元ホワイト鎮守府より、憎悪を込めて。   作:D535Rave

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彼を憂う者たち

 個室に備え付けられた大窓から、美しい庭を眺める。既に太陽が傾き始めており、夕日が葉の隙間から零れ落ちてくる。

 

 

「夏も終わりだな。あんなにうるさかった蝉の声も、いざ無くなると寂しいものだ」

 

 

 目の前に座る(いなづま)が頭を上げ、小さい口をもにゅもにゅと動かして口の中を空っぽにする。

 

 

「そうですね。もうすぐ秋刀魚やさつま芋が美味しい季節なのです」

 

 

 電が目線をパフェに戻す。白玉や餡子に抹茶粉が彩りを添え、贅沢に果物やアイスクリームが乗っているそれは、彼女を夢中にさせるには充分すぎる程だろう。

 

 真剣な眼差しで食べる順序を考えている電を見ながら、コーヒーを飲む。

 流石に海軍将校御用達の甘味処なだけあって、値段も信じられないほど高かったが、この電の様子を見れただけでもお釣りが帰ってくるほどだ。見栄を張って注文して良かったなと心から思う。

 日頃のストレス、大規模作戦、先程まで続いていた大本営でのこき下ろし等と最近嫌な事ばかりだったが、幸せそうな顔の電を見るだけで疲れが浄化されていく。

 

 

「萩澤提督、遅いのです。来るって連絡があってから、もう1時間も経ってるのに」

 

 

「何か事故に巻き込まれて無ければ良いんだがな」

 

 

 そう話していると、喧しい女性の声が聞こえてくる。騒々しい物音と共にそれは近づいてきて、乱暴に部屋の扉が開かれる。

 

 

「おっそくなりましたー! んんんんん久しぶり電ちゃーーーーーーん♡♡♡」

 

 

 入ってくるなり、黒髪の女性が電に抱きついてくる。

 大湊(おおみなと)に鎮守府を構える、人呼んで宇宙人こと萩澤(はぎさわ)双葉(ふたば)

 8歳で高等教育を終え、11歳の時にオックスフォードに入学。戦史を学び、17歳で戦争開始と共に提督に着任。かつてのロイヤルネイビーを再編成し、ヨーロッパを守り抜いた天才。

 その輝かしい経歴にはいくばくの曇りさえも許されない。奇想天外な作戦を立案し、深海棲艦が考えた新たな策を尽く打ち破ってきたのが彼女だ。

 

 だがもし、欠点を挙げるとするならば━━萩澤提督は電を抱きしめたまま、その右手をそっと胸に近づける。

 

 

「はすはすはす……電たんのにほひ最高だおぉ……寂しかったよ会いたかったよぅ……」

 

 

 電は慣れた手つきで胸元の手を外し、萩澤提督の顔を自分の太ももに乗せる。

 

 コレだ。若い女性ということと上げた戦果の多さから、あまり問題にはされてないが、彼女はロリコンで、同性愛者で、おっぱいとお尻とふとももが大好きで、そして多くの天才がそうであるように━━変態なのである。

 

 萩澤提督が脱ぎ散らかした靴を整えていたもう1人の女性が畳の間に上がってきて、こちらに目をやる。

 大湊鎮守府最強の艦娘、戦艦金剛(こんごう)

 その輝かしい戦果は連日ニュースになっていたので、俺でも名前を知っている。

 テレビで見て聞いたそのままの様子の彼女は、すっと膝立ちになり、美しい茶髪を畳に叩きつけてお辞儀をする。

 

 

「ナイストゥミーチュー! 大湊鎮守府で秘書艦をやらせてもらってマス、金剛デース! ヨロシクオネガイシマース!」

 

 

 太ももに乗ったまま、電に白玉を食べさせて貰っていた萩澤提督が、がばりと起き上がって喋り出す。

 

 

「遅くなっちゃってごめんね! 大本営のおじ様達が離してくんなくてさぁ」

 

「こちらこそ、お忙しい中にも関わらずお時間頂き誠にありがとうございます」

 

