鬼滅の刃~月を継ぐ者~   作:雪楓❄️

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お久しぶりです。


あまり更新頻度が高くないこと、本当に申し訳ございません。

これから少しずつ頑張っていきたいと思います。


柱合会議〜前編〜

(…………みんな無事か、不死川さんはまだかな)

 

半年に一度とはいえ、みんなの顔ぶれが全く変わることなく集まれることほど嬉しいことはない。

 

「あっ、雫さ~ん」

 

私の姿を見るなり弾丸の如き速さでこちらに来るのは、甘露寺蜜璃。

私と同じ年のはずなのに、なぜか私を姉みたいだと慕ってくれているのだが、これも多分彼のせいだ。

 

「久しぶりだな、夜月」

 

「お久しぶりです、悲鳴嶼さん」

 

悲鳴嶼さんは柱の中で唯一私の事を年齢通りに扱ってくれる。他の柱はなぜか人の事を年上扱いしてくる傾向があり、宇随さんも不死川さんも伊黒さんも私よりも最初こそあれだったがいつの間にか年上にも関わらず敬語を使ってくる。

 

「…………雫さん、変わらぬようで」

 

蜜璃が私を姉扱いしてくる元凶。炎柱・煉獄杏寿郎。

蜜璃は彼の継ぐ子で、彼自身代々炎柱を継いでいる煉獄家の嫡男で、柱の中でも上位の実力を持つのだが、彼が柱になる前に一度鬼狩りを共にしたとき以来、人の事を姐さん呼ばわりしてくるようになった。今では、名前を呼んでくれるようになったが、柱が私に敬語を使ったりするのは煉獄さんの影響だと思っている。

 

「煉獄さんも、相変わらずですね。それよりも、彼大丈夫なんですか?」

 

那田蜘蛛山でかなりの傷を負っているにも関わらず、地面に捨てられるように寝ている彼。癸である彼が、下弦とはいえ十二鬼月をあそこまで追い詰めたのは称賛されることで、あのような扱いはかなり可哀想な気もする。

事情を知っている義勇は、遠くで知らないふりをしており、彼を運んできた隠は必死に彼を起こそうとしている。

 

「…………おいっ、起きねぇか!柱の前だぞ!!」

 

無理やり身体を揺さられ、彼は漸く目を覚ました。

開いた瞳は、状況がいまいち掴めていないことがわかるほどうろたえていた。

 

「ここは鬼殺隊の本部です。あなたはいまから裁判を受けるのですよ。竃門炭治郎くん」

 

優しいのか、冷酷なのか。

しずくは簡潔に彼の置かれている立場を伝える。

その言葉に、ほかの柱も反応を示した。

 

「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」

 

「ならば、俺が派手に頸を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せていやるぜ。もう派手派手だ」

 

「あぁ…………なんというみすぼらしい子供だ。可哀想に。生まれてきたこと自体が可哀想だ」

 

揃いも揃って、過激な発言である。

確かに鬼を庇うなんて本来ならばありえないこと。だが、それでも私は彼とあの鬼は何か特別なような気がした。

 

「…三人とも、彼から離れてください。お館様のご判断でここに連れてこられたんですから、勝手なことはしないでください」

 

「そんなことは言っても、夜月さんは冨岡とともにそいつらを庇ったと聞いた。隊律違反をしてまでそいつらには庇う価値があるのだろうか?」

 

「まぁまぁ、雫さんにも考えがあるのでしょう。それよりも私はこの少年から話を聞きたいですよ」

 

答えにくそうにしている私を、横目にしのぶは会話を断ち切り話題を変えてくれた。

 

その言葉を聞き、竃門くんは懸命に息を吸い込んだ。

そのことにより、痛めていた肺に激痛が走ったのか咳込んでしまった。

 

(…………大丈夫かな)

 

医療に精通していないため、私に出来ることはなにもなく、しのぶが彼の面倒を見てくれている。

 

「……俺の妹は鬼になりました」

 

彼のその言葉に私は息を呑んだ。

あの子のことを思い出してしまったから。

私の呼吸の元の使い手であり、私たちの一家を襲ったあの鬼。その鬼により、攫われたあの子のことを。

 

「…………おいおい、なんだか面白そうなことになってるなァ」

 

私の意識は背後からの声により戻された。

 

「困ります、不死川様。どうか箱をお放しくださいませ」

 

隠からしたら、大慌てなのだろう。

しのぶに任されたにも関わらず、同じ柱である不死川さんに邪魔をされてしまっては隠としてはどうしようもない。

 

「不死川さん、勝手なことをしないでください」

 

しのぶが若干怒り気味に言うが不死川さんは聞く耳を持たずに、手に持っている箱を日輪刀で突き刺した。

箱から血が垂れてきている辺、中の鬼に間違いなく刺さっている。

 

「不死川さんっ…………」

 

私が不死川さんを止めるよりも前に、竃門くんは隠の拘束を抜け不死川さんに迫った。

 

「やめろ!!もうすぐお館様がいらっしゃるぞ」

 

それまで静観を決め込んでいた義勇が大声を出したことで、一瞬不死川さんに隙が出来、竃門くんの頭突きがもろに不死川さんにはいった。

なおも、対立する二人はたった一言で静まった。

 

「お館様のお成りです」

 

襖の奥から現れたお館様に私たちは首を垂れ、その場に膝をついた。

 

