クッパがピーチを攫って、マリオが助けに行く。
その黄金パターンの中の最終盤、クッパ城での出来事を、クッパ視点で書いた小説です。

※試し書き投稿。短編かつ、量もそこまで多くないので、サクッと読めるかと思います。

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ワガハイとマリオ

ドンドン。ドアをノックする音だ。おそらく何かの報告だろう。ワガハイは自分用のトゲトゲした大きな椅子に座ったまま、扉の前にいるであろう者に聞こえるように『入っていいぞ』と言う。

 

「失礼します!」

 

そう言って扉を開けて入ってきたのはカメックだ。カメックはワガハイの部下であり、参謀をさせている。

 

「マリオの野郎がハンマーブロス地帯を突破したとの報告がありました!まもなく城に侵入されてしまうかと…」

 

ふん! もう来たのか。今回は早いじゃないか。

 

「そうか。門の中、すぐ近くにボム兵部隊を待機させているから、出撃命令を出すのだ。アイツを盛大に出迎えてやれ!」

 

「はいぃー!」

 

そう返事をするとカメックはトランシーバーを出し、ボム兵部隊と連絡を取る。

 

さて、今回もマリオが我が城に来た目的は間違いなくピーチの奪還だ。ピーチはここ、ワガハイの部屋の奥にあるもう一つの部屋にいる。城の門からは一番遠い。

 

ん、ピーチを閉じ込めているだと? 馬鹿を言え! 扉の鍵は開けているし、部屋のなかにはベッドや机、窓もあって環境を良くしているつもりだ。まあ窓から見えるのは薄暗い空に荒れた土地だから、ピーチには合わないかもしれんがな。

 

「失礼しました!」

 

連絡が終わって、カメックはワガハイの部屋から立ち去る。ワガハイは椅子の横に置いてあったリモコンを持ち、モニターに向ける。マリオの様子をみるのだ。どうだ、ハイテクだろう! たまに戦闘で監視カメラが壊れることがあるのが気になる点ではあるが。

 

スイッチを入れるとモニターに映像が流れる。チャンネルをボム兵部隊の場所に合わせる。

 

『よし、まだ開けるな? まだ……まだ……』

 

モニターに移るボム兵の一人が喋る。門の覗き穴から向かってくるマリオを確認しているのだろう。周りにはざっと50程のボム兵が群がっている。

 

『後どれくらいなんだ』

 

『エート、100m?』

 

『うい』

 

息を潜めてボム兵達は待つ。マリオの目の前にいきなり現れて、奇襲するのだな。うむ、わかってるじゃないか。

 

チャンネルを一瞬一つズラす。すると門に向かって小走りするマリオが小さく移る。

 

「随分と張り切りおって……」

 

すぐにボム兵チャンネルへ戻す。

 

『あと50m……40……30……』

 

ゴクリと息を飲む。

 

『20……10! 今だッ!』

 

ボム兵の声と同時に門が開く! 

 

『おわあッ!?』

 

『のりこめーー!!』

 

マリオの眼前に大量のボム兵が現れる。思わず声を上げたマリオ。

 

『いっけー!!』

 

『くたばれー!!』

 

ドッカーン

 

ドッカーン

 

『NOOOOOO!!』

 

ガハハハ! 次々と爆発するボム兵の爆風でよく見えないが、マリオが悲鳴を上げているのが聞こえる。実に愉快だ!

 

どんどん続く爆発。30秒程だろうか。全てのボム兵が爆発を終え、しだいにくもりも晴れていった。しかし、そこには燃え尽きたボム兵しか居なかった。

 

「マリオ……突破したな」

 

どうやったのかは知らんが、アイツの事だ。上手いこと機転をきかせて避けたのだろう。

 

チャンネルを次々と変え、少々傷ついたマリオを見つける。やはり門を抜けて城内に入っていったようだ。やるな、それでこそお前だ!

 

城内には所々に部下を配備させてある。各自の判断で行動させるつもりだ。城内は入り組んでいるから、作戦を伝えるよりそれぞれが細かい判断をして動いた方が効果的だからだ。

 

ワガハイはそれをモニターでしっかりと見届ける。四方向から骨を投げるカロン、多人数で横一列に並んで弾幕を作るハンマーブロス、マリオの進行方向に落ち、行動を制限するトゲゾー。

 

うむ、皆上出来だ。ワガハイは嬉しいぞ。

 

しかし相手はあのマリオ。苦戦しながらも、一つ一つ突破していく。

 

『ふははは、こんなんで止まる俺じゃねーぜYahoo! 』

 

そんなセリフを吐くマリオにワガハイは少ししかめっ面をする。

 

次にマリオが向かうのが溶岩の部屋だ。そこは広く一面溶岩に覆われている。溶岩を挟んでマリオの反対側にはキラー砲台を設置してあり、溶岩からはバブルが飛び出してくる。

 

『これは……っと』

 

────少々敵の動きを見た後、マリオは大きくジャンプする。飛んできたキラーを目で捉えながら、その上に着地し、その瞬間にまた、ジャンプする。踏み台ジャンプだ。

 

「ほう」

 

ワガハイは手を顎に当てながら見る。思いつきそうな事だが、実践するのは難しい。バブルが引っ込むタイミング、キラーの位置がどちらも合う時を狙うのだ。

 

その後も続く部下達の猛攻をマリオは巧みにいなし、ワガハイの元へと近ずいていく。

 

