中途半端に書き殴ったやつだけ置いときます。
を何年か前に書こうと思っていたけど書けずにお蔵入りしてた話です。多分書けないので、書いてくださる方を募集してます。設定全部投げます。
一応サンプルとして所々書き殴ったのを置いておきます。
誰もいなかった場合は、もしかしたら何年後かに書く…かもしれない。
なんの歯車が狂ってしまったのだろう。
「お父様、やっぱり私が行くわ」
遠坂凛がそう言ってしまったのは、何故だったのか。どうせどちらを選んだとしても妹とは離れ離れになってしまうのに。
妹一人を知らない所へ置いていくのが可哀想だったから。自分が未知の場所で色んなことを知りたかったから。そんな大層な理由ではない。
ただ、あの子を行かせてはダメだと、心の中の何かが叫んでいたから。だから、凛は父親に進言した。私が間桐の養子になると。
「じゃあね、桜」
そう言って渡した、彼女が髪を結っていたリボンの片割れを、小さな妹は酷く大事そうに握りしめた。私を忘れないで、どこにいても貴女は私の妹となんだから。そう、思いを込めたリボンを。
別れる間際、桜は泣いてしまったけど私は泣かなかった。何故ならお姉ちゃんだから。別れは辛いものじゃないんだと、私が示してあげなきゃいけなかったから。だから、目には涙が溢れたけど、その涙を決して零しはしなかった。
さようなら、私の家族。さようなら、私の大事な妹。
でも、私もきっと立派な魔術師になってみせるから。大人になって桜を驚かせてみせるから。
そう決意を抱いて、間桐の養子になった日の夜。彼女の思いは、身体は。悲惨なほどズタズタに引き裂かれた。
有無を言わさず服を脱がされ、布一枚纏わずに放り投げられた真っ暗な蟲蔵の中。魔力を求めて這い寄ってきた汚く醜い蟲たちが、血の匂いに群がるサメの如く、純潔な幼子の身体を貪った。
筋肉、骨の髄、神経までもを蟲が這い回り、喰らい、舐り尽くす。それは死よりも悍ましい所業。痛みという痛みが彼女の脳髄を支配した。身体の中に入ってくる蟲が気持ち悪いという感覚さえも、その痛みの前では無いに等しい。
あまりの苦しさに絶叫した。今まであげたことも無かった声に声帯が耐えきれず、数時間もせずに潰れた。だが痛覚が閾値に達して、気が飛びそうになっている彼女はそんな些細な事には気がつかない。声にならない悲鳴を上げながら、彼女の心は死んでいった。気を失う事が出来たならどれほど楽だったか。痛みのあまり気を失いそうになる凛を、痛みが彼女の意識を叩き起こす。
私が欲しかったのはこんなのじゃない。こんな事をする為にここに来たんじゃない。違う、こんなの違う。違う。違うじゃないか。
「ハハッ、鳴きすぎて喉が潰れたか。凛よ、これが間桐の魔術を継ぐという事じゃ。先ずは身体にそれを刻めつけとくが良い」
勝手にほざいて汚い爺は月明かりの元へと去っていった。幼い少女を一人、暗い蟲蔵の中へと押し込めたままで。
このまま一人こんな所で朽ち果てていくだけなのだろうか。いつかの桜との再会を夢見てここに来た。このおぞましい光景を桜が見たら何でいうだろうか。
「可哀想」?
「こんなのにも耐えられないなんて」と幻滅する?
「こんなの姉さんじゃない」と否定されるか?
ゲホッと、苦笑したつもりが、出たのは潰れた喉から出た血反吐だけだった。意外と桜は人を煽るのが得意だから、言いそうだ。この光景を見てもきっと動じないくらいには立派な魔術師になるんだろう、桜は。
じゃあ私は?
私は彼女と肩を張れる、いやそれ以上の魔術師になれるのか?
