283プロのアイドルがプロデューサーとイチャイチャしたり、妄想したり、色々する話。
かなり性的な要素を含むと思うので注意。多分健全。
シャニマスキャラへの多大な妄想を含むため、駄目そうならプラウザバック。それでもよければどうぞ。

そんなことよりシャニマスの二次創作増えろ。増えてください。お願いします。


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深夜テンションで書いたのもあって駄文注意。ラストは急いで書いたので書き直すかも。
読み返してみると、なんかFGOと同じようなことやってんなって思います。
それはともかく全人類シャニマスやって。


※小兎鈴さん。
 誤字報告ありがとうございます。


杜野凛世 01

「……おや?」

 何でもない平日の事務所。

 平時の賑やかさはどこえやら、と言わんばかりに閑散とした事務所で、杜野凛世はふと声を漏らした。

 視線の先には彼女の担当プロデューサーのデスクがあった。パソコンのディスプレイを囲むようにファイルや紙の資料が綺麗に整頓されていて、生真面目な彼の性格の良く読み取れる机だった……が、それに対抗するように目立つように置かれた人形やヌイグルミ、小さなサボテンや何故か造花の入った花瓶、手作りのメダルや挙げ句の果てには綺麗に磨かれた石ころなど、雑多な物が机を所狭しと占拠していた。辛うじてキーボードを使える程度には開けているのが、救いとでも言うべきか。

 ただ、それ自体はいつも通り。

 きっと彼を慕う──それこそ凛世のようなアイドル達が渡したそれらを、彼はなるべく側に置くようにしていた。せっかく貰ったものを、机の中に仕舞い込んでしまうのも何だから、と笑う彼の姿に凛世は何度も笑みを(こぼ)したものだ。

 問題はそちらではなく、その手前。

 机というよりは、椅子の方。

「これは……プロデューサー様の……」

 埃を払いつつ手に取るは──黒いスーツ。

 時は既に春。朝風に吹かれて肌寒いと感じる気候ではあるが、日が上ればそれも和らぎ、陽気な光が天から差す季節。長袖の生地の厚いスーツなどを着ていれば、熱気が(こも)って不快になって、脱ぐこともあるだろう。

「…………忘れ物、ですね」

 凛世が化粧品のCMの収録を終え、この事務所に戻ってきたのはつい先ほどのこと。現場から事務所に戻って来たのは、一度事務所に置いてきていた自分の学生鞄を取るためだった。

 一度来ていた事務所に取りに行くくらいなら、始めから現場まで荷物を持っていけば良かったと、車を走らせてくれたプロデューサーに申し訳ないと感じていた凛世だったが──彼もまた、忘れ物をしていたというのなら、それもまた行幸ということだろう。怪我の功名、という言葉はきっと今のためにある。

「……ふふっ」

 思わず、口許が(ほころ)んだ。

 鞄を忘れた凛世と、上着を忘れた彼。

 なんとなしに──お揃いだ、と。

 大したことでは無い筈なのに、まるで示し合わせたような出来事に、得も言われぬ心地して。

 太陽のような暖かさが、じわりと胸を満たしていく感覚に、つい幸せな気持ちになった。

 そんな心持ちで、凛世はスーツの肩の辺りを持つと、軽く広げてみる。若干シワが付いてはいるものの、しっかりと仕付けられ、折り目が綺麗になっている。見られて恥ずかしくないよう、気を遣っているのだろう。アイドルのプロデューサーなら、なおのこと気を遣うのだろう。

 そういう彼の努力に気付くと、当然のことながら──彼が『大人』なのだと思ってしまう。

 そしてそれは、己より大きな上着を見ても、一目瞭然のことで。

 

 それが少しだけ、寂しく思う。

 

 凛世の人生は、彼と出会ったことで変わった。

 彼と出会って、アイドルの道に進んだ。最初は彼に嬉しいと感じてほしくて。そして今は、彼もグループのメンバーも、そしてファンの皆さんも──自分自身すらも胸を踊らせるような、そんな存在でありたいと。

