漆番目の上弦   作:魔剣グラム

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どうしよう!だいぶ前に決めた所まで行き着かないよ!!
でもまぁいいや。次に行けば。


バケモノは嗤う。強者との邂逅に。

あぁ久しぶりだ。実に昔過ぎて懐かしいという感覚にすら至るな。本気になる瞬間は!

「そう簡単に死んでくれるでないぞ!本当に久方ぶりじゃ!実に四百年振りの本気じゃからな!!」 

俺は嗤う。本気を出せる(よろこ)びに。

 

拳に凶悪なまでの殺意(情熱)を込めて。

顔に純度100%の嗤い(殺意)を秘めて。

 

このゾクゾクする、肌が粟立つ感覚。血が湧き、肉が踊る身体。実に久しぶりの強者との邂逅。手の震えが止まらねえ。楽しみで、愉しみで。

 

 こんな感覚は縁壱と一人で会って以来じゃないか?アイツは強かった。

 

…肌が粟立つを通り越して寒気が来たからな、アイツは。闘いながらも死をすぐ身近に感じたあの感覚。もしかしたら生と死なんてそんなに違わないのかもしれないな。

縁壱は(おれ)よりも(バケモノ)じみて強かった。俺は逃げたからな。勝機は無いと感覚で悟って。あれはマジで人間辞め人間だっつうの。そのおかげで今日まで生き残って来られたんだから、マジで自分の感覚に感謝しかねえ。マジでありがとう!俺の感覚!!

 

呼吸を極めた?常に透明な世界?闘いが始まったら常時赫刀?そんな生易しいモンじゃねぇよ、アレは。呪いとか妄執の類だっつうの。鬼を殺す(てんさい)って呪いだ。

死ぬ間際ギリギリまで強いとかバケモンここに極まれりだろ。

 

そんな人類初まって以来の天才を、相手にする方が間違ってる。

 

…そこは無惨も一緒だったらしいが。無惨にも無数の肉片(ポップコーン)になってでも逃げたからな!

ハハハ!!(乾いた笑い)

そこまでしてもかなりの数を斬られてギリギリで生き残ったとか。

 

…アイツ本当に人間か?

 

…恐ろしいアイツの話は、まぁいいや。俺の手札(血鬼術)の確認だ。

俺の血鬼術は全部で五つ。五枚しかない。前にも言ったが。

 

だが単純に強い。俺の血鬼術は単体で使っても恐ろしく強いが、本当に真価を発揮するのはやはり複数を組み合わせて(・・・・・・)使った時である。めちゃくちゃシンプルだがめちゃくちゃ強い。

…やはりハメ技には恐ろしく弱いが。

 

さぁ。ここからが俺の本当の闘いだ。本気の、全力の、全開の闘いである。 

 

「上弦最弱の鬼の血鬼術、たっぷりと堪能するが良い!!」

 

乱撃嵐(あらしうちみだれ)

俺の血鬼術の本気の組み合わせ、いくつまで耐えられるかな?

 

「さぁ、()()りの命の輝きを魅せておくれ?」

 

俺は歓喜の表情と鬼の象徴である犬歯を剥き出しにした。

「さてと、死会(しあ)おうか」

文字通り片方が、下手したら両方が「死に会う」まで闘う闘い。お互いがギリギリになるまで闘う闘い。命尽きるまで、精一杯輝く闘い。

なんて素晴らしい(・・・・・・・・)

「勝つ事に全力を注ぐ事こそ素晴らしい。わしは卑怯だとか卑劣だとかそういう事は一切言わん。美しく勝つ事は、なんも意味無い事だと思う。卑怯な手を使う(・・・・・・・)それもまた闘いの一部(・・・・・・・・・・)。だからこそ、わしもお主らを打ち倒す事に全力を注ごうぞ!!そのためにはどんな手段でも使う事を厭わない!!」

俺は吠えた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

乱撃嵐(あらしうちみだれ)

俺がその言葉を聞き取った瞬間、目の前から鬼が消えた(・・・・・・・・・・)

次の瞬間、俺は殴り飛ばされていた。

は!?

