漆番目の上弦   作:魔剣グラム

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なんか書いてると、コイツ全裸である事忘れてしまうのが悪い癖。
そうか。全裸なんだよ。全裸なんだよなー…!
全裸状態で普通にマジメな事やってる。
この鬼、実用性10割でやってるんだよ。悪気はないんだよ…!
のんびり書いてたら、だいぶヤバいですね。



上弦最弱の鬼が嗤う。

俺の背丈は現在、10丈(およそ30m)。文字通り、見上げるほどの巨人だ。

これぐらいの大きさが威圧するのにはちょうどいい。

最大10里(約40キロ)まで伸ばせるが、そのデカさはあまりにも大き過ぎる。融通が利かないのだ。だからこの大きさにしていると言える。俺にとっては小回りが利くギリギリの大きさがこの巨大さなのだ。

過去に、何度か最大の大きさになった経験はある。

だがその時に全て日の出を最も速く体験した(・・・・・・・・・・・・)ため慌てて小さくなった経緯(いきさつ)がある。

どういう事かわからないが、大きければ大きいだけ速く日の出(不利)になってしまう。それならば、特に巨大になる必要もない。取りこぼしも多くなってしまうし、自分の力も多大に喰う。力を流用(・・・・)しても良いが、無駄使いには変わらない。

さてと、闘いの始まりだな。

あまり愉しみはしないが、しょうがない事だ。

俺が鬼である以上。人を喰う以上。

くくくっと喉の奥で自虐的に嗤う。

さぁ人間の鬼殺の願いを断ち、心を折る時間だ。

「さぁ、「希望とは全て絶望に帰結する」という結末(現実)に向かって歩いて行こう」

走ってくる2人に俺はそう声を投げかけた。

 

 

 

 

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恋の呼吸。伍の型 揺らめく恋情・乱れ爪

獣の呼吸。伍の牙 狂い裂き

俺たちは2人とも広範囲を攻撃する技を選んだ。少しでも負傷させる事を狙って。どっちも伍の型なのはなんかの気まぐれか。

だがこの怪物はなんの反応も見せない。

何にも遮られず全ての攻撃が直撃し、そして…!

 

無傷だった(・・・・・)

 

「なんでてめぇは無傷なんだよ!!!」

「力をいれたからじゃな」

…は?

…よくよく見れば薄皮一枚斬れている。だが、その程度、鬼なら一瞬で治る。ほら、もう治ってやがる。

 

 確かに一瞬で力をいれて筋肉を大きく膨らませれば、多少は刃が通りにくくはなるだろう。俺たちの技が広範囲攻撃で、多少威力が落ちていたというのもある。だが、それだけであの攻撃を、あんなほぼ無傷に抑える事ができるかといえば、それは。

 

…俺にはムリだな。

 

たぶんこれが、このバケモノの生き残った秘訣なんだ。

 この鬼は「純然たる暴力の権化」なのだ。

この鬼の前には、どんな目を見張る神業も、どんな悪魔じみた先見の明で策を練り、相手を絡め取る事も意味なんかねぇ。

 純粋で混じりっけのないただの「力」。この鬼はそれだけで全てを蹂躙しつくす。神業も策も罠も全て「力」のみで踏み潰す、暴虐的なまでの怪力の化身。それが、それだけがコイツの力の全てだ。

 

圧倒的なまでの強者の姿(うつしみ)だ。

 

どういう事だ?物理的(目で見る)以上に敵が大きく膨れ上がって見えやがる…!

…ダメだ。勝てねえ。勝てる想像ができねえ…!

「伊之助君!」

「なんだ?」

「私がなんとしてでもスキを作る!だからそこで頸を斬って!」

どうやってだ?だがこう言われたからにはやるしかねぇ!

「任せとけ!」

 

 

 

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 まったく。絶望に打ちひしがれる時間をそんなに伸ばしたいか。

俺は心の中でため息をつく。

だがあの女は俺の頸を斬る気みたいだぞ?

 

 千年間で斬れた者は、さっき斬られたのも含めても極わずか(5人)だと言うのに。

 

 この千年間、何度もその言葉を聞いてきた。だが、ただの一度も頸がなき別れになる事はなかったな。

俺は嗤う。醜悪な笑みで。だから良いんじゃないか(・・・・・・・・・・・)

「斬れるものなら斬ってみるがよい」

 

恋の呼吸。陸の型 猫足恋風

 

恋の呼吸の特徴としては広範囲攻撃が多い。

攻撃を「広げる」事により、間合いを伸ばして鬼の頸を斬りやすくしているのだ。独特な刀で刃渡りが長いのも理由の1つであろう。

 だが、その分威力が落ちる。確かに傷は負いやすくはなる。が、その程度、(おれ)なら負傷していないのと変わらない。

 大きく跳躍して恋柱に肉薄する。一瞬で20丈(約60m)以上離れていた距離が一瞬で詰まった。

恋柱は驚いた様だ。だが慌てて刀を振るう。とっさの判断としては悪くない。

しかし俺は刀を無視して恋柱に、右手を伸ばした。腕に無数の傷ができるが、この程度の傷はないのも同じ。

恋柱を確かに捕らえたと思った瞬間、桃色の髪の女は頭上に一瞬で移動した。

まるで稲光の様な速度で(・・・・・・・・・・・)

しょうがないのでそのまま右手で追うと、今度は灼熱の痛みを感じた。右手が切り落とされてやがる…!

それに、傷口の回復速度が落ちている(・・・・・・・・・・・・・)

なるほど。この二人か。

「…出て来ないのかの?」

まだ隠れたままだ。まぁ良い。炙り出してやる。

「…そこじゃな」

軽く蹴ると空間が歪む。まったく。隠れんぼは得意ではないのだが。

そろそろ本気の一部を見せないとな。

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 さっきとは明らかに気配が変わりやがった。俺はそう思った。まるでもともと大きかった姿が何倍にも、何十倍にも(おお)きくなっていく様な…!

実際の大きさは全く変わんねぇ。でも、内に秘めるものがどんどん巨大に膨れ上がり、とんでもねぇもんに変貌していってる気がする。根拠はないがそう感じた。 

「久しぶりじゃ。実に久しぶりじゃな」

 

悪魔は嗤う。巨大な顔に、凶暴すぎる表情を浮かべて。

悪魔は嗤う。巨大な拳に凶悪な意思を込めて。

 

「そう簡単に死んでくれるのでは困るぞ!本当に久方ぶりじゃ。本気になるのは。四百年振りじゃな!だから愉しませてくれ!!!」

凶悪な鬼は容赦なく拳を俺という人間に叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 




あと、色々書きましたが、昔の長さの単位はやっぱり現在のメートル法に直すのを続けた方がいいですかね…?
むしろ続けない方がわかりやすいですかね?コメントください!一応、下に昔の単位の長さがわかりやすい様に書いておきますね。 

一寸→約3センチ(正確に言うと3.0303センチ)
一尺→10寸(約30センチ)
一丈→10尺(約3m)
一間→6尺(約180センチ)
一町→60間(約109m)
一里→36町(約4キロ)
となっております。
正確な値がほしい人、コメントをくだされば次は正確に書いておきます。


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