鬼や、こいつはほんまもんの鬼や

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This is 鬼


マジ鬼100%

 胡蝶しのぶは握り潰された。

 比喩ではなく、イメージでもなく、血管が浮き出た赤黒い皮膚の豪腕によって、血と肉を撒き散らしながら巨大な鬼に握り潰された。

 

 部屋中に飛び散る胡蝶しのぶであった(・・・・)破片。

 握り潰した化け物は、欠伸をするともう一度寝る事にした。

 

 此処は産屋敷の館。

 この鬼は討伐対象ではなく、現鬼殺隊の最高指導者である産屋敷耀哉の同盟相手である。

 

 鬼殺(・・)の名を冠してはいるが、産屋敷耀哉にとって鬼を殺して人を守る事そのものは目的では無く、鬼舞辻無惨を殺す過程の副次結果に過ぎない。

 

 故に、鬼舞辻無惨に拠らない生粋の化け物である『鬼』と同盟を組むことには産屋敷耀哉には抵抗は無かった。

 その為に交渉段階から既に二人の柱を潰している。

 

 『鬼』としても、鬼は遍く強者でなければならないという信念がある。

 倒されるにしても、かの桃太郎の様な英雄で無ければならないという矜持を傷付ける、少し鍛えた人間にさえ殺される鬼を生み出す鬼舞辻無惨は排除すべきものだった。

 

 故に同盟は成り立ち、産屋敷耀哉の公認のもと、鬼殺隊の本部で堂々と鬼は酒盛りをしていた。

 胡蝶しのぶは、その現状が許せずに酒に毒を入れた。

 人間であれば一滴で即死という毒を、更に濃縮しつつ、毒で殺せなくとも眠りにはつく様な代物であった。

 

 古来の英雄がそうやってきたように、鬼は眠り毒の酒に酔い倒れた。

 これまでの鬼の戦いぶりを見たことがあった胡蝶しのぶは、眠っていようが頸を落とせないことを理解していた。

 ――――――故に、眠る鬼の開いた口に更に毒を流し込み続けたのだ。

 

 だが、鬼は目覚めた。

 そして胡蝶しのぶの意図に気が付き、その躰をいとも容易く握り潰した。

 

 

 再び眠りにつこうとしたときに、「よくもしのぶをっ!!」と叫んで駆けて来た女を、手で弾き飛ばしながら鬼は眠りについた。

 

 

 胡蝶しのぶは殺され、花柱である胡蝶カナエは精神と肉体に大きな損傷を受けた。

 美しい乙女達に残酷さを突き付けた鬼に、鬼殺隊の男性隊士達は憤慨した。

 

 しかし、それでも柱を合わせた隊士全てよりも鬼舞辻無惨に対する戦力となりうる『鬼』を産屋敷耀哉は手放すつもりはない。

 被害を考えなければ殺傷力は剣士千人よりも、原子爆弾の方が強いのだ。

 

 

 それに痺れを切らした隊士達は、産屋敷耀哉の実子である産屋敷輝利哉を旗頭としてクーデターを敢行した。

 鬼はすぐさま湧いてきた蟻共を潰そうと思ったが、同盟相手である産屋敷耀哉に止められた。

 

 これにより、柱を含む6割の隊士が離反し、関西鬼殺隊という組織が構築される事となった。

 

 鬼に頼り切った本家鬼殺隊に、隊士の4割も残った事は驚きかもしれないが、絶対的エースがいる上に、これまでと同じような生活環境で過ごす事が出来て、金払いが保証されているのなら、寧ろ少ないとさえ言えた。

 それだけ鬼殺隊は資金よりも意識によって志願する隊士が多かったと言えよう。

 

 この後、関西鬼殺隊のお膝元である日本橋や神戸などの繁華街に我が物顔で、紛い物の鬼を潰しにやってくる本家鬼殺隊の最大戦力と、関西鬼殺隊の隊士が揉めたり、様々な事があったが、結局最終的には鬼は鬼によって滅ぼされた。

 

 全ての軟弱な鬼が消えた後、鬼は人間の剣士達と一戦交えて、次の世にこれ以上の剣士は現れることが無いことを嘆きつつ、彼等こそを真に鬼と戦った最後の英雄だと讃え、歴史の闇に消えたという…。




That was 鬼



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