 今日はよろしくねー。と再び電の太ももにもたれ掛かり、萩澤提督が机の影にフェードアウトする。

 

 

「コチラが話に聞いていた横須賀の新提督デース? 制服はどうされたんデス?」

 

「一応、非公認、ですので」

 

 

 人差し指を唇の前に持ってきて、隣に座ってきた金剛秘書艦の問に答える。うっいい匂いがする。

 さりげなく気持ち体半分くらい距離を置きながら、補足を付け加える。

 

 戦争が始まって以来、新しく提督が着任する事はあっても、提督が入れ替わるなんて事は無かった。大本営はあらゆる事情を鑑みて、暫くの間横須賀鎮守府での着任を覆い隠す事にしたのだ。

 よって俺は外出時は私服またはスーツを着なければならなく、さらに鎮守府内および軍関係の施設では白い制服に着替えなくてはならない。要するに俺一人が損をする話である。

 

 当然金剛秘書艦に伝えた時は言葉をオブラートに包んだ。俺の説明を聞いた彼女は、注文して届いた羊羹らしきものを頬張りながら、ふんふんと頷く。

 

 きんつば、だっけか。この前までの俺の暮らしぶりなら、名前を知ることすら無かったであろう高級和菓子を視界の脇で見る。

 こういう所で金持ち共は時間を潰して、明日のご飯の話とか、息子の成績の話だとか、くだらないおしゃべりを楽しむのかな。

 

 強い疎外感を覚えたが、そんな事はどうでもよいのだ。

 そろそろ本題に入ろう。今俺が対峙しているのは日本の、いや世界の宝なのである。1分たりとも俺ごときが無駄に時間を使わせてはならない。

 俺は、電を膝に乗せてあんみつをつつく萩澤提督にむかって喋り始めた。

 

 

 

 

 

「打ち上げの時も言ったけど、キミは充分よくやってると思うよ」

 

 

 書類に落ちた長い黒髪を払い除け、萩澤提督が言葉を放つ。

 

 

「今回のイベントでは航空戦力と夜戦火力が大事と見て、それに開発を費やしたのが私的にポイント高いなー。事前の準備で最善を尽くすってのは宮下元帥(みやじい)の教えかな?」

「ようじょが脅威とみるや、対潜支援に切り替えてくれたのも嬉しかったなぁ。ようじょを狙うんじゃなくて、随伴艦を狙ってくれたやつ。報告書では誰が具申したのか書いてないけど、決断したのキミっしょ? とても着任して2ヶ月とは思えないなぁ」

 

 

 この人は独特の単語を使う。『イベント』は大規模作戦を表し、『ようじょ』は潜水新棲姫を意味する。

 

 

「轟沈艦を出さないという当初の目的は達成しました。ですが……」

 

 

 先程大本営のタバコ臭い大部屋で渡された資料に目をやる。そこには前回と比べて戦果が半分以下である事、建造が未だに成功していない事、そして艦娘達からの苦情等が載っていた。

 

 

「それ以上に、今回の大規模作戦で見えた課題が多いです」

 

 

 確かに拙い点や、改善すべきポイントはあるけどね。と萩澤提督は話す。

 

 

「戦闘報告書を見ただけでも、攻め方が単純だったり、予想外の戦闘に弱いってのは感じる。けどそれはこれから経験を積んでいけば良い話で、キミ自身に重大な問題があるとは思えないんだ」

 

「作戦に身を置いた立場から言わせて貰うト、確かに横須賀鎮守府全体の士気は下がっている様に思いマシタ。デスが勝敗に関わる程と言われタラ、それは疑問デース」

 

 

 2人はお世辞で励ましているのでは無く、あくまで客観的事実を述べているというのは、自尊心の低い俺でも理解出来た。

 

 だが、日々艦娘達から受ける理不尽な暴力や嫌がらせが、じっくりと、そして着実にエスカレートして行っているのも、また事実なのだ。

 

 

