狂犬と消失少年   作:火の車

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羽丘へ

陽介「__なんか、違和感あるな。」

チュチュ「あら、似合ってるじゃない。」

パレオ「よくお似合いですよ!ようさん!」

 

 あれから、試験を受けたり、手続きをしたりして、羽丘への転入が決まった

 

 今日は、初登校日だ

 

陽介「まさか、この年になって転校することになるとは思わなかったよ。」

チュチュ「この年って、まだ10代でしょ。」

陽介「まぁ、そうだけどさ。」

 

 俺はそんな会話をしながら料理をテーブルに並べた

 

パレオ「いただきまーす!」

チュチュ「いただくわ。」

陽介「おう。どうぞどうぞ。」

 

 俺はそう言いながら、自分用に置いておいた野菜の残りを口に運んだ

 

チュチュ「いつも思うけど、なんで陽介はそんなの食べてるの?」

陽介「ん?」

パレオ「いっつも、食材の切れ端ばっかりで、足りるんですか?」

陽介「足りてる足りてる。弁当もあるしな。」

チュチュ「そう。」

 

 チュチュは疑いの目を向けながら、料理を食べた

 

 二人はいつも食べてるとき、嬉しそうな顔をしてくれる

 

 作った身としては冥利に尽きるな

 

 そう思ってるうちに二人は食べ終わり、登校の用意をしていた

 

チュチュ「さて、そろそろ出るわよ。」

パレオ「はい!」

陽介「忘れ物はないか?」

チュチュ「ないわよ。」

パレオ「パレオも問題ありません!」

陽介「そうか。」

 

 俺たちは家を出た

__________________

 

 チュチュたちと分かれて、俺は羽丘に向かっていた

 

陽介(転校って、こんな感じなんだな。)

 

 すっごい緊張する

 

 湊さんと六花は別学年だし、同学年にどんな人間がいるか分からない

 

 もしかしたら、前の学校みたいに......

 

六花「__あ!出水さん!」

明日香「ちょ、六花、その人だれ?」

陽介「六花?と、誰だ?」

 

 しばらく歩いてると、後から六花ともう一人の子がいた

 

 六花の友達か?

 

六花「おはようございます。」

陽介「あぁ、おはよう。」

六花「制服、よくお似合いです。」

陽介「ありがと。」

明日香「六花、その人だれ?」

 

 後ろにいる女の子がそう言った

 

 まぁ、そりゃ不思議だよな

 

六花「この人は今日から転入する2年生の出水陽介さんだよ。」

陽介「出水陽介。よろしく。」

明日香「はい、よろしくお願いします。」

 

 俺と明日香は挨拶をした

 

 真面目そうな子、そんな印象だ

 

明日香「この人って六花とどんな関係なの?」

六花「え?」

陽介「関係?」

明日香「もしかして、恋人、とか?」

六花「!!」

 

 明日香がそう言うと、六花が固まった

 

六花「ち、ちがうよ!な、なな、何言ってるの!?///」

明日香「そうなの?六花から声をかける人だったし、親しいのかなって思ったんだけど。」

陽介「六花とはそういう関係じゃないよ。そもそも、六花みたいなかわいい子、俺なんかには勿体なすぎる。」

六花「か、かわ......っ!///」

陽介「ん?」

 

 六花は顔を真っ赤にしながら震えてる

 

 どうしたんだ?

 

六花「あ、明日香ちゃんのバカー!///」

明日香「えぇ!?私!?」

陽介「六花!?」

 

 六花は叫びながら学校の方に走って行った

 

陽介「ど、どうしたんだ?」

明日香「ま、まぁ、色々あるんですよ。」

陽介「取り合えず、俺達も学校行くか。話とか聞いて良いか?」

明日香「あ、いいですよ。」

陽介「ありがと。」

 

 俺は明日香に話を聞きながら、学校に行った

__________________

 

 学校に来ると、明日香と分かれて職員室に行った

 

 色々な説明を受けたり、必要なものを貰ったりしてるうちにホームルームの時間になった

 

 俺は担任と一緒に教室に来ていた

 

陽介「__出水陽介です。よろしくお願いします。」

 

 俺は軽く頭を下げた

 

 クラスからは拍手の音が聞こえる

 

担任「出水君の事情は話した通りだから、皆、出来るだけ仲良くしてあげてね!」

 

 どうやら、俺の事情は知ってるらしい

 

 チュチュが説明したんだろうな

 

 多分、話したのは目の事だけだろう

 

担任「じゃあ、空いてる席に座ってね。」

陽介「はい。」

 

 俺はあたりを見回した

 

 片方が見えないから、結構大きく顔を動かさないといけない

 

?「__こっちだよ!」

陽介「!」

 

 俺は声の下方向に歩いて行った

 

陽介「ありがとう。」

?「ううん!これからよろしくね!」

陽介「よろしく。」

 

 なんだろう、すごくいい子そうだな

 

 タイプで言えば、クラス委員長みたいな

 

陽介「えっと、君は?」

つぐみ「あ!私は羽沢つぐみです!」

陽介「羽沢ね。」

 

 羽沢か......って、羽沢?

