる。

 

「無駄だ」

 

 だが、しかし。

 それだけで死ぬのなら化け物は化け物と言われない。

 人間では死ぬようなことでも平然と乗り越えるからこそ、怪物なのだ。

 

「胴体を切り裂かれてなお、動くか…ッ」

「本気でやったのに…効いてない…!」

 

 結論から言えば2人の攻撃は完璧に怪物を捉えた。

 そして、生物ならば致命傷となるであろう傷も与えた。

 だが、それだけだった。

 

「前に言っただろ、響。俺は()()()()ってな」

 

 剣の怪物は死なない。

 切り裂かれ、砕かれた体が瞬く間に再生していく。

 ギチギチと血の代わりに不快な音を垂れ流しながら。

 

「お返しだ」

(傷口から剣を飛ばすかッ!?)

 

 そして、余ったから要らないとばかりに、自らの細胞(つるぎ)を飛ばしてくる。

 怪物の体は剣で出来ている。そして、ネフシュタンの力で無限に再生することが出来る。

 その特性を利用して、無銘の怪物は自らの肉体を真の意味で武器としているのだ。

 この予備動作のない攻撃には、さしもの翼も回避に徹することしか出来ず、大きく後退る。

 

「どうした? そんなんじゃあ、俺は()()()()()

「最初から殺す気なんてないよ! でも、気絶くらいはして!!」

「無茶苦茶だな」

 

 怪物は不死身だ。

 されど、不死身だからといって攻略法がないわけではない。

 古来から現代に渡るまで、人類は不死殺しの方法を追求してきた。

 不死を奪うことや、神に与えられた力で殺す。

 はたまた、海底に封印するなど死なないのなら動けないようにするなど。

 

「眠ってッ!」

 

 その中の1つ。不死身の怪物の意識を奪うという手段を響は取る。

 八極拳の歩方を用い、一瞬で怪物の懐に潜り込む。

 そして、脳を揺らして気絶させるべく、怪物の顎らしき部分に鉄腕を叩き込む。

 

 その威力は常人ならば、気絶どころか永眠する程のものであるが、怪物相手には丁度いい。

 無防備な所に脳みそを揺らがされる強力無比な一撃。

 クマやライオンだってこれを食らえばひとたまりもない。

 ただし。

 

「無駄だ。殺す気で来い、それでやっと同じ土俵に上がれる」

「なんで…なんで…効いてないの?」

「10分前なら効いてただろうな。でもな今の俺は」

 

 化け物は別だ。

 いや、化け物であってもそれが生物であれば効いただろう。

 脳を揺らす攻撃が欠片も効かない理由は実にシンプルだ。

 

 

「全部、(てつ)で出来てる、ただの―――聖遺物(ぶっしつ)だ」

 

 

 怪物が生物ではなく物質だからだ。

 

「うそ…そんな……」

「ありがとうな、響。響のおかげで、俺は人間をやめれた」

「私のせいで…?」

「ああ、響のおかげで鞘と鎧は手に入った。後は剣だな」

 

 怪物が嗤う。

 本人は感謝を示しているというのに、少女を絶望に叩き落しているだけだ。

 だが、気づかない。怪物はもはや疑問を感じることすらない。

 何故なら全ては無銘の剣となり果ててしまったのだから。

 

「ぼーっとするな、立花!!」

「翼さん……て、え!?」

 

 その事実に、響は膝を折ってしまいそうになるが、翼が叱咤するように剣の雨を降らしてくる。

 慌てて、千ノ落涙の範囲から逃げたところで、翼が近寄って声をかける。

 

「立花、私の一撃にお前の一撃を合わせろ!」

「合わせるって、どうやってですか!?」

「ガングニールの装者ならできるはずだ! それに私達1人ずつの攻撃が効かないのなら、2人の力を合わせるしかないだろう?」

「それは……そうですけど…」

 

