「違うんです!俺は、かなでちゃんと音無君のイチャイチャが見たいだけなんです! SSS団には入りませんからぁ!」 作:二修羅和尚
思いついたので投稿しますが、一話で原作二話を書ききれなかったため、下に続きます。なお、いつ書くかは不明。
あと、深夜テンションで書いてるので、誤字脱字あったらごめんなさい。
あと、天使である奏ちゃん。俺は立華奏ってしてたけど、公式設定では「かなで」だったことに書いた後で知った。
次から直す(ここまでの二話分は無視)
対天使用作戦本部
「高松君、報告をお願い」
「はい。武器庫からの報告によると、弾薬の備蓄がそろそろ尽きるそうです。次一戦交える前には補充しておく必要があります」
「新入りも入ったことだし、新しい銃もいるんじゃないの?」
学校内のとある一室。この学園の顔とも呼べる者がいる校長室であるが、彼ら彼女らがそうである訳ではない。
SSS団発足時に校長そのものを職員室へ移動させた彼らは、以降、この場所を作戦本部として利用しているのだ。
ちなみに、校長本人はそれで満足しているらしい。大丈夫なのかこの学園。
「そうね。わかったわ。本日のオペレーションはギルド降下作戦といきましょう」
その言葉に空からの降下を想像した音無であったが、ギルドが地下の奥深くにあることを伝えられて驚愕を露にする。
ギルドを抑えられれば、銃や弾薬などの物資がなくなり、天使との戦いに勝ち目がなくなる。そのため、今回の作戦は天使にばれないように行わなければならない。
ゆりがギルドへと連絡を入れ、作戦は今いるメンバーで行くことを伝える。
途中、野田がいないことに大山が気づいたが、あのバカはどうせ単独行動しているだろうと、日向が呆れていた。
「それに、今の私たちには天使以外にも注意すべき敵がいるわ」
「椎名さんが殺されたっていう、骸骨の仮面の男、だよね」
ぶるりと身を震わせる大山。そんな彼に続いて、部屋にいたメンバーたちも各々の反応を見せる。
何せ、椎名は戦線の中でも指折りの実力者で、野田程度なら瞬殺できるほどだ。
その椎名がいともたやすく殺されている。
「不覚……」
「彼女の話だと、その仮面の男は刀を使用していたそうよ。それも、かなりの長物らしいわ」
「けど、所詮は刀なんだろ? 銃で弾幕張れば大丈夫じゃないのか? 天使みたいに出鱈目なわけじゃないだろ」
なぁ? と同意を周りに求める日向に、大山などはそ、そうだよね…? と若干気弱な態度を見せながらも頷いた。
「けど、油断は禁物よ。天使みたいな例外が、あれだけとは断定できないんだから。それにそうでなくても、椎名さんを圧倒できる以上、接近戦ではまず敵わないと考えるべきでしょう」
「仮に出会っちまった場合はどーすんだよ」
「その時は、距離を取って一方的に撃つしかないわ。ただ、椎名さんの話だと、暗殺者みたいに気配を断っていたそうよ。暗殺なんてされたら、もう何もできないわね」
「意味ね―じゃねーか!?」
「仕方ないじゃない! どんな奴なのかまだほとんど情報がないのよ! NPC用の制服を着てたらしいから他のメンバーに探してもらってるけど、その成果も今のところはまったくないわ」
ちゃんと探してるのかしら、と一人文句を零すゆり。そんなリーダーの様子に日向が苦笑していると、最近加入したばかりの新入りである音無が、日向の耳元に顔を近づけた。
「なぁ、そいつってそんなにヤバいのか?」
「んあ? あー……そうだな。野田っていただろ? あのハルバード持ってた」
「ああ……百回殺されたわ」
「あれが瞬殺できるくらいには、椎名は強い。野田もバカだけど弱いわけではないんだがなぁ~。バカだけど」
何となく、ヤバさを実感した音無は、同時に野田によって百回殺しをされた時の事を思い出して顔をしかめた。
「でも、これは戦線を強化できるチャンスでもあるわ!」
バンッ! と長机に拳を叩きつけたゆりは、そう言ってメンバーたちを見回した。
