緋弾のアリア~裏の明智~   作:魂魄木綿季

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第7話 『バスジャック解決』

「そういえば神崎。お前随分と面白い賭けを

キンジとしたみたいだな。」

俺は軽トラの荷台に乗る神崎に声をかける。

 

 

「キンジが私と組む条件のことかしら?」

 

 

「どんなに大きな事件でも小さな事件でも

一件だけ強襲科としてお前と対処する。だったか?」

 

 

「えぇ。そういうルールよ。

まぁキンジは小さい事件を望んでたみたいだけどね」

 

 

「そう考えるとアイツは運がないな。とんだ大事件だ」

 

 

「まぁ、確かにね。だけど私はキンジには期待してるわよ。」

 

 

「......もし、もしもの話ですが。

もしもキンジさんが役に立たなかったらどうするんですか?」

神崎と同じく荷台に乗っている沙耶香が口を開く

この質問は去年からキンジを知ってるが故の質問だ

 

 

「その時は私の目が節穴だったって事になるわね。

でも何となくそうはならない気がするわ。」

 

 

「お得意の勘。というやつですか。」

 

 

「まぁね。でもね沙耶香と零也にも私は期待しているのよ?」

 

 

「...そうかよ。っと、見えたぜ。」

くだらない会話をしているうちにハイジャックされたバスを発見する

 

 

「後ろにセグウェイもいるからあれで確定ね。零也、

車をバスに並べなさい。私が飛び移るわ」

 

 

「並ぶのはいいがセグウェイはどうするんだ?」

 

 

「沙耶香、お願いできるかしら?」

 

 

「はい。任せてください」

 

 

「よし。それじゃあお願い。」

 

 

「あいよ。突っ込むから捕まれよ!」

アクセルを踏み込み、セグウェイの脇をパスする

 

 

 

ダァンッダァンッ

「キンジ!乗ってるんでしょう!バスの扉を開けなさい!」

おい、それは明らかにやりすぎでは無いだろうか?

 

 

「アリア!前の扉を開けるからガバを撃つのはやめてくれ!」

バス内からキンジの悲鳴にも似た声が響く

 

 

「ということよ。車を寄せてちょうだい!」

 

 

「いちいち騒がなくても分かってるよ!」

 

 

「おいコラ明智!お前、俺をハメやがったな!?」

車を寄せているとバスの運転席からそんな声が響く

 

 

「おー武藤元気か?」

 

 

「あの、零也さん?」

 

 

「いやーそんなにデカい声が出せるってことは元気だろうな」

 

 

「コンチクショー!お前、この事件治まったら轢いてやる!」

 

 

「零也さん!」

隣にいる沙耶香が突然大きな声を出す。

 

 

「お、おう?どうした沙耶香」

あれ?なんかデジャブ?というかいつの間に助手席に?

 

 

「いえ、増えてます。セグウェイ」

 

 

「...は?」

沙耶香の言葉につられて俺はサイドミラーで後方を見るが

後ろを今だ健在でセグウェイが走っている。

さっきいたのは沙耶香が斬ったはずだから今いるのは増援だ

 

 

「・・・増えてるな。」

 

 

「・・・増えてますね。」

 

 

「「なんでこうなるんだぁぁぁぁ!?」」

キンジと武藤の叫びが重なる。

 

 

 

おおう。激しくデジャブ。

そしてバスと俺の運転する軽トラはトンネルへと突入する

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

現状、バスジャックが発生していてバスには爆弾が設置されており、

後ろには機関銃を装備したセグウェイがいる。

 

 

 

「つか、時速80kmについてくるセグウェイってなんだよ。

普通にオーバースペックだろうに」

 

 

「現実逃避をしたいのは分かりますが

今は現状を打破するのが最優先かと思います。」

 

 

「......そうだな。んじゃまぁ、やりますかね。」

俺はレッグホルスターからHK45を抜く。

 

 

「沙耶香、ハンドル抑えててくれ。」

 

 

「...了解です。」

返事を確認した俺はハンドルを手放し、窓から身を乗り出す

 

 

「神崎!お前は中で爆弾を探せ!セグウェイは俺がやる!」

 

 

「分かったわ!」

 

 

「...俺は一発の銃弾」

つい、頭にレキの口癖が浮かび、口ずさむ

 

 

ダァンッダァンッ

狙いを定めて、俺は引き金を絞る

すると驚く事に俺の撃った銃弾は吸い込まれるように

セグウェイのタイヤへ命中する

 

 

ギャギャギャギャ!