 翼の言葉にチラリと怪物の方を見る響。

 怪物は剣の雨をまるでただの小雨であるかのように、その体で弾いてこちらへと向かっている。もう、響の目から見てもあれは人間には見えなかった。そして、その事実に自分のせいだと響は思わず俯いてしまう。

 

「立花。奴を化け物にしたというのなら、それは私のせいでもある」

「翼さん……」

 

 そこへ、翼から声がかけられるが、未だに響は前を向くことが出来ないでいた。

 しかし、続く言葉にハッとして顔を上げるのだった。

 

「だからこそ、私達が奴を人間に戻す責任がある。違うか?」

「私達が士郎君を……」

「了子さんや二課のみんななら、きっと何か方法を見つけてくれるわ。だから、今の私達は目の前の彼を止めることに集中しないと」

 

 そう言って、翼は真っすぐに前を向く。

 振り返っていては、いつまでも前に進めないと背中で示す様に。

 その姿に、響もグッと歯を食いしばり前を見つめる。

 自分が救いたいと願う少年を。

 

「はい…! 翼さん行きましょう!!」

「その意気よ。隙は私が作る。だから、あなたはとにかく私に合わせて! 合わせ方は心に聞いて!!」

「はいッ! 全然分かりませんけど分かりました!!」

 

 2人の英雄が今一度立ち上がる。

 目の前の化け物を人間に戻すために。

 

「何をする気か知らないけど、俺には効かないぞ」

「それはどうかな?」

 

 翼の千ノ落涙の趣返しとばかりに、怪物は自らの肉体を千切り剣軍を襲い掛からせる。

 それに対し、翼と響は弾き、落とし、避けながら真っすぐに怪物のもとへと進んで行く。

 

「これを食らえ!」

 

 その中で翼は自らが生み出した剣を怪物に投げつけていく。

 しかしながら、それは全て怪物の体に当たって弾かれるだけだ。

 何の意味もない行為。そう決めつけて怪物は一歩踏み込もうとして。

 

「今更剣を投げたところで、俺に効くわけが――なんだ、体が…?」

 

 自らの体が動かないことに気づく。

 まるで金縛りにあったかのような現象に混乱し、反射的に自らの足元、月の光で出来た影を見る。

 すると、そこには先程の無意味に見えた攻撃に紛れさせて投げた小刀があった。

 

「影縫い。忍法を私なりに剣術に取り込んだものよ」

「……動けないな」

 

 自らの体が動かない理由を理解した怪物は、何とも言えぬ表情を浮かべる。

 影縫いは対人間の用の技である。さらに言えば、影の薄い夜では効果が出ずらい。

 故に、怪物を縛り続けられる時間は僅かだ。

 しかし、真っすぐに怪物へと歩を進めている英雄には、その僅かで十分だった。

 

「行くぞ、立花ぁッ!!」

「気持ちッ、重なればきっとぉおおッ!!」

 

 ガングニールが火を噴き、天羽々斬が嵐を巻き起こす。

 かつて、どこまでも高く羽ばたいていた2枚の翼が生み出した最強の技が、今ここに蘇る。

 

 

「「双星ノ鉄槌(DIASTER BLAST)ッ!!」」

 

 

 それは創星のビッグバン。

 生まれ出ずる星が発する炎の如き熱と、それを加速させる疾風の息吹きが組み合わさった一撃。

 これを受ければ不死身の怪物といえど、ひとたまりもない。

 

「まさか…これだけの――グッ!?」

 

 鋼の体がまるで紙切れの如く斬り刻まれていく。

 そして、切り刻まれた破片ごと炎の鉄槌は打ち砕く。

 化け物の体が崩れ去って消えるのに時間は要らなかった。

 

「……強敵だった」

「あ、あの、翼さん?」

「どうした立花? 敵は消えたのにまだ何かあるのか?」

 

