東側諸国による異世界『解放』録   作:スターリニウム

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投稿が少し遅れてしまいました。

戦闘描写って簡単そうで意外と難しいんだよな…。




第10話 近づく王国滅亡

ー11月22日 午前7時20分頃 ベルリア王国 条約機構軍前線基地のとあるテントにてー

 

日は空に少しずつ昇り始め、条約機構軍含めほとんどが眠りから覚めているこの頃、ベルリア王国領内にある条約機構軍の前線基地では、今日の夜中に決行される本土への侵攻作戦に関する説明が始まろうとしていた。

 

説明が行われるテントの中では条約機構軍の代表者が集まっており、机にはベルリア王国から借用したアルテガシア王国の地図が置かれていた。

 

「それでは、今夜に開始する作戦に関する簡単な説明を行う。」

 

条約機構異世界方面軍総司令官ヴァジム・キセリョフの言葉で始まった説明は、皆厳しめな顔をしていた。

 

「まず司令部から指定されたアルテガシア王国の主要都市や一部の軍事施設をTu-95を主体とした爆撃隊を出向かせて爆撃、敵の兵力を削る。対象の主要都市を紙に載せたリストは後で君達にも見せておこう。主要都市には飛竜騎士団含めアルテガシア王国全方面の軍を統率する組織があり、爆撃しておけば国境沿いに配備されているであろう敵の部隊が混乱状態になり、統制された行動がしづらくなるはずだ。俺達は爆撃隊から爆撃し終えたとの報告がここにきた瞬間から出撃し、数日かけて爆撃によって荒廃した都市や周辺を手っ取り早く占拠し、そして最終目標の首都グラスティンを占領、王国は降伏となり作戦は終了の予定だ。もし何か質問があれば言ってくれ。」

 

キセリョフが代表者達に確認をするが、誰も質問はしなかったので、彼は対象の主要都市を載せたリストを配った。

 

「これが対象の主要都市だ。まあせいぜい頑張りたまえ。」

 

そのリストには、都市の規模が大きい順に上から下にこう書かれていた。

 

・グラスティン

・ニレヤル

・ブリサレー

・チェバーナ

 

これらの都市のそれぞれの特徴をあげていくと、ニレヤルはグラスティン同様海に面している都市だが、ここには国内最大の海軍港と造船所がある。

 

ブリサレーはベルリア王国国境近くにある川の中流辺りに位置している城郭都市であり、万が一のためにアルテガシアが予めここに壁を造っておいたのだ。

 

チェバーナは武器製造業で栄えている都市であり、ここにはたくさんの物資があるとされている。

 

このリストや説明を見た代表者達は、興味深そうに見た後、彼らはキセリョフに敬礼をしてその場を去った。彼らがテントから帰るのを見たキセリョフは、アルテガシア王国の地図を見ながら呟いた。

 

「さてと、あの領土が我がソビエトの一部ともなると思うと実に楽しみだ。」

 

この説明から夜までの間、条約機構陸軍はいつ出撃命令が出てもいいように弾薬を補給し、空軍基地では無数の爆撃機の群が無誘導爆弾を満載にしながら主要都市へと向かっていった。

 

そして夜の午後7時30分頃に、条約機構軍の本格的なアルテガシア王国侵攻が始まろうとしている事を知らないまま夜を迎えることになった。

 

 

ー同日 午後7時20分頃 アルテガシア王国 王都グラスティンから数十キロの穀倉地帯約7000m上空ー

 

ほとんどの人々が会話をしながら食事をしたりしているこの頃、王都グラスティンから数十キロ離れた穀倉地帯上空では、無数の低い轟音が穀倉地帯上空全体に響き渡っていた。

 

ソビエト空軍の戦略爆撃機Tu-95を主体とした爆撃隊は、グラスティンの方向にV字の編隊を組みながら最大速度の925km/hで飛行し、爆撃機のパイロット同士で会話をしていた。

 

「もう少ししたら爆撃開始か、多分この機体を使って無誘導爆弾で爆撃するのは初めてじゃないか?」

 

「まあな、そもそもこいつはミサイルで敵を攻撃するのが主流だ。無誘導爆弾で爆撃するって聞いたとき正直俺は驚いたよ。」

 

「ああ俺もだ、だが爆撃によって燃え盛る街を見てみたいなとは思うな。」

 

