「違うんです!俺は、かなでちゃんと音無君のイチャイチャが見たいだけなんです! SSS団には入りませんからぁ!」   作:岳鳥翁

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一ヶ月の失踪で済んでよかったね!


あと、10周年グッズ、買いました。



覚悟はできてるか? 俺はできてる…!!(財布の中身を見ながら)


Dancer in the Dark 2

「ギリギリだったな、音無」

 

 最後の最後、ギリギリのタイミングで駆けこんできた音無君に手を差し伸べながら声をかける日向。

 その言葉に、疲れたように「ああ」と返事をした音無君はその手を取って立ち上がった。

 

「なんとか、全員無事のようね。先を急ぎましょう」

 

 

 全員そろっていることを確認した仲村が、そう言って先へ進む。

 あの鉄塊は、トラップだったらしい。それを逃走に利用することをあの状況下で考え付くのは流石としか言いようがないだろう。

 やはり、リーダーとしての素質はかなりのものだ。

 

 

 暫く進んでいると、再び通路へと出ることができた。

 特に危険がないことを確認した仲村は一度そこで立ち止まると息を吐く。

 

 どうやら、一度ここで状況の把握を行う様だ。

 

 

 議題は当然、あの天使についての事だろう。それが二体いたのだ。

 

 

「前の降下作戦よりもたちが悪いぜ……」

 

「何で二体もいたんだ……?」

 

「分身はオーバードライブもディストーションも使うのよ? つまり、ハーモニクスも使えるってこと」

 

 

 音無君の疑問に、当たり前のようにその回答を返す仲村。

 そして、直井が進み出て今回の問題点をつらつらと述べていく

 

 

 要は、分身によるトラップなのだ、これは。

 

 

 分身が分身を生み出すことができる。故に、その増え方はネズミ算式。

 何体いるのかすらわからないが、かなりの数がいることになるだろう。そして、こちらが出向くことも把握されているのなら、その大量の分身体があちこちに配置されているはず。

 

 すでに背後には二体。弾薬の補充もできない状況だ。撤退することも難しい今、進むしかないのだが、この先あの分身が数多く待ち受けていることも考えると絶望的だと言っていいだろう。

 

 ……もっとも、俺一人であれば撤退はできるのだが。

 それをしてしまうと、目的のカメラの回収ができないため、絶対やらないが。

 

 

「一体こんなことして何が目的なんだ……」

 

「最終的には私たちの完全な更生でしょう。それがオリジナルから引き継がれた彼女たちの使命なんだから」

 

「でも、何で僕たちが助けに来るって思ったんだろう?」

 

「そりゃ、誰かさんが仲良くしてたし、一緒に川釣りや炊き出しもしてたからねぇ」

 

 

 仲村のその言葉に、一斉に冷たい目を向けられている音無君。

 すごく居心地の悪そうな様子であったが、俺としてはむしろもっとこいだ。どんどんやってくれ。

 

 というか、炊き出しのてぇてぇが見られなかった分、原作よりもいちゃついてくださいお願いします。

 

 

「部外者だから口を挟むのもなんだが、もう助けに来てるんだ。何言っても仕方ないだろう」

 

 さっさと進もうぜと促せば、「そうね」とそれに頷いた仲村が歩を進めた。

 

 

 ぞろぞろと戦線メンバーがその後に続く中、最後列についていた俺のもとに音無君がやってきた。

 

 

 

 …………やってきたぁ!?

 

 

「その、さっきはありがとな、山野」

 

 このお礼は、先ほどの助けに来た云々の事なのだろう。

 原作にはない、恐らく語られていないやりとり。個人的に音無君がかなでちゃんといちゃついているのが悪い、なんて思われるのはこちらとしても心外であったため口を出してしまったが、特に流れから大きく逸脱するものではないだろう。

 

 どちらかと言えば、野田が死んでいないことの方が今後の流れに影響を与えそうな気がするのだが……

 

 

「……ん? 山野?」

 

「あれ、名前違ったか……?」

 

「っ…………、ンフッ……!!」

 

 

 推しに!! 名前を(以下省略)

 

 

 

「殺す気か? 音無君」

 

「なんで!?」

 

 

 思わず言葉が出てしまった。

 

 駄目だこんな近距離で推しと話すなんて俺には難易度が高すぎるルナティックそうだまずは素数を数えるのだ1,2,3いや1は素数やないやんせやかて工藤こんな近くで推しと二人で話すなんてことが許されてええはずがないやろうそうだ京都に行こう。

