「違うんです!俺は、かなでちゃんと音無君のイチャイチャが見たいだけなんです! SSS団には入りませんからぁ!」 作:岳鳥翁
失踪している間に、Keyの新作が始まる季節になってしまいました。
あと、10周年の記念でグッズが販売されるのだとか。
バッグ、時計、ネックレス、財布。かなでちゃんモデル、どれも欲しいけど、5万以上吹っ飛ぶのはでかすぎる…が、受注受付期間がある。買うしかない…!!(血涙)
個人的にはSSSのパーカーも欲しいんですがね。
さて、トークはこれくらいで、久しぶりの本編をお楽しみください。
2ヶ月空いたリハビリみたいなもんなんで、許してね
「集めた情報から、幽閉場所はギルドの可能性が高いわ」
場所は体育館。
その壇上に立つ仲村の言葉に、集まった戦線のメンバー達はまたか、とざわついた。
話によれば、かなでちゃんがいると考えられるのはその最深部。要は前回のギルド降下作戦で向かった場所と同じところだ。
「またギルドかよ……」
「前回のはほぼ壊滅状態だぜ?」
ため息を吐くように言う日向に大丈夫なのかと不安を口にする藤巻。
しかし、そんな二人を見た野田は臆したのかと笑う。
いや、お前真っ先に脱落してたからな? というのは満場一致で言ってやりたい言葉……あ、日向が言ったわ。
こんな状況であるにも関わらず、戦線メンバーが騒がしいのは流石と言うかなんというか。
おまけの様に着いて来ている俺からすると、頼もしいと思えばいいのか心配をすればいいのか判断に困るものだ。
まぁ、彼らの事だ。原作通り、きっと成し遂げてくれるだろう。
今回は、その勝ち馬に乗れればそれでいい。
野田が、仲村の冷たい一言で沈んだ。
沈めた本人は、そんな彼の事をまるで気にする様子はなく、むしろ明るい笑顔で作戦の説明に移った。
「なぁ、その前に一つ聞いてもいいか?」
「何かしら、音無君」
かなでちゃん奪還作戦の説明に入る直前、一人挙手した音無君。
彼は仲村からの許可が出ると、徐に俺の方を指さして……
……え、俺?
「関係なさそうな……というか、見るからに怪しいのが紛れているけど……あいつは?」
「ああ、彼ね。そう言えば言ってなかったわ」
推しに……!! 認識……!! されている……!! だと……!?
不思議そうにこちらを見ている音無君と目を合わせないよう、俺はそっと仮面越しの視線を横へと反らした。
音無君……見ているな……!!
体育館の端っこの壁に背を任せながら話を聞いていた俺。
現在の姿は新しく新調したNPC用の学ランを身に纏い、長刀物干し竿を背負っている。
なにより特徴的なのは、今回も演劇部より拝借してきたマスクだろう。
前回の球技大会で使用していたものが見つからなかったため、今回は代わりにどこの部族だよお前、と言いたくなる派手なものを使用。
背中を覆う程の緑と黄いろの飾りが特徴的だ。
マスクがこれしかなかったからしゃーない。
「彼は今回の作戦における協力者よ。少なくとも、私たちと敵対することは無いから安心しなさい」
「いや怪しすぎるだろ!?」
思ったよりも少ない仲村の紹介に日向がツッコミを入れる。
しかし、一度は共闘した中なのだ。日向は覚えていないのだろうか。
「……ひょっとして、マスクか? 球技大会の時、椎名が連れてきた……」
…………
『くぁwせdrftgyふじこlp』
「な、なんだこいつ!? 急に痙攣しながら倒れたぞ!?」
「これは……遺言、でしょうか?」
「……まぁ、死んでないから大丈夫だろ」
いけない、あまりの嬉しさでこのまま昇天するところだった……
まだ、俺には見ていない景色があるのだ。それまではこの世界から消えるわけにはいかん。
「あ、起きた」
こちらを覗き込むように見ていた大山に、軽く手を挙げることで問題ないという意思を伝える。
『改めて、今回の作戦に協力させてもらう、マスク・ザ・斎藤だ』
「こんな時にアホなことを言わないでくれないかしら、山野君」
アホはうちの奴らだけで十分なの、と深いため息を吐く仲村に俺は心の底から合掌をした。
「マスク、山野って名前だったんだな……」
「如何にも。ついでに普通に喋れる」
「筆談だった意味は!?」
おお!! これが日向のツッコミか!!
なるほど、この打てば響くような素晴らしいツッコミは癖になりそうな気もするぞ!