「だな。おっと、あと数分後に爆撃開始だ。気を引き締めていくぞ。」

 

そう言うと爆撃隊は爆撃目標のグラスティンに照準を合わせ、もう少しで爆撃隊はグラスティン郊外に到達しようとしていた。

 

爆撃隊がグラスティン郊外に差し掛かった時、無誘導爆弾を満載した爆弾ハッチがゆっくりと開いた。そして…

 

「爆弾投下まで5…4…3…2…1──投下!」

 

その瞬間、Tu-95の下部から大量の無誘導爆弾が次々に落ち、爆弾特有の風切り音をたてながら機体から空に放たれた。

 

そしてこの後、爆撃隊からの攻撃によって主要都市のほとんどが瓦礫と死体の山になろうとしている事を、住民はおろか軍の人間ですら思ってもいなかった。

 

 

ー同日 午後7時30分 王都グラスティン とある大通りにてー

 

一方その頃、王都グラスティンにある大通りでは夜中でも人々が通りを行き交いしており、座りながら新聞を読んでいる人や、外食をしている人などいつもとなんら変わらない光景だった。

 

「今日も戦争中だというのに相変わらずここは平和だな…こんな日々が続いたらいいのにな。」

 

住民の多くは、今まで連勝してきた王国軍を後退させたソビエト軍がいつここに攻め始めるか分からず不安ではいたが、すぐに戦火に巻き込まれはしないだろうと思っていたのだ。

 

しかし、少し遠く離れた場所から聞こえた謎の爆発音によって、その考えはすぐ様打ち砕かれることになる。

 

突如聞こえた爆発音によって、住民はこれをソビエトが王国に攻め始めたのだとすぐに理解したのと同時に、爆発音は段々と大きくなっていった事により、大通りは逃げ惑う人々で混乱していた、。

 

「ソビエトが攻めてきたぁぁぁ!!」

 

「に、逃げろぉぉぉぉ!!」

 

「おい嘘だろぉぉぉ!?」

 

住民達は、予想にもしなかったソビエト軍からの唐突の攻撃によって辺り一面叫び声や悲鳴が鳴り響いた。

 

グラスティンは混乱状態に陥っていた。爆撃の影響で市街地にあるほとんどの建造物が崩壊ありいは半壊しており、更に追い討ちをかけるかのように広い範囲で消火しきれないぐらいの酷い火災が発生しており、通りには爆発によって体の一部分を失っている死体や、火災に巻き込まれて黒焦げになった死体、爆発から辛うじて生きているものの負傷によって苦しんでいる人など、住民からすれば生きている感覚がしないような状況だった。

 

それはソビエトが爆撃指定をした他の主要都市でも同様な事が起きていた。

 

ニレヤルでは軍港と造船所が一切使用不能になり、ブリサレーでは軍の駐屯地までもが爆撃に巻き込まれて壊滅的な被害を負い、チェバーナは武器を製造している地区や貯蔵庫が使い物にならなくなっていたのだが、これらの事は王城にある本部には全く届かなかった。何故なら司令部も爆撃によって消えたためである。

 

 

ー同時刻 王城 玉座の間ー

 

「な、何なんだこれは……」

 

玉座の間の窓越しに見える夜中の燃え盛るグラスティンの市街地に国王は汗だくな顔をしながらずっと見ていた。

 

するとドアのノックが鳴った。

 

「は…入れ。」

 

そう言ってドアから出てきたのは軍部の人間だった。それを見た国王ヨルセルは尖った口調で軍部に話した。

 

「おい、これはどういう事だ説明しろ。」

 

「は、はい!簡単に申し上げますと、王都中心部付近で突如爆発が発生したの同時に、次々と爆発が市街地で発生しました。更に市街地を中心に広い範囲で大火災が発生しております。私の見解ですが…恐らくソビエトが我が王国に攻めてきたのではないかと思われます…。」

 

それを聞いた瞬間、ヨルセルは冷や汗がたくさん出始めた。そして黙りながら後悔し始めた。

 

(私はソビエトの軍事力を侮っていた…。七大列強国ですら及ばない程の軍事力を持っている噂を信じなかった私が馬鹿だ…。さて、この状況をどう打破すべきだろうか。ううむ…)

 

ヨルセルは考えたままそのまま寝ずに玉座の間で一晩中を過ごすことになる。

 

