「な、なんで私たちまで?」
そうだ、白兎。言ってやれ。俺がこれ以上言うと大変なことになりそうだからな。主に仕事の面で。
「さすがにひとりじゃ万事屋は務まらないよ。いいかい? 万事屋には主人公、ヒロイン、ツッコミ役がいなくちゃいけないんだ」
「その流れだと俺がツッコミになるじゃねーか!」
「なんだよ、阿伏兎。随分ノリノリじゃないか」
「ぐっ」
ついツッコミをいれてしまった。慌てて口を塞いで余計なことを言わないようにする。
おいおい、白兎。「ヒロインかぁ」なんてまんざらでもなさそうな顔しやがって。
「人助けをして報酬をもらうんだよ? 悪い話じゃないだろう」
「まあ、たしかにそうですね。団長と一緒っていうのがあれですけど」
「あれってなんだよ、沈めちゃうぞ」
「殺しちゃうぞの応用編はやめてください!」
と、ここで二人の掴みあいが始まる。そのあいだに逃げるっていう手もあるが、すぐに捕まりそうだな。
いきなり猫を捜すとか言いだしたかと思えば……団長が人助けねえ。なんだって急にそんな風になったんだよ。悪いことじゃないとは思うが、巻きこまれる身にもなれって話だ。
ま、こっちに拒否権はないんだろ。
「わかった」
「阿伏兎?」
「やってやろうじゃねえか、万事屋」
俺がそう言うと、団長の頭のアンテナがぴょこんと反応した。なんだそれは。喜んでんのか?
「阿伏兎ならそう言ってくれると思ったよ」なんて言ってるがな、団長。気づけ、あんたが言わせてんだよ。
「あんま目立つことはするなよ。なにかあってどやされるのは俺なんでな」
「もちろんわかってるさ」
本当かね。どうにも信用できないが、今はなにを言っても無駄だろうな。
俺はあげていた腰をおろし、また料理に手をつけた。もういいや、今日はゆっくりしよう。
どうせ明日からまた団長たちに振りまわされるんだろうし。休めるうちに休んどかないとな。
「万事屋やるなら宣伝用のポスターがいりますよね! 作りますよ、私!」
団長と一緒なのは嫌とか言うわりには、楽しそうだな。仲が良いのか悪いのか、よくわからない二人だ。
……まさかとは思うが団長。いや、やめとくか。これ以上触れるのは野暮ってもんだろ。
「名前はどうしますか? そのまま万事屋にしときます?」
「うーん、そうだなあ……」
自身の腕を組み天井を見あげて考えこむ団長。
万事屋の名前を真剣に考えているようだ。だからさ、その熱意を仕事にも向けてくれないかねって思うわけだよ。こっちは。
「決まった」
「おう」
「今日から俺たちは──」
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春雨戦艦の数カ所に設けられている掲示板。
今月の連絡事項やその他のお知らせ用紙が貼られているその隅っこに、一枚。
『万事屋神威くん なんでも解決します!』
そう書かれたポスターが貼られていた。