「違うんです!俺は、かなでちゃんと音無君のイチャイチャが見たいだけなんです! SSS団には入りませんからぁ!」   作:二修羅和尚

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短いけど許してね!


卒研、院試、研究、イベント、ゲームなどなど、個人的な事情によって闘争とうい名の失踪してました。


まぁ、またすると思いますが。気長に見てね!


Family Affair 中

「椎名とは会っているが、君とは初めましてだな。死んだ世界戦線リーダー、仲村ゆり。俺は……そうだな、山野とだけ名乗っておこう」

 

 そう言った俺の言葉に仲村はふーん、と興味深そうに視線を巡らせる。

 

 何を考えているのかはわからないが、他の団員を起こして取り囲むようなことはなさそうなためひとまず安心してもいいだろう。流石にそれをされると、武器もない今抵抗は難しいだろう。

 

 

 仮面をつけているためこちらの表情はわかりにくいだろうが、できるだけ余裕を持っているように見せることを心がける。

 

 何しろ相手は何十年にもわたってこの世界で戦線のリーダーを張ってきたあの仲村だ。下手を打てば何をされるかわからない。そもそも、戦線相手に敵対したこともないためなんてことは無いだろうが、それでもある程度警戒はするべきだろう。

 

「それで? あなたはどうしてここにいるわけ?」

 

 一通りの観察が終わったのか、仲村はこちらを見据えて質問を投げかけてきた。

 

「どうして、か。そもそも、ここには俺の方が先にいたんだ。仕方ないだろう」

 

「そう。けど、それが隠れていた理由にはならないわ。何かやましいことでもあったわけ?」

 

 うっ、という声が漏れそうになるのを何とか抑え込む。

 

「……別に。一人でいたところにいきなり大人数が入ってきたんだ。驚いて隠れただけだ」

 

「それで今まで私たちの一部始終を見ていたと。椎名さん、彼って覗き魔の類かしら?」

 

 挑発ともとれる発言。思わず、そんなわけあるか! と言いそうになったが、これも仲村の作戦なのかと思考が働き冷静になれた。

 

 Be cool 落ち着け、俺。

 

「……否定はしない。現に、今まで彼が私たちの作戦を影で見ていたことは確認している」

 

「えっ、何本当にこいつ覗き魔だったの?」

 

「んなわけあるかっ」

 

 

 思わず言ってしまってからはっとした。

 

 ものすごいさらっと覗き魔判定をくらいそうだったため、否定してしまった。いやでも、あの流れを止めなかったら、これから先ずっと覗き魔扱いされかねない。

 

「何だ、ちゃんと言い返せるんじゃない。うちはボケが多いから、ツッコミができる団員は大歓迎よ♪」

 

 

 こんな状況でも雑魚寝している団員達を一見した彼女は、両手を合わせて何かをお願いするようなポーズでニッコリと笑っていた。

 

 悪魔の笑みである。

 

「悪いが、今お前たちの仲間になるつもりは毛頭ない」

 

 

「……ふーん、今は、ね」

 

 

「そういえば以前、目的があると言ってたな。まだそれは達されてないのか?」

 

 

 椎名の問いかけに頷いて答えると、彼女はそうか、と黙ってしまった。

 

 

「ちなみに、その目的を話す気はあるのかしら? もしかしたら、私たちが何か手伝えるかもしれないわよ?」

 

「無理だな。少なくとも、今のお前たちではな。それに話すつもりもない」

 

 

 仲村の言葉を即答で否定する。

 

 そもそも、俺の目的は音無君とかなでちゃんのてぇてぇイチャイチャが見たいというものだ。

 

 神への反抗! 手先の天使は排除すべし! みたいな風潮の今の戦線では達成できない目的である。もっとも、その目的はこの事件をきっかけに前進することになるのだが。

 

 

 そして、単純にそんな目的を話すわけがない。というか話せない。

 

 

「そ、ならいいわ。今は無理に誘わないであげる」

 

「いいのか?」

 

「ええ。敵にならないならそれでいいわ。正直、諜報とか潜入ができる人材は欲しいところだけど」

 

 

 やけにあっさりと身を引いてくれた仲村に少しばかり呆気にとられるが、特にこちらに問題はないため何も言わないでおく。

 

 