「お早う皆、今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の”柱合会議”を迎えられたこと、嬉しく思うよ」

 

いつ聞いても心地よいお館様の声に、先ほどまでのピりついた空気が少し和らいだ。

 

「お館様におかれましてもご壮健で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます」

 

「ありがとう、実弥」

 

「畏れながら、柱合会議の前にこの竃門炭治郎なる鬼を連れた隊士についてご説明いただきたく存じますがよろしいでしょうか」

 

不死川さんの疑問は最もだ。

わざわざこの場に連れてきたということは、お館様には考えがあるのだろう。

 

「そうだね、驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして、みんなにも認めてほしいと思っている」

 

お館様の返答は、予想の斜め上をいっていた。

鬼殺隊内においての鬼の存在を容認してほしいと仰ったのだ。

 

(…………除隊でもなく、容認か…………)

 

お館様のお言葉とはいえ、鬼の容認を素直に鵜呑みにできるものなど鬼殺隊にましてや柱にはほとんどいない。

もちろん反論は出る。それに対してのお館様の対応は私を更に驚かせた。

 

(…………鱗滝さんがそこまで)

 

お館様から伝えられた鱗滝さんからの手紙には、”もし禰豆子が人に襲い掛かった場合は、竃門炭治郎・鱗滝左近次・冨岡義勇が腹を切る”とのことが綴られていた。

3人もの命がかけられているという事実。禰豆子の存在を否定するには、それ相応の代償を支払う必要があるということだ。

 

「それに、雫がこの2人のことを庇ったという事実もある。なぜ、庇ったのか説明してあげてもらえるかな、雫」

 

「はい。私が庇ったのは彼女が重度の怪我を負っているにも関わらず、目の前で血まみれの竃門くんを襲う様子がなかったこと。そして、彼女からはほかの鬼とは別のものを感じたという二点からです」

 

私はあの時感じたことをそのまま話した。

あの子”禰豆子”は、ほかの鬼とは明らかに違う。そう感じた。

 

「雫も言う通り、禰豆子が人を襲わないということは事実としてある」

 

「しかし、お館様。その鬼にとって、竃門炭治郎は肉親であります。肉親以外であれば、襲う可能性は否定できません」

 

それでもなお、不死川さんたちは認めることはできないのだろう。

しかし、お館様の返答により再び私たちは驚かされた。

 

「それに、炭治郎は鬼舞辻と遭遇している」

 

「っ!?」

 

今まで誰一人、その片鱗すらつかめていない鬼舞辻と遭遇しているという事実。そのことに、お館様の御前にも関わらずみな取り乱した。

しかし、お館様が口元に指を立てたことにより、みな冷静さを取り戻した。

 

「鬼舞辻は炭治郎に向けて追ってを放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない。恐らくは禰豆子にも、鬼舞辻にとって予想外の何かが起きているのだと思うんだ。わかってくれるかな?」

 

お館様の考えは頭では理解できても、人によっては到底受け入れられるものではないだろう。

鬼を滅するために、鬼殺隊にいるのに鬼舞辻の尻尾をつかむためとはいえその鬼を守れというのだから。

 

「わかりません、お館様。人間ならば生かしておいてもいいが、鬼は駄目です。承知できない」

 

ザシュッ

 

こういった時の不死川さんの行動力というのは、驚かされるものがある。彼は自分自身の腕を切りつけたのだ。

彼の血の特異性を利用して、彼女が人を襲わないということを否定するつもりなのだろう。

 

「お館様…!!証明しますよ、俺が鬼というものの醜さを!」

 

そう言うと不死川さんは切りつけた腕から流れ出る血を彼女の入っている箱へと、垂らした。

 

「不死川、日なたでは駄目だ。日陰に行かねば鬼は出てこない」

 

「お館様失礼仕る」

 

伊黒さんに言われるなり、不死川さんはお館様に一言告げ箱と共に屋敷内に入った。

 

「禰豆子っ」

 

竃門くんは止めに入ろうとするが、伊黒さんに思いっ切り肺を抑え込まれてしまった。

 

(あんなに抑えたら…………)

 

肺をあんなに圧迫してしまっては呼吸ができない。

止めに入ろうかと思ったが、それよりも早く義勇が動き出しているのがわかったため私は動くのをやめた。

 

(義勇があんなに肩入れするの、珍しいな………)

 

義勇は彼が選別で死んでから人と関わることを避けるようになっていた。もしかしたら、義勇は彼の姿を竃門くんに重ねているのかもしれない。

 

「…………もう無駄だよ。不死川さん」

 

不死川さんの計画は結果からいえば、失敗した。禰豆子は箱から出てきたものの彼の腕から垂れ流れている血の匂いを嗅いでも彼に襲い掛かるようなことはしなかった。

 

「彼女が人を襲わないのはこれで証明になったでしょ?二度も私は彼女が人を襲わない事実をこの目で見てる。だから、もしこれでも納得が出来ないというならその子が人を襲った時は私も腹を斬る」

 

流石にこの発言にはみんな目を見開いて驚いている。

私はこの子たちに賭けてみたかった。私自身には出来なかったことでもあるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました。

中途半端ですが、少し長くなったのでいったん切りました。
この辺り、会話が多く間延びしてしまい申し訳ございません。


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次回、十六夜の昇る頃(魔法科高校の劣等生)を更新予定

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