 

 どっかで、その名前聞いたような

 

陽介(商店街のカフェにそんな感じの名前があったような。)

つぐみ「どうしたの?」

陽介「羽沢って、商店街のカフェの名前であったような気がして。」

つぐみ「うん!私のお家のお店だよ!」

陽介「やっぱり。」

 

 買い物の途中とか、良い匂いするんだよな

 

陽介「また今度、行ってみるよ。気になってたから。」

つぐみ「うん!お待ちしてます!」

モカ「おー、つぐ、商売上手ー」

つぐみ「モカちゃん?」

 

 羽沢と話してると、向こうから女の子が話に入ってきた

 

 喋り方、ゆっくりだな

 

モカ「やぁやぁ、転入生君ー」

陽介「あ、はい。」

モカ「あたしはモカちゃん、謎の美少女、青葉モカちゃんだよー」

陽介(え?それ自分で言うの?)

蘭「モカ、すっごい困ってるよ。」

モカ「えー?」

巴「そりゃ、急に美少女とか言われればなー。」

ひまり「困るよねー」

 

 みんながみんな、苦笑いをしながらそう言った

 

 この感じ的に、友達だろうか

 

つぐみ「この子たちはね、蘭ちゃんと巴ちゃんとひまりちゃんだよ!」

ひまり「よろしくね!いずみん!」

陽介「いずみん?」

蘭「まぁ、よろしく。」

巴「よろしくな!陽介!」

陽介「あぁ、よろしく。」

 

 さっそく5人と話せた

 

 最近の女子はかなりフレンドリーというか、コミュ力が高いんだな

 

陽介(......でも。)

 

 裏を考えてします

 

 本当は何を考えてるのか、後から何か仕掛けてくるんじゃないか、また裏切られるんじゃないか

 

 そんな考えが自然に出てきてしまう

 

担任「それじゃあ、今日も一日、頑張りましょう!」

 

 担任はそう言うと、教室を出て行った

__________________

 

 午前の授業が終わり、昼休みになった

 

 初日なだけあって、一緒に食べるやつなんていない

 

 俺は一人で弁当を広げていた

 

陽介「......」

 

 弁当を食べても、やっぱり味がうすい

 

 肉を食べれば変な感触、野菜を食べても繊維を感じるのが強い

 

陽介(なんでだ?)

モカ「じー」

陽介「......どうした?」

 

 机の横から俺の弁当箱を見てる女子が一人

 

 青葉だ

 

 獲物を狙う獣のような、欲しいおもちゃを見つけた子供のような目を向けてる

 

モカ「モカちゃんはお腹がすいていまーす」

陽介「......食べるか?」

モカ「えー?いいのー?」

陽介「いや、わざとらしいな。」

 

 俺はそう言いながら弁当箱を出した

 

陽介「ほら、予備の割りばしあるから使え。」

モカ「おー、どーもどーも。」

つぐみ「モカちゃん、何してるの!?」

モカ「ようくんにお弁当貰ってるー」

蘭「いや、やめてあげなよ。元からそんなに多くなさそうなのに。」

ひまり「そうだよ!」

陽介「別にいいよ。」

巴「男だろ?もっと食わねぇのか?」

陽介「いや?いっつもこんなもんだよ。」

 

 俺はそう言いながら、弁当のおかずを選ぶ青葉を見た

 

モカ「じゃあ、これにしよー」

 

 青葉は一つを箸で摘まみ、口に運んだ

 

モカ「__おー、これはー」

つぐみ「?」

モカ「美味しいよー」

陽介「そうかそうか。」

 

 青葉は気の抜けそうな笑顔でそう言った

 

モカ「かなり濃い味だねー。モカちゃんは好みー」

陽介「え?」

モカ「どうしたのー?」

 

 濃い味?あれが?

 

 俺は薄いどころじゃないように感じたのに?

 

蘭「どうしたの?焦った顔、してるけど。」

陽介「い、いや、大丈夫。」

 

 俺はそう言いながら、弁当のおかずを口に運んだ

 

陽介(......やっぱり。)

 

 薄い

 

 濃くないはずだ

 

巴「汗かいてるぞ?暑いのか?」

ひまり「大丈夫!?顔色悪いよ!?」

陽介「だ、大丈夫。青葉、残りは全部、食ってもいいぞ。」

モカ「え?流石にだめだよー」

陽介「もう満腹なんだ。」

モカ「うーん、そういうことならー」

 

 青葉は不思議そうな顔をしながら、弁当を食べ始めた

 

 俺は一度、呼吸を整えた

 

つぐみ「本当に大丈夫?具合が悪かったりしない?」

陽介「大丈夫だよ。」

モカ「ごちそーさまー」

ひまり「はやっ!?」

モカ「美味しかったんだよー」

陽介「そうかそうか。」

 

 美味しそうに食べてくれてよかった

 

 俺は一息ついた

 

陽介(どうしたんだ、俺?)

 

 俺は残りの学校の時間をそんな事を考えながら過ごした

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