 後悔はない。

 前までの人生を、恋しいと思ったことはあれど、自らの選択を悔いたことはない。

 けれど。

 ふと、思うときがある。

 もし彼と出会って、アイドルに成らず──けれど彼だけの『特別』であれたのなら。

 都合の良い妄想であったとしても、もし彼のもっと近くに居られるような、そんな『もしも』があったなら。

 『大人』である彼と、『少女(アイドル)』のままの自分。

 『大人』である彼と、『対等』で居られる自分。

 ──どちらが、良いのだろう。

 否──どちらが、心地好いだろう。

 そう、考えてしまう。

「…………」

 広げたスーツを、丁寧に折っていく。

 襟を揃えて、腕を優しく、シワにならないように胴の方へと折って、軽く自身の胸で抱えるようにして──。

 ──気が、迷ったのだろう。

 あるいは、魔が差した。

 感傷的な妄想に浸って、物悲しい気分だったのだろう。胸に気分の悪い、わだかまりを覚えて、不安だった。

 だから。

 凛世はゆっくりと──彼のスーツに顔を近付けた。

 折り畳んだスーツは襟を此方に向けていた。もし彼が着ていたのなら、正面から向かい合っていて──顔を上げれば、すぐそこには彼の顔があるのだと。そんなことを考えていると、優しい植物のような香りが漂った。

 香水だろう。事務所は女性ばかりだから、あまり強い匂いのしない物を……なんて気にしているのかもしれない。そんなことを思いながら……鼻を寄せた。

 柔らかい植物の香りのなかに──少しだけ、汗の匂いがした。

 ……これが、殿方の──。

 きっと嗅いでいて気持ちの良い物ではないのだろう。けれどそれが彼の匂いだと思うと、途端に恋しくて、胸が塞がれたように痛んで、胸の鼓動が早鐘を打つ。

 気付けば口が開いていて、浅い呼吸を繰り返していた。火照った頬の温度が、そのまま唇から漏れだして、喉が乾いて仕方がない。

 ……なんて、はしたないことを……。

 こんな、殿方の服の匂いを嗅いで、顔を赤くする自分を誰かが見たら、きっと驚いて、次いで幻滅するかもしれない。それがこのスーツの持ち主であれば──きっと立ち直れないかもしれない。

 それなのに、止まらない。

 軽く顔を上げて周りを確認するのも億劫なほど、両手に持ったそれに、気をやってしまっていた。

 ──両の腕で、抱き締める。

 つい先程まで、シワが付かないよう気を付けたスーツは、凛世の両の腕の間で細くなっていた。やってしまったと、という後悔の声は、既に凛世の荒くなった鼻息で耳に届くことはなかった。

 しばらくして、次第に足元が覚束なくなってきた。立ち上がった状態から、ゆっくりと膝を曲げていき、遂には尻が足裏に着く。いつの間にか内股を擦り合わせるようにして、中途半端に重なった膝に、スーツの裾が載った。

 スーツを抱き締めながら、身じろぎする。もうスーツの匂いを自らに擦り付けているのか、あるいは自らの匂いをスーツに擦り付けているのか分からなかった。

 そうしていると、ふと意識が途切れそうになる予兆がする。まるで眠りにつく前の微睡みのように心地よく、身を(よじ)らせるほどの快感が、遠くから迫ってくるようだった。

「──ぷろ……でゅーさー……さま」

 線香花火のように小さな火花が、まぶたの裏でパチパチと音を鳴らし、次第に大きくなっていく。(へそ)の下の辺りが熱を帯びてきた。それをどうにか抑えようと、両の太股が抵抗して膝を動かすが、それを笑うかのように切なく胎動する下腹部と、それに伴う無力感が一層、快感の波を強くした。

「──あなた……さまぁ、りんぜ……はぁ……──」

 襟の裏に顔を押し付け、くぐもった声で彼を呼ぶ。火花は既に視界を覆い尽くすように大きくなって、怖くなって眼を瞑っても、(まぶた)に焦げ付いた光は、何度も淡く瞬いていく。

 そして鼻孔を(くすぐ)る彼の匂いがふと強く感じられたと思えば、まるですぐ近くに、吐息が触れるほど近くに、彼がいて、見られているような、そんな気配を、不意に、感じて。

 ──体が、跳ねた。

 まるで壊れた機械のようにブルブルという振動が、腰の辺りから背中を抜けたと思えば、一瞬にして思考が真っ白になる。体が不自然な力を入れて、腰が引けていき、次いで電流が流れたように足が震えて、その時には背中を抜けた振動が体を動かす。

 比喩なく、体が波打った。

 その波に伴うように、数度小さな波が、小刻みに体を襲った。その小さな波を抑えようとすると、次の瞬間には一つ分強くなって下腹部を震わせた。

 まるで嵐が過ぎ去るのを膝を抱えて待つように、体の熱が収まるのを、ただぼんやりとした意識で待っていた。ふわふわとした高揚感に包まれながら、部屋の空気が頬を火照りを冷ますのを感じて。