 

 

 

「……ふぅっ…何でもない。山野であっている。あと、さっきの事についてはそこまで気にしなくてもいい」

 

 

 そして願わくば、かなでちゃんと幸せになってくださいお願いします。

 

 

「そ、そうなのか。とにかく、ありがとう。あと、お前が仲間ですごく心強いよ」

 

 

 それじゃ、といって前を行く音無君は、何を話していたんだと日向に肘で小突かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「山野君、まだ戦闘はできそう?」

 

「体力的には問題はない。だが、この先の戦闘は厳しくなる」

 

 

 あれから暫く経ったが、俺たちは現在もギルドへ続く通路を進んでいた。

 本来なら、弾薬を消費しながら進んでいるのだろうが、今回に限ってはイレギュラーである俺がいる。

 

 仲村との契約は、戦闘における指示の順守。そのため、ここまでの分身体との戦闘はほぼすべて俺が行っていた。

 

 

 援護射撃もあったため戦闘は容易に行えた。心情的にオリジナルのかなでちゃんとは違うとはわかっていても、見た目が同じと言うだけで殺りづらい。

 

 そのため、基本切り殺さずに気絶させ、後は縛ってポイ、というのがここまでの戦闘である。

 

 

 向こうが殺す気(まぁ死にはしないが)でも、こちらはその気がないため不利ではあるが、この体のスペックには感謝しかない。

 

 いやぁ! 明日の筋肉痛が楽しみだなぁ!!(白目)

 

 

「あいつ、まじでやべぇな……ここまであの分身との戦闘ほぼ無傷だぞ……」

 

「椎名もやられてるやつだったよな……お前の上位互換じゃねぇか?」

 

「いや、俺の方が強い! ゆりっぺ、見ていてくれ! 今度はこの俺が活躍する!!」

 

 後ろで楽し気な話をしているが、特に絡む必要はないかと思うのでそのままにしておく。

 

 抜き身にしていた物干し竿を鞘に納め、先頭を歩く。

 

 

「難しい、ってのは?」

 

「そこまで詳しいわけではないが、確かこの先は人二人が並んで丁度くらいの通路が続くだろう? それだけ狭いと、この長刀が満足に振るえないんだ」

 

「そう。ならここからは私たちが主体よ。みんな、いいわね!」

 

 特に元気よく野田が返事を返していた。

 

 

 まぁ、俺が主体で戦っていたため、弾薬の消費は抑えられているんだ。まだ余裕はあるのだろう。

 仲村の言葉に甘えて、俺はしばらく休ませてもらうことにしよう。

 

 

 明日の痛みは変わらないだろうけどな!

 

 

 

 それからしばらく通路を進んでいると、その通路の先に人影があった。

 

 

 赤い目をした分身体。

 

 

「みんな、構えて」

 

 その合図に、各々の銃を構えた戦線。

 しかし、そんな中で一人、銃も構えることなく前に歩み出た者がいた。

 

「ゆりっぺ、ここはこの俺に任せてくれ」

 

 ハルバードを肩に担ぎ、自信満々な様子を見せる男、野田。

 

 

 やべぇ…不安しかないんだが。

 

 本当なら、最初に脱落するはずだった野田がここまで残っている時点で奇跡であるのだが、ここにきてその幸運も尽きたのだろうか。

 

 

「俺は……俺は! 下位互換何かじゃなぁい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              野田  脱落

 

 

 

 

 

 

「あいつ、下位互換なんて頭の良さそうな言葉知ってたんだな……」

 

「言ってやるな。先に進むぞ」

 

 

 

 まぁ、そういうことである。

 

 

 俺たちが通り抜けるまで持ちこたえたのは流石だと言えるだろう。仲村の「みんな、野田君が抑えている間に急ぐわよ!」には同上しかなかったが。

 

 はるか後方から聞こえた「俺の屍を越えてぇぇぇl!!!」という断末魔なんてなかった。

 

 

 そこからは俺の良く知る展開だった。

 松下五段から始まった柔道による抑え込みによって、分身一体につき一人の犠牲で最深部を目指す俺たち。

 もちろん、こんな狭い通路じゃ戦力にならないし、俺には俺の目的があるため犠牲になることもない。

 

 そして、ユイが日向を蹴飛ばしたことによる犠牲で、俺たちはついに目的地に到達するのであった。

 