 残心を行いながら、戦いの反省を行う翼に響が汗をダラダラと流しながら声をかける。

 それに対して、翼は一体何事かと跡形もなく消し飛んだ怪物の居た場所から目を離し、響に目を向ける。

 

「士郎君が消し飛んでいったんですけど……」

「そうだな。跡形もないな……ん?」

 

 怪物は跡形もなく消えていった。

 名残りといえば、合体技を放つ前に小競り合いを繰り広げた剣が地面に刺さっている程度だ。

 

「もしかしなくても、わ、私達……士郎君を殺しちゃったんですか…?」

「…………あ」

「あ、じゃないですよぉおおお!! 士郎くぅううんッ!?」

 

 つまりは2人は怪物を殺してしまったというわけだ。

 殺意など欠片も持ってなかった。それは事実だ。だが、手は抜けなかった。

 ぶっちゃけ全力以上で技を放った自信がある。

 やり過ぎてしまったのかもしれないと、2人の顔が凍り付くのも無理はない。

 

「お、落ち着け立花。まずは深呼吸をするんだ」

「は、はい」

「そして、その後は死者が安らかに眠れるように黙祷を捧げよう。奴もまた強者だったと」

「分かりまし―――翼さん、なんかいい感じの空気にして終わらせようとしてません!?」

「仕方ないだろ! 大体、立花の加減が下手だったのが悪いのではないか!?」

「た、確かに全力全開でやりましたけど、そもそも翼さんの方こそ滅多切りにしてましたよね!?」

「……峰打ちよ」

「騙されませんよ!? 大体豆腐みたいにスパスパ斬れる峰ってなんですか! 逆刃刀!?」

 

 ギャーギャーと予想外過ぎる展開への焦りから、叫び合う少女二人。

 しばらくすれば、罪悪感から勝手に鎮静化するだろうが、流石に忍びない。

 そう思ったのか、第三者が落ち着かせるように声をかける。

 

「2人とも落ち着けって。俺は生きてるからさ」

「え? なんだぁ、良かった」

「まったく、慌てさせないで」

 

 本人からの大丈夫だという申告を受け、2人は揃って胸を撫で下ろす。

 そして、違和感に気づき弾かれたように振り返る。

 

「「え?」」

「悪いけど、不意打ちだ」

 

 2人の首筋に容赦なく峰打ちが叩き込まれる。

 翼の方は絶え間ない訓練で鍛えた反射神経で、間一髪のところで避ける。

 だが、響の方はそうはいかずに、容赦なく剣を打ち付けられ気を失ってしまう。

 そして、人質に取るかのように怪物に優しく抱き留められるのだった。

 

「立花ッ!? 貴様どうやってあの技から逃れた!!」

「逃れたわけじゃない。ただ、先に飛ばしておいた剣から再生しただけだ」

 

 剣の怪物がその名の通りに、地面に刺さっていた剣より胴体の再生を始める。

 怪物は死なない。例え、細胞の一欠けらとなろうともそこから蘇る。

 

「体が一欠けらでもあるのなら、俺は再生可能だ……こんな風にな」

「しま――ッ」

 

 そして、今度は翼の足元に微かに残っていた破片から剣を生やし、襲い掛からせる。

 これには流石の翼も対応することが出来ずに、右足に浅くない傷を入れられてしまう。

 

「戦いは終わりだ。早く帰って治療するんだな」

「何を……勝負は始まったばかりだ」

 

 血が滲む足に無理やり力を籠め、翼はしっかりとした構えを取る。

 虚勢だ。例え万全でも、細胞の1つから復活するような怪物をどう倒すというのだ。

 思わず、そんな弱気が彼女の脳内で囁かれるが、それを押し殺す様に翼はさらに強気な発言をする。

 

「先程の技で倒せないのなら、別方法で倒すまでのこと」

「そうか、参考までに言っておくとな。斬殺、撲殺、絞殺、刺殺、殴殺、毒殺、薬殺、扼殺、轢殺、爆殺、圧殺、焼殺、抉殺、溺殺、射殺は効かないぞ。全部()()()試したけど死ねなかったからな」

