東側諸国による異世界『解放』録   作:スターリニウム

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投稿を待っていた読者の皆様申し訳ありません!

最近色々と忙しくなっていてあまり早く投稿が出来ないと思います。頑張って早く出そうとは思いますが、下手をすれば新しい話の投稿が1ヶ月後になる場合の可能性があるのでそこはご了承ください。

ていうか投稿までの日数と文章量が全然比例してない(-_-;)


第11話 王都占領、そして降伏。

ー11月23日 午前6時30分頃 アルテガシア王国 ニレヤルにてー

 

いよいよ本土侵攻の最終段階を迎え、王国がソビエトの手に落ちようとしていた。

 

爆撃の傷痕が残っている都市ニレヤルでは、多くの条約機構軍の車輌やヘリコプターが出撃準備の最終確認をしていた。

 

兵士達は自分の持つ武器の弾薬を確認したり、BMP-1や輸送へリのMi-8に急ぎ足で乗り込んだりしており、休む暇も無いくらいに動きが活発だった。そんな流れの中に1両だけ車上で男達がゆったりと座っている戦車がいた。マルケロフが乗る戦車である。

 

「もう数分で作戦開始か…。ここまで来てはなんだが、この戦いは意外と早く終わってしまいそうだな。」

 

「終わってしまいそうじゃないだろ、そもそも俺らが圧倒的に強すぎなんだ。西側の部隊同士の戦いならまだしも、剣や盾といった武器がメインの軍じゃ良い相手にならないし、もしそれが分かっていたらこんな大軍は必要なかったさ。」

 

「おいおい、お前の言ってた異世界独自の魔法とかドラゴンも付け加えておけよ。一応元々の世界じゃそんな夢みたいなやつはないからよ。」

 

「まあな…。」

 

そう会話をしていると、後ろから車長らしき人物がこっちに近づいてきた。彼はこの戦車の車長兼測的手のエゴロフである。

 

「そこでゆっくりとしてるところ申し訳ないが、そろそろ作戦時間になるぞ。マルケロフ!弾薬は満タンか?」

 

「はい!満タンです!ちゃんと弾も装填してあります!」

 

「ウスペンスキー!燃料は敵の首都まで持つか?」

 

「大丈夫です!燃料は首都まで持ちます!」

 

「了解、なら二人とも戦闘配置につけ。さて、とっととこの戦いを終わらすか…。」

 

エゴロフの指示の後、マルケロフとウスペンスキーはすぐに車内へと入り込み、エゴロフは遅れて車内へと入ると、彼らの戦車は他の部隊と同様アルテガシア王国の王都グラスティンへと向かって戦車を進めて行った。

 

こうしてグラスティン占領作戦は、別の方面から来た条約機構軍の部隊によって周りを包囲されるような形で始まろうとしていた。

 

 

ーーおよそ1時間半後

 

条約機構軍がグラスティンに着々と向かおうとしている中、アルテガシア王国軍は条約機構軍がいつここを攻められてもおかしくないと察し、周囲に臨時の防衛陣地を造り、条約機構軍に迎え撃とうとしていた。

 

防衛陣地では重装備をした兵士が大きな盾を前に構え、後方では弓を構えた民兵や、フードを被った魔術師らが攻撃を待機しており、一部では対飛竜用のバリスタも用意してあった。しかし、肝心の飛竜騎士団は現在上空にはいない。何故ならソビエト空軍による爆撃の影響で残存する飛竜の数があまりにも少なく、貴重な戦力でもある飛竜を下手して失う訳にはいかなかったからである。

 

「はぁ…まさか王国も転移国家なんかにここまで追い詰められるとはなぁ…。正直全く予想にもしなかったな。」

 

地平線を見ながらそう呟くのは、防衛陣地の指揮を担当する事になったイグナーツである。

 

地平線を眺めていると、後ろから伝令兵が近づいてきた。

 

「イグナーツ殿、たった今全部隊の攻撃準備が整いました。後はご命令を下すのみです。」

 

「そうか、ご苦労だったな。」

 

「はい。ですがイグナーツ殿、この戦いでの勝算は如何なものでしょうか?」

 

「…そんなことは直接戦ってみないと分からないものだ。ただ言えることは、この戦いで下手をすれば王国は確実に終わる。それしかない。」

 

「なるほど…。了解しました。」

 

そう言うと伝令兵は素早く立ち去っていった。

 

「さて、…ん?もしやあれが敵軍か?」

 

敵軍がいるであろう位置をイグナーツは睨みながら目を細める。

 

「…!?なんなんだあの大軍は…」

 

それを見たイグナーツは背筋が凍ってしまった。そこには見たこともないようなぐらいの黒い大きな何かの集まりがこちらへと向かっているのが遠くからでも見えていた。彼はこれを転移国家の軍だとすぐ判断し、付近にいる部隊に指示を出した。

 

