狂犬と消失少年   作:火の車

14 / 82
生徒会室にて

 転入すると、意外とやることが多い

 

 内容は主に書類を書いたりだ

 

陽介「__えっと、ここだな。」

 

 俺は提出する書類を持って生徒会室に来ていた

 

 扉をノックし返事があったので、部屋に入ることにした。

__________________

 

陽介「__失礼します。って、あれ?」

 

 部屋に入ると、そこには誰もいなかった

 

 確かに、入るときに返事はあった、誰かはいるはずだ

 

陽介(見た感じ、隠れれる場所はあの机の下くらいか?)

 

 俺はそう思い、生徒会長が使ってそうな机に近づいた

 

陽介「これで隠れてたら面白いな。」

 

 俺はそう言いながら、机の下を覗き込んだ

 

 でも、そこには誰もいなかった

 

陽介「あれ?」

?「__何してるの?」

陽介「!!」

 

 俺が顔をあげると、目の前には女子生徒がいた

 

 さっきまで、誰もいなかったのに

 

陽介「い、いつからそこに?」

?「君が入ってきたときから、ずっと後ろにいたよ!」

陽介「え?」

 

 全く気付かなかった

 

 なんだ、この人?

 

?「それにしても、なんで机の下なんて覗いてたの?」

陽介「返事があったのに誰もいなかったので、机の下にでも隠れてるのかと思ったんですよ。」

?「......」

 

 俺がそう言うと、その女子生徒は黙ってしまった

 

?「あはは!面白いね!君!」

陽介「え?」

?「小学生じゃないんだから、そんなとこ隠れるわけないじゃんー!」

 

 その女子生徒は大笑いしながらそう言ってる

 

 まぁ、もっともだな

 

 俺も流石に冗談半分だったし

 

陽介「それで、生徒会長はどこにいるんですか?」

?「あたしだよ?」

陽介「?」

?「あたしが生徒会長だよ!」

 

 その女子生徒は元気にそう言った

 

 どう見ても生徒会長って感じじゃないが、見かけによらないってこともある

 

?「君の事は知ってるよ、出水陽介君だよね!転入してきた!」

陽介「はい、そうですが。」

?「うん!そうだよね!」

 

 女子生徒は笑顔を浮かべながら、椅子に座った

 

日菜「あたしは生徒会長の氷川日菜だよ!よろしくね!」

陽介「あ、はい。よろしくお願いします。」

 

 俺は軽く頭を下げた

 

日菜「書類を持ってきたんだよね?ちょーだい!」

陽介「はい、どうぞ。」

 

 俺は持ってきた書類を出した

 

 氷川さんはそれを受け取ると、中身を確認した

 

日菜「......うん!記入漏れはないね!」

陽介「早いですね。」

日菜「まぁ、見るだけだし!」

 

 俺はそう言われると、生徒会室を出ようとした

 

日菜「あ、待ってよ!」

陽介「はい?」

日菜「少し話をしよ!」

 

 氷川さんはそう言うと、椅子から立ち上がり、こっちに近づいてきた

 

 正直、あんまり一緒にはいたくないな

 

陽介「話ってなんですか?」

日菜「陽介君の話を聞いたのは4日前で、ずっと気になってたの。」

陽介「え?」

 

 氷川さんはそう言って、俺の方に手を伸ばしてきた

 

日菜「この眼帯の下、どうなってるのかなって。」

陽介「!」

 

 そう言うと氷川さんは、俺の眼帯を取った

 

 突然の出来事で反応が出来なかった

 

陽介「な、なにを。」

日菜「気になってるんだよ。どんな風になってるのかなって。」

陽介「き、気になるって。」

日菜「なんで隠すの?見せてよ。」

 

 氷川さんは俺の手を引きはがそうとしてくる

 

 すごい力だ、腕が嫌でも引っ張られる

 

陽介「や、やめてください......!!」

日菜「ちょっとだけ、ちょっとだけだから。」

 

 引き下がる気はないらしい

 

 まずい、手を引きはがされる

 

 嫌だ、あの目を見たくない、人間じゃない何かを見るような目でもう、見られたくない

 

 そう思っても、段々、左目が晒されていく

 

 バン!!!