「……化け物め」

 

 完全なる善意から、真顔で恐ろしい経歴を吐く怪物に、翼は思わず嘔吐しそうになるがグッと堪える。

 今は響を救出をしなければならないと歯を食い締め、絶唱の使用すら視野に入れる。

 だが、その考えは他ならぬ怪物自身に否定されるのだった。

 

「絶唱はやめておいた方が良い。クリスですら倒しきれなかったのに、俺が倒せるわけがないからな」

「……立花を救うだけなら、貴様を倒す必要は無いぞ」

 

 士郎からの言葉に、内心で苦虫を噛みつぶしたような顔になる翼だが、それを表に出すことはない。ただ、堂々とこちらはいつでも行けるぞという虚勢を張る。だが、それは人の心が分からない。ある意味で誤魔化しが効かない士郎には通用しない。

 

「響なら絶対に傷つけない。ただ、響と交換であるものが欲しいんだ」

「あるものだと…?」

「ああ。戦っている最中は、記憶があやふやだったから忘れてたんだけどさ。そもそも、俺は翼さんや響と戦う必要は無いんだよ。あるものさえ手に入ればそれでいい」

 

 気を失った響の容態を確認しながら怪物は話す。

 そもそも、ここで翼と戦う理由はないのだ。

 既にクリスが哀れにも裏切られたという事実は作り上げた。

 後は、フィーネが口添えしてやれば、風鳴弦十郎が確実に保護してくれるだろう。

 だから後は、無銘の怪物が最終進化を迎えるための物質を求めるだけでいい。

 

「……何を求める?」

「―――デュランダルが欲しい。デュランダルと響の身柄を交換しよう」

 

 それだけ告げると、怪物は響をお姫様抱っこして逃走の準備を始める。

 翼の方はそれをさせるかと刀を抜き放つが、怪物の手元の響に目をやり足を止める。

 怪物がその気になれば響は一秒もかからずに、その首を胴体から斬り落とされるだろう。

 

「待て! 立花をどうするつもりだ?」

「俺に響を傷つける気はないよ。まあ、そっちが俺の言葉を信じられるとは思えないけどな」

 

 翼側は敵である怪物のことなど信用できない。

 だから、響の安全を考えた行動をとらざるを得ない。

 例え、怪物が本心から響を傷つけないと言っているのだとしても。

 

「明後日……いや、3日後の深夜零時に俺が指定した場所にデュランダルを持ってきてくれ。そこで響との交換をしよう。場所はこっちから指示を出す」

 

 チラリと気づかれないように、クリスの方を見てから日時を指定する()()

 計画が成功すれば、世界は大きな変革を迎える。

 その時までに起きて、事情を理解する時間が要るだろうと判断したが故だ。

 

「それじゃあ、明後日に会おう」

「……貴様は何故、そうまでしてデュランダルを求める?」

 

 これ見よがしに響を抱きかかえながら撤退を開始する怪物に、翼は問いかける。

 そうまでして何故聖剣を求めるのだと。

 

「そうだな……簡単に言えば」

 

 怪物はどう答えたものかと、いつの間にか上っていた月を見上げながら考える。

 素直に月を壊すためと言えば、何かしら対策を取られてしまうかもしれない。

 だとすれば、相手には決して分からない。否、分かってもどうしようもないものを答えるべきだろう。

 

 

「―――赤い竜になるためだな」

 

 

 だから、それだけでは何のことか分からぬことを答える。

 当然、翼の方はどういうことだという表情を浮かべるが、気にしない。

 

「赤い竜…?」

「今言えることはそれだけだ。じゃあな」

 

 困惑する翼を残し、最後に一瞬だけクリスを見つめてから、()()は闇の中へ消えていくのだった。

 

 

 

 

 