「艦娘達の信頼を得る為に、私に残された時間はあとどれ位なんでしょうか」

 

 

 萩澤提督が電の頭に鼻先を(うず)め、目を細めて思案する素振りを見せる。

 

 

「『限界』を艦娘達の暴走、又は反逆と定義するならば」

 

 

 紅茶をくい、と飲み、言葉を続ける。

 

 

「秋イベ、冬イベ、春イベで9ヶ月」

 

(くれ)佐世保(させぼ)舞鶴(まいづる)デスカ」

 

「そ。有力な鎮守府を1周して、それでもなお第一艦隊の任から外されたらヤバそう」

 

 

 9ヶ月、9ヶ月か。それまでに俺は、艦娘達の信頼を得る事が出来るのだろうか? 

 左手のガーゼをそっと撫でる。この傷は今朝、瑞鶴に付けられたものだ。

 北上が教えてくれた事を自分に言い聞かせるように、艦娘から理不尽な暴力を受けても、信頼、信頼と念じながら耐えてきた。

 だがまだ2ヶ月も経ってないというのに、俺の体は自覚出来るほどに壊れ始めてきた。

 それに加え、ストレスによる不眠、過敏性腸症候群、手の震え、食欲・性欲の低下。

 

 

「はっきり言って、信じられないよ。あんなに優しい子達だったのに、提督が代わった途端こうも豹変するなんて」

 

 萩澤提督が、ぼそりと言葉を紡ぐ。

 

 

「返す言葉もありません。私が無能なばっかりに」

 

「キミに言ってるんじゃないよ。軍人の前に人として、暴力や暴言をふるうなんてあってはならないことなんだよ……」

 

 

 辛そうな表情で萩澤提督と金剛秘書艦が俺の左手を見てくる。

 気持ちは嬉しかったが、俺の荒みきった自尊心が回復する事は無さそうだった。

 

 

 

 

 

 

 礼を厚く言い、帰り支度をしていると、電が頼み事をしてきた。

 

 

「少しだけ、3人でお話がしたいのです」

 

 

 もちろん快諾する。お兄さん電ちゃんの頼み事なら何でも聞いちゃうぞ。

 

 

「萩澤提督と電は特別仲がよろしいんですね」

 

「テートクが日本に帰って来て最初に建造されたのが電ちゃんでしたカラネー。第六駆逐隊は元々大湊所属デース!」

 

「だというのにみやじいが寄越すよう申請してきやがって……響ちゃんの幸せの為に、仕方なくその要求を呑んだんだ……」

 

 

 拳を叩きつけて項垂れる萩澤提督。そういや響がそんなこと言ってたっけかな。

 

 ガールズトークに巻き込まれると火傷するものだ。そそくさと会話が聞こえないところまで退散する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼が置いていった資料を眺めながら、紅茶を飲み干す。相変わらず彼の目は腐っていたが、どこか決心をしたような気概を感じられた。

 

 

「で、どうだった? 金剛」

 

 

 上着をハンガーから外しながら、金剛が応える。

 

 

「年齢の割に、受け答えがしっかりしている落ち着いた青年といった印象デース。妖精サンにも懐かれているシ、提督としての素質は充分備わっていると思いマース。大本営の視察でも、目立った問題点は見受けられ無かったんデショウ?」

 

「そうなんだよ。本当に、彼は最善を尽くしている。なのにも関わらず、横須賀鎮守府所属の艦娘達は彼を受け入れようとはしない」

 

「横須賀鎮守府所属、というのが気になりマスネ。北上を除いて、彼に好感を持っているのは全員他の鎮守府から仮所属として登録されている子達ばかりデース」

 

 

 あぁ。とため息を吐き、私は胸を逸らして壁にもたれ掛かる。

 

 

「大本営の動きも少しきな臭い。わざわざ本部まで呼びつけたり、視察を向かわせている割には、彼を解任しようとする動きは見られない」

 

「代役の提督が見つからないノデハ?」

 