「総員構えぇぇぇ!!!」

 

そう言うと民兵は弓を構え、魔術師は攻撃魔法を充填し始めた。そして黒い大きな何かの集まりが少しハッキリ見える位の位置に入った瞬間、彼は声を張り上げた

 

「目標!目先の敵軍!撃てぇぇぇ!!」

 

そう言い放つと、数多くの矢は空へと、火の玉はその方向へと向かって放たれた。彼らにとっては、転移国家の軍に対して最大限の攻撃をしたつもりだった。

 

しかし、それらの攻撃によって転移国家軍はダメージを負い、数が減るかと思いきや、そのほとんどが当たっても黒い集まりは一切倒れることはなかった。それどころか、今度は黒い集まりからイグナーツの方向に複数の光が点滅しだした。車載機関銃と戦車砲による攻撃である。

 

突如現れた光は目に入らないぐらいの超高速で移動をし、その光は周りにいる兵士や魔術師らを巻き込みながら爆発をしたり、細い何かが鎧を着た兵士を容易く倒していったりと想像しなかった出来事が発生していた。

 

これを唖然とした目で見ていたイグナーツは本能が動き、部隊全員に退却命令を下した。

 

「総員退却だぁぁ!退却せよぉぉ!」

 

この指示に兵士達はすぐさま反応し、防衛陣地の部隊は陣地を放棄しながらも、少しずつ攻撃しながらだが撤退をし始めた。

 

しかし、条約機構軍が持つ車載機関銃の攻撃力と連射力に比べ、遅い魔法や矢なんかで勝てるはずもなく、本格的に撤退をし始めた頃の被害は壊滅にほぼ近かった。

 

(クソッ!あれほど数を叩き込んでるのに何故数が減らないんだ!?あの連中は新たな列強国の軍なのか?)

 

そう考え込んでいると、後頭部から何か細いのが貫いた感覚がしたのを最後に、彼は頭から血をたくさん流しながら倒れた。そして防衛陣地の部隊は彼の死と同時に部隊は消滅した。

 

グラスティン占領作戦の初戦は、防衛側が退却したことにより楽に掃討する事が出来たため、結果条約機構軍の勝利がほぼ確実となった。

 

その後間もなくして条約機構軍のヘリコプターが市街地に侵入、Mi-8は広場といった広い場所に兵士達を降ろし、Mi-24は市街地全体を監視するかのように敵を探し始めた。王国がソビエトによって存在を消し去られるのも、もはや時間の問題となっていた。

 

 

ー午前8時20分頃 グラスティン 王城にてー

 

条約機構軍のヘリコプターが市街地に侵入しておよそ20分が経過した頃、王城では条約機構軍からによる攻撃の真っ最中に、国王と王国軍本部との間で会議が行われていた。内容は転移国家ソビエトとベルリア王国に対して降伏をするか否かに関する事だった。

 

会議場では一部の軍人が部隊との通信を担当しており、それ以外の者は全員事の重大性に頭を悩ませていた。しかし、会議はあまり進展は見られなかった。何故なら異なる主張同士の言い争いが発生していたためである。

 

「ベルリア王国との戦争は即刻やめにすべきだ!!」

 

「馬鹿を言うな!我が王国のプライドをかけてでも徹底抗戦だ!!」

 

「お前は間抜けなのか!?あんな転移国家の軍なんかに勝てれる訳がないだろうが!!」

 

「そうだそうだ!!この無駄なベルリア戦争に何百万人の兵士達や国民は死んでるんだぞ!戦争はもうおしまいだ!とっとと降伏するしか生き残る方法はない!」

 

「貴様はそれでも王国軍の人間の言う言葉かぁ!?お前は自分の立場が一体どういう立場なのかどうかをその腐った脳で考えてみろ!」

 

「誰が腐った脳だと言いやがったんだこの腐れ戦争主義者が!お前の方こそ脳のネジがたくさん外れてんじゃねえのか?」

 

「何だとぉぉ!!?」

 

会議は言い争いの状態から一部では暴力沙汰にまで発展しており、会議をするどころではなかった。しかし通信を担当していた軍人によってそれは収まることになる。

 

「報告です!王都防衛部隊が全滅してしまいました!更に対飛竜兵器が全て敵の攻撃によって損失!転移国家軍の鉄で出来た謎の空中移動兵器が市街地に侵入!もう我々に手の施しようがありません!」

 

その言葉によって会議場はすぐに静まり返り、彼らは自分が一体何のためにこんな言い争いをしていたのかを恥じらうようになり、会議場は元の状態に戻った。軍人全員が座ると、代表が国王に謝罪をし始めた。

 

「ええ…今更ですが、王国の軍人として不恰好な行動を起こしてしまい申し訳ありません…。我々だけでこの重要な事を判断するのは難しいと理解しました。ですので国王様に全てをお任せします。」

 