 そういえば、この直井の事件に片が付けば次はハーモニクスの分身体に関する事件だったはずだ。

 

 その時には音無君とかなでちゃんのため、俺も協力することはやぶさかではない。

 

 

 というかむっちゃする。

 

 

「悪いな。だが、目的が果たされたら協力することも考えておこう」

 

「入団はしてくれないの?」

 

「お前たち次第、とだけ言っておこう」

 

 

 ではな、とだけ言い残して姿を消した俺は、そのまま教室を去ろうと扉の前まで……

 

 そういや、朝までここから出られないんだった

 

「……そういえば、あの山野って名乗った彼、何でここにいたのかしら?」

 

「さぁな。だが、気配はもうない。どうやったかは分からないが、ここから出て行ったのかもしれない」

 

 特に音無君とかなでちゃんがいないため、十全に気配遮断は働いているようで、椎名も俺が未だ空き教室内にいることには気が付いていないらしい。

 

 あんな消え方してまだいますみたいなのは流石に恥ずかしかったため、俺は最初と同じく教室の隅で静かに朝になるまで待ったのだった。

 

 

 

 

 

 とりあえず、音無君とかなでちゃんによる食堂デート~マーボを食べよう~(異論は認めない)のイベントが起きるまでは寮には帰らず山籠もりでもしておこうと考えている。

 

 

 というか、している真っ最中である。

 

 直井は裏では暴力などを振るっている問題児であるが、表では真面目面な彼が見回りなどで外へ出ているときに生徒会室へ潜入すれば愛刀である物干し竿は簡単に奪取できた。

 

 このまま寮へ持ち帰っても、またあの日と同じ繰り返しになってしまうので必要な物だけ持って山へと駆けこんだのだ。

 

 食事は食堂を利用すればいいし、風呂は誰も使わない時間を狙って大浴場を使用する。それ山籠もり? とか言わない。俺も分かってるから。

 

 

 万が一見つかっても、俺の気配遮断があれば容易に逃走できるはずだ。故に暫くはこれで生活することにしたのだ。

 

 しかし、山籠もりとなると授業に出ることができないため俺の存在が戦線にバレる可能性が大なのだが、下手に授業に出て直井が教室まで来ても同じことだし、何よりこの件が終われば戦線、というか音無君の犬に成り下がる彼によって俺の事が暴露されることを考えればもう真面目に授業を受ける必要もないだろう。

 

 受けてても良いことないしな。

 

 

 というわけで、最近の俺は寝食と風呂以外の時間は基本的にかなでちゃんを監視……見守っている。うん、見守っている。

 

 

 何やってんのお前とか、ストーカーかよ(笑)とか、客観的に自分の行動視てもキモイなとかいろいろあるが、これも仕方ないと割り切っている。音無君との絡みを見逃すことに比べれば屁でもないわ。

 

 別に音無君が対象でもよかったのだが、戦線に所属する彼はいつどこにいるのかわからないのだ。なら、いつも学校にいて真面目に学生をしているかなでちゃんを見ていた方が良い。

 

 というわけで教室まで来てみたんだが…

 

 

 

「くっそ! またひさ子の一人勝ちかよぉ!!」

 

 なんか、教室の後ろで麻雀しているひさ子、藤巻、TK、松下五段の四人組

 

「先生! トイレ!」

「またお前か!」

 

 およそ一分ごとにトイレに行くユイ

 

「……」

 

 無言で天井に張り付く椎名

 

 それに、堂々と一般生徒の机の上に寝転んで居眠りする野田に、お菓子を食べてる大山。喋る日向と音無君。

 

 何このカオス

 

 

 まぁ、教室の外、窓を通して見ている俺が言うのもなんだが。

 

 

「あー……そういえば、直井の様子を見るってことで不真面目な行動をしてるんだっけか……」

 

 若干朧気になっている記憶を掘り返してみれば、そんなこともあった気がする。しかし行動が早いな。今日の朝開放されたところのはずだが……

 

 

 どうやら、覚悟を決めた山籠もりはやらずに済むかもしれない。いや、松下五段とかからすればそんなもの山籠もりではない! と断言されそうなものではあったが。

 

 

「……待てよ? てことは、食堂デートってこのあと……?」

 

 

 

 

 

 

 視ないといけない(使命感)




頑張って失踪してきます。




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