†MULTIPLE AIGIS† True Eyed Knight 作:てゐと
真眼子「ここは…」
白い霧に包まれた世界。自分の腕さえもろくに見えないほど深い白色はまるでキャンバスに描かれた絵を塗りつぶしたように…存在の否定を感じさせた
真眼子「誰かいないの?どうしてこんな所に…」
なにも覚えていない。なぜこんな所に自分がいるのか。そしてなぜ…歩き続けているのか。どこまで行くのと何かに問いかけられていると感じた気持ちがほんのすこし歩みを止めた
真眼子「おかしいな…お腹も空かないし疲れもしない。まるで白く見える暗闇にいる気分だよ…。ん…?」
その時。自分の腕さえ霞む霧の奥で何かが見えた気がした。急いで走るとそこにあったのは…
真眼子「…剣と盾…?」
古びた青い剣と赤い盾が祭壇のような場所に奉られていた。愚かにも私は警戒などすることなくその武具の前に立つ
真眼子「…はぇー…なんかすごい。古代の神秘ってやつ?」
それに触れた瞬間。テレビの電源が切れたように視界が黒に染まると次第に白い世界がやってきた
???「こー…まな…おき…」
真眼子「んや…?」
もみじ(ガーディ♀)「真眼子!起きてってば!!」
ひぐらし(メッソン♀)「起きねぇならおやつは貰っちゃうですよぉ?ほーら、こんなところにマトマの実が!!いっただきまー「それ腐ってるけど」げぼぉ!?」
時すでに遅し。腐った箇所を思いっきりかぶりついたひぐらしは悶絶していた
ひぐらし「ぺっ!おえっ!もみじぃ!なんでもっと早く言わないんですかぁ!?口の中が(自主規制)みたいになってるじゃない!」
もみじ「いや、食い意地張ったのひぐらしでしょ…」
引きぎみにひぐらしを汚物を見るような目でみる。口元には青黒く腐ったマトマの実がついており、洗浄されてる口からもなにかがでていた
真眼子「はいはい。お手洗い行ってきなよ」
ひぐらし「うぅ…なんか辛い泥を食べてる気分…」
渋々席を立つひぐらし。それを真眼子はじーっと見ていた
もみじ「どうしたの?」
真眼子「なーんかまだ実感がないなぁって…。私…初めてのポケモン貰って…ポケモントレーナーになったんだなぁって…」
もみじ「最近はならない人も多くなってきたんだっけ?」
真眼子「うん。私もそうだったしほとんど無縁だったのにね。不思議なものだよね」
なぜこうなったか説明するには数日前に遡らなくてはいけない…
数日前…
真眼子「えっ!?私がポケモンリーグに!?」
ベノ(ニドキング♂D)「あぁ。建前はな」
真眼子「…建前?」
ベノ「お前も知ってるだろ。ダークネスポケモンっての」
真眼子「めっちゃヤバいリライブできないってポケモンだっけ…」
ベノ「そんな認識で充分だ。そいつが今回開催されるガラル地方のポケモンリーグ…ジムチャレンジに紛れ込んでる」
真眼子「使ってる人がいるってこと…?」
ベノ「名誉のためにそれを汚すのが人間だ、強いポケモンをタダで貰えるならとかあの手この手で流してる奴等がいるらしい。詳しくは知らないがな」
真眼子「…読めたよ。私の持ってきたコレクション…。スナッチマシンでそれを奪えばいいんだね?」
ベノ「その通りだ。目標としてはリーグまで行ってくれればありがたい。そうすればだんだんと場所や数を絞れる」
真眼子「オッケー、それでさ。私…ポケモン使ったことないんだよね、どうするの?」
ベノ「ガラル地方はちょっと特殊でな…原産ポケモン以外は公式戦に出れねぇんだ。しかも俺たちは歌劇団。現状どの組も公演準備でピリピリするくらい忙しい。と…いうことで、家の中で比較的暇で主演がないもみじをお前の護衛につける」
真眼子「ヤッタネ」
ベノ「それと初心者ポケモンも一人連れていってくれ。おい!入ってこい」
???「はいですぅ!」
ベノ「紹介する。家で今もっともクビになる可能性がある穀潰し、メッソンのひぐらしだ」
ひぐらし「ひ…ひぐらしですぅ…。よろしくなのです」
真眼子「かわいいじゃん。なんでクビになりそうなの?」
ベノ「要人警護失敗率9割」
真眼子「チェンジで」
ひぐらし「そこをなんとか!もう後がないんですぅぅ…!」
真眼子「ちょ…泣かないでよ…困るじゃん…」
ベノ「七回中三回は誤射で要人を撃ち殺してるぞ」
真眼子「いや、ほんと無理なんで…チェンジで…」
