緋弾のアリア~裏の明智~   作:魂魄木綿季

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とりあえず前話で『武偵殺し編』は終了したので
何話か番外編を投稿したら『デュランダル編』にする予定です。
とりあえず番外編の一話から。投稿します。


番外編① 『赤と金の少女』
第11話 『退院祝いパーティー』


〜武偵病院・エントランス〜

 

 

「ん〜っ、やっと退院だ。」

先週、一度マンションに帰りはしたが足の骨が折れている

という事もあり、俺はずっと病院に拘束(比喩ではない)されていたので

今日は久しぶりに帰れると思い、俺は少し気持ちが弾んでいた

 

 

「にしても理子から送られた薬を飲んだらやたらと効いたんだが...

これ、なんらかの副作用とか無いよな?」

俺はポケットから数日前に国際便で届いた薬を取り出し、眺める

同封されていた薬には理子の知り合いが調合した薬で

その知り合いは“衛生科(メディカ)”の知識があるから安心して使ってくれ

と書いてあったので遠慮なく飲んだのだ

 

 

『あ、明智くん。君は一体どう言う身体構造をしているんだい?』

と担当医の先生には何度聞かれたか分からない。

一応理子の知り合いと言うこともあり、

流石に知り合いの知り合いから貰った薬の効果です。とは言えなかった。

 

 

『もしや君の細胞を採取すれば不治の怪我を治せるのでは!?』

注射器を持ちながら先生がそんな事を言い出したので

“明智”の名前を出して採血はやめてもらったが。

 

 

「いやーいい朝だ。リハビリ中も思ったけどやっぱり

自分の足2本で普通に歩くのは気持ちがいいや。」

病院の正面玄関を潜り、外に出ると心地いい風が明智の頬を撫でた

 

 

「...退院おめでとうございます。零也さん」

 

 

「のわっ!?レ、レキか。驚かすなよ」

日差しが眩しいな。なんで考えながら空を見上げていると

いつの間にか俺の脇にはドラグノフを肩にかけたレキが立っていた

 

 

「驚かせるつもりはありませんでしたが...零也さんに渡す物があります」

特に悪びれた様子もなく、レキは片手に持っていたケースを差し出す

 

 

「......これ、俺のHK45?なんでレキが?」

 

 

「先日の事件の際に海に落下したものを楯無さんが回収していたので

私の方で“装備科(アムド)”の平賀さんに預けていました。」

 

 

「言われてみればあれ以来持ってなかったが...」

 

 

「平賀さんから伝言で“明智くんは大口顧客だから手速く作業したのだ

今度もご贔屓に〜”との事でした。」

 

 

「そ、そうか。サンキュな」

受け取った銃をホルスターを左足に着けてから入れる

1週間ぶりに触れたのだが驚く程スムーズにホルスターに収まった

 

 

「いえ。」

 

 

「・・・」

 

 

「......」

 

 

「・・・」

 

 

「......」

 

 

「・・・」

 

 

「......」

 

 

「・・・」

 

 

「......」

 

 

「・・・」

おいおいなんか言ってくれよ。

 

 

 

「...零也さん。」

俺の願いが通じてかレキが口を開く

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「私に許可をくれませんか?」

 

 

「許可?何のだよ。」

どうしたんだ?藪から棒に

 

 

「私はあれからずっと“感情”と呼ばれるものについて

調べ、また考えました。ですが私には全く分かりません。」

 

 

「お、おう。それで?」

レキが俺の指示通りにしてくれたのも驚きだが

俺にはレキがなんて言うのか全く分からないので曖昧に答える

 

 

「そこで私は一つの決断を出しました。

調べても分からないものはそれを実践してる人を観察すれば

理解できるのでは無いのかと。」

 

 

「・・・は?」

 

 

「なので私はこれから零也さんに付き従う事にします。」

 

 

「・・・はい?」

 

 

「常に零也さんに付き添います。私の時間を全て利用し

零也さんを観察して私は“感情”というものを理解しようと思います。」

 

 

「・・・」

 

 

「なので零也さん。私に許可をください。」

そこまで言うとレキは俺に向けて頭を下げる

 

 

「・・・」

俺は驚きで空いた口が塞がらなかった。

レキが俺に頭を下げたのもそうだし

レキの性格上こんな事を言い出すとは思っていなかった。

 

 

「...ダメでしょうか?」

いつも通り抑揚の無い口調でレキが聞きなおす

 

 

「......しゃーないか。まぁ、及第点かな?」

俺はひとつため息をついてからレキに向き合い、手を差し出す

 

 

「......?」

俺の手を見てレキは頭へ疑問符を浮かべる

 

 

「握手だよ。やったことないか?」

 

