ガラル地方に住まうとある化石研究者の過去話

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妄想ガラル過去話

 幼いころから、変わり者と呼ばれた。

 服には、興味がなかったし、左右違う靴下でも気にしなかった。かわいいポケモンではなく、化石から復元されたポケモンに興味があった。

 なにか、きっかけがあったのかもしれないが、思い出せない。

 幼くして亡くなった父に連れて行ってもらった化石発掘体験会かもしれないし、父の遺した化石ポケモンの本のせいかもしれない。

 幼いころの環境がそうさせたというべきなのだろう。

 ともかく、ガラル地方で出土した化石を復元させることが自分の目標だった。

 

 

 大学に進み、化石の復元を研究する教授の研究室に所属した。

 そこで、ガラル地方の化石は、何故、復元できないか知った。

 他地方では、化石の一部から完全なポケモンが復元される。タテトプスというポケモンの化石は、顔以外の化石が発見されていないのにも関わらず復元可能だ。

 ガラル地方の化石は上半分か下半分しか見つからず、完全な骨格はわからない。それでも、ガラルの化石は復元できて然るべきだ。

 そう、ガラルの化石も復元できるのだ。

 

 復元結果が、上半分か、下半分のみ、というだけで。

 

 そんな体が半分しかない生命が生きていけるわけもなく、すぐに死んでしまう。

 他地方と同じ技術を使っている。原因はわからない。完璧に復元して復元してそうなっているのか、ガラルの化石は特別で復元自体が失敗しているのか。

 自分は、古代のポケモンが上半分と下半分で合体できたのではないかと仮定した。だから、上半分と下半分しか見つからない。

 2つの化石を同時に復元すればいけるのではないか?

 

 自分には、どうしても、それが正しいように思えた。

 教授に黙って2つの化石を復元装置にかけ、生きているうちに2匹のポケモンを向かい合わせた。

 結果、2つのポケモンの死体ができただけだった。

 考えてみれば、自分の前にすでに試している人がいただろう。死体を目の前に、動かない体、回らない頭で、ただ、自分の迂闊さを呪うだけだった。

 

 自分を見つけた教授は、叱ることもなく静かに語りかけてきた。

 

「化石の復元は完全にはいかないという説がある。

古代では合体するような性質があったのかもしれないが、復元で失われたのかもしれない。

研究には必要な犠牲だったのだ。ポケモンを弔ってやろう。」

 

 

 自分は、大学卒業後、最近できた企業の研究室に勤めることとなった。

 そこでは、主にヤドンとヤドランやコイルとレアコイルなど、合体するポケモンについて研究している。

 化石の復元は、化石という無生物から新たなポケモンを生み出す技術であり、そういった知識が評価されて、就職できたようだ。

 まともに就職できるような人間とは自分では思っていなかったが、運がよかった。

 そう、思っていた。

 

 その就職先は当時、ガラルを騒がせていたマフィアのフロント企業であった、

 そこでの仕事は、アローラ地方で生み出された人工ポケモン、タイプ:ヌルの進化系であるシルヴァディの作成であった。どこからか研究資料を持ってきたのだが、完璧なものではなく、命を粗末に扱う非道な研究の連続でポケモンの再現に挑まされた。

 体が、心が、擦り減っていった。倒れた同僚もいた。

 

 ポケモンの命を奪っても、自分は死にたくないと研究をつづけたある日、リザードンを操るトレーナーが組織を壊滅させた。

 病院へ運びこまれ、取り調べを受けた。

 自分は逮捕されることもなく、非人道的な研究内容の秘匿だけを命じられ解放された。

 結局進化しなかったタイプ:ヌルはどうなったのだろうか。せめて、可愛がられてやってほしい。

 

 

 何も手を付ける気にならない。

 死にたいけど、死にたくない。

 自分で自分がよくわからない。

 お腹が鳴る。

 煩わしいと思いつつ立ち上がると、立ち眩みを起こし、棚にぶつかった。

 痛みをこらえ、目を開けると、目の前に化石が転がっていた。

 

 別に珍しいものでもない、ただの小さな貝の化石だ。父と一緒に発掘したものだ。

 

 子供のころは、無邪気に化石を復元したいと願ったな。

 化石を復元なんて、自分には無理だったんだ。

 

 いや、本当にそうか。

 自分の中の研究者としての自分が問いかける。

 

 タイプ:ヌルの研究で、ポケモンの合体に関する知識を得た。

 それと従来の復元技術を合わせればいけるんじゃないか?

 

 それがまるで天啓のように思えた。

 そうだ。自分は化石の復元を成し遂げなければならない。

 それが、あの命に報いることになる。

 あの命たちを無駄にしてはならない。

 

 

 金がない、資材がない中、一人で化石復元機をくみ上げた。

 

 カセキのトリとカセキのリュウをセットし、起動する。

 

 緊張で心臓が破裂しそうな時間を過ごした後、無事、ポケモンが生まれた。

 下半身と比べ上半身が小さすぎるが、なにより生きているのだ。

 それくらい、些細なことだ。

 パッチラゴンとでも呼称するとしよう。

 

 カセキのサカナとカセキのリュウをセットし、起動する。

 

 想定とは違い、尻尾の先に顔が来ている。コンピュータ演算で最適な位置を計算したはずだが……。しかし、水場で無事、呼吸をして生きているようだ。

 ウオノラゴンとでも呼称しようか。

 とはいえ、タイプ:ヌルの技術により合体しやすくしたはずだが、尻尾に頭が来て生存できるほど、大幅に変化が起こるような仕組みではないはずだ。

 

 疑問は解決しなければならない。

 中途半端では、あの命たちが無駄に終わりかねない。

 

 睡眠薬を混ぜた餌を与えた後、2匹のポケモンを解剖してみる。

 未知のポケモンとは言え、このあたりの手順は慣れたものだ。

 

 2匹の内臓の位置は、大きく異なる。

 これはもともと、合体機能が元々ポケモンが持っていた力を刺激し、活性化させたのではないか?

 つまり、これこそが、太古のポケモンの姿なのだ!

 

 

 ポケモントレーナーが自分に近づいてきた。

 太古のポケモンの復元という感動を分けてあげるべきだろう。

 

「自分はウカッツ。化石の研究してマス。ん? 化石持ってんね、このウカッツに見せてみ?」

 

 ポケモントレーナーが2つのカセキを示してきた。

 

「おけー! 復元しちゃって化石の謎に迫るゾ!」

 

「そーれ、がっちゃんこ! よし! よし! よしっ!」

 

「目的達成!見事な復元カモ。太古のガラルで暮らしていた様子が目に浮かぶようだネ!」

 

 出来上がったポケモンをトレーナーに渡しつつ告げる。

 

「可愛がってくれたまえよ」

 

 




剣盾の化石ポケモンおよびそれを復元するウカッツについて
ほとんど言及がないため、
同じく言及のないタイプ:ヌルと合わせて、妄想してみました。
化石ポケモン、および、ウカッツは
公式でもうちょっと言及があって欲しかった。

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