楽しくなって暴走しないように自重しなければなるまい。
「改めて、山野だ。今回は俺の方から協力を申し出たため、名前と声については隠すことをやめている。まだ顔は出せないが、少なくとも俺がお前たちと敵対するつもりがないことは信用してもらいたい」
「何で協力を申し出たんだ?」
「……すまないが、詳しくは言えない。が、仲村にも説明はしたが、あるものを取りに、とだけは答えておこう」
本当なら、ここで顔まで出して誠意を見せるべきなんだろうが、今はここまでが限度だ。
協力するとはいえ、これで顔バレすれば、気配遮断があるとはいえ今までよりも動きにくくなることが考えられる。
そうなると、俺が音無君とかなでちゃんの二人のてぇてぇをゆっくり干渉できなくなる可能性も出てくるかもしれない。
それだけは…!! 避けなくてはならない…!!(固い決意)
今回の仲村への申し出も、正体と協力する目的は明かせない代わりに、戦力として可能な限り言うことを聞く、という条件を出している。
「なら、作戦の説明に入るわよ」
パンパン、と手を叩き周囲の注目を集めた仲村は、今回の作戦の説明に入った。
まず、ガルデモによる陽動だが、今回は無し。分身体にかかれば陽動が瞬殺されることは目に見えているため、真正面から正々堂々と行くのだとか。
松下が狭い通路で戦うことに不安気な様子を見せている。
「みんな、いい?」
仲村が再び、演台から戦線メンバーを見下ろした。
「作戦は、ギルドを降下し、その最深にて無事天使のオリジナルを保護すること!―――では、オペレーション、スタート!!」
◇
戦線のメンバーたちが銃を構え、用心深く辺りを見回しながら通路を進んで行く。
先頭を行くのは仲村。対して、俺は列の最後列で背後の様子を見ながら歩く。
「トラップには気を付けてね、野田君」
「二度とあんなへまはしない!! 今度こそ、ゆりっぺを守り抜く!!」
俺の目の前で意気込む野田であるが、この後の展開を知る者としては悲しくなる決意表明である。
まぁ、強く生きてくれ。
更に前で、日向とユイによるいつもの絡みをてぇてぇなぁと眺めていると、不意に列の足が止まった。
前の視れば、薄暗い通路の先。
設置されている明かりがその姿を映していた。
赤い目の分身体。その両手にはハンドソニックを携えていた。
「ひぃやあぁぁ!」
その姿を見て情けない声をあげながら涙目になるユイであったが、そんな仲間の悲鳴を無視して、仲村が声をあげた。
「うてー!」
銃を携えていた戦線メンバーによる一斉射撃が始まった。
統制のとれた動きは、流石戦線というべきか。長年かなでちゃんと戦い続けてきただけの事はある。
しかし、そんな彼らの攻撃をものともしないからこそ、かなでちゃんは防戦できていた訳で。
そんな彼女の分身であるあれが、銃撃程度でやられるわけがないのだ。
『ガードスキル・ディストーション』
0と1の数字が一瞬彼女を覆う。
弾丸の軌道は容易く捻じ曲げられ、床や壁、天井に穴をあけていく。
そして銃撃が止んだ直後。
彼女は、弾丸のような速度でこちらに突っ込んできた。
反撃できずに、隊列を組んでいた戦線は分身体の突進を避けるのに精一杯の様子。
そんな中、最後尾にいた俺は、背中の物干し竿に手をかけた。
「シィッ!!」
「っ!!」
獲物の間合いはこちらが上。
動きに合わせて物干し竿の一撃を見せてやれば、分身体は急遽その軌道を修正。
無理矢理な体勢ではあるものの、刀の一撃を免れる形で俺の後ろへと転がった。
「避けられたか……」
後ろを確認してみれば、分身体はすぐさま体制を整えてこちらへと向き直ていた所であった。
「伏せて!」
そんな中、後ろから仲村の声が響いた。
その言葉に従って体勢を低くすると、仲村が何かを分身体に向かって投げた。
直後、すさまじい轟音が耳を襲った。
グレネードか何かの爆弾でも使用したのだろう。
分身体が吹き飛んだその先に向けて、再び一斉射撃が始まった。
「やめぇ!」
仲村の合図で射撃が止む。
しかし、煙幕のその向こうで、彼女は何事もなかったように立ち上がった。
そんな彼女に向けて再び発砲した仲村。
今度はディストーションが解けていたのか、銃弾は彼女の太腿を直撃。分身体はがくりと膝をつく。
「動き出さないうちに縛りなさい!」
早く! と叫ぶ仲村。
だがその時、言いようもない感覚が俺の背後を襲う。
俺は握りしめていた物干し竿を背後に向けて勢い良く振るった。
ガキンッ、と。
固い者同士が打ち付けられる音が通路に響く。
俺を背後から襲った正体。それはもちろん、先ほどとは別の分身体。
俺はもともと分身体が複数対いることを知っていたため、そこまで驚くことではなかったが、予想外だったのか戦線のメンバーたちは驚愕を露にしていた。
「しかし、ここで俺を襲うのか……」
襲い掛かってきた分身体と相対する形で刀を構えた。
本来なら、ここで野田が襲われていいところを見せずに脱落するのだが、俺が大きく介入しているために原作とは違う流れになったのだろう。
「やべぇ! 後ろからも来やがるぜ!」
太腿を撃ち抜かれた分身体はもう回復したようで、再びハンドソニックを構えて立ち上がる。
これで挟み撃ちされる形となったわけだ。
「勝ち目はないわ! あそこの通路に入って入り口を塞ぐわ!」
状況不利と判断したのか、仲村が横道を目指して駆けだした。
分身体を銃で牽制しながらその後に続く戦線。
ひとまず、俺もその指示に従う形で後退する。
そしてギリギリのタイミングで音無君が駆け込むと、入り口の上から、鉄の塊が轟音を立てて入り口を防いだのだった。
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