「いや、居るはずだよ。大本営でたくさんの妖精を引き連れて、日夜艦娘と深海棲艦の研究に勤しんでいる奴が。一応大本営所属の提督とはなっているが、その気になればみやじいが倒れた翌日にでも着任させられた筈」

「だというのに、わざわざ2ヶ月かけて捕まえた彼を、精神的に痛めつけて、横須賀に縛り続ける意味……」

 

「電ちゃんが言うニハ、もう彼は限界に近いト」

 

 

 涙目になって話す電の告白は、想像を絶する程の過酷な労働環境と、彼の愚直なまでの努力、そして艦娘達の性格の変化だった。

 響ちゃんの様子がおかしいのです、と泣きながら話す電の表情からは、秘書艦として何も出来ない不甲斐なさを悔やんでいるように思えた。

 

 

「彼とのビデオ通話での作戦指導の頻度を上げよう。私が精神的な支えとなる。また、今回電が話した事をまとめて大本営のじじい共に突き出す。奴らが何故、何の目的で艦娘達の暴力を黙認しているのかはわからないが、私がそれを知ったという事実は状況を覆す鍵になる筈だ」

 

「……人間の心というノハ、そう頑丈には作られてイマセン。このまま虐げられ続けたら、最悪彼は自分の手で━━」

 

「もちろんそんな事はさせない。彼のような若い命を守る為に、我々は軍人という職業をやっている」

 

 

 

 

 金剛に上着を着せてもらい、外に出る。もう既に夏の暑さが過ぎ去っており、秋らしい涼しさが耳を通り抜ける。

 色づき始めた街路樹に目を向けると、毒々しい色の蜘蛛が、自分の巣に引っかかった蝉の抜け殻を引き寄せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電ちゃんが……泣かされて帰ってきた……。

 

 4人分の会計を済ましてカッコよく外に出ようとしたのに、開かない自動ドアに阻まれて立ち往生していた所で電と合流する。

 

 

「本当に平気か? 急いで無いから、もう少し落ち着いてからでも良いんだぞ」

 

「大丈夫なのです。それよりも、お待たせしてごめんなさい、なのです」

 

 

 俺が渡したティッシュで涙を拭いながら、電が自動ドアを開けてくれる。

 

 

「機械が反応しないの、未だに慣れないよ」

 

「昔では考えられないほど、そこら中に機械がありますからね。萩澤提督なんかイギリスとこっちで何年も提督やってるのに、今も時々自動ドアに頭をぶつけているのです」

 

 

 提督に着任し、妖精とコミュニケーションを交わすという事は、それだけ妖精に近づくという事である。

 妖精は元々人間が作った機械を好まず、相性がとても悪い。その影響を提督となった人間も受けてしまうのだ。

 自動ドアなんかは他人の後ろにぴったりついて行けば良いのだが、スマホのタッチパネルが使えなかったりするのは死活問題だ。

 

 なるべく機械を使わない帰宅方法を考えていると、左手に柔らかい感触が伝わる。

 手を握ってきた電の目には、未だに涙が溜まっていた。

 彼女の様な尊い存在に触れ続けているのは、それだけで重罪な気がしたが、ここでその手を振り払うのは絶対に間違っている、と直感した。

 

 小さく、暖かい手だった。電は目を伏せながら、手に力を込めてくる。

 酷く迷い、苦悶した末、俺も手を握り返す。

 

 それから鎮守府に戻るまで、俺と電が声を交わす事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 静まり返った鎮守府に、蛙や鈴虫の鳴き声が響き渡る。

 

 もうそろそろ切り上げるか。ペンを置き、記念にと北上から譲り受けた61cm四連装魚雷を眺めながら、思案する。

 

 9ヶ月。大規模作戦を遂行するにあたって、俺に残された時間である。

 

 努力はする。当然、最低限の事だ。だがそれだけでは、轟沈艦を出さずに深海棲艦共に打ち勝つには足りないであろう。

 俺が努力している間にも、敵は進化し続ける。

 