ひぐらし「ぞぉお゛じれぇえ゛っ!!(ガチ泣き)」
ベノ「うるせぇ、泣いても笑ってもこれがラストチャンスだ、お前の任務は真眼子の言うこと聞いて護るだけだ、できるだろ?」
ひぐらし「命にかえてもっ!」
ベノ「死ぬ気で働け、てゐ劇は命を大切にしないとクビだ!」
ひぐらし「サー!イエッサー!!」
真眼子「(ブラック企業…?ってか私の拒否権はないんかい…!)」
ひぐらし「よろしくお願いします!ご主人様!」
真眼子「真眼子でいいよ、なんか私さ、マスターとか呼ばせるの嫌いだし」
ひぐらし「真眼子…ですぅ?」
真眼子「うん。よろしく」
ベノ「おい、これ持ってけ」
そういって机に置かれたもの。それは馴染みのトレーナーなら必ず持っているアレだった
真眼子「これってポケモン図鑑?」
ベノ「あぁ、しらみつが作った。すべてのポケモンのデータが乗ってる他、状態や状況まで把握して極めつけはダークネスポケモンを察知すると震えて教えてサーチできる優れものだ」
真眼子「鳴んないね」
ベノ「うっせぇから俺たちてゐ劇所属のダークネスポケモンは除いてる。じゃねぇと俺が持ってこれねぇだろ。それとモンスターボールと傷薬、状態異常回復薬に…」
真眼子「遠足前のお母さんかっ!」
ベノ「たりめーだろ、危険な任務任せてんだ、これくらいやらせろや」
真眼子「…そういえばさ、さっきリライブできないって聞いたけど…」
ベノ「…実はできるって話か?可能だぜ?ただし…俺たちはこの特性に生かされてる。だからあんな荒治療は勘弁だな」
真眼子「それを捕まえたポケモンたちにしていくの?」
ベノ「やりたかねぇがよ、やらねぇともっと辛いだろ」
最近発見できたのだが、シャーヴァルの力を使うことでダークネスポケモンであることを薄め、なんとか疑似的にリライブまで漕ぎ着けることができた報告があったのだ。ただ…シャーヴァルの負担は重く、ダークネスポケモン側も苦痛を伴う。しかも完全には消えない。もう一度同じようにダークネスポケモンに覚醒した場合、今度はもっと階級が上がる可能性もある。火種を潰すことのできない弱火、それが発見された治しかただ
ベノ「ダークネスポケモンを増やせる奴が減らすために自分の身を削るって言ったんだ。無下にはできねぇ」
真眼子「そういえばさ、シャーヴァル…さん?ってどんな人なの?」
ベノ「…一言で言うなら完璧だな。だが…頑張りすぎると一人でなんでも抱え込みがちだ、自分よりも他人の命が大事な奴だからな。だから今でも峰打ちで不殺決め込んでやがる」
真眼子「あたしは前にちょっと見ただけだけどさ、すごい強いの?」
ベノ「強い…そうだな。確かに俺も勝つのはちょっと苦労するな」
真眼子「濁った言い方だね」
ベノ「そのうちわかるだろ、どうせ同じ目的の任務なんだ、どこかで会うことにはなる」
真眼子「聞くより見ろってね、りょーかい」
ベノ「開始場所なんだがな、一応お前のトレーナー経験が無いっても考慮してブラッシータウンからだ、そこらへんで基礎的なことをもみじとかから学べ、そして三日以内にエンジンシティに向かえばその町でジムチャレンジの開会セレモニーがあるはずだ、そこでダークネスポケモンをサーチしろ、そこから同じジムチャレンジする奴や野生に放たれたりしたダークネスポケモンを捕まえていけ」
真眼子「窃盗罪とかなんない?」
ベノ「手荒だがなんとか誤魔化せ、なんならトレーナーにダークネスポケモンの攻撃当てろ」
真眼子「道徳がどうとか問われそうだけど手段、選んでらんないよね。誰かの命がかかってるし」
ベノ「そういうこった、それじゃあ行ってこい。そして…俺たちポケモンがどういう存在なのかも改めて知ってほしい」
真眼子「うん。いってきます」
そんなわけで私たちは今、電車に乗っていた。でも実はもーちょっと振り返ろうと思う。そう…ポケットのなかには、まだ新しい顔ぶれがいるから。
次回予告
真眼子「ついに始まった冒険!この十数年ものあいだポケモンとは無縁だった私の一歩!右は頼れる親友!左は向きたくないほど危険な穀潰し!その穀潰しがやらかしに火をを付けた!」
ひぐらし「次回!高飛車な翼!って付け上がりやがってえええぇっ!!」
もみじ「次回もまた見てね~!」
お疲れ様でした。早く続きが見たいですって?ではコメントを一つどうかお願いします。モチベーションが上がります