セグウェイはバランスを失い、トンネル内の道路を転がる

 

 

「......マジか。」

俺自身空いた口が塞がらなかった。

そして内心、今度から狙撃科の授業中に使おうと決意した

 

 

『キンジ!何をやっているの!中に戻りなさい!』

神崎の声がトンネル内部に響く

 

 

『1人じゃ解決できないだろ!俺も手伝う!』

 

 

「・・・」

キンジも腹を括ったか。トンネルを出た先の

青空と同じくらいに嬉しい気持ちになるが

 

 

『そ、そう。ありがt.....ッ!キンジ下がりなさい!』

神崎の声にハッとして後ろを見る。そこには座席にUZIを乗せた

ポルシェが猛スピードで走ってくるという光景

 

 

「まさか!爆弾を撃って爆破する気か!?させるかよ!」

俺は身を乗り出したままアクセルを踏んでいた右足を

ブレーキに移動し力の限り踏む

 

 

ギィィィィィ!

急ブレーキにより前輪のタイヤからブレーキによる火花が散る

 

 

「零也さん!?」

咄嗟に腕を回して沙耶香を胸に抱き、

 

 

「撃たせるかよ!」ダァンッダァンッダァンッダァンッ

残りの弾丸を全て撃ち込みながらポルシェへと軽トラで体当たりする

 

 

ガシャァァァァンッ

「「零也!?」」

ポルシェとの衝突の勢いで道路へと落ちる俺の耳に

キンジ達の声が届く。神崎達は守った、沙耶香だって守ってみせる!

一層沙耶香の体を抱きしめる力を強めて

 

 

ダァンッ

背中から勢いよく叩きつけれる

そんな中俺は

 

 

「レキィ!!」

耳に着けたインカムに声を吹き込む

 

 

『私は、一発の銃弾...』

意識が飛ぶ寸前、レキの声がインカム越しに聞こえた・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

《アリアside》

 

 

 

ピーピー。ピーピー。

心拍計が機械的に音を鳴らす

 

 

「・・・」スッ…

沙耶香が零也の顔を濡れタオルで拭く

 

 

「...ッ」

私は今、悔しさでいっぱいだった。

私があの時、油断をしなければ。私がもっと早く

爆弾を解除できていれば。そんな事ばかりが

頭に浮かんでは消えていく

 

 

「...」

隣のキンジもそんな顔だ。

 

 

「...」

でも私達が悲しむのは違う。

 

 

「......零也、さん」

一番辛いのは彼女、沙耶香のはずなのだから。

 

 

「...キンジ、外に出ましょう。私達が出来ることは無いわ」

 

 

「...そうだな。」

キンジの返事を聞いてから私は病室を後にする

 

 

「零也さん...」

ドアを閉める寸前、今までで一番辛そうな沙耶香の声が聞こえた

 

 

 

 

《沙耶香side》

 

 

 

「・・・零也さん。なんで私を助けたんですか?

なんで、零也さんは自分を犠牲にするんですか?」

この問いを私はずっと零也さんへ聞いている。

 

 

「・・・」

もちろん零也さんは答えない。

意識もまだ戻っていないのに会話が成り立つはずはない

 

 

「・・・なんで、なんでですか?」

 

 

「・・・」

 

 

「・・・」

 

 

コンコンッ

「失礼しまーす」

扉が開き、水色の髪と赤い瞳を持つ少女が入ってくる

 

 

「...刀奈、さん?」

入ってきたのは明智家内にある分家の一つ

更識家の長女にして、当主の【更識刀奈】さんだ

 

 

「久し振りね沙耶香ちゃん。今日は無茶をした零也くんのお見舞いにね」

そう言いながら刀奈さんがコンビニ袋からリンゴとナイフを取り出す

 

 

「...」

 

 

「...言っておくけどね。沙耶香ちゃんが謝る必要は無いのよ?」

リンゴを剥きながら刀奈さんがそう言う

 

 

「...え?」

 

 

「零也くんがした怪我は零也くんに責任があるわ。

どれほどの浅い傷でも、どれだけ深い傷でもね」

 

 

「...」

 

 

「確かに、沙耶香ちゃんのミスで零也くんが怪我をしたなら

その責任は沙耶香ちゃんに向かうでしょうね。

でも今回の零也くんの怪我は沙耶香ちゃんに責任はない。

だからあんまり気負わなくていいのよ。」

はい。剥けた!と刀奈さんが私にリンゴを一欠片差し出す

 

 

「...剥くの下手ですね」

その形は歪でこんな状況なのに

刀奈さんは料理系統が苦手なことを思い出す

 

 

「...うぐっ、いいのよ!私、お婿さんに家事の出来る人を貰うから!」

私の言葉に照れた様子で差し出したリンゴを自分で齧る

 

 

「...それよりも、沙耶香ちゃん顔を洗って来なさいな

ガンパウダーもそうだし顔に少しだけ零也くんの血が着いてる。

そんな姿の沙耶香ちゃんが寝起きにいたら、

零也くん、病院でショック死しちゃうんじゃない?」

リンゴを置き、私を優しく抱き締めてから刀奈さんが言う

 

 

「...分かりました。すこし、零也さんをお願いします」

 

 

「うん。分かったわ。」

返事を聞いてからドアを開けて私は病室を後にする

気付けば時間はかなり経っていたらしく夕日が眩しかった

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