「以上が、私が()()()()を名乗る人物と交戦した際の情報です」

「聖遺物をその身に取り込んだ、響君に続く融合症例……そしてデュランダル。何が目的なんだ? 攫われた響君の行方もそうだが、分からないことだらけだな」

 

 二課本部。応急処置を受けただけで、後は気合で復活した翼が映像と共に説明を終えた。

 それに対して、弦十郎は顎髭に手を置きながら難しい顔をする。

 因みに、弦十郎は姿が余りにも変わり過ぎていたために、フィーネを名乗る人物が以前に出会った少年だとは気づいていない。

 

「立花が攫われたのは私の至らなさが原因です。処罰は如何様にでも」

「馬鹿言うな。お前に止められなかったのなら、誰にも止められんかったさ」

「……申し訳ありません」

 

 翼の後悔を滲ませる謝罪にも、弦十郎は信頼しているとフォローをするだけだ。

 しかし、当の翼本人が弦十郎ならもっと上手くやれたのではないかと、思っているために、表情は暗いままである。

 

「はいはい、一度や二度の失敗でへこまない。失敗は成功のマザーよ? それより、保護した女の子の処遇はどうするつもり? まさか、うら若い乙女を監禁し続けるなんてことはしないわよね」

 

 そんな重い空気を払拭するかのように了子が話題の先を変える。

 もっとも、逸らした先も中々に重く重要な話なのだが。

 

「もちろんだ、()()()。事情を聞き終えたら家まで送り届ける……予定だったのだが」

「だが?」

「小日向未来君は、ネフシュタンの少女……雪音クリスのことを気にかけていてな。彼女が起きるまではここに居たいと言われてな」

「彼女はまだ起きていないんですね?」

「ああ。傷は酷くないことから、恐らくは大きな精神的ダメージを受けたせいだろうと聞いている。未来君もルームメイトの響君が攫われたショックを考えれば、1人にしないのは理に適っていると言えば適っているんだが……」

 

 そう言って、弦十郎は重い息を吐く。

 また守れなかった。

 翼には気にするなと言った手前だが、その気持ちはむしろ彼の方が強く持っていた。

 

「雪音クリス……数年前に南米でのテロに巻き込まれ行方不明。俺が捜索に向かったが当初は見つからず断念。その後、救出され日本に帰ってきたが――」

「帰国後、すぐに行方不明になった。前後関係から言って()()()()に攫われたと見て間違いないわね」

 

 弦十郎の言葉を引き継ぎ、了子がハッキリとした口調で告げる。

 その言葉に異を唱える者はいない。

 ただ1人、それを口にした了子の心以外は。

 

「未来ちゃんの証言。響ちゃんの直前までの戦闘記録から見て、まず間違いなく、クリスちゃんはフィーネを名乗る人物に利用されていたみたいね」

「だろうな。起きたらある程度の事情聴取は行うが、こちらで保護できるように何とかしよう」

「さっすが、弦十郎君! 話が分かるわね」

 

 利用され、裏切られた。

 そんな不幸な境遇を考慮すれば、無罪と言わずとも保護観察までは持っていけるかもしれない。

 そんな弦十郎の言葉に了子は大げさに喜んでみせる。

 内心ではそんな自分の汚らしさに吐き気を催しながら。

 

「まあ、2人への対応は後回しで良いだろう。今は今後の対応を考える方が先だ。()()()、君はフィーネを名乗る人物の狙いは何だと考える?」

 

 弦十郎は全幅の信頼を寄せて櫻井了子に問いかける。

 彼女こそが本物のフィーネだと思いもせずに。

 

「そう…ね……」

 

 その問いを受けて、了子は先程の様子から一転し、深く考え込むように下を向く。

 実際には答えなどとうの昔から知っているのだが、怪しまれないようにするには必要な動作だ。

 もっとも、その動作の中には自らの苦悩を隠す面もあるのだが。

 