辺り一面を埋め尽くす蟲達の気配を感じながら、なんとなく絶望しかけた。きっとこれからも修行としてこんな事をされ続けるのだろう。爺がいいように私を使っていくのが、何故かわかった。
こんなもので、私は強くなれるのか。
痛みと倦怠感が身体にのしかかった。だけど、私はお姉ちゃんだから、弱音なんて吐けない。
数度、脱出を試みた。だが、間桐の敷地にはありとあらゆる結界と蟲の監視が張り巡らされている。当然、まだ幼い子供にそれを掻い潜る術はなく、脱走がバレたびに再教育という名目でまたあの地獄にぶち込まれた。痛みに慣れることは出来なかった。
慎二はとても可愛らしい。きっと凛が魔術の修行として身体を改造されてる事も知らないのだろう。無邪気に大丈夫か?とグッタリとした凛を見かけると心配してくれた。
ただの一度も涙を流さなかった。
虚しく感じる心さえも失いかけた頃。ふと死にかけた胸の中に、痛みと共に、大事な人にあげた赤のリボンが舞った。
『──ごめんね、こういう勝手な姉貴で。それと、ありがと。そのリボンずっとつけていてくれて、嬉しかった──』
お腹の柔い痛みと、懐かしい大事な子の匂い。そして、人形のようにいつまでも待ち続ける、馬鹿な子の後ろ姿を思い出した。
「そっか──、そうだったっけ」
痛みに麻痺した意識の中で、ぽつりと呟く。なんで思い出したのか、とかこれが本当に自分の記憶なのか、とか混乱する事は無かった。なぜか当然の事のように受け入れられた。
自分がかつて、遠坂凛であったということを。
めくるめく記憶の中で、自分が何者であったかを思い出す。自分が何をしにここに来たのか、忘れていたものを思い出した。
全て終わった後で、大事な人を失った事を受け入れられずに人形みたいに何もせず死にゆくあの子を助けたかったのだと。大人になって魔法じみた力を得た自分が出した答え。それが、
以前の自分の思惑を咀嚼して、理解した。
「──巫山戯るな」
ポツリと溢した嗄れ声が震えた。
「──巫山戯るなよ、遠坂凛」
「お前、唯一凛である意味を捨てたのか。遠坂凛は自分の快楽の為に行動する。自己犠牲で行動する奴じゃないだろ。桜を救う為なら、自分はどうなってもいいと思ったのか」
それじゃ衛宮士郎と変わらない。間違っているとほざいたお前も同じ事をしているじゃないか。
フザケルナ。
「──ああ、ァァアアアアア"ア"!!」
怒るということさえも忘れかけていた死人のようだった心が、奥底から燃え盛る。力を失っていた手が力任せに握り締められる。爪が食い込んで血が流れていく事だってもうどうでもよかった。
新たな痛みが己を覚醒へと導く。
結局、遠坂凛に全て投げられたのだ。お前がどうにかしてこい、と。ぽんちきなミスのせいで間桐凛になって、もう間桐桜という存在は無くなってしまったのに。もう過去を変えることなんて出来ないのに。
愚かすぎる。もうかつての己が道化にしか思えない。馬鹿だろ、本当に。
「フフッ、アハハハハハ」
何もかもどうでも良くなって、込み上げる笑いを抑えきれなかった。痛快、とはまさにこの事か。全身の魔術回路を作り変えられる痛みださえも気持ちよく感じる。
楽しい、という感覚を久しく思い出す。とても愉快だ。もうこの先どうなろうが私の知った事ではない。もうどうなったっていいじゃないか、楽しければ。
身体を貪る蟲たちが滑稽に思える。意志もなく、ただ魔力を貪るこの怪物達が。
「お前達が食うんじゃない。私が食うんだよ」
魔術回路を貪る蟲達に魔力を与え、自らの身体を早急に作り替える。本来蟲達は間桐の魔術に適応させる為にこの身体を侵食しているが、それに加えて魔術回路も同時に何本か開設した。それは自らの身体に何本もの鉄骨を埋め込んでいくような物だったが、痛みの感覚などもう麻痺している。後は自分が死ななければそれでいい。蟲は私達が使う。作り変えたこの身体も私が使う。
痛快、とはこのことか。血肉を食われるこの痛みが、今は気持ちよくすら感じる。なんとまあ愉快な気分なのだろう。
「クフ、アァハハハハハ!」
蟲がこの身体を貪る感覚に酩酊する。
全て、全て全て全て全て──私の物にしてみせる。
どこか、自分を制御していたネジが外れた。そうして、かつて遠坂凛だったものは、完全に別のものへと変容してしまった。
とまあこんな感じなのを考えていましたが、途中挫折しました。他のキャラ設定考えるのも面倒臭くなったので。
書きたい方いたら一言DM下さい。考えていた設定・オチ全部投げます。投げたあとはどう改変しても気にしません。
他にも、
ヒロアカ:葉隠透シリアスモノ
進撃×FGO:ジャンヌ・キルシュタイン(は?)
とかあるので、気になる方いたらDM下さい。