GS×MHST's   作:メンツコアラ

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 久しぶりの投稿。
別にエタってはいませんよ?






西の辺境

 ライダーが令嬢戦士と出会ってから3日。

 無事に西の辺境の街に辿り着いたライダーとライライは冒険者ギルドと呼ばれる場所の裏手にある広場で座っていた。

 

「大丈夫かなぁ……お嬢」

 

 令嬢戦士は現在、ギルドに今回のクエスト結果とライダーに関することを報告している。もし彼女が居なければ、ライダーはこの街の冒険者たち全員と相手をしなければならなかっただろう。

 実際、後少しで街に到着するという所で多くの冒険者に刃を向けられたのだ。あの時は令嬢戦士が皆を説得してくれたが、

 

「よう。余所者さんよ」

 

(ま、そうなるよな……)

 

 令嬢戦士が居ない所を見計らったのだろう。ライダー達を十数人の冒険者が取り囲んでいた。

 

「何のようっすか?」

 

「何のようだじゃねぇだろ? お前、混沌側の人間だろ? そんな化け物を連れてよ」

 

「混沌側なんて知りませんね。それにライライは俺の家族っす。モンスターではあるが、化け物なんかじゃあないっすよ」

 

「どうでもいいんだよ。それよりもその化け物にお前の鎧。そうとう良い物だよなぁ」

 

「……だとしたら?」

 

「殺されたくなかったら化け物とお前の装備を全部寄越しな」

 

 もし断れば……分かるな、と冒険者たちがいつでも襲いかかれるように武器を構える。

 多勢に無勢。萎縮したライダーは逃げ出し、あとはモンスターを倒せば良い。冒険者たちはそう考えていたのだが、ライダーは答えた。

 

「お断りしますわ。こいつは俺の家族だと言ったでしょ? 家族を見捨てるバカが何処にいますか?」

 

「じゃあ、死ぬしかねぇな!」

 

 冒険者の一人がライダーに迫り、己の武器である長剣を振り下ろす。

 しかし、その刃はライダーの体を切り裂く事は無かった。何故なら、ライダーがその刃を()()()受け止めたのだから。

 予想外のライダーの行動に驚愕する冒険者たち。本来、そんな事をすれば籠手を着けていても血を流すことになる。しかし、ライダーのジンオウSアームは冒険者の持つ長剣では傷一つ付かなかった。

 

「こんななまくらを持ってるだけで冒険者ってやれるんすか?」

 

「この! 離しやがれ!!」

 

 しかし、冒険者がいくら力を入れてもライダーは微動だにしない。

 

「……それで? これはあんたらから仕掛けた攻撃だ。つまり、俺が今からやることは正当防衛って事で良いっすよね?」

 

「な、なんの事だ!?」

 

「分かりやすく言うと───覚悟しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

「───以上が今回の結果ですわ」

 

 冒険者ギルドの一室。令嬢戦士からライダーと出会った経緯を聞いていたギルドの支部長と監督官の女性相手は頭を抱えていた。

 

「見たことのないモンスターを連れ、十数体のゴブリンの群れをあっという間に討伐か。いささか信じがたい話だが……」

 

 支部長がチラリと監督官に視線を向けるが、彼女は首を横にふる。『看破』の奇跡を持つ監督官に嘘は通用しない。もし令嬢戦士の話が嘘なら彼女はすぐに教えるだろう。しかし、首を横に振ったということは令嬢戦士の話が真実であることを物語っている。

 

「男の出身は?」

 

「……実は、あり得ない話なのですが……本人曰く、()()()()()()()()と」

 

「別の世界? ……ふざけているのかね?」

 

「い、いえ。そういう訳ではありませんの。本人がそう言ってまして……」

 

 支部長は監督官に確認を取るが、監督官はまた首を横に振る。しかし、異世界から来たなど、普通なら信じることが出来るわけがない。これは確認の為、ライダー本人に直接聞いた方が良いだろう。

 支部長は令嬢戦士に頼み、ライダーをこの部屋に連れてきて貰おう。そう考えた時だった。

 

『ウォァァォォォォッ!!!』

 

「「「───!!?」」」

 

 突如窓の外から聞こえた狼の遠吠えにも似た咆哮。

 まさかと思い、令嬢戦士は窓に駆け寄って外を見てみれば、広場で冒険者たちに囲まれるライライとライダーの姿があった。しかし、その光景は異様で、ある冒険者は地面に倒れ付し、ある冒険者は武器を支えに何とか立てている状態だったりと、様々ではあるが冒険者全員が戦闘続行できる状態ではないことが分かる。

 

「これは……!?」

 

「あの人は何をやってますの!?」

 

 令嬢戦士はすぐさま応接間から出ていき、ライダーたちの元に走っていく。

 支部長たちも彼女を追って、応接間を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライダー&ライライvs冒険者十数人。結果はライダー&ライライの圧勝。もっとも殆どの冒険者はライダーが戦闘不能にしたのだが、

 

(弱すぎね? 新人ハンターでももう少し奮闘するぞ。お嬢から聞いた話だと、冒険者って俺たちの世界で言うところのハンターじゃないの?)

 

 冒険者=ハンター。令嬢戦士からそのような等式を作っていたライダーだったが、その考えを改める必要があるのではと考えていた。

 

 まずは武器。ナイフや短剣等、その殆どがライダーからするとなまくらだった。

 中には杖を持ち、ブツブツ言っている奴も居たが飛ばしてくるのは小さな火の玉。こんなのでモンスターを焼くつもりなのか、とライダーは思った。

 

(こんなので冒険者って、リオレウスなんか現れた日には街が崩壊するぞ。現れる事なんてないけど)

 

 だが、ここまで弱いと心配になってしまうライダー。そんなとき、ギルドから令嬢戦士が走ってきた。

 

「貴方ッ! 何をやってますのッ!?」

 

 彼女の顔を見れば、焦りと怒りがごちゃ混ぜになっているようで、特徴的な縦ロールの金髪も逆立っているような見える。

 あぁ。これは長くなりそうだ。

 ライダーは彼女のお説教を覚悟するのだった。

 

 

 

 

 




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