 

ー午後7時50分頃 アルテガシア王国境沿いの平原にてー

 

月明かりが広い平原地帯を照らし、風が草をなびかしている中、ワルシャワ条約機構軍機甲師団と圧倒的な数のヘリコプターの群れがアルテガシア王国方面へ全速力で向かっていた。

 

彼らは国境に到達した後それぞれの方面に別れて主要都市を占領し、最終目標のグラスティンで合流する予定となっている。

 

「ついにこの日が来ちまったな。」

 

T-72の運転手のウスペンスキーがそう呟くと、砲手のマルケロフが返す。

 

「ああ、もうちょっとしたらこの戦いも終わるな。そういえば俺たちはどこに行くんだっけ?」

 

「確か俺らはニレヤルとかいう独特な名前の都市に行くみたいだぞ。」

 

「ニレヤルか。あそこってあいつらからすればデカイ港を持ってんだろ?」

 

「ああ、だけど爆撃隊が造船所と一緒に見事に潰してくれたさ、何も心配することはない。あとはただ単に敵の都市を占領しとけば終わる話さ。」

 

「まあ、そこまでの道のりに厄介な敵とか現れて欲しくはないんだがな。」

 

そう会話をしながら平原地帯を進んでいると、正面から小さな町みたいなのが見えてきた。その町には室内の明かりみたいなのは無く、代わりに木製の壁が並んでいた。

 

「おい、なんだあれは?壁の上になんかフードみたいなのを被ってる人間が横に並んでないか…?」

 

すると、T-72の車体に向かって突如火の玉みたいなのが複数放たれた。火の玉はそのまま車体に当たったものの、特に被害はなかった。

 

これに反応して条約機構軍も戦車砲や車載機関銃で応戦をし、フードみたいなのを被った群はそのまま倒れていった。そして処理が終わった後には邪魔な木製の壁も破壊していった。

 

「よし、小さな町に敵なし。周囲に敵なし。」

 

マルケロフが周囲の確認を終えると、条約機構軍はさっきよりも急いでニレヤルの方向へと向かい始める。

 

「なあ、さっきの火の玉みたいなのが魔法ってやつなのか?」

 

「ああ、間違いない。そもそも俺らがもといた世界じゃ人間の手から火の玉なんかを放てる人間なんてどこの時代でもいなかったからな。そんな魔法がこの世界にあるのだというのだから、改めて異世界に飛ばされたんだと感じれるよ。」

 

そう会話をしながら敵地に奥深く進軍することおよそ3時間半後の午後11時頃には、目標のニレヤルに到着することが出来た。

 

爆撃後のニレヤルの風景を目の当たりした条約機構軍機甲師団は、爆撃の酷さにほとんどの兵士がその風景に少し驚いた。

 

「こりゃすげえな、ほとんどの建物が瓦礫とかの山で溢れかえってる。しかも道路には死体か何かが周辺に転がってるな。」

 

ニレヤルはソビエト空軍の爆撃隊による猛烈な爆撃によって大半の建物が崩壊しており、更に同じく爆撃を受けたグラスティンよりも多い数の死体が片付けられずに道ばたに放置されていた。

 

《こちらニレヤル方面部隊、たった今ニレヤルに到着。次の指示を要請する。》

 

《こちら支局、君らの今日の仕事はこれで以上だ。別の部隊も同様目標の主要都市に到着している。明日には朝の7時前から最終目標の王都グラスティンの攻略を始める予定になっている。今のうちに体を休ませておくんだな。ここから先は自由行動をしても構わないが、作戦予定時刻までには全員出撃が出来るようしておくよう準備をするように、以上だ。》

 

その後条約機構軍は、空いた場所があればそこに戦車といった軍用車両を停止させ、そこで体を休ませた。彼らと一緒に行動をしていたヘリコプターも燃料節約のため広場といった広い敷地のある場所に止めた。これらの光景をひっそり見ていた爆撃から生き残った住民達は、戦う国を間違えていたのだと思うようになっていった。

 

そしてアルテガシア王国は、もうすぐでソビエト連邦の一部分として役目を変えることになり、更に国王の家族全員が処刑される時が一刻と迫っていくのをアルテガシア国民は知らぬままその日を迎えることになる。

 




次回は王都占領作戦が開始します。
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