「…………? ……ぁ」

 そんな間抜けな声と共に、飛んでいた意識が現れる。

 当然のことながら、凛世の目の前にはスーツの襟が目の前にあった。既にシワが付いてしまったのは言わずもがな。見れば首襟の裏の辺りが何かで滲んだように色が濃くなっていて──それが自身の吐息で、そしてあまりの恐怖に()()()()|()()()()()()()際に付いた湿気に気付いて。

「──……っ!!」

 正気が、戻る。

 途端に、興奮ではなく、羞恥によって顔が紅潮し、勢い良く立ち上がる。すぐに立ち眩みが凛世を襲い、倒れそうになるのをプロデューサーの椅子に捕まることで事なきを得た。

 そうして冷めて、そして醒めた思考が、先程までの自身の行いを省みて、そのあまりの恥ずかしさに、声にならない声が出て。

「──おーい、凛世。鞄あったか──大丈夫か凛世っ!!」

 かちゃりというドアノブをひねる音と共に、入ってきたプロデューサーが此方に駆けつけるのを見て、更に体が大きく跳ねた。

「あ、これは、そのっ」

「あぁ……すまない、大きな声だして悪かった。それより大丈夫か? 倒れそうになってたが……顔も随分赤いぞ」

「い、いえ、その……しょ、少々立ち眩みが……」

「……貧血か? 季節の変わり目だし、体に負担が──いや、今考えることじゃないな。取り敢えず、立てるか? 病院とか──」

「い、いえ、そのような大事では……は、春には、良くあることで、ごさいます……」

「そうなのか? ……でも、無理は駄目だ。明日は土曜で学校も仕事もないし、ゆっくり寝て過ごすんだぞ。あんまり酷いようだったら、ちゃんと言ってくれ。大事な体なんだから」

「は、い……ありがとう、ごさいます」

 凛世はそっと息を吐いた。

 突然の事だったが、上手く取り繕えたと思う。彼に嘘をつくことに僅かばかりの罪悪感があったが──貴方のスーツを嗅いでたら、興奮して倒れそうになったなどと、そんなことを言う訳にもいかなかった。

「取り敢えず寮に戻ろう。今日は車で送るから……立てるか?」

 そう言われ、足に力を入れる。が、未だに小刻みに震える足が言うことを聞く事はなく、へたりと腰を地面に落ちそうになるのを、彼に支えられながら、そのままゆっくり腰を降ろした。

 事務所のフローリングに自棄にひんやりとしていて──その冷たさが、己の穿いたストッキングが濡れているからだと気付いて、また顔が熱くなった。

「だ、大丈夫か?」

「い、いえ……お気遣いが、ありがたく……」

「そうか……立つのは、ちょっと無理そうだな。肩を……いや、それも難しいか」

 彼はそう言うと、少し悩んで。

「……ごめん、後で怒ってくれ」

「? なにを──っ!?」

 言い終える前に、抱き上げられた。

 片方の腕を膝裏に、もう片方の腕を背中に回して体を起こされ、そのまま抱き上げられる。すっぽりと腕の中に収まって──結構、力持ちなんだなんて──場違いなことを考えて、すぐに現状に気付いて慌てた。

「そ、の。プロデューサーさま。こ、これは……」

「あ、いや、咄嗟にというか……良く考えたら、背負えば良かったなと、若干後悔してる」

「り、凛世は……構いません」

「そ、それなら良かった……って、俺のスーツ……探してくれたのか? ならそのまま、落とさないよう持っててくれないか?」

 そう言って歩き出した彼の顔を下から覗き込みながら、凛世は気恥ずかしくなって顔を背けた。

 つい先程の自分の行いを考えて、彼に合わせる顔などなく、それこそ顔を何かで隠してしまいそうになるが、持っているものとなると彼のスーツくらいで──凛世は何かを振り切るかのように顔を背けたのだった。

 

 

 




杜野凛世
やまとなでしこ一等賞。凛世は文学。
今作では卑しか凛世。奥手というか、一歩下がって着いていく系の女の子って良いけど、そんな子がちょっと拗れてんのもギャップあってなお良いよね、という作者の性癖でこうなった。
この後寮に帰って、あのスーツをプロデューサーが着る所を妄想して悶々となりながら寝てる。


プロデューサー
283プロのプロデューサー。コミュ力というかアイドルとの距離感の掴み方は天才的。
今作では全てのグループをプロデュースしてる。ただしWingはどうなったかはちょっと考え中(原作からしてグループのプロデュースしてるのに、その中の一人を応援というか、優勝させようとしてんのは何となく違和感があるので)
家に帰ってからスーツから凛世の匂いがしたが、どうにかなにもすることなくクリーニングに出し、男を見せる。

続くかも


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