天童一族の養子として転生したけど技名覚えられなくて破門された。   作:紅銀紅葉

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れんたろーの漢字って、実は「蓮」ではないんですよね。なんか少し特殊な漢字なのですが、これがまた出てこない。

原作本文では特殊な方の漢字で、カバーのあらすじや口絵イラストの紹介文では「蓮」になってます。
ちなみにコミカライズ版ではちゃんと特殊な方で、作画先生の書いたらしき字も特殊な方。FAQもちゃんと特殊な方です。
逆に「蓮」になっているのがドラマCD特典小説、ブラック・ブレットif、アニメ公式サイト、アニメ、ブルーレイ特典ブックレットあたりでしょうか。

他は知らない。皆さんも時間のあるときにチェックしてみてください。


トラジック・アイロニー
れんたろうの漢字が特殊すぎて出てこなああああい!!


 いま自分が置かれている状況は決して居心地の良いものではなかった。

 

 正面には三十人を超える夏服の少年少女たち。背後の教室用スクリーンには『卒業生講話』の文字がある。

 

 その日俺は母校である額狩高校を訪れていた。

 

 前回のテロ事件での功績を称えられた俺は、賞金や夏世との契約に加えて、厚かましいとは思いつつも大学で落とした単位のことも相談していた。あきれ返る聖天子であったが、手回しのほうはバッチリこなしてくれたらしい。

 気分屋の教授からは、ちょうど俺が母校から依頼されていた講話内容のレポートの提出を命じられた。それをクリアすれば前回未提出のレポートも受け付けてくれるそうだ。

 それを俺は二つ返事で了承したわけだが……。

 

 後輩たちから好奇の目で見られながら引き受けたことを後悔する。

 

 進学するか就職するか。そういった進路の判断材料として開かれる卒業生講話であるが、俺はその大学進学組の一人として選ばれてしまった。専門性の高い大学に進学したのが悪かったのだろうか、真面目な生徒だと勘違いされたようだ。

 自分が高校生だったころは、こういった行事に無関心だったものだが、興味を持たれているのは俺が『天童』だからか。

 

 最後列にはギャハハ、ギャハハと下卑た笑いを教室に響かせる女子グループもいたが、他は比較的まともそうなのがせめてもの救いである。てか本当に喧しいなあいつら、影胤が言っていた『俺の中にはお前等を簡単に挽肉にできるほどの力があるんだぞ』という考えがよくわかる。

 

 面倒だがこれも単位のためだ。決心してマイクを握ると、何名かの生徒が居住まいを正したのがわかった。

 

「えー、本日このクラスの講話を担当する天童紅蓮です。大学での専攻は義肢装具学。それからここ、額狩高校の卒業生でもあります。よろしくお願いします」

 

 

 ■

 

 

 あくせくしながら進行された講話も、終わってみれば案外まとまった話になっていたのではないだろうかと思わなくもない。うん、多分。笑いも取れていたしそこまで退屈そうにしている生徒もいなかった。後ろの陽キャはうるさかったけど。そしていつの間にかいなくなってたけど。

 

「えーと、じゃあ最後に、なにか質問とかあるかな」

 

 聞いてみるとちらほらと手が上がっていた。俺が生徒として参加したときは誰も手を上げていなかったのもあってか、すこし誇らしい気分だ。

 

「じゃあまずそこッ」

 

「先輩結構忙しいって言ってたけど、アルバイトとかどうしてるんですか?」

 

 初っ端から聞かれたくないことランキングトップスリーに入る質問やめて。

 

「……警備会社、みたいな?」

 

「なにそれ、民警とか?」

 

「どうだろうね」

 

 それからいくつかの質問を捌いて、講話を締める。

 

「では、僕の講話は以上になるけど、就職組の講話にもちゃんと行くように。あと終わって数分くらいは教室に残ってるから、皆の前では聞きにくいこととかあった人は直接来てください」

 

 

 

 ■

 

 

 

「こんにちは、天童紅蓮さん」

 

 人の姿が無くなった教室で帰り支度を済ませると、不意に声をかけてくる生徒がいた。

 人好きのしそうな少年は、紺地の詰襟の制服を身にまとっていた。暑くはないのだろうか。

 

「なんだお前、足の骨折りたくなるような顔してるな」

 

「意味は全く分かりませんが、この状況では確実に問題発言ですよね、それ」

 

「黙れ、右手も折るぞ。だいたいお前、グリューネワルト翁のお気に入りの一人だろ。そんな奴が俺に何の用だ」

 

 悪意を隠しもしないこちらに対し、彼は然して気にした様子もなく話を続ける。

 

「自己紹介が遅れました、僕は巳継悠河と言います。ご存知の通り組織の人間ですけど、今はしがない学生に過ぎませんよ。以後お見知りおきを」「安心してください、ここには任務で在籍しているだけで、あなたに危害を加えるつもりはない。教授のお気に入りの一人であるあなたに興味がありましてね」

 

「何がお気に入りだよ。奴はもう、機械化兵士にしか興味なんてないだろ。その証拠に『生体強化兵(バイオブーステッドソルジャー)』は俺を除いて皆処分されてる」

 

「だから言ってるんですよ、お気に入りだと。これ以上進展することのない計画の生き残り。だというのに処分もされず、殺し屋稼業に堕ちることもなく、何不自由ない生活を送っている。あなたは『生体強化兵(バイオブーステッドソルジャー)』唯一の成功例であり最高傑作なんだ」

 

 大仰に手を広げて演説する巳継。

 そこはかとなく胡散臭いというかぶっちゃけウザいので無言を選択した。

 

「……」

 

「……」

 

「…………」

 

「…………コホン」

 

 沈黙に負けた巳継が若干気まずそうに咳払いする。気のせいか少し頬も赤い。

 

「とにかく、たまには教授のもとに顔を出してください。きっとあの人も喜ぶ」

 

「心にもないことを。そんなに心配しなくても一番気に入られてるのはお前だろうよ」

 

 俺は巳継に背を向けると、そのまま教室を後にする。外に出る寸前、忠告じみたことを投げかけられた。

 

「──お気を付けて、五枚羽があなたの姫の命を狙っている」

 

 

 

 ■

 

 

 

 最後に職員室に顔を出してから学校を出た。

 

 クソ、せっかくいい気分で講話を終わらせたというのに、最後の最後でいけ好かない奴に絡まれてしまった。二度と来るかこんな学校。エンガチョエンガチョ。

 

 駅に向かって歩き出すと程なくして携帯が鳴った。この曲は夏世からの電話だ。

 

「どうした夏世、今日は仕事の予定はなかったよな?」

 

『お疲れ様です、天童さん。今お時間よろしいですか?』

 

「別に構わないけど、なんだ仕事の話か?」

 

 いつでも冷静沈着を保っている彼女の、どこか落ち着かない声に俺は戸惑った。

 

『ええ、護衛任務の依頼です。詳しい話は後日とのことですが、護衛対象は聖天子様。──この依頼は聖天子様直々のご指名です』

 

 

 

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