 

 

 

 

 目の前には何かが爆発したような跡。大きなクレーターがあった。

 

 ここが、元ギルドなのだろう。前回の降下作戦の際に爆破した跡、か。

 

「ここからは一気に最下層へ降りることになるわ。音無君とユイはオリジナルを探して。それと……」

 

「では、俺は俺の目的を果たすことにしよう。できることなら、また地上で会おうじゃないか」

 

「そう、ならここでお別れね」

 

 

 もともと、ここへはカメラがあるかの確認をしに来たのだ。あれば回収するし、なければ帰還した後全力で捜索。

 とにかく、音無君やかなでちゃん、戦線の誰かに見られなければセーフなのだ。

 

 

 では、と片手をあげてその場を後にする。

 音無君が何か言いたげではあったが、これ以上推しと話すことがあれば俺がどうにかなっちゃいそうなので遠慮しておこう。

 

 

 早々に気配遮断を利用して姿をくらました俺は、視界を塞ぐだけで邪魔だったマスクを外す。

 そう考えると、この骸骨マスク、視界を防ぐことがないので本当にすごい。魔力由来だからなのかね? 流石ファンタジー。

 

 瓦礫は多いが探せないこともない。が、とにかく広いためこういう時は人手が欲しくなる。妄想幻像(ザバーニーヤ)があればよかったのにな。

 

 

「っ!! 見つけた!」

 

 つい声をあげて飛びついた。

 そこにあったのは、紐が途中で切断されたカメラ。

 中身を確認してみれば、消されていることもなく俺が記録したてぇてぇはそのままになっていた。

 

 何これめっちゃ嬉しい!

 

 

「目的達成! よし、音無君とかなでちゃんの様子でも……ぐぅぅっ!?」

 

 

 突如、すさまじい音が俺の体を襲った。

 頭にガンガン響き渡る超音波か何かだろうか。すぐさま両手で耳を塞ぎ、身を縮めた。

 

 幸い、その超音波はすぐに鳴りやんだため俺への被害は軽傷だと言っていいだろう。

 

 

「そういえば、ハウリングを使うんだっけか。忘れてたぞ……」

 

 確か、耳栓などで効果を軽減できるやつだ。今後は使われることは無いだろうが、念のため準備でもしておくか…?

 

 

「まぁ、でも。物の回収はできたんだ。安心安心。後は音無君となかでちゃんの様子でも……」

 

 ふと、手にしていたカメラに違和感を感じた。

 

 何気なしに触れている部分は、普通ならツルっとした液晶があるはずなのだが、そこに感じるのは何かが割れた後のような感触。

 

 

 恐る恐るそこに目をやれば、視界に飛び込んできたのはバッキバキに割れている液晶画面。よく見れば、カメラ全体の損傷も酷かった。

 

 

「…………」

 

 

 俺は無言でSDカードを取り出した。

 

 

 取り出した瞬間、粉々になってご臨終成された。

 

 

 

「………ふっ」

 

 

 なるほど、今回はこういう落ちなのか……

 

 

「分身体ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして、俺の写真はすべておじゃんとなったわけだ。 

 うん、めっちゃ落ち込んだ。なんなら、次の日に当然のように襲い掛かってきた筋肉痛がどうでもいいと思うほどには。

 

 だが、物語はこれから終盤に入っていく。ここまでくると、もはや音無君とかなでちゃんのてぇてぇが合法的に増えていく。

 

 もう、俺は写真なんて撮らない。

 すべて、この脳内メモリに保存してやろうじゃないか!!!

 

 

 筋肉痛で動けないベッドの上で、俺はそう思いなおしぃたたたた!?!?

 

 

 

「……ん?」

 

 

 痛みに耐えながら、今後の活動について考えていると、インターホンが鳴った。誰かが訪ねてきたらしい。

 

 

 はて、ここは俺の一人部屋で同居人はいないのだが……となると俺に用と言うことになる。

 

 誰だ? と思いつつも、俺は痛みに耐えつつドアを開けた。

 

 

「はいはい、どちら様ですk……」

 

「よ、よう山野。ちょっと、いいか?」

 

「……こんにちは」

 

 

 

 【朗報悲報】推しが推しと尋ねてきたんじゃが、おれはどうしたらいいんだろうか【死ぬしかない】

 

 

 

 

 




まぁ失踪するんだけど!
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