 

つぐみ「__日菜先輩!!」

陽介「は、羽沢......?」

 

 手が引きはがされる直前、勢いよく扉を開けて羽沢が入ってきた

 

日菜「どうしたの?つぐちゃん?」

つぐみ「どうしたじゃないです!何してるんですか!」

日菜「陽介君に見せてもらおうと思って。」

つぐみ「嫌がってますよね?」

 

 羽沢は目に見えて怒ってる

 

 でも、氷川さんに意に返す様子はない

 

つぐみ「早く眼帯を返して離れてください!」

日菜「えー。」

つぐみ「えー、じゃないです!」

日菜「別にただでとは言わないよ?」

 

 氷川さんはそう言うと、再度俺の方を向いた

 

日菜「そうだなぁ......」

陽介「......?」

 

 氷川さんは考えるような仕草を取った

 

 そして、思いついたように手を叩くと、こう言い放った

 

日菜「見せてくれたら、あたしの初めてをあげる!」

陽介「はぁ!?」

つぐみ「ちょ、ちょっと、日菜先輩!?///」

日菜「分かりやすく言えば、処__」

陽介「言わせねぇよ!?」

 

 この人、何言ってんだ!?

 

 馬鹿か、馬鹿なのか!?

 

日菜「それでもだめなのー?」

陽介「いや、駄目に決まってるでしょう!?常識的に考えて!」

日菜「常識?何それ面白い!」

陽介「面白くはないですよ!」

つぐみ「そ、そそ、そうですよ!そ、そんな......///」

 

 なんなんだ、この人は......

 

 少なくとも普通じゃない

 

日菜「うーん、これでもダメかー。」

 

 氷川さんは残念そうな声でそう言った

 

日菜「じゃあ、今回は諦めるよ。」

 

 そう言って氷川さんは俺に眼帯を返してきた

 

 俺はそれを手を目から放さずに受け取り、すぐにそれをつけた

 

日菜「それにしても、そんなに見せたくないの?折角のチャンスだったのに?」

陽介「いやいやいや、チャンスとかそう言うのじゃないでしょ。自分の事を大切にしてください。」

つぐみ「そうですよ!」

 

 つぐみは生徒会の役員らしい

 

 大変だな、この人の下につくって

 

つぐみ「人には触れちゃいけない事があるんですから、あまり強引な事はしちゃいけませんよ?」

日菜「分かったよー。」

陽介(本当に分かってるのか?)

 

 間延びした、青葉のような話し方に多少の不信感を覚えたが、気にしないことにした

 

陽介「......もう帰ってもいいですか?」

日菜「あ、いいよ!またね!」

陽介「......あ、はい。」

 

 俺は出来ればもう会いたくない、と思いながら生徒会室を出た

 

 生徒会室を出た後、すぐに羽沢の怒声が聞こえて来た。

__________________

 

 俺は教室に戻るため、廊下を歩いていた

 

陽介(__はぁ、疲れた。)

 

 何なんだあの人は?

 

 常軌を逸してる、普通じゃない

 

陽介(人が怖いとかは治ってきてる。あの距離まで人が来ても大丈夫だったし。)

 

 気が滅入ってた、そう言う感じだったんだろう

 

 環境が変わって、良い人が多いから、気持ち的にも持ち直せた

 

陽介(そう思えば。)

 

 さっきの氷川さんを思い出して、俺はある事を思った

 

陽介(チュチュってもしかしなくても、すごい優しいんじゃ?)

 

 俺はそう思うと、ポケットから手帳を出した

 

陽介(ジャーキー、追加っと。)

 

 俺はそう書き込んだ

 

陽介「......さて、バイト行くか。」

 

 俺は手帳をしまって、そう呟き歩きだした

__________________

 

 ”生徒会室”

 

日菜(__うーん、もう少しだったのになー。)

つぐみ「聞いてるんですか!日菜先輩!」

日菜「聞いてる聞いてるー。」

 

 陽介が去った後の生徒会室では、つぐみの説教が続いていた

 

 日菜本人は全くと言ってもいいほど気にしていないが......

 

日菜(何がダメだったんだろ?男の子なら喜ぶと思っての条件だったのに?)

 

 日菜はそんな事ばかりを考えていた

 

 駄目だった理由、次はどうするか、どうすればうまくいくか、それをずっと考えてる

 

日菜(あの誘いにも乗らないなんて、面白い子だなぁ♪)

 

 日菜は笑った

 

日菜「うん!るんっ♪てきた!」

つぐみ「日菜先輩!」

 

 説教の途中にそう言う日菜をつぐみは咎めるが、やはり日菜は気にしない

 

日菜(諦めないよ!次は絶対にあの眼帯の下、見よう!)

 

 日菜は心の中でそう言った

 

 その時の日菜の顔は、新しいおもちゃを見つけた子供の様だったとか

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。