そろそろ位置に着くとしよう。ワガハイは立ち上がり、部屋の外へと向かう。ピーチの部屋とは逆側だ。扉を開け斧がある部屋に入る。

 

例の場所と言えばわかるか? 下は溶岩、上には吊り橋、そして吊り橋を切り落とす為の斧。そういう事だ。

 

ワガハイは斧の前にどっしりと構え、待つ。隣の部屋でカメックが魔法を使う音がする。

 

────そして音が聞こえなくなったと思うと、だんだん大きくなる足音。まもなくだ。

 

 

 

扉が開く。

 

 

 

ワガハイとマリオが対面する。

 

「よう、“クッパ”」

 

「来たな」

 

お互いに、闘志に満ちた表情をする。

 

「随分と久しぶりじゃないか?」

 

「ガハハハ! 久しぶりで体が鈍ってると思ったが、案外大丈夫そうだな!」

 

「あったりめーよ! 一応キノコ王国の一大事だからな」

 

「ガハハハ!」

 

マリオの言う通り、ワガハイがピーチを攫ったお陰でキノコ王国は混乱している。だが当の本人のワガハイ、マリオ、ピーチはぶっちゃけるとそんな事はどうでもいいのだ。このような場面になったのも何回目か覚えちゃいない。いつしかワガハイがピーチを攫う、それをマリオが助けに向かう、そういう形式になった。

 

「うっし。いくぞクッパ!」

 

「こい!」

 

掛け声と同時にマリオが走り出す! ワガハイはそれを捉えながら口を開け、炎の塊を吐く。

 

マリオは咄嗟に炎の塊を横ステップで躱す。だろうな。それを見越し、間髪いれずにマリオが避けた場所へまた吐く。

 

が、マリオもそれは分かっているようで、無闇に突っ込まず着実に避けて、ジリジリと詰め寄っていく。

 

ある程度距離が縮まった時。

 

「おらよッ!」

 

マリオはステップで急に向きを変え、ワガハイの懐に潜り込む。

 

「ふんっ!」

 

ドロップキックをかましてきたマリオに対し、大きな手を振り応戦する。

 

「んがっ!」

 

「おわ」

 

ワガハイはそのまま押し切り、マリオを高く払いのける。すると奴は吹っ飛ぶ最中にクルクルと回って綺麗に着地をする。

 

「……っと」

 

「ふん、魅せて来やがるな」

 

「だろ? ボム兵の時も盛大にやってくれたが、あいつらの爆風を利用して、上手いこと吹っ飛んできたんよ」

 

「ちっ、そういうことか」

 

相変わらずコイツの動きは常識を覆している。いつだったか、ワガハイと知り合う前はジャンプマンとか呼ばれてたと自慢してきたが、嘘ではないな。

 

両者体制を整える。そして舞台は接近戦へ。相手の攻撃を躱し、反撃する。受け止める。くらいながらも相手に攻撃する。躱す。反撃。

 

ただ、パワーは勝るものの体の大きさ故に機動力に劣り、徐々にマリオが優位に立っていく。炎を吐こうとも、隙が大きい為、ジャンプを合わせられた瞬間に大反撃を喰らう。ワガハイは接近戦をするべきではなかったと気づいた────

 

──時には遅かった。

 

「お……らあッ!」

 

マリオが強引にワガハイの真上をジャンプで飛び越えようとする。疲弊しきっていたワガハイは、頭で気づいても体の反応が遅れてしまった。

 

「クッ!」

 

マリオはワガハイの後ろにある斧を手に取る。そして────

 

ザッ

 

吊り橋の縄が切れる音。

 

「ッしゃオラァーー!!」

 

マリオの勝利の雄叫び。突然襲いくる浮遊感。そして束の間、溶岩に近ずくワガハイの体。

 

────負けた。

 

「……」

 

溶岩に落ち、骨となっていくワガハイ────

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

「はい、完了です。出てきて下さい」

 

「うむ……」

 

カメックの手を借りながら、まだうまく動かない体で不思議な壺の外に出る。ワガハイの肉体は再生した。

 

「意識はどうです?」

 

「まだ少しだるいな」

 

マリオとの戦闘から半日は立っているだろう。奴はとっくの前にピーチを見つけて、キノコ王国に帰っているはずだ。いまごろピーチ城でパーティーって所か。ふん! 気に入らん。

 

──マリオは本当に強い。ワガハイは退屈だった。持て余したパワーを使いたかった。全力で使いたかった。だから世界を支配しようと思った。

 

キノコ王国に手を出した。ピーチを攫うと、それを助けにマリオが来た。ワガハイはマリオを返り討ちにした。……が、奴は何度もワガハイに挑んだ。勝てるまで。そして、最終的に奴はワガハイの同等、もしくはそれを超えるかもしれない力を身につけ、勝った。

 

それからワガハイはピーチを攫うようになった。マリオはその度に必ず助けに来た。勝つこともあり、負けることもあった。今回は────負けだった。

 

「クッパ様、何か考え込んでおいでで?」

 

「ん、おお。ちょっとな。マリオの事だ」

 

「そうでしたか。マリオ……」

 

「一発で負けてしまったな! ガハハハ!」

 

まあなんだ、マリオ。ワガハイはこれからもピーチを攫う。だから次も助けに来いよな。お前はワガハイにとって好敵手だ。

 

 

ワガハイとマリオ 終


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