「まさかとは思いますが、仲間に引き入れると?」
「そのまさかよ。ほら、敵の敵は味方って言うじゃない? 実力も十分だし、戦線に入ってもらえれば戦力の強化は間違いないわ!」
「えっと、それって、その人が天使側に付くなんてこともあり得るんじゃないかな? いまのところ、敵対したのって僕らの方だけだし……」
「「「「……」」」」
勢いづいていたゆりであったが、大山の一言で場が凍り付いた。
確かに大山の言うとおり、件の人物は天使と敵対していたわけではなく、更に言えば先に襲い掛かったのは椎名である。
敵の敵は味方という言葉は、まさしく天使にとっての言葉であろう。
「……と、とにかく! 今夜はギルドよ!」
「Alright, let’s go」
TKの言葉が、虚しく作戦本部に響いたのだった。
◇
そんなわけで、何とか戦線の捜査を潜り抜けつつ寮へと戻った俺は、すぐさま気配を消して体育館へと向かった。
今回は、念のために物干し竿も背中に背負ってきた。
「おぉ、引いてる引いてる」
体育館のキャットウォークに身を潜めながら見てみれば、ちょうどギルドへ向かう途中だったようだ。
壇の下の収納スペースをTK、松下、高松の三人が引き出せば、その奥の床にはギルドへの入り口が見える。
戦線のメンバーが次々に降りていくのを見ながら徐々に日向のすぐ側に近寄った俺は、音無君と日向が下りるよりも先に地下へと降下した。
あの椎名曰く、俺がキャラたちの絡みを見て興奮すると気配遮断が乱れてしまうらしい。そのため、バレないように付いて行くためには、一定の距離をとって追従する必要がある。
入り口はその難関箇所の一つだったので、とりあえずはクリアしたといっていいだろう。
足音も立てずに着地した俺は、全員が前方に気を取られている間に後方へと身を忍ばせた。
現段階で椎名に気づかれていないのなら、当分は安心できるだろう。
なんせ、俺がこうしてリスクを覚悟しながらここに来たのは、先日の俺と椎名の邂逅によって原作にどう影響したのかを調べるためだ。
なのにここで俺の存在に気づかれてしまえば、それでこそ原作崩壊に繋がりかねない。それで音無君と奏ちゃんのエンドを見ることが出来なくなれば、俺は死んでも死にきれなくなる。いや、もう死んでるよなんて冗談は置いておいて、だ。
前方で野田君が登場し、EDをBGMに鮮やかなハンマーによる死を遂げたことで、まだトラップが解除されていないことに焦りを見せる戦線メンバーたち。
天使が現れたというゆりの言葉に周りのメンバーが焦りを見せる。
しかし、ギルドが陥落すれば、天使に対抗することもできないため、仲村は進軍を決めた。
俺は、その後を距離を開けて追うのだった。
◇
ギルド連絡通路B3
転がってくる岩のトラップ
そもそも俺は岩が落ちてくる場所よりも後方にいたため、特に気にすることなく後を追った。
あと、音無君の「これなのか?」、いただきました!
高松、脱落!
ギルド連絡通路B6
部屋に閉じ込められる&レーザー
メンバーがトラップを抜けた後、有り余る身体スペック(無理矢理)を用いて扉を斬り壊した。
途中で、松下五段(護騨)のさいっこうの切れ味のエックスによって死んでいる様子を見てしまい、俺のSAN値がピンチになった。
ありゃ、大山が吐いても仕方ないことやで
松下、脱落!
ギルド連絡通路B8
天井が落ちてくるトラップ
落ちた後にそのまま通り抜けました。
TK、脱落!
ところで、飛んで行って誰を抱きしめてやるのでしょうか?
ギルド連絡通路B9
床が崩壊するトラップ
大山が忘れてたよここはぁぁぁ!! という叫び声をあげて落ちて、戦線メンバーたちが宙吊りになっているところを遠目で観察。
途中、原作の中で唯一といってもいいちょっとエッチなシーンは、興奮を死ぬ気で(もう死んでる)抑えつけながらこの眼に焼きつけた。
日向は、お疲れ様です。
大山、日向、脱落!