 

「いえ。それは分かりますが、なぜ握手を?」

そう言いつつもレキの手が俺の目前へと来る

 

 

「んっ。これからよろしくなレキ。」

 

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

 

「よろしくな。っと、それじゃあレキ、また今度...ぐえっ」

少しして声をかけてからレキの横を通り、別れようとした俺だが

突然服の襟を掴まれ、喉が絞まる

 

 

「待ってください。私は目的は達成されましたが

私にはそれ以外にも零也さんを呼ぶようにも言われてきたのです」

もちろん俺の服の襟を掴んだのはレキだ

 

 

「ゴホッゴホッ、呼ぶように?誰にだよ?」

 

 

「......」

レキは答えること無く俺の横を通り、スタスタと歩いていく

 

 

「・・・はぁ。」

ついて来いってことだよな。と思い俺も後を追う

 

 

 

 

〜同時刻 武偵病院・屋上〜

 

 

「ふーん。不思議な雰囲気の人がいると思ったら......

ふふっ、面白そうな人だなぁ。素敵♪」

屋上に零也とレキを見つめる赤毛の少女が居た事は少女自身しか知らない

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

〜数十分後 零也の部屋〜

 

 

神崎が手にクラッカーを持ち

「それじゃあ、零也!退院おめでとう!」

 

 

「「「おめでとう!」」」

キンジと武藤、白雪ちゃんが続き

 

 

「「おめでとうございます。」」

沙耶香とレキが続く

 

 

「おっめでとう〜♪」

最後に刀奈が続く。んっ?ちょっと待てコラ

 

 

パーンッ!

8つのクラッカーが同時に鳴る

 

 

「退院おめでとう明智君。骨折だなんて災難だったね。

退院祝いに沢山作ったからいっぱい食べてね」

白雪ちゃんが適当に盛った皿とコップを持って俺の方へやって来る

本当によく出来た子だよ。ただの友人の俺にここまでするんだからな。

 

 

「ありがとうな。白雪ちゃんも大変だったんじゃねぇか?

昨日までSSR(超能力捜査研究所)の合宿に行ってたんだろ?」

疲れてるだろうに、悪いな。と続ける

 

 

「ううん、気にしないで。私なんかより明智君の方が大変だったでしょ?

私はいつも通りだから大丈夫だよ。まぁいつの間にかキンちゃんの部屋に

見慣れない泥棒猫()が住んでたけど。」

前言撤回。前半はいい子そうに見えたが後半がヤバイわ。

目に光がないどころか、見てると俺がその目に吸い込まれそうだよ

 

 

「いい方向でブラックホールになるってのは聞いたことあるけど

人間の目って悪い方でもブラックホールになるんだな。」

 

 

「え?どうかした?」

俺の言葉で我に返ったのか目に光が戻り、俺を見つめる

 

 

「いや。なんでもないよ。でも神崎をあんまり悪く言ってやるなよ?

アイツは今のキンジとの“現場での”パートナーだ。」

ワザと“現場での”を強めに白雪ちゃんに言ってやる

 

 

「現場の、現場の、そうだよね!あくまで一時的なパートナーだもんね!

ふふっ、今のうちにいい夢を見るのね。」

ブツブツと呟きながら白雪ちゃんはキンジと神崎の方へ向かう。

 

 

「暴れてもいいが外でやってくれよー」

そんな危うい雰囲気の白雪ちゃんの背中へ声をかける

経験上彼女は他人に迷惑をかけることはしないので俺の部屋は無事だろう

 

 

「さてっと次は、」

テーブルなどを上手く使い、立食形式で今日のパーティーは

進んでいるので各自好きな相手と会話を楽しんでいる。

 

 

「零也、楽しんでるかしら?」

誰かに声をかけようかと思ったのだがそれよりも先に神崎がやってきた

 

 

「よう神崎。まぁボチボチな。」

 

 

「そ、そう!良かったわね!//」

ほんのり顔を赤く染めて神崎がそっぽをむく。・・・なるほど。

 

 

「言い出しっぺは武藤で主催は神崎っところか?今日のパーティー。」

 

 

「え?え、えぇ。そうよ。よく分かったわね。」

神崎が驚いて目を見開き、俺を見る

 

 

「分かったも何も、神崎は開始直後からチラチラ俺の方見てたろ?