そう言うと国王ヨルセルは手を頭に乗せながら判断を選んだ。そして数十秒後、彼は最終決断をした。

 

「我が王国は、ベルリア王国と転移国家ソビエトに対して降伏する事に決定する。私は今後敵から厳しい刑罰を喰らったとしても受け入れる覚悟はある。もし諸君らもその様なことがあった場合は嫌でも受け入れるように、いいか?」

 

「「「は、はい!」」」

 

その後王国軍本部の軍人らは、魔信を通じて全部隊にソビエトとベルリア王国への降伏を促すよう通達した後、王城の中枢的な建物から掲げられていたアルテガシア王国の国旗を降ろし、派手な色のない白旗へと変えた。

 

しかし、それらの光景を偶然にも目撃していたMi-24のパイロットや条約機構軍の部隊は、これをすぐに司令部に報告をし始めた。

 

《こちらクラカジール、たった今王城らしき場所で複数の白旗が掲げられているのを目撃した。あの旗は異世界の国の降伏を表しているのだろうか…?至急措置を求める。》

 

《こちら支局、我々の考えからしてみると異世界も元いた世界と同じようなやり方の降伏をしていると思われる。ただ異世界の国だ、あれがそうとは限らないだろう。だが敵の罠でもない限りむやみに攻撃はするな、いいか?》

 

《了解。》

 

《よし、全部隊に告ぐ!王城の旗が国旗ではなく白旗に変わった!敵は我々に降伏したのではないかと思われる。王城付近にいる部隊は、すぐに王城へと向かってくれ。だが敵の罠ではない限り攻撃は禁止だ。》

 

そう通達して数秒後、支局は何かを忘れていたのか追加の命令を出した。

 

《…すまない、もうひとつある。国王とその側近らしき人物は人民の敵として粛清してくれて構わない。》

 

その後条約機構軍の一部の部隊は王城へと直行し、入り組んだ王城内を探し回り、国王と王国軍本部の軍人が待機していた会議場へと入る事が出来た。

 

国王と王国軍の軍人達は、条約機構軍の部隊が会議場に入った時、彼らは何も抵抗はしてこらず、静かに手を上げながら床にひざまずいた。

 

「ソビエト軍の皆さん、我々に敵意はない、抵抗をするつもりもない。だから殺さないでくれ。」

 

「大丈夫です、今だけは殺したりはしませんので。」

 

「…今だけは?つまり後で我々に何かするのか?」

 

「はい、もうじきで王国はこの世から姿を消します。その代わりにここにアルテガ・ソビエト共和国として元王国の領土をソビエト連邦に併合させるということです。要は、貴方は偉大なるソビエトに相応しくない人間だということなのです。どうしてかは分かりますよね?」

 

「…胸に手を当てても分からないな。教えてくれ。」

 

「そうですか…では教えましょう。何故なら貴方が()()だからですよ。」

 

その答えにヨルセルや王国軍の軍人らは理解が出来ず、困った表情をしていた。しかし、自分たちは処刑されるというのは何となく分かっていた。

 

「ではそこにいる元国王の側近の皆さん、今から貴方らを人民の敵として国王とご一緒にここから消えていただきます。」

 

するとソビエト軍の兵士たちは、手に持っていたAK-74やRPK軽機関銃の銃口を彼らに向けた。

 

「最後に言い残すことは有りませんか?」

 

「…無いな。」

 

「そうですか…ではさようなら。」

 

そう言うと、複数の銃口から火を噴き始める。

 

パパパパパパパッ!

 

そして銃声が鳴り止むと、そこには血だらけになった国王や王国軍本部の軍人らの死体が床に転がっていた。

 

《こちらは支局、執行対象である国王の処刑は済んだか?》

 

《ああ、見事に処刑をした。しかも国王の側近みたいなのもいたからそいつらも一緒に消した。》

 

《そうか、それはご苦労だったな。まあいずれここはソビエトの領土になる。新たに加わるソビエト共和国の街に、帝国主義の象徴とも言える王城や国王は不必要だ。国王と他の死体は焼却で済ましておけ。》

 

《了解、後で死体処理をする。》

 

このあと国王と王国軍本部の軍人の死体は人目の付かない場所で焼却され、国王の家族らも手当たり次第その場で処刑を行い、王国の旗や豪華な装飾品も同様処分された。

 

こうしてアルテガシア王国はソビエト主導の条約機構軍によって滅亡し、更に国王の家族ごとその存在を消し去った。そしてその跡地に新たなるソビエト共和国、『アルテガ・ソビエト社会主義共和国』が誕生し、翌日アルテガシア王国は、完全にソビエト連邦に併合された。

 

そしてこの戦争によってソビエト連邦という名は異世界中に知れ渡ることになり、更に七大列強国までもがソビエト連邦の詳しい情報を探し出そうと動き出す事になる。




これで第一章は終了とします。

次回 第二章開幕の予定です。
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