〜数分後〜
「それじゃあ後でな。」
学校に到着した俺達は駐輪場へバイクを置き、
いつもと同じ場所で別れる。
「はい。それでは後ほど。」
一礼をしてから沙耶香は先に教室へと向かう
「...ホント、よく出来た娘だよ。」
思わず目尻に良い意味で涙が零れそうになる。
「...はぁ。行きたくねぇ」
ため息混じりに俺はある場所を目指して歩みを進める。
ここは【東京武偵高校】近年、日に日に凶悪化する犯罪に対抗するために
新設された国家資格である『武装探偵』略して【武偵】を育成する学園だ
レインボーブリッジ南方に浮かぶ南北およそ2キロ・東西500メートルの
人工浮島、通称『学園島』に設立された武偵を育成する総合教育機関で
一般教育の他に武偵としての活動に関わる専門科目を履修できる他
学園や民間からの依頼を受けてそれをこなす事も授業の一環とされている
学科は全部で13つあり
・狙撃銃を使用した遠隔からの戦闘支援を学ぶ【
・犯罪組織に対する諜報、工作、破壊活動を学ぶ【
・逮捕した犯罪容疑者への尋問を学ぶ【
・探偵術と推理術による調査、分析を学ぶ【
・犯罪現場や証拠品の科学的検査を学ぶ【
・装備品の調達、カスタマイズやメンテナンスを学ぶ【
・車輛、船舶、航空機などの運転、操縦技術を学ぶ【
・通信機器を用いた情報連絡によるバックアップを学ぶ【
・情報処理機器を用いた情報収集と整理を学ぶ【
・武偵活動の現場に於ける医療、救助活動を学ぶ【
・武偵病院に勤務する医師の育成、医療活動を学ぶ【
の11の学科と
・魔術などの異能力を研究、育成する【超能力捜査研究所】
・特定条件下に
の13の学科だ。それぞれの学科にE〜Aまでのランクが存在し
依頼解決の実績や学科の各種中間・期末試験の成績からランク付けされる
だが、Aランク以上の実力を発揮した武偵にはSランクが与えられ
Sランクを持つ武偵ともなればその道のプロとして扱われる
〜数分後〜
「んでぇ〜?勝手に現場を捜査した挙句に報告もせずに帰ろうとした
【明智零也】君よ〜。」
俺の目の前で咥えタバコをしたまま話す女性がいる
「はい。すいません。」
「ん〜?テンション低いんじゃない?どぉしたぁ?腹でも痛いのかぁ?」
この女は【
実力を持ち、曰く『どんなに口の堅い人間でもゲロってしまう』との事。
「いえ、大丈夫です。大丈夫ですから煙草での根性焼きはやめてください
というか、俺をここに呼んだ理由は事件内容の報告じゃないんですか?」
また、このように生徒への根性焼きを当然のようにする危険人物でもあり
「ん〜。言われてみればそうだった気がするなぁ」チッチッ、スー、プカー
生徒の目の前で絶対非合法レベルなタバコを吸う教師だ
「...用がないなら帰りますけど。」
「いや、一応聞いとかないとまずいからねぇ〜話してみ?」
「...分かりました。」
心の中で盛大にため息を吐きつつ、俺は体育倉庫の件と
俺達を追っていたセグウェイの事を報告した
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〜数十分後〜
「はぁ。疲れた。」
結局あの後、1時間にも渡って事件のことを根掘り葉掘り聞かれ
俺の精神は既に疲弊していた。色で示すなら赤疲労だ。HP残り1だ
「いつの間にか沙耶香と同居してる事バレてるせいで弱み握られたし」
『ん〜?答えなくてもいいぞ〜?そんかし糸見が
いつもお前の家で寝てる事は暴露するけどなぁ〜』ニヤニヤ
沙耶香には
存在すると
ブルッ
「・・・はぁ。新年度早々、先々が不安だ。」
「あ、零也さん。」
俺が愚痴を言いつつも飲み物を買いに自販機へと向かうと
沙耶香が先に来ており、その手には俺の愛飲するビックボスのコーヒーが
握られている。もちろん味は俺の好みに合わせてブラックだ
「おう沙耶香どうしたんだこんな所で」
缶コーヒーを受け取り喉に流し込む
「今日は始業式と今後の予定発表だけだったので解散になりました。
それで零也さんを待とうと思ったら、綴先生を相手にした後なら
十中八九ここに来ると思って待ってました。」
「...俺の行動パターンはお見通しか。」
彼女の行動につい笑みが零れてしまう。
「はい。零也さんとは付き合いが長いですからね。
それと今年も零也さんの同じクラスになったのでよろしくお願いします。」
2人とも2-Cです。と付け加える
「そうか。ならクラスメイトとしてもよろしくな。」
「はい。それと今朝の倉庫の件ですが、零也さんの予想通り
キンジさんともう1人居たらしくそのもう1人は女子らしいですよ。」
「へー。45口径を使う女子なんて居たんだな。」
「驚くのはまだ早いですよ。さっき廊下ですれ違った2-A担任の
もちろんどちらも45口径」
「...ふぅん。ちょっと面白そうだな。綴みたいな感じなのか?」
「それが全然体格は良くなくて
“中等部”って言われても納得の容姿らしいです」
「中等部ねぇ。でもあの高天原先生が言うくらいだから
もっと幼そうだけどな。実際の容姿は初等部とかだったりして」
「高天原先生の反応を見る限りその可能性が高そうです。
それにその子、転入生なんですけど転入初日の今日、教室内で
コルト・ガバメントを抜いて発射したらしいですよ」
「へー。それはまた。面白おかしく飛んでもないチビッ子が来たもんd...
『私はチビッ子じゃなぁい!!』...は?」
「ッ!零也さん!」
呆気に取られた俺だが沙耶香の言葉で我に返り、
後方から飛んでくる飛び膝蹴りを受け止める
「痛ってぇなッいきなり何すんだコラ」
受け止めたとはいえさすがに手が痛い。
「......さい。」
「あ?なんだって?」
「うるさいうるさいうるさい!私はチビッ子じゃない!」
喚き散らしながら膝蹴りを放ってきた少女は地団駄を踏む
というかそれ、なんとかのシャナの口癖だろ。
いや、声の雰囲気とかはすんごい似てるけどさ。
「...はぁ?」
「えっと、零也さん。」
「ん?どうした?」
「この子です。」
「は?」
「いえ、ですからこの子です。例の転入生」
「...んじゃあれか?お前がキンジとセグウェイ撃退して
今日来た転入生で転入初日から教室でガバぶっ放したチビッ子って事?」
「だから私はチビッ子じゃない!アンタなんなのさっきから!」
俺の言葉の一部分にのみ
恐らくスカートの中、細かく言えば太ももにホルスターがあるのだろう
「あのな。怒りのあまり周りが見えなくなんのは分かるけどよ。
怒りでホルスターに手が伸びるのはもはやただのガキの
「チビッ子の次はガキと来たわね...しかも子供の
「ん?おい、なんで怒ってんだよ。」
「頭にきた!もうアンタには何がなんでも風穴開けてやる!」ジャキッ
俺の言葉に答えることなく目の前の少女はホルスターから銃を抜き
俺と沙耶香に向ける。そして
「決闘よ!風穴開けてやるんだから!」
と声高に宣言した。
「・・・は?(はい?)」
俺と沙耶香の声が重なり、春の風の音に消されていった