 自分の持っているカードを確認する。

 命の価値の低さ、妖精に近くなった身体、圧倒的に低い自尊心。

 

 どうしたものかと考えていると、扉をノックする音が聞こえる。こんな時間に珍しい。俺の私室を訪れるのは鳳翔か第六駆逐隊くらいなのだが。

 

 

「失礼します。明石です」

 

 

 いつもの制服では無く、無地の襦袢を身につけた明石が入室して来る。

 

 

「少し時期が早いですが、コレを持ってきました」

 

 

 コンクリートの床に置かれたのは小型ストーブ。暖房器具が無く、壁も床もコンクリートのこの部屋では流石に凍死すると思ったので、申請しておいたのだ。

 

 

「わざわざ持ってきてもらってすまない。お茶とかも出せたら良かったのだが……」

 

 

 おかまないなく、と言って明石は俺の部屋を見渡す。

 

 

「本当に何も無いんですね。夏とか暑くなかったんですか?」

 

「俺の前住んでいた所も冷房器具は無かったからな。やり過ごし方は知っている」

 

 

 窓開いて後は我慢。これが対処法です。

 

 

 そうですか、と明石が言い、何やら壁を触りながらブツブツ呟いているのを眺めていると、ある考えが浮かぶ。

 

 

「なぁ明石」

 

「電源引いて……室外機はスペースあるから……あっはい! なんでしょう!」

 

「深海棲艦のレーダーって、妖精は確認出来ないんだよな?」

 

「きゅ、急ですね。えーっと、たしか大本営の研究結果だと、深海棲艦のレーダーに映るのは、航空戦力と、人間です」

 

 

 詳しい事は資料を見ないとわかりませんが、と明石は説明を続けてくれる。

 

 

「深海棲艦が民間の船を襲う時は、視認以外だと、人間をレーダーに映して、それを頼りに攻撃していると言われています。人に強い恨みを抱いていると言う理由で広まった都市伝説の様なものでしたが、高い索敵能力を持つ鬼級や姫級が、無人の観測ブイや乗り捨てられた輸送船に手を出さない事例が多々あったので、現在は事実とされています」

 

 

 そもそも艦娘も人ですから、電波で捕捉するよりも、何かしらの方法で人の場所を突き止める方が効率が良いのでしょう、と付け加える。

 

 

「ですがこの理屈だと深海棲艦側は航空戦力相手に捕捉出来ないことになります。深海棲艦が妖精さん単体を視認出来ない事は前々から知られていました。なのにも関わらずドッグファイトの際に先手を打たれる事があるのは、敵が艦載機の居場所を知る方法を持っている事になります」

 

「まとめると、海上は人間をレーダーに映して、航空戦は対空用レーダーで。という風に使い分けている、これが結論だった筈です」

 

 

 水上機や偵察機による索敵もありますがね、と明石は説明してくれた。

 

 

 やはり深海棲艦のレーダーには妖精は映らないらしい。これを上手く使えば、もしかしたら起死回生の策を打ち出せるかもしれない。

 頭を電の泣き顔が過ぎったが、手段を選んでいられる余裕はもう無いのだ。

 

 

「明石、作って欲しい物があるんだが」

 

 

 深海棲艦の基地に近づけば近づくほど、空気は瘴気に汚され、海は赤く濁っていく。それに伴い通信も阻害されてしまう為、最終海域付近では提督の指示が通らなくなる。

 

 だがもし提督が妖精達と船に乗り込み、通信の中継役として出撃する事が出来たなら。

 

 希少な提督適性者の中で、唯一命の価値が低い俺にしかできない作戦。

 

 俺は明石を見据えて、ゆっくりとこの事を伝える。彼女の碧色の目が、僅かに揺れるのを感じた。

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。


クリスマスには投稿出来るかなと思っていたのですが、ちょっと遅れてしまいました。だいぶ慣れてきた気もしますが、やはり文章を書くのは難しいものです。楽しいんですけどね。

次の話は遅れるかもしれないです。

皆さん、良い休暇を。良い年末を。

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