紋一の…雷の呼吸だっけか?それを使う時と似た様な疾さがありやがる。

…いや。ヘタしたらもっと疾いかもしんねぇ。

更にこの怪物は、紋一にはないモノを持ってやがる。

 

…ばかみてぇに力がめちゃくちゃ強え。

 

鬼だからってのを抜いてもまだ、バケモノじみて強え。

人間離れした力と圧倒的なまでの速度。それがこの怪物を怪物たらしめている所以(ゆえん)だ。

なんとか受け身をとったが、今ので骨が何本か逝ったぞ。

 

 ちくしょう!追撃に備えねぇと!!!

 

だが目の前の鬼は辺りをキョロキョロしていた。それで。

「あぁ、ようやくか。見つけたぞ」

は?

コイツ何を行ってやがる?

突然、目の前の悪鬼が脚を大きく上げ、勢いよく振りおろしやがった。

 

それは伊之助は知らなかったが、相撲の四股であった。

 

まるで雷が数十本纏めて降り落ちた様な爆音と共に、地面が海の様な波打ちを引き起こす。思わず巨躯の鬼以外のこの場所にいる全員が、その場で膝をついた。俺を含めて。

 

…まさか、今の地震をこの鬼はバカ(ちから)だけで引き落こしたのか!?

 

驚愕から冷めぬままの状態の俺だが、この鬼は俺の事を無視して明後日(あさって)の方に向けて腕を「ブンッ」と振るった。

ただそれだけ。それだけなのに莫大な風が巻き起こり、暴虐な嵐を産み出す。爆発的な風が辺り一体を蹂躙した。

 

余波(・・)だけでボロボロになる周り。そしてその中心には。

 

 紋一と権八郎が今、まさに吹き飛ばされた様な姿で突然現れていやがった。二人の子分の額には変な目の紋様が描かれた紙が貼られていて、それが真ん中からちぎれていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「善逸と炭治郎か。獪丘(かいがく)との、猗窩座(あかざ)との闘いには勝ったらしいの?どちらも恨みと言うか、一悶着あった相手であったらしいが?」

俺の言葉に二人は仰天していた。自分の名前を知っている事や自分の境遇を知っている事に驚きを隠せないのだろう。

俺は内心笑う。

「鬼だから、なんも情報を集めないと思っていたのかね?それは、まるでまるで、」

チョコラテの様だ(甘すぎる)。実に甘いよ。小童(こわっぱ)ども。

多少ハイカラな物に例えてみる。若造はこんなのが好きだろう。

俺は真剣な表情を作り、パンッと手を叩いた。

…つもりだったが爆音じみた音になってしまい、思わず顔をしかめてしまう。

自分事ながらもつい、その事に思わず笑ってしまいながら、鐵拳を構えた。すると、向こうも音どころじゃあないと悟ったのか、刀を持ち上げ、ギザギザの刃をこちらに向ける。キチンと研げているとは言えないであろう刀も、ペラペラな刀も、この場所にある刀は全てこちらに向いたのをしかと確かめた。

 

全ての刀には殺意と覚悟が映っているのを確認した後、俺の口元はなぜか緩いカーブを描いた。

 

俺は別に戦闘狂ではないのだが、闘いに命を賭ける事は嫌いではない。

命という実に得難いモノを賭けて、全てを賭して戦う。

その事は決して無駄ではない。限限(ぎりぎり)の闘いは人鬼関係なく成長させるのだから。

「さてと、死会おうかの。ギリギリの闘い。限界を越えたお主達の可能性の素晴らしさを魅せておくれ」

勝てる保証などどこにもない。だからこそいい(・・・・・・・)

 

絶望(オレ)の影を振り払う方法。さぁぶっつけ本番でやって魅せてごらん。




次回かな…ちょっと前に決めたヤツやります。
読んでくださり、ありがとうございます。

この小説、もっと文字数を増やしてほしいかそのままか(減らすのはムリです。割りと限界なので)。

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