東側諸国による異世界『解放』録   作:スターリニウム

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第3話 異世界との遭遇

ー1978年 11月9日 午前8時30分 ルーマニア国外 南東部およそ630km地点上空ー

 

元いた地球と比べ、水平線の彼方まで続いているこの広大な海。その海面にはワニの顔つきをした巨大な首長竜のような生物が悠々と泳いでいた。恐らく地球にいるワニより数倍は大きいだろう。

 

快晴で見張らしが良く、所々に雲が浮かんでいる上空を、1機の偵察機An-30とその護衛の4機のMiG-21戦闘機が時速500km/hというかなり控えめの速度で情報収集に取りかかっていた。

 

ルーマニア空軍の偵察機部隊は、指定された条約機構周辺の環境確認をすべく、今日の6時辺りから調査を開始しているのだ。

 

「すごいな、海に巨大なワニみたいなのが泳いでいやがる、こんなもの見たことがないぞ。もしかするとこれが別世界の生物ってやつなのか?なんか急展開すぎて頭が追い付けない……」

 

先程泳いでいたワニのような巨大生物を見ていた一部の戦闘機のパイロットが無線でそう呟くと、An-30から返答が来る。

 

「ああ、全くだよ。条約機構が訳のわからない事態に巻き込まれてもう二日、これほど急展開を向かえるなんて思わなかったな……」

 

「ていうか、そもそもこんな水平線まで続いてそうな海に調査なんかして得することがあると思うか?」

 

「さあな、どうせ見つからなかったら帰ればいいだけの話さ。帰るまでの燃料ギリギリまでやったって無駄なだけだ。」

 

そうAn-30のパイロットが会話をしていると、護衛の戦闘機から何かしらの連絡が偵察機に入ってくる。

 

「なあ聞いてくれ、まさかとは思うが俺の疲れが原因で変なのが見えていて、他の誰かには見えないなんかじゃないよな?」

 

「はぁ?なんだよそれ、どういうことだ?」

 

すると、戦闘機のパイロットはゆっくりと喋る。

 

「10時の方向に陸みたいなのが見えるんだが……」

 

そう言われたのでパイロットは左斜めに目を向けると、そこにはあるはずのない陸地みたいなのが見えていた。

 

「お、おい嘘だろ…俺ら未知の大陸を見つけたぞ。」

 

「ああ、そうみたいだな…陸を見つけたのはいいがまず俺らは何の任務を託されたんだ?」

 

「確か陸地を見つけたらくまなく調査をしろという命令を聞いた気がするな…」

 

「本当か?まあいい、とりあえず上から言われた通りにここの大陸の調査を開始するしか方法はなさそうだな。出来るだけ多くの情報を手にいれるのが目標だ、もしあそこの大陸に都市といった人工物を見つけたらすぐに言え、いいな?」

 

「「「了解。」」」

 

そう言うと、ルーマニア空軍の偵察部隊は未知の大陸に向けて速度を上げ、大陸の方向に機首を向けていった。だがそれと同時に上空から異世界の軍に遭遇することになることを彼らはまだ知らなかった。

 

 

ー新天歴1812年 ベルリア王国 本土からおよそ35km離れた海域上空ー

 

ルーマニア空軍の偵察部隊と大陸への距離が少しずつ近づいている頃、上空では空飛ぶ何かが編隊を組みながら空を飛んでいた。それは異世界で最も配備されている航空兵器である『飛竜』だ。その編隊の先頭にはある一人の男が翼竜を操りながら周辺を警戒していた。

 

男の名はウィリディス、年齢は21歳という若さにしてベルリア王国第7飛竜騎士団団長の座を持っている。何故なら第7飛竜騎士団は10代後半から30代前半の若い年齢層で構成されているからだ。

 

「はぁ…今日も王国沖の哨戒任務か、最近哨戒任務ばっかで団長という実感が湧かないな……」

 

「ウィリディス団長、貴方のその気持ちは分かります。ですがこれも王国の平和を維持するためですから、仕方がない事だと思います。」

 

団長が操る飛竜の右斜めでそう言っているのは、第3飛竜騎士団に入って1年半の新兵のシルフィーである。年齢は第3飛竜騎士団の中では最年少の19歳で、常日頃からウィリディス団長に犬のような忠誠心を抱いている。

 

「確かに最近アルテガシア王国が周辺諸国を侵攻しまくって、その矛先がこっちに向けられる危険性は充分にある。だが俺達は一応翼竜騎士団で主に敵の翼竜と交戦したりするのが仕事のはずだ。なのに最近は哨戒任務ばっかりで翼竜騎士団の役目が分からなくなりそうだよまったく。」

 

団長がそう言うと、彼の左斜めにいる副団長ヴァルムが話に入る。

 

「まあまあ団長、元はといえば哨戒任務ばっかやらせてくれるのは国王じゃなくてあのアルテガシアが馬鹿みたいに暴れだしたせいですから。」

 

「それもそうだなヴァルム、よし、王国周辺海域に異常なし、上空も異常な……ん?」

 

「団長、どうかしましたか?」

 

すると団長は何かを見つけたのか、見つけた何かがある1時の方向に指を指す。

 

他の飛竜騎士も団長が指差す方向に目を向けると、一同は鳥のような見開いた目をする。

 

「な…何なんだあれは…!」

 

それは、彼らが見たことがない光景だった。薄灰色の飛行物体4つが、一際大きな1つの濃い灰色の飛行物体を擁護するかのように飛んでいた。

 

「おいシルフィー、確か視力がかなり良いんだろ?あれって何で出来ているのか分かるか?」

 

「えっと…あれは恐らく鉄みたいなので出来ています、しかも人が乗っています!」

 

第7飛竜騎士団一同は、空飛ぶ何かが鉄で出来ており、さらにそれを人が操っているという事に驚きを隠せず、一時飛竜の飛行が不安定になったりしていた。

 

「団長!あれはもしや、エルナヴィア共和国が開発した飛行機械なんじゃないでしょうか?」

 

「馬鹿言うな!たとえエルナヴィア共和国の飛行機械だったとしても、ここまで飛ばせれる訳がない!」

 

そう言っていると、彼らは空飛ぶ何かの群は第7飛竜騎士団へと近づいていることに気づく。それと同時に新兵のシルフィーは連絡手段でもある魔信をとっさに本国の王都に連絡をする。

 

《第7飛竜、哨戒中に謎の飛行物体の群を発見、飛行物体の群は王都の方向に向かった、至急付近の飛竜騎士団の援護を要請する。》

 

そして、空飛ぶ何かの群が彼らの真上を通り過ぎた時、彼らは気がついた、あの空飛ぶ何かの群は飛竜よりとてつもなく速いと。

 

「大陸の方向に向かった、あの飛行物体の群を追跡するぞ!」

 

団長の命令で、第7飛竜騎士団一同は大陸の方向に向かう空飛ぶ何かの群に向かって全速力で追跡をする。

 

だが飛竜の最高速度は最大でも270km/hなので、500km/hの速度で大陸に向かっている空飛ぶ何かに追い付けれるはずもなく、そのまま雲に消えていった。

 

「あの飛行物体の群は一体……?」

 

団長がふと思ったことを口に出す。と、新兵のシルフィーが話しかける。

 

「団長、先程王都から連絡が入りました。」

 

「内容は?」

 

「どうやら王国は大陸沖に付近の飛竜騎士団を向かわせたようです。それと、我々は帰還してもよいと言われました。」

 

「分かった。」

 

その後、第7飛竜騎士団は詳しい内容を報告すべく最寄りの飛行場へと向かった。

 




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