少し書き忘れていた事があったので投稿し直しました。
それではどうぞ。
夜。ゴブリンの討伐を終え、今日はもう遅いからとライダーは令嬢戦士と共に夜営していた。彼らの側には既に亡き人となっていた令嬢戦士の仲間の墓が作られていた。ゴブリン達の盾になっていた令嬢戦士の仲間はライライの横で毛布にくるまっているが、生きているというのにその目に生気は感じられない。
焚き火の火が夜の闇を照らし、その焚き火の上で鍋の中を混ぜるライダーと膝を抱えて俯く令嬢戦士。気まずい空気が流れるなか、先にその静寂を破ったのはライダーだった。
「スープ出来たぞ。食べれるか?」
「………私は…私は生きていていいのでしょうか?」
「……どういう意味だ?」
「彼らの犠牲で私は今生きていています……私の命は彼らの命を犠牲にする程こ価値はあるのでしょうか……」
自分は彼らの命を奪ったのだと思うと、その重圧が肩にどっしりとかかってくるように思う。徐々に表情を暗くする令嬢戦士。そんな彼女に対して、ライダーは迷いながらも口を開いた。
「……そんなの俺が分かる訳ないだろ」
「そう……ですよ「でもな」……」
「でも、もしあんたがそう思うなら、自分で価値をつけろ。頑張って生きて、仲間が犠牲になった価値のある……そう思えるまで頑張ればいいんじゃないか? 結局、自分の価値を決めるのは自分自身だ」
「自分、自身……」
「それにな。例え体が死んだとしても、魂や一度結んだ絆は消えやしない。ちゃんとお前の此処で生きている」
そう言って、ライダーは自分の胸……心臓に当たる場所を叩く。
「……貴方も、同じような事がありましたの?」
「まぁな。その内話してやるよ。今は腹一杯にして明日に備えろ」
ライダーは鍋の中身を掬って持っていた器に移し、令嬢戦士に差し出す。令嬢戦士はそれを受け取り、まずは一口。
「───美味しい……」
「だろ? ドライシモフリトマトのスープだ。トマトは旨味成分をたっぷりと含んでいるからな。疲れた体にはもってこいだ」
「料理がお上手ですのね」
「趣味だからな。好きなだけ食べてくれ」
「お心遣い、感謝致しますわ」
こうして、二人と一匹の夜は過ぎて行くのだった……。
●●●●●●
西の辺境の街にあるギルド。
そこは辺境の地であるにも関わらず、昼を過ぎた今も大忙しだった。
「金貨三袋、今すぐッ!」
「はいッ! ただいまぁッ!」
「
「はいッ! 分かりましたぁッ!」
「地図ッ! 地図は何処ッ!?」
「え、えっと書類棚に……今持っていきまぁすッ!」
「ちょっとッ!
「す、すいませぇんッ!」
涙目になりながらも金髪の女性……新人受付嬢は言われた仕事をこなそうとする。
本当なら休みたい。ベッドにダイブして眠りたい。そんな気持ちを抑えながら精一杯頑張っていく。しかし、
「はい。ゴブリンの書類起こし、お願いね」
ドンッ、と新人受付嬢の前にゴブリンの依頼書の山が止めと言わんばかりに積まれ、彼女の肩がプルプルと震え始める。
ゴブリン。それは子供ほどの体格、膂力、知恵を持ち、徒党を組んで、村を襲っては女を拐い、慰みものにする、最も多く依頼が持ち込まれ、最も人気のない最底辺の化物。
その依頼は日に日に増える一方だが、『ゴブリンは素人の仕事だ』、『そんな物で名は売れない』と好んで受ける者は一切いない。
そんな依頼書の前で思わずタメ息が出る受付嬢だったが、そんな彼女の頬を先輩受付嬢がつついた。
「こぉら。そんな暗い顔しないの。私たち、受付が暗い顔してたら冒険者も依頼を受けられないでしょ?」
「…………はい」
そう答えたものの、あまりの忙しさに笑顔を作る元気もない新人受付嬢。とりあえず、指で口角を上げてみようと、顔に手を持っていく。
そのときだった。
「───た、大変だぁッ!!!」
突然開け放たれた扉に視線が集まる。見ると、一人の冒険者らしき男性が切羽詰まった表情で立っているではないか。
そのあまりの形相にギルドにいた冒険者の一人が何があったのか、と問いかける。
その問いに対して男性はこう答えた。
狼に似た大きな化物がこの街に向かっている、と。
ドライシモフリトマトの手抜きスープ
材料
ドライシモフリトマト
コンソメの元
塩
胡椒
水
大まかな作り方
①水を沸騰させ、そこにドライシモフリトマトを入れてふやけるまで置いておく。
②ドライシモフリトマトを戻したら、そこにコンソメの元、水を加えて煮込む。
③ある程度煮詰まって来たら塩、胡椒で味を整えて完成。
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