「ネフシュタンの鎧と融合したこと、そして執拗なまでデュランダルを求めることから考えて、デュランダルを使っての大規模な破壊を企んでるんじゃないかしら?」

「大規模な破壊?」

 

 源十郎からの鋭い視線を受けて、重く深く頷く了子。

 それは翼達から見れば、ことの重大性を指しているのだと思えた。

 だが、実際は違う。1つ1つの思い出を噛みしめているからだ。

 

「ええ。デュランダルは知っての通り、無限のエネルギーを生み出す聖剣。その力を振るえば月ですら壊せるでしょうね」

「確かにそうですが、そうなると何故ネフシュタンの鎧を?」

 

 淡々と、どこか上の空のように了子は語っていく。

 頭の中に流れるのは、あの子との思い出の日々。

 

「簡単な話よ。強力な銃を撃つ際に大きな反動が出て撃ち手にダメージが行くように、デュランダルを本当に無限のエネルギーを引き出した状態で振るいたいなら、それに耐え得る頑丈な肉体が居る」

「つまり……デュランダルを最大限に使うためにネフシュタンの無限再生に目をつけたと?」

「花マルよ、翼ちゃん。響ちゃんが言っていた鞘の聖遺物も、同じ目的で肉体の強化のためでしょうね」

「そう言えば、デュランダルの本来の使い手、ローランには足の裏以外傷がつかないという伝承がありましたね。そう考えると、辻褄は合う……」

 

 一緒に食事をとった思い出。

 自分のことに無頓着な彼の服を一緒に買いに行った思い出。

 廃墟の中で家族ごっこをする彼の手を引いて帰った日。

 ごめんなさいと、夢の中で謝り続けるあの子に子守唄を歌ってやった記憶。

 数千年の間に色あせていた世界が、あの子を拾ってから少しだけ色づいた。

 

「そうなると、デュランダルは何があっても渡してはダメですね」

「だが、響君の身柄と引き換えとなると無視することも出来ん」

「う…すみません」

 

 だとしても、全ては自らの悲願の為。

 そして、計画は彼が引き継いだ。自分はただ座して待っていればいい。

 そうすれば、世界も愛する人も全てが手に入る。

 だというのに。

 

「それなんだけど、私に提案があるのよね」

「提案? 了子君、言ってみてくれ」

 

 どうして心はこうも寒々しいのだろう。

 ただの道具を失うだけで、こんなにも胸が痛むのは何故だろうか?

 分かっている。この痛みの正体は何千年も前に味わった痛みだ。

 家族を失うという別離の痛みである。

 

「響ちゃんの安全のために、デュランダルを渡す。そして、響ちゃんを取り戻すと同時に、こっちの最大戦力で敵を叩くの」

「最大戦力となると私と……」

 

 チラリと翼が弦十郎の方を見る。

 普段は司令という総責任者であるため現場に出られないが、二課の中で誰が最強かと言われれば誰もが彼だと口を揃えるだろう。

 

「ええ、弦十郎君、翼ちゃん。そしてあわよくば取り戻した響ちゃん。この戦力で一気に潰す。というか、翼ちゃんと響ちゃんの2人がかりで敗北した以上、勝つにはこちらの全てを出すしかないわ」

「それは……確かにそうですが、相手に目的のデュランダルを与えるのは危険では? いっそのこと、偽物でも作って渡すべきでは?」

「相手は聖遺物の反応を知る術を持っている可能性が高いわ。贋作はすぐに見抜かれる。それなら、初めから本物を持って行って安心させる方がお得よ。何より、この計画の肝は、使わせる前に叩き潰すことなんだから」

 

 翼からの反論にも了子は理路整然と返す。

 そのため、翼や弦十郎もその通りかと納得することしか出来ない。

 全てが筋書き通りだということにも気づくことなく。

 

「留守の間は()や他の人達に任せなさい。大丈夫よ、()()()()襲撃なんてないから」

 