んで、その後に楽しんでるか聞いてきた。

それで武藤は言い出しこそしても予算の用意は付けられない人間だ。」

 

 

「まぁ、そうでしょうね」

 

 

「それは楯無も同じだ。沙耶香やレキの可能性は自然と消えるし

同じ理由でキンジもゼロ。

それなら残った神崎が主催者だって思っただけだ」

 

 

「“探偵科”で習う[人間観察]での推理ね。流石だわ。」

 

 

「これをお前に言うのは不思議な気分だが、

“ Elementary my dear”って事だな。」

 

 

神崎は目を一瞬パチクリとさせて

「・・・ふふっ。確かに不思議な気分だわ。」

 

 

「だろ?」

2言3言交わすと神崎は離れていった。どうやら刀奈に用があるようだ。

 

 

「零也殿。」

次に俺のもとへやってきたのは風魔ちゃんだった

 

 

「よっ。楽しんでるか?って聞くまでもないな。」

風魔ちゃんの頬に何かのソースが着いていたのでハンカチで拭く

 

 

「うむ。これは申し訳ない。それよりも退院おめでとうでござる。

某もこちらにいれば手伝えたのでござるが...」

 

 

「気にする事はないさ。俺の命令でSSRに潜入して貰ってたんだからな

それで、どうだった?収穫はあるか?」

 

 

「それなのでござるが――――という具合にござる」

 

 

「ふーん。そりゃ凄いな。」

 

 

「驚かないのであるか?」

 

 

「ん?いや、これでも結構驚いてるぞ?

まぁその内容が概ね予想通りだったってのもあるけどな。

それよりもアッチの様子はどうだ?」

 

 

「ん?あぁ笠松殿であるか。そちらもやはり

零也殿の予想された通りに進んでいるでござる。」

 

 

「はぁ。あの人ももう少し自分の歳ってのを考えて欲しいもんだねぇ」

 

 

俺の返答に風魔ちゃんは珍しく苦笑いを浮かべ

「それが出来るのなら今の状況にはなっていないでござろうな」

と返す。

 

 

「それもそうだな。」

心の底からため息が出る。

 

 

「まぁその辺は今後も目を向けておく故、

零也殿は安心して現在(今)を楽しむのがいいでござろう」

 

 

「ま、それもそうだな。頼むぜ風魔ちゃん」

俺の言葉に“御意”と答えて離れていく。

 

 

「・・・ふっ」

再び1人になった事で俺は周囲を見渡す。

キンジは神崎と白雪ちゃんに言い寄られて大変(楽し)そうだし

武藤は焼肉屋でのリベンジのつもりなのか必死に刀奈を口説いている

 

 

「・・・」

唯一心配だったレキも沙耶香が話しているのを聞き、

たまに頷いたりしているので問題は無さそうだ。

風魔ちゃんは再び食事に戻っている。

 

 

「守れたんだよな。」

この他人の部屋で近所迷惑も考えずにワイワイ騒ぐバカ達を。

 

 

 

そう思うと何故か嬉しい気持ちになり、俺は達成感に浸りつつも

皿に残った料理に手をつけるのだった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

〜数十分後 学園島・海沿いの道路〜

 

 

 

「ふぅ。たまには歩くってのも大事だな。」

俺は1人で歩道を歩き呟いた。

 

 

「・・・にしてもさっきのレキ言葉はどういう意味だったんだ?」

さっきまで俺はレキを女子寮まで送っていたのだが

女子寮の前で別れる際にレキが言っていた言葉があったのだ

 

 

『今日のところは帰ります。』

たった一言。だがこの言葉になにか意味があるような気がしてならない

 

 

「......もしかして、なにか選択を間違えた?」

前にレキが“決断を迫られる”と言っていたのを思い出した

 

 

「......いや、まさかな。うん。ないない。」

今思えばレキはやたらと“今日は”を強調していた気がするが

そんなことは無いな。あの抑揚のない喋り方をするレキに限って

ありえない。うん。ない。ありえない。

 

 

「・・・。さっさと出てこいよ。」

場所は学園島に出入りする橋の手前。俺はいつの間にか背後に

気配を感じ、柱の陰へ視線を向けた。

 

 

 

 

「あれれ?バレてた?おっかしいなぁ〜」

出てきたのは赤い髪を一つにまとめて黒い独特な服を着た少女だった

 

 

「お前は誰だ?なんのために俺を尾行してる?」

 

 

「......ふふっ」

俺の問いに答えることなく少女は笑みを浮かべてから

右腕を俺へ向ける。今更ながら少女の右手はこれまた独特な形状の

物を着けている。

 

 

「...なんのつもりだ?」

俺は左手を垂らし、ホルスターに納まっているHK45へと指を触れさせる

 

 

「・・・。ッ」

少女の顔が僅かに力んだと思うと少女の右手に着いた何かから

ビームが発射された




『素敵』『赤毛の少女』『黒い独特な服』
『独特な形状のビームを発射する物』
この4つのヒントだけで分かる人には分かってもらえるはず。
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