ギルド連絡通路B13
水攻め
藤巻脱落(カナヅチ)
◇
連絡通路B15
「……特に、原作とは変わりがない…よな?」
水中に身を潜めて、顔の上半分を水面から出す。
視線のその先には、生き残った椎名、仲村、音無君の三人の姿。
ここまで戦線にトラップを解除させて、安全に尾行してきたが、今のところ俺の知る話との乖離は全くないといってもいいだろう。それも怖いくらいに。
強いて言えばあの椎名の警戒が強いようにも感じたが、現状何もアクションを起こしてこないことを鑑みれば、まだ俺の存在には気づいていないはずだ。
ゆっくりと水の流れに沿って水中を進んだ俺は、三人から離れた場所に離水。NPCと同じ紺色の学ランを脱いで気休め程度に乾かしておく。
「この様子だと、前回の俺の影響はほとんどないと考えてもいいかもしれないな」
喜ばしいことだ、と少しだけ安堵して笑みが零れた。
やがて、遠くから「ああああああ!! 子犬が流されているぅぅぅ!!!」というお前ギャグ要因だった? と耳を疑いたくなるような椎名の声が響くと、何かが水に飛び込んだような音が聞こえた。
トラップであるぬいぐるみに引っかかった椎名が、入水したのだろう。
ここも原作通りだな、という安心と、椎名という一番厄介な存在が脱落することに安堵する。
それがいけなかったのだろう。
空気を切り裂くような音。
そんな違和感のある音を耳にしたこの体は、俺の意思を無視して愛刀である物干し竿を抜刀して背後を斬った。
直後、弾道がずれたであろう苦無が、俺のハサンの仮面を掠めていった。
「不覚!!ぬいぐるみだったぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」
「……」
彼女は原作の様に滝壺へと落ちていく。
あのキャラがかわいいものが好きで、あんなトラップに引っかかる。その様子は、まさしくギャップ萌えだ何だと多くの人を魅了するのだろう。
実際、俺だってその一人なのだ。
けど、飛んできた一本の苦無。それに俺は驚きを隠せない。
つまり、彼女は俺の存在に気づいた、と。
「いつからだ……」
まさか、あの床崩壊のトラップで?
だがあの時の彼女は、仲間たちを支えるので精一杯だったようにも思える。実はそうではなかったのか?
「……本当に、何でそういうので気づかれるのかな。この気配遮断は」
元ネタ通りなら、俺が攻撃しようとしない限り気配遮断のスキルランクは低下しないはずなのだが、そこは俺仕様ということなのだろうか。
こんな無理矢理な小次郎さんをつけておいて、よくやったもんだよ。
文句を垂れながら、ある程度水を切った学ランを身に着ける。
「さて、進むか」
もし仮に、俺がここにいるせいで原作乖離が起きたのであれば、これ以上進むことは原作崩壊に繋がりかねないこととなる。
だがしかし、だからこそ確かめなければならないことがあるのだ。
もし俺の存在によって、何かしらのバタフライエフェクトが起きたのであれば、最悪の場合原作崩壊に繋がりかねないことが起きる。
それは、天使の進行だ。
彼女の進行が、何かしらの影響で早くなった場合。それこそ、音無君らが到着する前にギルドへ着いてしまえば、凄まじい原作崩壊だ。最悪、ギルドが陥落してSSS団が終わる可能性も出てくる。
別ルートからギルドへと向かう彼女は、すべてのトラップに引っかかりながら進行しているはずだ。
ならば、仲村が生前の事を語っている間に俺がギルドまで先行し、そこから別ルートへの道を逆走すれば天使の下に辿り着けるはずだ。
音無君たちがギルドへ到着した時点で、彼女は最後のトラップ手前だったはず。
もしその速度が、原作の物よりも速かったならば。
「足止めするしか、無いよな……」
ちらっと、背中側に見える愛刀に目をやった俺は、憂鬱だなとため息を吐いた。
◇
天使ちゃんマジ天使……は、今は置いておかなくては。
「なんで、そういう嫌な予想は当たるのかなぁ!」
「あなたは誰?」
キョトン、という効果音でもつきそうな表情で首をかしげる生徒会長、立華奏。
生前では一ファンとして、その顔を音無君に向けて微笑んでほしいと思わさざるを得ないが、現状、俺は引きつったように笑うしかなかった。
「すいませんね。とりあえず、この先にはまだ行っちゃダメなもんで」
「そう。でも、私は行かなくちゃいけないから」
Guardskill Hand-sonic
そう呟いた彼女の制服の袖口から0と1のエフェクトが弾け、銀色の刃が出現する。
angelplayerというものを使って使用しているらしいが、その原理が俺にはよくわからない。
いったい何者なんだ、angelplayer
だが、そう言ってもいられないだろう。
両腕の刃を構えた彼女に対峙する形で、俺も背中の愛刀を抜いた。
「暫く、俺に付き合ってもらうぞ」
失踪します(願望)