 これは次善の策だ。

 あの子が失敗した時に、誰にも邪魔されずに計画を実行するために二課の戦力を全て外に出す。

 そうすれば、聖遺物がなくともフィーネの力をもってすれば、制圧は簡単だ。

 何より、あの子が翼達を始末すれば、今後の支配に邪魔な勢力を一掃できる。

 始末が無理でも手傷を負わせられれば、それだけで今後の支配が楽になるだろう。

 あの子が残した手紙での打ち合わせ通りだ。

 

「……分かった、俺も出よう。どの道、相手の出方を窺うしかない状況だ。なら、戦力的に少しでも有利な状況を作っておくべきだろう」

「ええ、留守は任せて」

 

 そう、どう転ぼうともフィーネの悲願は達成される。

 どう転ぼうとも、1人の少年が犠牲になることは確定しているが。

 

 ピシリ、と心に罅が入る音が聞こえた。

 

「……ッ」

「了子さん、どうしたんですか?」

「! な、何でもないわ。ちょっと目にゴミが入ったからこすってただけよ」

 

 心配そうにこちらを見る翼に曖昧に笑みを返しながら、了子は見えないように手を握り締める。正気になれと、自分は何のために数千年も生きながらえて来たのかと。必死に自分を奮い立たせる。握りしめた手に、あの子の温もりを思い出せないことに動揺しながら。

 

「それより、他に何か気になった点はない? どんなに小さなことでも良いのよ」

 

 自らの動揺を悟らせないように、了子は翼に問いかける。

 その様子を弦十郎だけは、訝しむように見ていたがすぐに翼の方に視線を移す。

 

「デュランダルを求めるのが、何かの破壊のためというのは分かりました。ただ、彼は私の問いに対して『赤い竜になるため』と答えてました。赤い竜とは何なのでしょう?」

「赤い竜……色々と伝説はあるけど一番有名なのは黙示録の赤い竜でしょうね」

「黙示録?」

 

 翼の疑問にコクリと頷いて了子は説明を始める。

 

「正式名称はヨハネの黙示録。聖書の1つよ。そこに記された人類をエデンから追い出す原因を作った蛇…サタンの化身のことね。まあ、実際はローマ帝国の暗喩なんだけど、詳しいことは良いわ」

 

 赤い竜はキリスト教徒を迫害した、ローマ帝国の暗喩である黙示録の獣に権威を与える。

 そうしたことから、黙示録はヨハネが表立ってローマ帝国を非難することが出来ないので、例え話を用いて非難したものとされている。

 

「サタンというと、魔王ですか。では、彼は()()()()()()()魔王になると言っていたのでしょうか?」

「どうでしょうね。そもそも黙示録では、赤い竜は敗北して業火の中で()()()()()()運命になっているもの。縁起が悪いわ」

 

 人類を地球というエデンから、フロンティアという地獄に追い出す。

 その後、支配者として永遠に君臨を続け、自らは罪の業火の塗れ永劫に苦しみ続ける。

 魔王とは言い得て妙かもしれないと、了子は擦れた思考で考えて、同時に思ってしまう。

 自分で育てた子供を、そんな魔王に堕とそうとしている自分は。

 

「それにさっきも言ったけど、赤い竜って色んな伝説にあるのよ。マヤの神話にも居るし、漢の劉邦なんかも赤い竜の子だっていう伝説があるわ。他に赤い竜にまつわる人物として、一番有名なのはあれね」

「あれ?」

「今でもウェールズの旗に使われている、ブリテンの赤い竜の象徴――」

 

 地獄に落ちることすら許されない。

 

 

「―――アーサー王よ」

 

 

 魔女だと。

 




今回、士郎君は剣から生えて復活するか、1800の肉片に散らばって逃げるか悩みましたが、後者だと翼さんが覚醒して、一瞬で1500と少しを切り裂きそうだったので前者になりました(縁壱感)

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